平成30年度第四回定例会 一般質問 坂下修

私は、先日の樋口議員の代表質問に対する、山本区長2期目の出馬表明に当たり、①区長のこの4年間の区政運営の評価と②今度の展望について、質問します。
さて、区長は、平成27年4月、「すみだの『夢』実現」を掲げて区長選に挑み、70%超という多数の支持を得て当選されました。区長とともに、新時代の墨田区を切り拓かんと「夢」をみた区民も多くいたことと思います。そうした区民の大きな期待を背負った山本区長にとって、この4年間は、墨田区の新時代の幕開けを担う、重要な時間であったと考えます。
まず、区長1期目の区政運営の評価について伺います。
第一に、評価指標について伺います。この検証作業を行うにあたり、区長が選挙にあたって掲げた公約や平成27年6月10日、本会議において行った所信表明を改めて読み返しました。区長の掲げた公約が客観的にどう達成されているのか、これを考えるとき、区長が掲げた公約は漠たるものであるという印象を持っています。例えば昨今当選した首長の公約の中には、茨城県つくば市の五十嵐立青(たつお)市長のように、「市長公約事業のロードマップ」を示して、市民や議会にとって検証可能性を確保したり、山本区長と同時期に当選した、渋谷区の長谷部健区長のように具体的事業を掲げている例が多くなっています。区長は、常日頃から「民間感覚」という言葉を多用されていますが、この意味することのひとつはPDCAサイクルを回していくことであり、区長の公約は更なるブラッシュアップが必要であると感じています。こうした観点からすると、区長の2期目にあたっては、より具体的な政策とともに、成果目標を示した、いわゆる「マニフェスト型」の選挙を戦う必要性があるのではないかと感じています。
区長は、1期目の公約をどのように検証され、自己評価されているのか、まず概括的に伺います。そして、区長2期目の公約の評価指標のあり方について、ただいまの指摘を踏まえて具体的に答弁願います。
第二に、区長が1期目の所信表明の中で述べられた区政運営の基本姿勢について伺います。
この質問の一つめは、この4年間の街の変化についてです。区長は、この所信表明の冒頭で、区長選挙を通じて得た感想として、区内全域を見て回り、子育てや教育に関する施策の重要性を特に感じたと述べ、この4年間の最重点課題として位置づけました。また、区内のシャッター通りや操業されていない工場に言及し、地域産業振興について改めて決意を述べられました。
区長はこの4年間、区長として地域を見て回ったと思いますが、この4年間の区の変化について感想を伺います。またこの変化への対応として特に区長が具体的に取り組んだことについて伺います。
質問の二つ目は、「民間感覚と区民目線」及び「スピード感と開かれた区政」についてです。区長は、所信表明の中で、「民間感覚と区民目線による、更なる可能性を追求した区政の展開」と「スピード感のある、区民に開かれた区政の推進」を図ることを表明されました。
民間感覚が反映されている事業としてシティプロモーション戦略、施設使用料の見直し、職員の積極的な外部派遣があり、また区民目線の事業としてタウンミーティングを実施されるなど、区長が新たな取組みに果敢に挑戦していることは高く評価しています。
他方では、この間の議会質疑を拝見していますと、民間感覚に疑問符を持つ事業も散見されました。各会派が共通して取り上げた問題として、荒川緑地フィールドハウスの改修や障害者雇用に関して法定雇用率を遵守できていなかった問題、自民党が取り上げた業平小学校の壁面緑化事業など、区長のキャッチフレーズとは裏腹に民間感覚に疑問をもつ事業もいくつか見られたのもまた事実です。
また、スピード感の不足している事業として、これも多くの会派が取り上げましたが、みつばち園の療育の相談が、申込みから相談までが3カ月掛かっている問題があります。区民目線の不足については、6会派の合意により、図書館条例が修正議決されるなど、議会がその権限を行使して、区民目線を注入した事業もありました。
更に、スピード感を意識しすぎて拙速な事業が散見されました。第3子以降に小学入学祝商品券の交付を行う就学応援事業については議会がその目的と政策効果の関連性について疑問があるとして修正議決を行ったほか、「23区初」と銘打った事業の多くが、その予算の根拠や効果に疑義が呈される結果となりました。
これら高い評価もある一方で、反省点も多かったこの4年間について、その原因を区長はどのように分析し、2期目に向けて展開されようとしているのか、見解を伺います。
更に、平成28年第四回定例会の中で、区長は「民間感覚」の意義について「職員が柔軟な発想を持ち、前例踏襲、事なかれ主義ではなく、前向きにどうすれば実現できるかという視点で取り組むこと」と述べています。区長は就任挨拶の中で「行政にはありがちな『できない理由』から入るのではなく、『できるためにはどうするか』という視点を職員に求めた」と述べていますが、こうした発想はこの4年間で根付いてきたのでしょうか。見解を伺います。
第三に、所信表明中の区政運営の基本的な取組方針について、任期を終えるにあたり、一定の評価を行うべきものについて伺います。
まず一つ目は、山崎前区政の継承です。区長は前区政を肯定的に評価した上で、「東京スカイツリーの誘致をはじめ、区民生活に関わる総合的な施策展開を行い、現在の大きな可能性を持った本区の基盤を築いていただき、これを着実に仕上げる」と述べています。この4年間で、山本区長はこうした礎の下に、懸案事項だったすみだ北斎美術館や大学誘致を実現しました。この点を高く評価します。他方で、政策の独自性にやや欠けた印象も持っています。議会で多くの議員が用いたように、「山本カラー」を更に押し出す2期目にすべきだと考えます。2期目の区政運営にあたり、改めて「山本カラー」の意義とその強い打出しへの決意を伺います。
二つ目は、新基本計画の着実な推進です。新基本計画は、議員諸氏のご協力の下、私が委員長を務めさせていただいた、基本計画調査特別委員会において熱心にご議論いただき、平成28年に策定されました。この間の予算編成をみても、これに基づく着実な予算化が図られており、この点は評価しています。しかし、この3年間をみても、地方消費税の精算基準の見直し、幼児教育・保育の無償化や、消費税引上げ段階での法人住民税の更なる国税化といった予期しない事情が次々と発生しています。新基本計画の着実な推進の根拠となる、財政基盤は、区の埒外(らちがい)の事情で大きく揺らぐ状況にあります。また増え続ける民生費について大胆な改革を行う必要性もあります。基本計画の着実な推進という目標とこうした財政環境の変化との矛盾について、どう解決していくのか、区長の見解を求めます。また、区長は所信表明の中で、行財政改革のあり方について「数多くの行財政改革の取組がなされてまいりましたが、民間出身の私にとっては更に鋭いメスを入れる余地があるものと考えて」いる、と述べています。1期目に行政を総点検した結果、どういった行財改革を実行し、また次期に実行されていくのでしょうか。
三つ目は、災害対策の充実についてです。区長は所信表明の中で「都市計画等によるハード面の整備に加え、地域防災計画の見直し等による有事の際の初期初動・避難対策など、防災対策を区の最重要課題としてこれまで以上に力を入れていく」と述べています。私たちも、区民福祉の原点に立ち返り、来年の区議選においては防災対策を最重点課題として取り組む方針を固めており、学校体育館への冷暖房の配備を中心として、来るべき大震災、台風と高潮が重なる江東5区の未曽有の大水害に対して、現実的な対策をひとつひとつ提案していきます。このような中、防災拠点会議ごとの防災訓練の内容を避難所運営型にしたり、水害時に水平避難する方針は打ち出されているものの、具体的にどこに逃げたらよいのか、垂直避難となった場合、どのような体制で救出されるのか、具体的な対応が課題となっています。この4年間の災害対策、特にソフト面での初期初動・避難対策について今述べたことを含めて総括し、今後の展開について伺います。
四つ目は、大学誘致についてです。紆余曲折ありましたが、千葉大学及びi専門職大学の誘致実現は区長1期目の大きな成果であり、高く評価するものです。今後、「大学を核として、若者の流れを呼び込み、地域のにぎわいを創出し、地域経済、商業の振興をもたらす」「大学の知識、技術を生かした産学官連携により地域産業を活性化する」「小中学校との教育交流や生涯学習の機会も増え、区民の皆さんの文化的活動」という区長の公約の実現が求められます。大学誘致の自己評価と、2020年及び2021年に開学を迎える二つの大学についての今後の展開を答弁願います。
次に、次期区長の任期中に想定される課題について伺います。次期任期中は、先ほど述べた大学の開学に加えて、総合運動場の開設、浅草・とうきょうスカイツリー駅間高架下開発計画の店舗等開業、東京五輪の開催、新保健センターの開設、更には押上2号踏切の除却が実際行われるなど、大きなプロジェクトが目まぐるしく展開される4年間となります。
まず、国際観光都市の実現と東京オリンピック・パラリンピックを見据えた取組です。
区長は所信表明の中で、「東京スカイツリーの開業3周年に触れ、東京オリンピック・パラリンピック開催までに実施すべきことをソフト・ハードの両面から、官民一体となって取り組むとともに、その効果を区内全域で享受できるよう推進していく」としています。東京五輪の取組みについては、ボクシング競技の周知や学校等でのプログラムにより、一定の成果が出ていると考えますが、一般区民が東京五輪によって何を学び、何を次世代に継承していくのかについての理解はまだまだであると感じます。東京五輪を挟む次期任期中に、区長はどのようなレガシーを残し、次に区政を紡いでいくのか、明確なメッセージを求めます。
更に、総合運動場や新保健センターの整備についても、次の任期中に開設される大きなプロジェクトであり、特に区民福祉にとって身近で重要な施設となります。これら施設について、区長選を通じてこの現状の進捗とともにコンセプトを訴え、住民を巻き込んでいくことが必要だと考えます。この点について、区長の見解を求めます。
また、東武鉄道との関係というでも正念場を迎えます。任期中には押上2号踏切の除却や浅草・とうきょうスカイツリー駅間高架下開発計画の店舗等開業が控えています。議会としても議論してきたように、区の立場を明確にし、住民福祉の増進のためのまちづくりにしっかりと交渉に臨む、覚悟と努力が必要です。この点についての見解も併せて求めます。
私たち自由民主党は、区長との政策協定に基づき区長の方針を支持しつつも、より区民目線に立った時々の具体的な政策提案と批判的評価を通じて、区政をまっすぐに支えていこうと考えています。
区長2期目に向けた具体的展開について、力強いリーダーシップを求め、以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

平成30年度第四回定例会 代表質問 樋口敏郎

墨田区議会自由民主党の樋口敏郎です。会派を代表いたしまして、区長及び教育長に質問いたします。

第1に、山本区長の来期への意向について伺います。
山本区長は、平成27年4月の区長選挙において、「すみだの夢実現構想」として7つのプログラムを公約として掲げて当選されました。その構想は「暮らし続けたいまち」「働きたいまち」「訪れたいまち」の3つのプロジェクト事業と「シティプロモーション戦略」によって構成された「“夢”実現プロジェクト」として、平成28年6月に策定された墨田区基本計画において事業化されています。

以来、その推進を柱として区政運営にあたってこられました。区長選で掲げた公約の達成状況について、ご自身の総括的な評価、また、今後着実に基本計画を進めていく上での課題認識、公約における各事業の成果については、会派の坂下議員からの一般質問で伺いますので、この代表質問ではただ1点、来年4月に行われる区長選挙に立候補され、2期目を目指すご意思があるのかお尋ねします。

第2に、財政状況の認識について伺います。
「平成31年度における区政運営の基本指針」及び「平成31年度予算の見積もりについての依命通達」において、本区の財政状況について「本区の財政状況は、ここ数年の人口増や雇用・所得環境の改善等により特別区民税の増収が図られ、区債残高の減少と基金残高の増加もあり、健全化の兆しがみられている。しかし、歳出面では子育て支援施策の充実や高齢化の進展による扶助費の増加等が引き続き見込まれ、歳入面では国による法人住民税の更なる一部国税化、地方消費税精算基準の見直しなどにより特別区は更なる減収を強いられる可能性があり、今後の区の歳入環境に深刻な影響が及ぶことが懸念されている。」
と分析しています。さらに、平成31年の10月に 予定されている消費税の増税に伴い、幼児教育の無償化が実施された際には、事務負担に加えて一定の財政負担が発生する懸念もあります。来年度の予算編成にあたり、国の税制改正等による影響はどの程度把握 しているのか、まず伺います。
平成29年度は、当初予算では財政調整基金、公共施設整備基金等、約28億円の基金取り崩しを見込んで予算編成が行われましたが、歳入増や契約差金等の不用額及び繰越金の発生により、決算では約4億円の基金積み増しとなりました。一方で、近年同様、民生費は約30億円の歳出増となっています。

平成30年度予算でも同様に、民生費は約30億円の歳出増、約35億円の基金繰入金を計上しています。平成31年度予算の見積もりについての依命通達では、政策経費、標準経費双方について、行財政改革の取り組みは求めているものの、基本的には30年度並みを要求していると読めます。基本計画の着実な達成のためと理解はしますが、ここ数年は景気回復基調と歳入増等により、結果的に順調な財政運営が可能であったとの印象を我々は持っています。このような予算編成を続けていくと、景気の足踏みや国の税制改正等の外的要因により歳入減になった場合、危機的な財政状況に陥ってしまうことを危惧しています。

必要な処置は取りつつも、民生費の歳出を抑制していくとともに、行財政改革の更なる推進が必要と考えますが、区長の所見を伺います。また、平成31年度予算編成にあたって、この観点から取り組む内容があればお伝えください。加えて、今年度の財政運営の見通しの状況も合わせて伺います。

第3に、健康寿命の延伸、介護予防の取組について伺います。
先日、区内の医療関連団体による墨田区地域医療に関する意見交換会が行われ、各団体による地域包括ケアの取組が発表されました。その中では、健康寿命の延伸の重要性や、疾病の重症化予防、介護予防が大いに話題となりました。地域包括ケアシステムで提供する、住まい・医療・介護・予防・生活支援のうち、予防の役割の重要性がより高まっていると認識しました。これは、区長の言う暮らし続けたいまちの実現にも通じるものであると考えます。

将来にわたって民生費の伸びを抑制していくためには、健康寿命の延伸、介護予防の取組に力を入れる必要があると我々も考えています。
各種健康診査やがん検診の受診勧奨の強化による疾病の予防や早期発見、重症化予防、歯科検診による口腔がんの早期発見や、口腔ケアによる嚥下機能の維持、口内環境に起因する疾病の予防、薬剤師による適正な服薬指導や残薬管理、有資格者による介護予防指導、要介護度を進行させないための生活支援や介護サービスによる日常生活の質の維持、区による健康寿命up大作戦等の施策の展開は、いずれも広義の「予防」につながっています。

今後の墨田区の地域医療・介護において、「予防」という観点で各団体や各所管で行っている事業を関連付けて考えてはいかがでしょうか。来年度以降、各団体同士の連携や情報共有への支援も含めて、特に力を入れていただきたいと考えます。区長の言う「地域力」を活かした墨田区ならではの実効性の高い仕組み作りも可能かもしれません。区長の所見を伺います。

第4に、区長が続投を表明することを前提に、次期の課題について順次伺います。
1点目として、公共施設等マネジメントについて伺います。
平成25年5月に公表された、「公共施設白書」から始まった本区の公共施設等マネジメントの取組は、第1次実行計画を経て、平成32年度までの第2次実行計画が行われています。実際に施設の廃止を行った第1次計画とは異なり、維持管理業務の適正化、指定管理者制度の導入といった施設管理面での取り組みや、それぞれの施設の方向性の検討といった内容のため、目に見えにくい計画ではありますが、中間点を過ぎ、結果を求められる時期にきています。
その中でも、順次実施するとしている「用途廃止が決定した施設については、速やかに除却等を行うことで、維持管理費の削減を図る。」について、第1次計画で廃止した施設については除却しました。しかし、それ以前から使用されていない旧学校施設については、跡地利用が決まったもの以外は行われていません。全く使用していなくても、維持管理に1施設あたり年間数百万円を支出し続けています。このような支出は区民の理解が得られない点、起債して除却しても支払い利子の方が有利な点を挙げ、早期に除却するよう再三指摘してきましたが、この場で改めて区長の見解を伺います。

また、平成29年3月にクアハウス天井の損傷により休館し、その後廃止されたすみだ健康ハウスは、28年度中にあり方検討を行っていた施設です。想定外の事情により、これまで同様の使用ができなくなったとはいえ、早期に方向性を出すべき施設に変わりはありません。今後の用途については補助金の関係で制限があると聞いていますが、施設の一部が利用できない状態でも一定の規模を有しているため、近隣の類似施設同士の統合や複合施設化も可能ではないかと考えます。現在の検討状況と、結論を示す時期を伺います。

さらに、平成31年度末で用途指定期間が終了する清掃関連施設については、今回の計画では事業所の集約化や多用途への機能転換が検討されていましたが、決算特別委員会では具体的な回答がありませんでした。有効利用すべき土地建物であるとの認識のもと、現在の所管に囚われず、区長が先頭に立って早急に方針を示していただきたい。平成32年度初頭には新たな目的で活用されることを強く望みます。区長の所見を伺います。
この際、公共施設等マネジメントとは異なりますが、類似の事例として、都道465号線の拡幅に関する曳舟小学校プールの対応についても指摘しておきます。

拡幅に応じるにあたって関係機関との合意に時間がかかったという点については理解します。しかし、当該プールについては当初から計画道路上に位置しており、拡幅事業が始まれば時期のずれはあっても移設等の措置が必要になることは明確であり、その方法について区として準備し、対案を用意しておくのが当然です。保護者や地域の方々の不安や疑問を解消するためにも、早急に対応を用意するべきだと考えますが、区長の見解を伺います。

また、曳舟文化センターについては、今回の計画で平成32年度の有償貸付期間終了後のあり方等の検討を行ってきた施設です。過去の答弁では、まちづくり公社のあり方を検討する中で貸付期間終了後の取り扱いを決定するとのことでしたが、施設の方向性は早期に定めておくべきではないでしょうか。施設自体の老朽化が進んでいるため、貸付期間終了後に指定管理者制度を導入するならば、大規模修繕を行う必要があります。修繕による長期の休館が発生すると、大ホールは多くの区民や団体が例年の行事で利用しているため影響が大きく、利用者への周知や調整の期間を要します。また、大規模な施設であるため、修繕費用の財源についても考慮しなければなりません。
これらの点について区長の見解を伺います。

2点目として、大規模修繕が必要な施設として、すみだトリフォニーホールについて伺います。
山本区長が委員長を務めた平成26年決算特別委員会において、すみだトリフォニーホールの大規模修繕費用については、オリンピックの開催年から3か年で総額約20億円から30億円を見込んでおり、平成30年度くらいに具体的な数字を示したいとの答弁がありました。現時点での費用の見込みと、財源についての検討状況を伺います。

トリフォニーホールについては、音楽都市すみだの象徴的な施設であり、これまで一定の役割を果たしてきたことは承知しています。しかし、例年予算、決算特別委員会の度に指摘されているように、多額の維持管理費が毎年必要である上に、一定期間毎に大規模修繕の費用を負担し続けることは、財政運営上、非常に大きな課題となっていることも事実です。民間への移譲や、最低でも収入増のための利用方針の転換等、最大限の区費負担の軽減策を真剣に検討する時期ではないでしょうか。政治家出身である山本区長だからこその政治的な決断を期待していますが、区長の見解を伺います。

3点目として、墨田区の観光の拠点であるすみだまち処の方向性について伺います。
すみだまち処は、東京スカイツリーの開業に合わせて、平成24年5月に開業して以来、区内観光及び区内生産品の販売の拠点としての役割を担っています。開業当初は利用者数も多く一定の売り上げもありましたが、来街者が平準化するにつれて、不利な立地などの諸条件により、期待している効果が得られているとは言えません。区は約1億6000万円で墨田区観光協会に委託していますが、約6000万円という多額の賃料、公益費の支出がある上に売り上げが増えない現状は、観光協会にも厳しいものです。

HPの工夫や、各種催しなど観光協会の改善の努力を超えて、スカイツリー出入り口と飲食店への動線から離れている立地の悪さが要因となっていると考えられます。今後は開業当時の水準まで来街者が増えることは考えにくいため、この状況は続いていくと予想しますが、区長の認識を伺います。
当初のテナントの賃貸借契約期間は平成34年5月末までと承知していますが、まち処の機能は同じ場所で続けていくのか、観光協会の意向も含めて契約の延長についての考え方を区長に伺います。

開設に当たって多額の費用を支出したとはいえ、引き続き期待した効果が得られないことが予想されるのであれば、将来の観光協会の自立や区内生産品の売り上げ増、観光まちづくりのために決断することも見識だと思いますがいかがでしょうか。

4点目として、大学のあるまちづくりについて伺います。
旧西吾嬬小学校、旧曳舟中学校の大学誘致用地では、i専門職大学校舎の建設が始まり、旧中小企業センターの改修の設計も進んでいると聞いています。

特にi専門職大学は区内外で様々なイベントや情報発信を行っており、開学まで1年半と目の前に迫っていることが感じられます。また、千葉大学についても、校舎の概要が明らかになれば区民に実感として認識されるのではないでしょうか。現時点での区長の感想を伺います。
区による文花地区のまちづくりについては、都営住宅の建て替えと大規模事業者の建て替え計画も含めて、本年6月に文花地区まちづくり方針として示されています。「大学のあるまちづくり」の姿としてのイメージはある程度共有されていると考えますが、その他については未知数な部分が多いと現状では認識しています。
開学が近付き、各校の学部・学科、学生数、学生の属性等、具体的な事項が明らかになってきた現在、墨田区に「大学のあるまち」がどのような影響を及ぼすのか、その波及効果について区民に示す時期だと考えます。
学生・教員による消費等の直接的な経済効果、大学の運営に関しての区内事業者の活用策、区内産業との連携体制、小中学校との交流、学生の地域活動への協力等、区として調査しているもの、大学側と協議しているもの、今後検討するものについてお知らせ願います。
大学が開学してからは「大学のあるまち墨田区」をどのように作っていくかが重要です。
大学のあるまちづくりに向けての区長の決意を伺います。

第5に、先ほど再任にあたっての所信表明を行った加藤教育長に今任期の教育施策について伺います。
加藤教育長は、第3回定例会での答弁や、先ほどの所信表明でも、学力向上を重点施策ととらえ、今後とも力を入れて取り組んでいくと述べられています。これまでの教育長の下での取組みにより、墨田区の児童・生徒の学力は向上傾向にあることを我々は高く評価しています。

確かな学力は将来の選択肢の幅を広げるものであり、子供たちが夢や希望を抱いて義務教育を終えることができるよう、今任期でも取り組みを進めていただきたいと考えています。しかし、未だに「墨田区学習状況調査」における学力低位層であるD・E層の割合や社会科・理科については課題が見られることも事実です。今任期でのこれらの課題解決に向けて、拡充する事業や新たに行おうとしている取り組みについて、具体的にお知らせ願います。
特に、我々は放課後学習や家庭学習等、授業時間外での基礎的な学力、学習習慣の定着の取り組みが、学力に課題のある児童・生徒には非常に効果的であると認識しています。
この点について、より進化した取り組みを求めますが教育長の見解を伺います。
また、第3回定例会で、会派として議案提出者に名を連ねた墨田区子ども読書活動推進条例が提出されました。授業での活用や子供の学習支援、子供の居場所等、学校図書館が果たす役割は多岐にわたる上に重要なものと考えているため、本条例が可決され施行された際には、是非とも蔵書数の増加や開館時間の延長等、充実に努めていただきたいと要望します。来年度には第4次墨田区子ども読書活動推進計画の検討が行われます。学校図書館の拡充について盛り込んでいただきたいと思いますが、教育長の答弁を求めます。

以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

平成30年度第三回定例会 一般質問 木内清

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取り組みについて3点伺います。
第1は、両国国技館で開催予定のボクシング競技についてです。
現在、「あしたのジョー」による気運醸成として、工事現場用PRシートの活用、区内公共施設へののぼり設置等による周知や、「すみだのジョー」ライセンス申請による新商品開発の受付を進めており、区民の間に墨田区はボクシングということが認知されてきたと感じられます。
その一方で、7月以来の日本ボクシング連盟の問題により、日本選手が東京五輪に出場できなくなる可能性が報じられるなど、好ましくない報道が出ています。それ以前に、今年の2月にIOC会長がボクシング競技の東京五輪からの除外に言及し、5月3日及び7月19日のIOC理事会においてもボクシング除外が継続審議になっていることが報じられ、国技館での開催自体が不透明なものとなっています。①現在の状況、今後の動向について把握していることがあればお知らせ願います。
第2は、聖火リレーについてです。
7月12日の報道発表で、聖火リレーが2020年3月26日に福島県を出発し、東京都には7月10日から24日の15日間が割り当てることが明らかになりました。今後、各都道府県でランナーやルートの選定、各日のセレブレーションの内容について検討されるものと聞いています。東京都は62の自治体すべてを1ルートで通ることは決まっていますが、②ランナーの募集時期や人数、各自治体での時間配分等、検討状況や見通しについて区長に伺います。
第3は、墨田区オリンピック・パラリンピック地域協議会についてです。
墨田区でボクシング競技が行われることについては、区民に一定の周知がなされてきたと認識していますが、気運醸成という面では、大会まであと2年を切った現時点でも十分とは言えず、③区民の盛り上がりは今一つという印象ですが、区長の感想をまず伺います。
昨年9月に、区政施行70周年記念式典と同日に、オリンピック・パラリンピックの気運醸成のための地域協議会が設立され、実質的な会合が今年に入ってから行われています。6つの部会で最大4回の会議が行われ、会議録が墨田区のホームページで公表されていますが、打ち水のイベントは行ったものの、未来枠会議でこれまで行われてきたランニングイベントの検討が終了するなど、具体的な取り組みについて中々見えてきません。④地域協議会の各部会の中で、今後行っていく具体的な取り組みや、実効性の期待できる検討事項があればお知らせ願います。
大会が大いに盛り上がり、偉大なレガシーを残すことを我々も期待しています。⑤区長の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会への熱意を伺います。

次に、区民による介護予防の取り組みへの支援について伺います。
墨田区の高齢者人口は今後も続く見通しとなっており、それに伴う社会保障費の増大をいかに抑えていくかが大きな課題となっています。その解決の大きな方針として、介護予防の取組の拡充が必要であると我々は考えています。地域包括ケアシステムの充実や、介護保険施設等整備の推進等、要介護になってしまった際の受け皿作りも重要ですが、何よりも介護を必要としない方を増やせるよう努めていくことが重要と認識しているからです。①この考え方についての区長の見解を伺います。
現在、墨田区では介護予防事業として、有資格者による「元気生き生き体操教室」「高齢者パワートレーニング教室」等や、介護予防サポーターによる「げんき応援教室」等の講座が行われています。「げんき応援教室」については、講座終了後、自主グループへの移行支援が行われていますが、他の講座については1回のみしか受講できず、経験者向けの講座等も用意されていません。受講後、区の事業と離れて指導を続けてほしいと希望しても、場所や日程の確保、費用面等で実施が難しいと聞いています。
また、区内では、墨田区の事業以外にも、区民の自主的な取り組みとしてリズム体操や健康体操、ストレッチ教室等が行われています。これらの活動については、非常に安価な月謝で先生が指導しているものが多く、町会会館や地域集会所、学校の空き教室等、利用料金が低廉な施設で行われています。近年の区民の介護予防意識の高まりにより参加者が増加している教室では、現行の教室では手狭となり、地域プラザやみどりコミュニティセンター等の公共施設の利用を検討しても、利用料が高く変えられないという例があるようです。
一方で、本所地域プラザでは、健康体操教室等、地域での自主的な介護予防の取組を、稼働率の低い曜日や時間帯で、指定管理者の自主事業として複数行っています。この場合は、参加者は安価な参加費で利用でき、指導者は施設利用料を気にすることがなく、施設も元々空いている部屋が活用できるという良いモデルケースになっていると思います。
この例を参考に、他の指定管理者が管理している公共施設においても、稼働率の低い部屋や時間帯において、公益性が高く、効果的であると認められる区民による介護予防の取り組みについては、指定管理者の自主事業として実施する価値はあるのではないでしょうか。自主事業であれば、一定の金額の参加費も集めることができるため、「元気生き生き体操教室」や「高齢者パワートレーニング教室」の経験者向け教室も、指導者との協議が整えば実施することができます。②是非とも自主的な活動を行っている方々や、区の普及啓発事業の指導者の方々と、各公共施設の指定管理者との連携を進め、介護予防の取り組みへの支援を行っていただきたい。区長の見解を伺います。

次に、危機管理担当への元幹部自衛官の採用について伺います。
平成30年7月豪雨や、北海道胆振東部地震等、昨今の災害現場での自衛隊の活躍を報道で目にすると、非常に頼もしく感じます。その指揮を執る幹部自衛官は、部隊運用に関わる指揮・統制の実施、各種計画の策定、隊員の教育訓練、関係機関との連絡調整等、部隊の指揮官及び幕僚としての豊富な経験を有しています。また、一般的に地震、台風等の多様な災害派遣を経験しており、職務上、常に即応体制に対する物心両面での準備に習熟しているほか、様々な環境に耐えられる体力を持っています。
これらのことから、東京都庁の他、23区では7区が元幹部自衛官を危機管理・防災関連の部署に多くは管理職として採用しています。東京都庁や品川区では、順次採用を増やしており、その有効性が窺えます。
自治体に採用される元幹部自衛官は、全員が防災士または総合危機管理士の資格を有しています。自衛隊の職務上得た能力と合わせて、平常時には防災・危機管理体制の見直し等の基盤確立のために働いてもらうことが期待できるほか、災害発生時には初動の混乱時でも関係機関との調整、連携がスムーズに行えることや、避難勧告、自衛隊への災害派遣要請等の区長の判断の補佐、自衛隊等関係機関の運用についての助言等、区長のアドバイザーとしての役割も期待できます。この度の北海道胆振東部地震で自衛隊、消防、警察が素早く連携し対応に当たることができているのは、北海道内の多くの自治体で採用されている元幹部自衛官の働きによる部分が大きいのではないかと推察しています。
近い将来、首都直下地震の発生が危惧されるほか、各地で予測を超える豪雨災害が発生するなど、現在はこれまで以上の危機管理や防災体制の強化が求められています。墨田区としても、元幹部自衛官を採用し、常時危機管理体制の充実強化に努めることを検討するべきです。区長の見解を伺います。

平成30年度第三回定例会 一般質問 沖山仁

墨田区議会自由民主党の沖山仁です。
通告した2点について区長に伺います。

まず、災害時の公共施設の活用について伺います。
代表質問でも小中学校の体育館への空調設備の設置について質問しましたが、区長がご決断して動き始めたとしても、すぐに設置できるものではありません。その間にも災害が発生するかもしれませんので、次善の策を用意しておく必要があると思います。
墨田区内には、本所地域プラザ、みどりコミュニティーセンター、生涯学習センター等、一定の規模を持った公共施設が存在します。しかし、墨田区地域防災計画では、区内公共施設は、帰宅困難者の一時滞在施設として位置付けているのみで、その活用については言及されていません。また、避難所運営マニュアルにおいても記述はありません。①真夏や真冬に震災が発生し、体育館での避難所生活を送ることが厳しい環境の際は、これらの公共施設を活用することができるのではないでしょうか。
電気に関しては、東日本大震災では発災3日後には約8割、熊本地震では約9割6分が通電しています。また、水道に関しても、東日本大震災で水道通水率が発災5日後には約5割、熊本地震で約8割でした。都心部に近い本区では、電気と水道の復旧は速やかに行われると考えられます。

空調設備を完備し、一部ではシャワー等の設備やエレベーターを有する区内の公共施設を、小中学校の体育館の代替施設として、災害時要配慮者に配慮した避難施設として位置付けてはいかがでしょうか。区長に見解を伺います。
我々は、7月に東日本大震災の教訓を生かした災害対策の調査を仙台市で行ってきました。仙台市では、避難所運営について、地域団体、仙台市、施設による事前協議の上で、小中学校等の指定避難所の他に、地域内の市民センター等の公共施設を補助避難所として、地域集会所等を地区避難施設として位置付けることができることとしています。これは、実際に避難所が不足し、各施設の役割分担が不明確であったなどの経験から考えられたものであり、大いに参考にするべきです。②墨田区でも、地域内の公共施設の管理者を防災拠点会議に加え、その活用を地域の避難所運営マニュアル作成に反映させてはいかがでしょうか。区長の見解を伺います。
加えて、区内の私立保育所や私立幼稚園では、乳幼児や未就学児向けの災害時用の物資を備蓄しています。これらの物資の提供や、在園児の家族の避難場所としての利用などの協力について、打診してみる価値があるのではないでしょうか。③まずはどのような協力を求められるか検討し、意向調査を行っていただきたいと考えます。区長の所見を伺います。

次に、区内商店街の活性化について2点伺います。
第1に、商店街振興組合発行の商品券について伺います。
過去に墨田区では、国の緊急経済対策の一環として、平成21年と平成24年に墨田区商店街連合会が、平成27年に墨田区商店街振興組合連合会が墨田区及び墨田区商店街連合会と共同で「すみだプレミアム商品券」を発行しました。国全体の施策としての効果については賛否があるようですが、区内の商店街や個店では売り上げ増につながり、一定の効果を上げたと理解しています。
また、江戸川・江東・足立・葛飾の、墨田区以外の江東5区はいずれも9000万円から約8億円規模で商店街振興組合による商品券の発行を行っており、区民による区内での消費を喚起する効果を上げていると聞いています。
このことから、①墨田区でも一定の規模で、継続的にプレミアム付き商品券の発行を検討してもよいのではないでしょうか。
プレミアム商品券を使用するために区内の店舗に来店し、額面以上の消費があれば、その店の売り上げ増になる上、商店街では他店での消費の機会が増えるため、商店街全体の活性化にもつながります。また、他区の事例を見ると、プレミアムの付かない通常券も発行し、商店街のイベント景品として活用している区があります。その場限りの自転車や食品ではなく、再び商店街で使用できる景品を提供することで、何度も足を運んでもらうきっかけにすることも可能です。②区内経済の活性化という観点から、区の予算で賄うことになる10%分と事務経費を差し引いても、効果は高いものと考えますが、区長の見解を伺います。
また、③現在現金で支給している長寿祝い金や、記念品で贈呈している産業功労表彰や環境改善功労者表彰について、商品券で提供することで、区内での消費を刺激することができると思います。記念品を特定の事業者に発注するよりも、区内全域での売り上げ増につながるため、より優位なのではないでしょうか。区長の見解を伺います。
加えて、平成28年度予算における就学応援事業について、我々が修正を求めた要因の一つに、提供する金券が区内の個店では全くと言ってよいほど使用できない「こども商品券」であったことを申し述べておきます。今後祝い金等、現金給付的な事業を検討する際は、区内経済の活性化ということも常に念頭に置いていただきたい。

第2に、区内商店街のキャッシュレス化への対応について伺います。
現在、墨田区には多くの訪日外国人観光客が訪れており、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けてさらに増加していくことが予想されます。墨田区では簡易宿所等、宿泊施設が増えつつあり、区内全域に外国人観光客が滞在するようになるのではないでしょうか。
外国人観光客は、デビットカード等のキャッシュレス方式での支払いを希望することが多く、その対応については、区内全域の商店街及び個店の課題となっています。キャッシュレス化への対応の推進により、外国人観光客の区内での消費を区内事業者の売り上げ増につなげることが期待できる一方で、対応端末の設置にあたり、いくつかのハードルがあることも事実です。
経済産業省は、本年4月に策定した「キャッシュレス・ビジョン」で、2015年では20%弱のキャッシュレス決済比率を2025年までに40%にするとしているほか、観光庁等関連省庁もキャッシュレスの推進を謳っています。今後、国や東京都による補助金の交付等、キャッシュレス端末設置への支援策が実施されていくことが予想されます。キャッシュレスの決済方法には、クレジットカード・デビットカード、電子マネー、QRコード決済等、多様な方式がある上に、多数の事業者が参入しており、一つの端末ですべてに対応できるわけではありません。①区内の小売店の実情に合わせた最適な端末を導入できるよう、墨田区商店街連合会との連携を密にし、情報収集や活用の検討を行っていただきたいと思います。区長の所見を伺います。
さらに、キャッシュレス端末の導入に際して、大きなハードルとなっているのが、端末や周辺機器の購入費用よりも、導入した店舗に発生する3%から7%の決済手数料と聞いています。②この課題を乗り越えられるよう、区としても区商連とともに様々な方策を検討し、キャッシュレス化の推進による恩恵を商店街や個店が受けられるよう準備を進めてください。区長の所見を伺います。

以上で私からの質問を終わります。

平成30年度第三回定例会 代表質問 中沢えみり

私は自由民主党を代表して、通告のとおり大綱6点について区長及び教育長に質問をいたします。明確かつ具体的な答弁をお願いいたします。

 始めに、本年6月に発生した大阪北部地震及び平成30年7月豪雨でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。更には、台風21号及び昨日未明に発生した北海道胆振東部地震では現在も救助活動が続いております。一日でも早い安全確保と復興をお祈り申し上げます。

大綱一点目、災害及び防災対策について質問いたします。

始めに、川に囲まれている本区にとって喫緊の課題である水害対策について伺います。海抜ゼロメートル地帯が広がる東京都の江東5区(墨田・江東・足立・葛飾・江戸川)は、先月22日に大洪水を想定したハザードマップと、住民に、近隣県への事前避難を求める広域避難計画を発表いたしました。
 この計画に向けて平成28年に、5区共同で水害を想定した「広域避難推進協議会」を結成し、内閣府や国土交通省とともに作成を進めてきましたが、これまで墨田区側はどのような協議をされ、その結果、どのように具体的に反映されたのか、まず伺います。次に、この計画が、実際時にしっかりと運用されるよう今後区民への周知はどのようにされて行かれる予定なのか伺います。

次に、墨田区は、荒川が氾濫した場合と、局所的集中豪雨に伴う雨水出水(うすいしゅっすい)いわゆる都市型水害が発生した場合の二つの「水害」が想定されます。そこで、平成26年より都内3区(北区・板橋区・足立区)を対象に荒川下流域でのタイムライン検討が開始されました。平成27年5月には全国初となる本格的タイムラインをとりまとめ、運用を開始いたしました。その後、運用や訓練を重ね検討を継続し、平成29年には対象エリアを拡大し運用開始をしています。
 「タイムライン」というのは、災害が発生することを前提として、関係機関がリスク評価をし、共有した上で、そのリスクに対して、先手を打って各機関が行なうべき防災行動を、「いつ」「誰が」「何を」を明確化し、時間軸に沿って整理したものです。実際に、平成24年には、アメリカを襲ったハリケーンサンディーによる大規模な高潮氾濫が発生しましたが、タイムラインによる早めの対応による死者ゼロを実現し、また、事前に地下鉄車両の避難や、浸水防止策を行ったため被害を最小限にとどめられたという事例があります。昨年度からタイムラインの対象区域が拡大され、墨田区もその対象となりましたが、区の対応の進捗を伺います。

次に災害対策について伺います。本年6月に発生した大阪北部地震による学校のブロック塀倒壊事故によって登校途中の小学生の尊い命が奪われました。本区においても区立施設のブロック塀の実態調査を行い、調査結果としては、区立施設におけるブロック塀の適合外のものは2件あったとの報告を受け、その後改修をされたとのことですが、我が会派からは、通学路や民有地の調査についても要望をさせていただきました。現在の進捗について伺います。今後も、災害時に危険が伴うことが予想される建築物等の調査を徹底するとともに、二次被害につながる事の無いよう区内の危険個所の把握を求めます。区長のご所見を伺います。
加えて、9月1日の朝日新聞の報道によると、港区がブロック塀の撤去や新設費用を補助することを発表いたしました。他区でこのような事例も出てきていることから、本区は、緑の塀助成は行っているものの、安全確保及び防災対策の面においても、ブロック塀に特化した同様の補助制度を新設されることを求めますがご所見を伺います。
次に、防災対策について伺います。本年も記録的な猛暑が続き、多くの方が熱中症の被害に遭われております。地球温暖化の影響により今後も気温の上昇は免れないことが予想されます。そこで、本区の区立学校施設の空調設備について伺います。各小中学校の教室の空調設備は徹底されているようですが、体育館においてはまだ整備されておらず、地域の方々からもご意見を頂いている状況です。体育館の利用は、日々の教育活動のみならず、災害時には避難所として指定されています。避難者の体調管理を行うことは区の責務であると思いますので、空調設備を設置することを要望いたします。近隣区においてはすでに予算付けにむけ対策を進めていますので、本区においても進めるべきであると考えます。区長にはご決断いただきたいと思いますが、ご所見を伺います。
大綱二点目は環境問題にかかわる墨田区の取り組みについて何点か伺います。
 地球温暖化の影響による自然災害や異常気象よって、日本国内のみならず、世界の至る所で大きな被害が頻繁に発生しております。環境問題と災害との関連性については長期的な課題ではありますが、一方で、今からでも防ぐ事の出来ることを一人一人が意識し、行動していく積み重ねが大変重要であると思います。
第一に、墨田区は平成21年10月にすみだ環境区宣言を行い、地球温暖化の防止や緑を増やし、自然と共生するまちづくり、更には雨水をたくわえ、水の恵みを活かしたまちづくりを目指すとしており、これまでも先進的な取組みを行ってきていると思いますが、区はこれまでの取組みをどう評価しているのか伺います。
第二に、地球温暖化に起因すると思われる気候変動の異常気象で、大雨や台風、ハリケーン、干ばつ等の災害が数多く発生しています。我が国では、今年は西日本豪雨災害をはじめ、台風、大雨や厳しい暑さが自然災害の形となって頻発しております。そこで、近年の地球温暖化防止の更なる具体的な取組みが必要であると考えます。すみだ環境の共創プランにおける基本施策目標1には、対策として温室効果ガスの排出を抑制したスマートエネルギーのまちを目指すとあります。具体的にどのように目標値達成へと進めていかれるのか、また、今後の取組みについて伺います。
第三に、環境教育について伺います。すみだ環境ふれあい館の閉館後は区内の複数の地点で環境講座を展開されており、夏休みの期間には親子で学べる環境学習プログラムなどの多くの学習機会を提供していると仄聞しております。利用者数も増えているとの事で大変よい事業であることは評価をいたします。一方で、世界的には、諸外国において海洋のプラスチックごみをなくす取組みを進める動きがあります。国連環境計画(UNEP)では、「世界各地の海を汚染し、生態系への悪影響が懸念されるプラスチックごみの廃棄量は年々増加傾向にあり、2015年には3億トンに及び、このうち、ペットボトルやレジ袋などの使い捨てプラスチック製品は47%を占めている。また、人口1人当たりの廃棄量は米国に次いで日本、欧州連合が多い」と報告されています。また、本年6月には、国において、議員立法である化粧品などに含まれる微細なプラスチック「マイクロプラスチック」の使用を抑えるよう企業に努力義務を課す、改正海岸漂着物処理推進法が全会一致で可決いたしました。加えて、政府は今後5年間の廃棄物政策をまとめた「循環型社会形成推進基本計画」を閣議決定し、海洋ごみ対策を強化するため、使い捨て製品の削減などを柱とする「プラスチック資源循環戦略」を新たに策定することになりました。このように、国も環境問題に配慮した取り組みを着々と進める一方、本区としても、身近な、日常的な行動の中でも、世界的な視点で環境に配慮して、自らの生活スタイルの中で行動に移せるような具体的な環境教育を進めるべきであると考えます。区長及び教育長にご所見を伺います。
第四に、環境問題の普及啓発の視点からの質問です。現在墨田区は、国際観光都市として本区に訪れる外国人等へのおもてなしを様々な形で展開されています。環境問題については世界各国共通の課題としてあげられているため、観光施策の中にも環境の視点を取り入れ、墨田区が環境先進区であるイメージを改めて内外に発信し、アピールすることが大切であると考えますが、ご所見を伺います。
第五に、本区は「ごみを減らし資源を大切にする」まちをつくると宣言しており、この間不燃ごみの資源化やごみの分別をはじめとして、より一層分別を徹底させていくため、AIを活用してチャットボットも稼働させ、取組みを進めております。しかしながら、特に資源物の集団回収実績が減少傾向で、区の資源化率は停滞しています。平成32年度に区が目標として定める23%の資源化率達成が可能なのかについて懸念をしております。より一層のごみ減量と再資源化を徹底していく上で、これまでの取組みを、更に充実させていくべきであると考えますが、区としてはどのような取組みを強化するべきであるとお考えなのかご所見を伺います。
環境問題については、自然環境の破壊へとつながる世界的に重要な課題であるため、本区も率先して、行政がリーダーシップをとって方針を打ち出して行くべき問題であると考えます。すみだ環境の共創プランの確実な推進は言うまでもなく、他方で、大胆な戦略を示す必要性も出て来ているように思います。区の見解を伺います。
大綱三点目、教育施策、幼児教育無償化及び防犯、危機管理教育について質問をいたします。
第一に、加藤教育長に伺います。これまで真摯に教育行政に取り組んでこられた結果、教育効果による学力向上等の改善がみられています。これも加藤教育長のご努力の成果であると高く評価をいたします。まず、就任されてからこれまでの教育行政について、特に学力向上に関わる総括を伺います。更に、今後はどのような取組みを展望され、更なる学力向上を目指すべきであるとお考えなのかお聞かせください。

第二に、不登校に関連して質問をいたします。
本区の不登校児童数は過去5年間で平均約200名を推移しております。この数が多い、少ないではなく、起因を把握し、適切な対応で改善へと導いていただきたいと強く要望いたします。
本年7月に開会された教育委員会にて、墨田区立学校不登校対策基本方針について協議をされたと仄聞いたしました。方針内容を含め現在取り組まれている具体的な対策について進捗を伺います。
また、本区は不登校の起因調査をされているのか現状を伺います。されていないのであれば、なぜしないのかお考えをお聞かせください。
不登校の一つの起因として発達の特性(発達障害)の関連があげられています。しかし、幼児又は児童が発達に特性があるかどうかについては保護者了承の上でのみ判断にいたります。発達に特性がある場合は早期発見、早期療育、また、環境設定と適切な指導により改善に向う可能性があるのですが、その過程を経ていないために、周囲の理解が得られず、情緒への影響や対人関係への悩みにつながり不登校へとつながるケースもあります。他にも、一般社団法人日本小児心身医学会によると、「起立性調節障害」が不登校やひきこもりを起こし、学校生活への支障が明らかになっていると報告しています。「起立性調節障害」は、たちくらみ、失神、朝起き不良、倦怠感、動悸、頭痛などの症状を伴い、思春期に好発する自律神経機能不全の一つと言われています。軽症を含めると、小学生の約5%、中学生の約10%、重症は約1%、不登校の約3から4割に起立性調節障害を併存(へいそん)しているとも示されています。
不登校の起因調査をすることにより、学校側の支援方法が分かりやすくなるメリットがあるのと同時に、周囲の理解を促すきっかけにつながると考えますが、ご所見を伺います。教育現場は生徒一人一人への適切な対応と、一人一人の最善の成長を目指す場であると考えますので、よろしくお願いいたします。

第三に、幼児教育無償化について伺います。
「働き方改革実行計画」及び「骨太の方針2017」において「財源を確保しなから段階的無償化を進める」等とされた重要課題の中に幼児教育無償化が盛り込まれています。平成30年度においても、家庭の経済状況にかかわらずすべての子供に質の高い幼児教育を保障するため、「環境整備」と「財源確保」を図りつつ、段階的に幼児教育無償化に向けた取組を進めることとし、その対象範囲や内容等については予算編成過程において検討することとすると示されています。
幼児教育無償化は、幼児教育の重要性に鑑み、「すべての子供に質の高い幼児教育を保障することを目指すもの」とされています。国が幼児教育の重要性を全面的に打ち出されたということは大変意義深いことであると認識しております。では、実際に本区においてはどのような影響が予想されるのか、また、質の高い幼児教育を保障するとはどのような状況を目指すということなのか区長および教育長にお考えを伺います。

第四に、未就学児、児童の防犯教育及び危機管理教育について伺います。幼児、児童を狙う犯罪が後を絶えません。残念ながら犯罪は違法であると学んでいても、無くなる事はなく、これまでも多くの痛ましい事件が発生し多くの幼児、児童が犠牲となりました。子ども達には自分自身を守る具体的な防犯、危機管理教育がとても大切になってまいります。現在本区は防犯ブザーを各児童に配布し、必要時にブザーを押すようにと指導をされています。未就学児においては、保護者同伴のことが多いので、小学校のような防犯、危機管理教育は行っておりませんが、5歳児においては小学生と同じ防犯教育が可能であると考えます。実際に区内の小学生が、防犯ブザーによって助かったというケースを仄聞いたしております。しかし、一方で実際にそのブザーの音に反応くださる周囲の方はどのくらいいるのでしょうか。例えば、騒音の場所ではどうなのか、救急車や消防車が通った場合はどうなのか、など、犯罪はいかなる場所、時間でも発生します。防犯ブザー以外にも、こども110番、大きな声を出すなど様々な防犯行動を指導されていると仄聞いたしましたが、助けを求めようとも周囲がその行動を知らなければ意味がありません。教育現場での具体的な防犯指導の内容をお聞かせください。また、その内容を区民へ周知される事を要望いたしますがご所見を伺います。加えて、未就学児、児童の防犯について、区の危機管理担当と教育委員会はどのように連携をされているのか、区長及び教育長に伺います。

大綱四点目、福祉施策について伺います。
先日報道発表されました、中央省庁が雇用する障害者数を水増ししていた問題について伺います。この度の件で制度の信頼が大きく揺らぐ事態となったことは誠に遺憾であります。まず本区の状況について伺います。
障害者雇用率について、本区においても、対象外の職員が算定されているということを仄聞いたしました。これまでの報告数と、国と同様の状況があるとすれば、実際の雇用率はどのようになるのかまず伺います。
次に、国のガイドラインによれば、障害者手帳の確認が、一部例外を除いて、必須とされていますが、なぜ、その通りの対応をしてこなかったのか伺います。
ガイドラインどおりの基準を適用した場合の雇用率は、法定雇用率を下回ることになりますが、なぜそのようなことになったのか、また、これまでどのような取り組みをされてこられたのか伺います。
障害者団体等からは、今回の一連の件を受けて、障害者の雇用機会を奪うものであると強く主張されていますが、このことについてどのように考えているのか見解を伺います。
最後に、法定雇用率を満たすために、また、ガイドラインにそった確認を行うために、今後どのような取り組みを行っていかれるのか伺います。
この度の報道を受け、本区はその例外ではなかったことについて誠に残念であります。早急(さっきゅう)に適切な対応を求めます。
次に本区の学童クラブの現状について伺います。
本区には現在、区運営主体の学童クラブ42室と民間運営の学童クラブ5室があります。保育所の待機児童数との関連性を考えると、小学校に入学後も引続き学童クラブを望まれる利用者が増えることが予想されます。平成30年度の学童クラブの待機児童数も207名と例年に比べると増加傾向にあります。「放課後子ども総合プラン」の策定も含め、今後どのような方向性で取り組まれていかれる予定なのか伺います。

第二に、特性のある児童(障害児)の対応状況について伺います。学童クラブの利用可能年齢は原則3年生までですが、特性のある児童の場合は6年生まで申請可能であります。特性のある児童を受入れるにあたっては、職員の専門知識や環境整備が大切になってまいります。現在の本区の取組みと対応状況を伺います。

最後に、荒川フィールドハウスの2階部分を学童クラブとして活用する方向であるということを伺いました。会派としても学童クラブの利用が適当なのではないかとの見解でしたので、反対をするものではないのですが、平成29年度の予算委員会にて我が会派から荒川フィールドハウスについて、平成30年度第3回定例会までに施設の廃止も含めた今後の方向性の報告を強く求めていたため、この度の経緯経過についてまずお聞かせください。学童クラブとして活用する場合、改修が必要になってくるかと思いますが、どのような改修を行うのか伺います。

児童の放課後の居場所作りは、広く、子ども達の健全育成や、防犯、危機管理の観点からも大切ではありますが、一方で、一部公費で行っている事業もある為、今後のあり方を慎重に考え進めて行くべきであると考えます。ご所見を伺います。

大綱五点目、北十間川・隅田公園観光回遊路の整備について伺います。
 基本計画事業である北十間川・隅田公園観光回遊路整備事業については、これまで委員会にて様々な議論が展開されてまいりました。
本年第一回定例会では具体的な整備の報告があり、また、河川や公園などについてのイメージパースなどは随時示されていますが、整備完了が2年後に迫っているものの、高架下を含め周辺の具体的な利活用のイメージがまだ示されておりません。現在の進捗を伺います。また、東武鉄道に対しては是非とも引き続き墨田区の意向をしっかりと主張していただきたいと強く求めますがご所見を伺います。
また、隅田公園については、大きな広場が整備される予定ですが、これに伴い、多くの樹木が影響を受けることになると考えます。どのように保存、移植、また除伐(じょばつ)する樹木を検討されたのかお示しください。
来街者を含め地域の方々の憩いの場としての活用や、いよいよ2年後に迫ったオリパラを見据えた更なる活用も多いに期待しているところですが、今後の利活用をどのように考えて行かれる予定なのか、また、企業や住民、地域の力をどのように活用されていかれるのかご所見を伺います。
最後に、本年3月17日に北十間川水辺活用協議会が設立されましたが、どのような目的で設置され、今後どのように活動される予定なのか、また地域や今回整備される施設等とどのように関わっていかれるのか伺います。
この周辺の整備によって、台東区側からスカイツリーへと望む景色が素晴らしく明るく変化することが期待されます。地域や東武鉄道との連携はもちろんのこと、地域の住民や企業が主体的に、積極的に地域経営に携わり賑わいを創出する、エリアマネージメントの考え方を取り入れていただきたいと強く望みますがご所見を伺います。
大綱六点目、最後に平成30年度の都区財政調整交付金等財政面について伺います。

先月8月10日平成30年度都区財政調整の算定結果が公表されました。23区全体では、普通交付金は4年ぶりの増となる前年度比5.6%増の9441億円となりました。当初予算としては、平成20年度に次ぐ過去2番目の規模となっております。本区においては、基準財政収入額は前年度比、0.7%の増、需要額は、前年度比3.1%の増となり、共に昨年度よりも増となっております。
第一に今回示された、財政調整算定結果の当初算定における墨田区への算定状況について、区の考えを伺います。

第二に、財政調整交付金の原資となる市町村民税法人分(法人住民税)の一部国税化における特別区の状況と本区の影響について伺います。

第三に、地方消費税交付金についてですが、消費税率が10%になった場合、増収が予想されますが、特別区への影響はどのようになるのか区の見解を伺います。

第四に、国は「新しい経済政策パッケージ」において幼児教育無償化方針が打ち出されました。その財源については、「消費税率10%への引き上げによる財源を活用する」とされていますが、特別区の影響について伺います。また、今後この無償化が実現となった場合、これまでの区の幼児教育関連政策についてはどのような取扱になるのか伺います。

最後に、平成28年度の児童福祉法改正により、政令で指定された特別区は、児童相談所関連の事務が特別区の事務となったことを受け、都区財政調整協議として、児童相談所関連経費の財源移譲方法について協議事項になったとお聞きいたしましたが、本区の現状について伺います。

引続き、児童相談所設置については慎重に課題整理を進めていただき、かつ財源については区の意向を粘り強く主張していただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

平成30年度第二回定例会 代表質問 加藤拓

墨田区議会自由民主党の加藤拓です。会派を代表いたしまして、山本区長及び加藤教育長に質問いたします。

初めに、保育所の待機児童対策について伺います。
墨田区ではこれまで待機児童の解消を目指し、保育所定員の拡大に努めてきました。特に、直近2か年の実績は、951名の拡大と、平成28・29年度の墨田区待機児童解消計画で設定した800名の定員増を超えるものとなりました。その結果、平成30年4月1日時点での保育所整備率は53.2%となり一定の水準を超えたものと認識しています。この結果を高く評価するとともに、関係部署の職員の皆様のご尽力に感謝申し上げます。
一方で、本年4月1日時点での待機児童は193名と、待機児童の定義の変更があったこともあり、昨年度を上回る結果となってしまいました。
引き続き待機児童対策を行う必要がありますが、一般会計予算における保育所関連費用は公立保育園の人件費を除いても、昨年度比で約25億円増となり、150億円を超えています。今後もこれまでと同様のペースで認可保育所を増設していくと、近い将来財政に深刻な影響が出ることが懸念されます。

区内での単身者向けマンション建設の急増などの要素を踏まえて、直近の未就学児人口の推計を取りつつ、必要な定員は確保していくべきですが、その一方で、認可保育所の増設以外の待機児童対策を講じることで、墨田区の子育て支援を、着実に持続可能なものにしていく時期に来ているのではないでしょうか。
山本区長の見解を伺います。併せて来年10月から予定されている幼児教育の無償化について、区の財政や事務量の負担はどの程度の規模になるか、見通しがあれば伺います
現在では、定期利用保育等の定員が少なく、時短勤務やパートタイムの労働を希望していても、認可園以外に受け皿がありません。そのために、フルタイムでの勤務を続けたり、待機児童になったりしているケースには、定期利用保育の拡充を行い、利用時間の割り振りを行うことで、認可園だと3人分必要な枠が2人分で済む可能性があります。
また、育児休業を取得することが可能でも、早期に保育所に入所する理由の一部に保育の不安があるかもしれません。28年度から行っているなかま保育のように、保育の不安を軽減する取組を拡充することで、自発的な育児休業の取得の促進につながる可能性があります。

加えて、子育て広場のような在宅での子育て支援施策の拡充により、保育所入所ではなく在宅での子育てを選ぶ可能性があります。
このような保護者の選択肢を増やす施策を充実させることは、認可園の増設よりも財政負担の少ない待機児童対策になると考えます。早急に未就学児の保護者への意向調査を行い、来年度以降に認可保育所増設以外の待機児童対策の施策展開を行うべきです。区長の見解を伺います。
また、東京都では、今年度から「働くパパママ育休取得応援事業」を始めました。これは、1年以上の育児休業を取得させ、育児中の雇用を継続する環境整備を行った中小企業や、男性従業員に育児休業を連続して取得させ、育児参加を促進した企業に対して奨励金を交付するものです。
このように、企業側にも育休取得を促進する取組を行ってもらうことも待機児童対策につながります。待機児童対策は23区共通の課題であるため、国や東京都に対して、企業に対する協力を得られるよう、特別区長会として働きかけていただきたい。区長の所見を伺います。

次に、新保健センターの整備について伺います。
第一回定例会でのわが会派の代表質問に対して、「デザインビルド方式」の採用と、コンストラクションマネジメント業務委託の導入により、「墨田区新保健センター等複合施設整備基本計画」で示している45億円を超えないように整備を進めていくとの答弁がありました。同時に、今年度にはコンストラクションマネジメント業務委託を活用して、新施設のデザインビルド発注に向けて要求水準を作製していくとの答弁もありました。
本区の非常に厳しい財政状態を考慮し、品質を維持しつつも建設費45億円の水準は厳守していただきたいと考えています。現在検討している方策について伺います。
公共施設の整備にあたっては、その内容について、将来を見据えたビジョンを持ち、様々なステークホルダーを交えたワークショップ形式で練り上げていくことが重要であると指摘しました。これに対し、要求水準等を作成する際に、区民の方や新施設の関係者に、ワークショップ形式などの意見を伺う機会を検討したいとのことでしたが、時期やメンバーについて、具体的にお知らせください。

一方で、新たに整備する公共施設は60年先まで使用する前提であり、この新保健センターも同様です。開設当初は綿密に練り上げた内容であっても、長期間での社会情勢や区民ニーズの変化により、公共施設の再編等による機能変換にも備えておく必要があります。
これまでの公共施設マネジメント実行計画で「将来の機能転換等にも柔軟に対応できる設計を推進します。」と示されている方針を順守していただきたい。また、デザイン性の高い施設は、改修の際の高額の負担や、低利用の空間の発生等の恐れがあります。維持補修の負担が少なく、建物を隈なく活用できる、汎用性の高い設計にすることを強く求めます。区長の見解を伺います。
加えて、今定例会の報告事項にもありますが、建設候補地である都有地の下水道工事を行っていない部分について、土地開発公社による先行取得の方向性が示されています。建設候補地を分割して取得すること、下水道工事と並行して建設が進むこと、下水道工事の進捗状況などの要因によって、新保健センターの工期に影響があるのか伺います。

次に、葛飾北斎の作品を通じた国際交流について伺います。
平成31年度は、日本とポーランドが1919年に国交を樹立してから100周年に当たります。19世紀から20世紀にかけて、ポーランドには「フェリクス・ヤシェンスキ」という葛飾北斎の作品を始め多数の日本美術を集めた収集家が居ました。彼のコレクションは、かつてのポーランド王国の首都であった古都クラクフにある、「日本美術・技術博物館」に所蔵されています。ヤシェンスキは、特に「北斎漫画」を熱愛しており、「マンガ」を自身のペンネーム使用していたことから、このセンターには「マンガ館」という愛称が付いています。
昨年8月に、山本区長は、駐日ポーランド大使がすみだ北斎美術館に来館した際に、前駐ポーランド大使、当時の菊田館長及び外務省の審議官を交えて懇談し、北斎美術館とマンガ館の交流を、国交樹立百周年の記念交流事業の目玉にすることで意見が一致したと聞いています。これは、本区選出の松島みどり衆議院議員が経済産業副大臣だった平成26年、出張でポーランドを訪問した際に、すみだ北斎美術館と「マンガ館」との交流話が持ち上がったことが発端となったとのことです。

懇談の結果を受けて、北斎美術館へ今後の交流の進め方についての問い合わせの書簡が送られていましたが、先月18日に1年程度経過しても返事がないことを指摘されたとのことで、誠に遺憾に思います。
やや減少傾向にある来館者数の回復のためにも、この節目の事業に協力することで、北斎美術館の海外へのPRや、他の美術館との連携の強化につなげることを期待しています。資料の貸出等、可能な限り協力するべきであると考えますが、来年に向けて、今後どのように進めていくのか、区長に伺います。
また、このような交流は、周年事業に対する外務省からの補助や、地域と共働した美術館・歴史博物館創造活動支援事業等、文化庁の補助事業の対象になる可能性が非常に高いと思われます。こちらの検討状況についても合わせて伺います。
ポーランドは、18世紀のロシア等による領土分割により国家を喪失してしまいます。以来、独立運動を行った多くのポーランド人がシベリアに流刑となった他、第一次世界大戦ではポーランドの地がドイツ軍とロシア軍の戦場となった結果、流民となった人々がシベリアに流れていきました。

その後、ロシア革命とそれに続く内戦により、シベリアのポーランド人は難民化し、多くの孤児が飢餓と疫病で悲惨な状態にありました。日本政府と日本赤十字社は、この孤児たち765名を1920年と1922年の2度にわたって受け入れ、東京の児童養護施設と大阪の日赤病院看護婦寮に収容し、全員の健康を回復させたうえで、独立を回復した祖国ポーランドに移送しました。この孤児の方々が、「極東青年会」という団体を組織し、日本の素晴らしさを祖国で紹介してくださったおかげで、ポーランドは世界でも屈指の親日国となったと聞いています。
親日国の都市とは、国際交流がより円滑に進むことが期待できます。この度の葛飾北斎の作品を通じた記念交流事業が実現した後も、クラクフ市等、ポーランドの都市との交流を検討するべきと考えますが、区長の見解を伺います。また、葛飾北斎を通じたポーランドとのつながりや、日本とポーランドの歴史的な経緯についても、区民に周知する機会を設けることを望みます。合わせて伺います。

次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会への取組について2点伺います。
1点目は、「あしたのジョー」を用いたPRについてです。
墨田区では、国技館がボクシング会場になること、有名ボクシング漫画「あしたのジョー」の作者であるちばてつや氏が本区と非常に深い縁のある方であることから、気運醸成のために「あしたのジョー」を用いたPRキャンペーンを行うことになっています。シティドレッシングを含め、積極的な展開を期待しています。
現在、区内事業者の方々にも商品の販売等によって一緒に大会を盛り上げていただくために、6月1日から商品化許諾申請の受付が始まっています。
「あしたのジョー」のファン層は50代から60代が多く、比較的消費力の高い世代です。ゴールデンウィークに行われた「あしたのジョー×すみだ」企画展示と同時に同じフロアで開催された連載50周年記念「あしたのジョー」展では、この世代の方々が多くの物販品を購入している姿が見受けられました。ファン心理をつかむことができれば、価格に関わらず購入していただけると思いますので、区内事業者の方々に多くの商品を開発・販売していただき、大いに機運を醸成していただくとともに、区内産業の活性化につながることを期待しています。
商品化許諾申請に先立つ説明会には、どの程度の事業者が参加され、どのような商品が予想されるか、まず区長に伺います。
また、商品を開発しても、販売する機会が限られてしまうと、気運醸成の効果も限定的になってしまいます。まち処や観光案内所以外の販売場所の確保や、イベント等での販売機会の創出も行うべきと考えますが、区長の見解を伺います。
また、オリンピック会場となる両国国技館では、年に数回ボクシングのビッグマッチが行われます。ボクシングファンには「あしたのジョー」に親しみを覚える方も多いでしょう。商品販売により気運醸成及び周知を行う大きな機会ではないでしょうか。現在、両国の観光案内所は午後7時半で閉店しますが、夜間まで大規模イベントが国技館で行われる際には、営業時間の延長も考慮するべきではないでしょうか。区長の見解を伺います。
2点目は、墨田区の子供たちへのオリンピック・パラリンピックを体験する機会の提供についてです。
現在、教育現場では、各種のオリンピック・パラリンピック教育が行われています。この教育の結果として、大会以降の価値あるレガシーが形成されることを期待しています。

現在の取組に加えて、実際に競技が行われている現場を子供たちに体験させることによって、将来にわたって深く記憶に留めることができ、教育の成果がより大きくなるのではないでしょうか。
競技を観戦したい子供たちが全て希望を叶えられるわけではありません。希望者に大会仕様に整備された競技会場や競技に向けた公開練習を見学させる等、何らかの形でオリンピック・パラリンピック大会を体験できる機会を設けていただけるよう、東京都や大会組織委員会等、関係機関に働きかけていただきたい。区長及び教育長の見解を伺います。
大会まで残り2年となり、マラソン競技のコースが決まるなど、目に見えて大会に向けた準備が進んでいます。新たな取り組みを提案する時間は残り少ないと考えます。今年度の早い段階で協議を進めていただくことを望みます。

次に、日本遺産について伺います。
昨年度の産業都市委員会や、今年度の予算特別委員会で、我が会派から隅田川での日本遺産の登録を目指すことを提案してきました。
日本遺産とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて、我が国の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するものです。認定されたストーリーを構成する有形・無形の文化財群を地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内外に戦略的に発信していくことにより地域の活性化を図ることが目的とされています。日本遺産には、単独の区市町村による「地域型」と、複数の自治体による「シリアル型」の2種類があります。
わが会派も、4月に「シリアル型」で淡路島が認定されている淡路市を調査させていただき、その効果への期待を伺ってきましたが、この日本遺産に認定されると、当該地域の認知度が向上するとともに、地域住民のアイデンティティの再確認や地域のブランド化等につながります。また、3年間観光施策等に国の補助金を活用できるようになるため、認定によるメリットは非常に大きいと考えます。区長及び教育長の認識を伺います。
文化庁は、日本遺産を2020年度までに100件認定するとしており、今年度までに44道府県67件が認定されています。
しかし、昨年度まで国分寺市・府中市が古代武蔵国府・国分寺で、今年度はいずれも複数の都県によるものですが、台東区が岩崎家、足立区・荒川区・江東区が奥の細道で申請していますが認定に至っておらず、未だに東京都では一件も日本遺産に認定されていません。この現状について、区長の見解を伺います。
日本遺産認定の条件に、「構成文化財に国指定・選定のものを必ず一つは含めること」があり、区内に極めて少ない墨田区単独で魅力あるストーリーを作ることは不可能です。そこで、「隅田川」でストーリーを作り、周辺自治体との「シリアル型」での認定を目指すべきだと考えます。隅田川には、重要文化財である清洲橋、永代橋、勝鬨橋が架かっており条件を満たすことが可能です。
隅田川流域は、江戸時代以来、大災害とそこからの復興を繰り返し発展してきました。明暦の大火からの復興事業として両国橋、永代橋の架橋と本所深川の開発が行われ、江戸の町人文化が大いに発展しました。関東大震災からの復興事業として、現在の橋梁群の再架橋や、錦糸公園、隅田公園の整備、言問小等鉄筋コンクリートの小学校建設が行われ、流域の近代化が進みました。また、戦後の復興を象徴するとも言える、東京オリンピックの関連道路として佃大橋が架橋されました。

江戸時代から現在までの歴史を踏まえると、日本遺産認定にふさわしいストーリーを作ることが十分可能だと考えます。江戸時代からのストーリーを作れば、多くの区民の方々の善意で取得した隅田川両岸景色図巻も構成文化財として活用できます。
また、昨年12月に、「隅田川橋梁群(勝鬨橋から吾妻橋)と築地市場他を含む復興関連施設群(東京都慰霊堂等)」が、日本イコモス国内委員会により、「日本の20世紀遺産20選」に選出されています。
加えて、最近は目立った活動が見受けられませんが、平成23年度から、墨田区・江東区・荒川区・台東区・中央区の流域5区と東京都による「隅田川ルネサンス」の広域連携の取組が行われており、連携の下地ができています。
この流域5区で、復興と発展をストーリーに、隅田川で日本遺産の認定を目指してはいかがでしょうか。重要文化財の所在地が中央区と江東区にあり、所有者が東京都であることから、先々は主導的な立場になることは困難かもしれませんが、ぜひ墨田区から他区に働きかけていただき、東京都の日本遺産第一号を目指していただきたいと思います。

申請の直接の窓口は教育委員会となりますが、観光や文化振興、都市整備等、多くの分野にまたがる取組になりますので、区長及び教育長に所見を伺います。

最後に、今次計画の最終年度にあたる、学力向上新3か年計画について伺います。
墨田区では、小中学生の学力に大きな課題があることから、平成16年度より、「開発的学力向上プロジェクト」による学力向上の取組を行ってきました。残念ながら期待通りの効果は表れず、十分な成果を上げているとは言い難い状況となっています。
平成25年度からは、27年度までの「学力向上3か年計画」を策定し、より具体的な数値目標を設定した上での対策を行いました。掲げた数値目標の達成には至りませんでしたが、この結果により、これまでの課題と取るべき対応が浮かび上がってきました。現在は、それを踏まえて、今年度までの3か年計画に基づいての学力向上の取組が行われています。
平成29年度の墨田区学習状況調査の結果によると、D・E層の割合、「読む能力」「書く能力」「言語についての知識・理解・技能」の平均正答率、「思考・判断力」の平均正答率のいずれの数値目標においても、目標値を達成している教科、観点が多くあり、一定の成果が上がっているように見受けられます。

特に、小学校低学年、中学年でのD・E層の割合の減少は、多くの児童に最も基礎的な学力の定着がなされ、今後の着実な学力向上が期待できる要素と理解できるのでしょうか。現状の認識について教育長に伺います。
一方で、小学校高学年から中学生になると、各教科で分厚いB層とD層、層の薄いC層という傾向が顕著になっています。また、各学校の取組により、D層からC層へ学力が向上している生徒が増えているとも聞いています。D層からC層に向上した生徒にはC層以上への定着、C層の生徒にはD層への低下の防止が目標達成への鍵となると考えます。計画最終年度の今年度、学習意欲の向上や、学力の定着についてどのように取り組むのか教育長に伺います。
さらに、理科と社会については、目標達成が全く見込めない状況です。これまでも理科教育の充実には取り組んできたものの、改善が見られません。今年度以降の見通しについても伺います。
加えて、今回の計画においては、東京未来大学との共同研究での成果ある取組の全区実施や、中学校すたーとブックの配布について、28年度に研究や検討を行い、29年度から実施することになっています。

それぞれの事業について現在把握している成果と課題について、どのように学力向上につながっているかお知らせください。また、学力の定着について、我々は学校における放課後学習を重要視しています。28年度に各種制度の見直しを行った上での放課後等の学習支援の成果についても合わせて伺います
今回の計画期間は今年度までですが、計画では平成37年度までの長期目標が掲げられています。来年度以降の長期目標実現に向けた新計画では、現在把握している課題への対応等が盛り込まれていくと考えますが、明らかになっている課題と方向性について教育長に伺います。
義務教育において身に付ける学力と知識は、その後の社会生活を営む上での基礎となります。墨田区の子供たちが将来にわたって技能の習得や他者とのコミュニケーション、高等教育での学習等を円滑に進められ、その進路の選択肢を少しでも多く持てるよう、学力向上と定着の取組をより一層進めることを求めます。最後に教育長の所見を伺います。
以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

平成30年度第二回定例会 一般質問 坂井ユカコ

議席番号1番、自由民主党の坂井ユカコです。
私からは、先に通告した大要3点について、質問いたします。区長・教育長には、前向きな、ご答弁をお願いいたします。
本日6月14日は、東京2020オリンピックまで771日、パラリンピックまで803日です。
国政でも、「盆踊りとラジオ体操で東京五輪を盛り上げよう」議員連盟が発足し、本区選出の松島みどり衆議院議員が会長に就任しました。
私たち区議会も、大きな夢に向かって共に東京2020大会を盛り上げていきたいと思います。

●それでは最初に、東京2020大会機運醸成におけるラジオ体操について質問します。

現在本区では、高齢者や障がいをお持ちの方の生涯スポーツの場として「高齢者向け健康体操教室」や「障害者(児)スポーツ・レクリエーション大会」、介護予防普及啓発事業では「まちなか体操教室」「元気もりもり教室」等、さまざまな事業を実施しています。公園には健康遊具が設置され、昨年から始まった健康寿命UP大作戦!では、「ウォーキングマップ第二弾」が発行され、好評です。
そのような中、道具も不要でその日から、誰でも手軽に始められる運動にラジオ体操があります。

墨田区民の健康寿命は23区の平均よりも短く、寝たきりの原因となる「循環器疾患」の有病率も高くなっており、本区は、着実に、区民の皆さんがお元気に、健康で長生きができる自治体となるための施策づくりが求められています。
東京2020大会の機運醸成を活用し、誰もが行える生涯スポーツを推進していくことは重要です。
こうした視点から、日本全国、津々浦々、すべての年代の人たちの心と体に刻み込まれているラジオ体操は、区民の健康増進や介護予防に、すぐ取り組める、有効な運動と考えます。

本区「すみだ健康づくり総合計画」に、身体活動・運動の推進における「区が取り組む主な施策の項目」にラジオ体操が明記されるなど、あらためて重要性が認識される中、区長には、生涯スポーツや健康福祉の観点から、ラジオ体操をどのようにお考えか、伺います。
昨年から東京都では、東京2020大会の機運醸成や都民の健康増進を目的とした「みんなでラジオ体操プロジェクト」をスタートさせています。
このプロジェクトは東京2020大会の開催期間と同じ7月24日から9月6日までを機運を高める重点期間と位置づけたうえで、大会まで毎年、重点期間にラジオ体操を行うことを奨励し、この取り組みを全国に呼びかけています。
区長に伺います。
本区として、こうした取り組みに対し、これまでどのように関わってこられたのでしょう。本年度の重点期間、もとより東京2020大会開催が刻々と迫る中、今後動きを強めていかれるのでしょうか。

本区では34カ所ある会場で、毎朝1000人以上が体操する、日本有数のラジオ体操が盛んな自治体ですが、このように本区にラジオ体操が根付く背景には、初代・勝田菊蔵区長の存在があります。
区長自ら、「健康増進のために、みんなで体操しましょう!」と町会一軒一軒お願いに回られたとの事です。その後、昭和59年10月7日に発せられた「すみだ健康区宣言」を契機に、4年計画で「区民健康づくりラジオ体操広場のモニュメント設置」が事業化されました。

現在、横網町公園や向島百花園といった都立の公園を含む区内30カ所の広場にモニュメントは設置されていますが、35年が経過し、汚損等、経年劣化が散見されます。またその間整備された公園には新たな体操会場が生まれ、逆に後継者不足等で、体操をやめてしまった場所もあると仄聞しております。
今後、補修・清掃、および新設等、適切な対応を行うべきと考えますが、区長のご所見を伺います。区民ひとりひとりの健康に、しっかりと目を開いておられた、当時の区長の思いや、本区の健康づくりに対する歴史的背景を踏まえ、区長のご答弁を求めます。

●続いては、盆踊りを主軸に考えた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会機運醸成について質問してまいります。

まず、東京五輪音頭2020について伺います。
東京五輪音頭は、1964年東京オリンピックのテーマソングで、三橋美智也さんや三波春夫さん等多くの歌手が歌いました。当時は一家に一枚レコードがあるほどで、東京五輪音頭は、国民的大ヒット曲であったそうです。
歌でだれもが一緒に歌ったり踊ったりすることは、オリンピック・パラリンピック競技を盛り上げていくには重要な要素ですので、このたびの「東京五輪音頭2020」復活は大変喜ばしいことです。
しかし、昨年夏、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が振り付けを作り映像化したものは、時期外れの発表であった事や、踊り自体が大変難しかった事から、うまく普及しませんでした。そこで同委員会では今年、誰でもすぐ輪に入って踊れる振り付けを新たに制作し、間もなく動画DVDが全国自治体等に配布されると仄聞しております。

私が考える「東京五輪音頭2020」とは、みんなで踊ることを通して、地域がひとつとなり、絆を作っていくこと。
組織委員会から提供されたさまざまな機運醸成ツールは、本区の抱える課題解決に使うのだ、という視点が大切です。
この視点を持つことにより、「東京五輪音頭2020」は、大会閉会後も各地域の盆踊りで踊り継がれ、オリンピック・パラリンピックのレガシーとなり、地域力は強化・向上するものと考えます。機運醸成を一過性のお祭り騒ぎにしないためにも、この点について区長の見解を伺います。

「東京五輪音頭2020」は、広く皆様に知って頂く必要があります。
他区においては、すでに公式練習会の日時や場所を公開しているところもありますが、夏祭り、秋祭りに、各町会の奉納踊り等で区民の皆さまに踊って頂くために、本区ではいつ頃どのような方法で普及されるのでしょうか。伺います。

あわせて教育長に伺います。
昨年発表された、踊りの難しいほうの「東京五輪音頭2020」については、有名ダンサーが振り付けを担当し、東京2020大会の競技種目と日本のエッセンスが融合した「ダンスパフォーマンス」として、素晴らしいもので、運動会等で発表することには大変適しています。
2020東京大会へ向け、地域の担い手となる子どもたちの機運醸成に活用されることについてのお考えを伺います。

さて、昨年、観光協会が発行した「牛島神社大祭ガイドブック」を見た地域の方からは、「毎年大変な思いで神輿を出しているがこれで大変励みになった」と嬉しい感想を頂きました。
ガイドブックでは祭りの主役は勿論「お神輿」です。

ところが、視点を移動すると、少々事情が違います。
先日、全国の盆踊り愛好者(通称盆オドラーさん)のリーダー格の方に取材する機会を頂きました。
彼らは、踊る楽しさを求め、都内各所の盆踊りに遠征します。築地本願寺や日比谷公園、もちろん錦糸町河内音頭にも来ます。
そのように盆踊りに精通した愛好者の皆さんが、ある時期、夜な夜なすみだに集結しているというのです。
彼らのお目当ては狭いエリア内に無数に点在する奉納踊りの櫓行脚です。
例えば牛島神社祭礼ならば、およそ50の氏子町会のうち、約8割が町会独自に櫓を組み、奉納踊りを行っています。
本所地域の平坦で碁盤の目のように広がる路地に、通りによってはひとつの道に4カ所もの踊り場があることもあれば、ある交差点では東西南北全ての方向に櫓が見えるところもある。この現象は彼らの間で「どこでも盆踊り」と呼ばれています。こんな光景は日本広しといえど、ここ、墨田区にしかないと彼らは断言します。

奉納踊りには、ここ数年、外からの踊り手が増えており、見よう見まねで踊る人の中には、明らかに旅行等で日本に滞在している外国の方もいらっしゃいます。
区長はこうしたことに対して、どのような認識をお持ちでしょうか。

踊り手にとっての櫓行脚の楽しみは、町会ごとに異なる提灯の色や、揃いの浴衣、再生曲目等各地の特色や、地域の方との触れ合いです。また迎える側の地域の皆さんも、年に一度の祭りを賑やかにしてくれるスパイスとして、外からの踊り手に対して歓迎ムードで、地域振興の一助となっていると感じます。地元の人にとっては普段何気無い物だったり、あるいは生活に溶け込んでいるものだったりと、意外とその地の日常の中に宝物が潜んでいるものです。
私はこうした「地域のお祭り」が、観光資源となりうると考えます。
他方では、部外者を歓迎しない地域のお祭りもあるので、調整をしたうえで、地域のお祭りを観光資源に変えていくような取り組みをしていかれてはどうでしょう。区長のご所見を伺います。

特に訪日外国人にとって、「地域のお祭り」は、その地域ならではの体験で魅力を味わう、独自性が高い「着地型観光」そのものです。
地域活性化につながる新しい旅行の仕組み「ニューツーリズム」のフレームに当てはめれば、地域の飲食店や公衆浴場と連携することもできましょう。インバウンド向けのナイトタイムエコノミーに繋がる可能性も十分あります。観光の切り口で考えることで、多様な可能性が生まれてきます。
特に盆踊りなどの地域のイベントは、訪日外国人観光客にも「墨田区の優しさ」をアピールする良い機会です。
東京2020大会は夏の開催が予定されています。試合観戦の合間、観光地でない街に外国人観光客が訪問し、そこで地域と交流する場を作れれば、次世代を担う子どもたちにも大いに刺激となるでしょう。

そこで区長に伺います。
訪日外国人観光客6000万人時代に向け、すみだらしい、下町ならではの観光資源を、本区として、しっかりと磨き上げていく必要があると考えますが、区長のお考えをお聞かせ下さい。

●私からの最後の質問は、東京2020応援プログラムについてです。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会では、日本の文化である祭りを通じて、オールジャパンで東京2020大会の機運醸成することを目的に、「東京2020応援プログラム(祭り)」の参加を呼び掛けています。
認証されると、応援ロゴマークを使用することができます。
この制度は、町会自治会や実行委員会を対象としたもので、広く一般からの参加を認め、参加者を限定しないものです。
そこで早速、専用のコールセンターに問い合わせをしてみました。ところが、その対応は極めて事務的で、本当に認証を増やす気があるのだろうかと、甚だ疑問を感じました。

その一件から調査すると、昨年、区内の町会が、ガイドラインに沿って申請を行ったところ、何の指導もないまま、すげなく却下されてしまった事を知りました。またこの事実は、組織委員会から区には一切報告がなく、区は町会側からの情報提供で分かったそうです。
現在、「東京2020応援プログラム(祭り)」の申請は、区は関与せず、申請者が直接、組織委員会に届け出る仕組みになっています。簡素化されての運用と仄聞しますが、区内のどのような団体が申請をしているのか、また申請結果や、却下の理由等について、区は全く把握ができません。これでは連携もできません。さらには区からの問い合わせ先は、先の事務的なコールセンターのみです。

本来ならば、申請状況を把握することはもちろん、事務の専門家がいない町会向けには申請代行や、作成支援など、後押しをするのが、行政としてのあるべき姿であり、市民が参画する東京2020大会だと思います。それが出来ない今の仕組みは、早急に改善すべきです。
これまでも、準備室を中心に、23区主管部長会、課長会等で、再三に渡り改善を要請してきたそうです。にも関わらず、改善が見られない現状を踏まえ、区長におかれても、区長会等で、組織委員会に、何らかの働きかけを行うべきと考えます。この点について区長のお考えを伺います。

以上で私からの質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。

平成30年度第二回定例会 一般質問 しもむら緑

墨田区議会自由民主党のしもむら緑でございます。通告してあります大要2点につき、山本区長及び加藤教育長の前向きで明確な御答弁を宜しくお願い致します。

先ず、大要1点目は、「墨田区の災害医療について」伺います。

災害医療は、地震、火災、洪水、テロ等のケースでは対応が異なりますが、今回は、地震に特化して伺います。

大地震が発生した場合、軽症・重症を問わず、多くの傷病者が病院に殺到し、必要な方に適切な医療を提供できなくなる恐れがあることから、現在、各自治体で災害医療救護体制の整備が進められています。初動医療体制で非常に重要となってくるものがトリアージです。トリアージとは、限られた医療資源を最大限に活用し、救助可能な傷病者を確実に救い、できる限り多くの傷病者の治療を行うために、それぞれの重症度や緊急性に応じて治療優先度を決める行為です。具体的には、4区分に分類し、4色に識別されたトリアージタッグと呼ばれるものを付けて行きます。本区においては、大地震発生時から72時間以内までは7つの病院(東京曳舟病院•同愛記念病院•墨田中央病院•東京都済生会向島病院•中村病院•賛育会病院•山田記念病院)でトリアージポストが設置され、重症度と緊急性に応じた救護が行われる計画となっています。トリアージで軽症と診断された方は、医療救護所という別の場所(曳舟文化センター•同愛記念病院敷地内駐車場•第四吾嬬小学校•寺島中学校•八広一丁目集会室•柳島小学校•外手小学校)で手当てを受けることになります。また、この7つの病院以外での直接の傷病者の受け入れは行われません。災害拠点病院としては、東京曳舟病院、都立墨東病院が指定されていますが、墨東病院は墨田区•江東区•江戸川区の特に重症度と緊急性の高い方のみ行政を介して受け入れられることとなっています。

そこで、区民の皆様に、1日も早く、一般的に馴染みの少ないトリアージという概念と、何故それを行うのかという丁寧な説明、そして緊急医療救護所(トリアージポスト設置病院•医療救護所)の周知徹底を行っていただくことを要望します。例えば、区報、区のHP、町会の回覧板、防災拠点会議、総合防災訓練及び、すみだ安全•安心メール等でお知らせを周知する方法はいかがでしょうか。他にも、実際災害現場でトリアージにあたられる墨田区医師会、向島・本所両歯科医師会、墨田区薬剤師会、柔道整復師会墨田支部の皆様の協力も仰ぎ、院内等で患者様に情報提供していただく方法も有効だと思います。大地震が起き、怪我をすれば、基本的にはどこでも良いから近くの病院へ行くか、かかりつけの病院に行くものと考えられますし、経験したことのない状況下での不安から、一刻も早く、誰よりも先に治療を行って欲しいと考える方も多数いらっしゃることが考えられます。カルネアデスの板となるような事態は絶対に避けなければなりません。区民の目線に立って、非常事態に備え、日頃より理解を得られるように努めることが多数の傷病者を助ける結果に繋がっていくと思います。区長の所見を伺います。

また、トリアージポスト設置病院の一つの賛育会病院は、建物の老朽化から5年後に旧立花中学校跡地への移転が予定されています。その場合、南部にトリアージポスト設置病院が2箇所のみとなってしまいます。当然ながら、行政地域での判別は不可能であり、墨田区民以外の方も受け入れを行うかたちとなります。このことからも、墨田区のみで災害対策を考えるのではなく、しっかりとした広域連携の確立は必要不可欠です。このことに加え、近隣区の災害時に受け入れを行う計画の病院の情報も収集して、是非区民の皆様に提供していただきたいと考えますが、区長の所見を伺います。

続いて、トリアージポスト設置病院同士の連携と災害医療の現場を経験した方々のヒアリングについて伺います。先月の26日、同愛記念病院にて区内で初めて関係団体が揃って災害対策訓練が行われました。訓練を見学させていただいた率直な意見としては、都立墨東病院に次ぐ規模を誇る同愛記念病院には、災害時の拠点になっていただきたいと強く感じました。また、墨田区の災害医療に対する取り組みは、東京都 福祉保健局 区市町村災害医療コーディネーター研修会にて先駆的なモデル自治体として取り上げられていることも仄聞し、大変嬉しく感じました。改めて、関係者の皆様には深く感謝を申し上げます。今回は、これを更に一歩進めた提案をさせていただきたいと思います。トリアージの訓練は、関係団体により個々にこれまで何度も実施はされてきましたが、トリアージポスト設置病院同士の連携や、東日本大震災などで災害医療の現場を経験した方々からのヒアリングが未だ行われていません。本区におけるトリアージポスト設置病院では、外科を強みとする病院もあれば、内科を強みとする病院もあります。また、それぞれ規模も違います。そのことにより、備蓄品の内容も異なっていると予想されます。例えば、東日本大震災で災害拠点病院となっていた気仙沼市立病院が抱えた問題点として、病院の耐震性、電力・水・食料の確保といった備蓄物資の枯渇、通信手段の復旧の遅れ、ヘリポートの確保、職員のレスパイトが報告されています。トリアージポスト設置病院の関係者の皆様と、災害医療の現場を経験した皆様と話し合うことで、災害時に特に必要であった物や注意点等、様々な課題が浮き彫りになってくると考えますので、是非その機会の設置を強く要望します。併せて、妊婦の方や、要援護者への対応も考えていただきたいと思います。東日本大震災などの教訓を踏まえての区長の所見を伺います。

この質問の最後に、陸路が絶たれた場合の傷病者の搬送手段や対応について伺います。交通機関は確実に麻痺します。その際、以前定例会の一般質問でも取り上げましたが、ヘリコプターや、船の活用が大変有効と考えられます。先ず、ヘリコプターについてです。災害拠点病院に指定されている都立墨東病院は屋上にヘリポートがありますが、東京曳舟病院の医療機関近接ヘリコプター緊急離着陸場は東墨田運動場となっています。現実問題として、陸路が絶たれていることを予め想定して、そこに搬送するまでの方法も考えておく必要があります。その点について、現状どうお考えでしょうか。その他、緊急時に備えて、ヘリコプターが緊急離着陸できる候補場所も検討しておく必要があると考えます。電柱や高圧線、ビル等を避け、更に進入角度を考えた場合、都心では候補地を探すのが非常に難しいのが現状ですが、それでも検討は必要です。区長は先日、沖山前議長と墨田区医師会の皆様と共に、東京消防庁のヘリコプターに乗って、災害対策の視点から墨田区の上空を視察されたと仄聞しています。実際の目で見られ、どのような感想を持たれたのか、区長自身の率直なご意見を伺います。加えて、救急車や消防車を23区独自で持っていないことに関しても災害対策時の課題として何か言及されたのか伺います。また、日頃より、自衛隊の方々と関係を密にしておくのも良いと思います。自衛隊ヘリや、自己完結型の医療チームを持っている自衛隊の方々の災害派遣での活躍ぶりは広くしられているところです。葛飾区では、災害医療に関してではありませんが、自衛隊の方々と協力した総合防災訓練が行われています。今年は、自衛隊の方々による炊き出し訓練の他、川に臨時の橋を架ける訓練も行われるとのことです。荒川区、板橋区、足立区及び品川区の区役所には退職した自衛官が防災・危機管理担当として活躍されています。このような常日頃からの関係構築が、いざ災害が発生した時に生きてくると思います。区長の所見を伺います。次に、船の活用に関しては、現在、東京都の水辺ラインと協定を結んでいますが、他の自治体も同様に協定を結んでいる状況です。品川区は、区独自で屋形船を運営している民間企業と災害協力協定を結びました。墨田区としても、先月12日に墨田緊急用船着き場の竣工式も行われましたが、河川に面したトリアージポスト設置病院もありますので、傷病者の搬送ということだけではなく、緊急物資を運ぶなどの用途から、区独自で、船舶の運営を行っている民間企業と協力協定を結ぶべきと考えます。区長の見解を伺い、大要1点目の質問を終わります。

大要2点目は「区立の学校における感染症予防対策について」伺います。感染症の予防等を行うため、学校保健安全法施行規則第8条第3項の規定により、進学・転学の際には、進学・転学先へ健康診断票を校長に送付することとされていますが、海外の現地校からの転入の場合は関係書類の送付がないこともあるため、保護者からの聞き取りなどで十分な情報を得るとともに、状況によっては学校医による健康診断の実施も必要であると日本学校保健会から指摘されています。しかしながら、必ず義務付けられているわけではありません。例えば、結核については高蔓延国での居住歴のある児童生徒の場合、入学時または転学時の一回精密検査の対象とされていますが、強制ではありません。当然、児童生徒が差別・偏見の対象になることがないように充分配慮しつつ、危機管理の観点から、保護者への入念な聞き取りや、入学前に健康診断や精密検査を積極的に促す等行っていただきたいと思いますが、加藤教育長のご所見を伺います。

日本では発生していない感染症が、海外では流行していることもあります。検疫所も基本は自己申告であるため、注意は絶対に必要です。現実に、沖縄県での麻疹感染拡大が社会問題となったことは記憶に新しいことと思います。区役所の窓口において海外で居住されていた方から転入届等の書類が出された際、教育委員会や保健衛生担当に情報提供し、適切な対応をアドバイスするなど、異なる所管同士の連携で未然に感染症を予防することもできると考えます。子ども達の健康への安全、そして安心をどう図るかはとても重要です。この課題は、プライバシーの問題と社会全体の安全•安心がぶつかり合う、公共の福祉による人権の制限という非常に基準の困難な判断を伴いますが、不測の事態が出る可能性が著しいと認められれば決断し、積極的に対策を取るべきです。山本区長、加藤教育長に、それぞれの立場からの所見を伺い、私の一般質問を終わります。

ご静聴有難うございました。

平成30年度第二回定例会 一般質問 佐藤篤

私は、区長に対して、通告の通り8点にわたり質問します。

*  *  *

まず第一に、地方自治法及び地方独立行政法人法の改正について伺います。
平成32年4月1日より、新しい地方自治法が全面施行されます。その趣旨は主に、①財務事務の適正化、②監査体制の強化及び③地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直し等で構成されています。また併せて、地方独立行政法人法の改正が行われ、④地方独立行政法人が担うことのできる業務が拡大されました。
①財務事務の適正化に関しては、都道府県知事及び政令指定都市の市長は内部統制に関する方針を定め、これに基づき必要な整備をしなければならないこととなりましたが、その他の市町村長は努力義務とされました。この方針を定めた場合、これを公表し、評価報告書を作成する義務が課され、監査委員の意見を付して議会に報告する義務が課されることとなります。そうすることで、議会や住民がより行政の適正な運営について監視・評価することが可能となります。
以前私は、監査委員を1名増員する際の議案質疑の中で、本区は会社法で定めるところの「資本金5億円以上または負債総額200億円以上」である「大会社」に該当すると申し上げました。そこで、本区においてもこうした「大会社」にふさわしい体制の整備を進めるべきだと考えています。
昨年の予算特別委員会で、総務部長は内部統制について、「地方自治法が改正されれば、即座にこれに沿った指針をつくっていくべきと考えております。」と答弁しているほか、同年10月11日付で特別区人事委員会から区長及び区議会議長に発出された「一般職の職員の給与に関する報告及び勧告」でもこの改正に触れ、「区民からの信頼確保」のための方策として、「自治体のガバナンスの更なる強化という視点で既存の様々な内部統制の仕組みを検証し、今後の体制整備等について検討されたい。」と指摘されています。また、同年5月の第一回臨時会における長谷川代表監査委員の就任あいさつでもこのことに特に触れられているところです。そこで、本区の方針について、この際示すべき時期にあると考えますが、区長の見解を求めます。
加えて、②監査体制の強化についてはこの4月より、新たに監査委員を専門的に補佐する監査専門委員制度も創設されましたが、これについての見解も併せてお答え願います。
更に、④地方独立行政法人の活用については、この4月より、申請等関係事務、いわゆる窓口関連事務を、地方独立行政法人に処理させることができるとされました。こうした業務を地方独立行政法人に担わせることは、専門的な知識を蓄積するという観点から有益です。これに更に人事異動の容易性を担保するという観点から考えると、特別区一体の処理を行う広域的な地方独立行政法人が設立されればなおよしと考えます。現在の特別区長会での議論の内容や、今後の方向性、また本区の態度について区長の見解を伺います。
また、現行法も含めますと、本区に関連する事業として、地方独立行政法人の業務対象となるものとして、社会福祉事業、介護保険施設及び博物館・美術館等があります。現在、本区でこれらの事業には指定管理者制度を導入しているところです。このうち博物館・美術館等については、日本学術会議の協力学術研究団体のひとつである自然史学会連合による「博物館の地方独立法人化に関する情報交換会記録」によれば、事業の継続性や人材育成の観点から、地方独立行政法人の優位性が指摘されています。行政サービスが多様化し、これらの処理方法も柔軟化している今、これら、地方独立行政法人、指定管理者及び外郭団体としての財団・社団法人といった形態のメリット・デメリットの分析やその導入の可否について、庁内での一定の方向性を議論する時期にあると考えます。現時点での考えや、今後の方向性について区長に答弁願います。

*  *  *

第二に、公職選挙法の改正について伺います。
来年3月1日に施行される、改正公職選挙法では、これまで地方においては首長のみが対象となっていた選挙時のビラ配布について、都道府県議会議員及び市区町村議会議員にも解禁されます。まさに本区においては来年の墨田区議会議員選挙がこの対象となり、証紙を貼付したビラを4,000枚を配布することができるようになります。これはローカル・マニフェスト推進地方議員連盟が全国で「政策選択型」の選挙を目指して運動を行ってきた成果であり、国会においてもその重要性が認識され、与野党横断の合意により成立したものです。同法では、条例で定めることにより、これまでポスターや選挙カー等で認められている公費負担制度が適用されることとなります。
そこで、同法改正の趣旨を生かし、資産の多寡の別によって配布することのできる枚数に違いが出ないように、来たる墨田区議会議員選挙での配布ビラについて、公費負担を可能とする条例の制定を行うべきだと考えますが、区長の考えを伺います。
また、同様に、「政策選択型」の選挙とするために、今年の予算委員会では「選挙公報のひとりあたりスペースを大きくしてほしい」旨の質疑を行い、選挙管理委員会事務局長は「次期選挙管理委員会の中で議題に」するとの答弁がありました。その後の状況と今後の方針についてお知らせください。
更に、憲法で定められた参政権の実質的保障という観点から、移動が困難な高齢者・障害者等の皆様を考慮し、移動手段の確保についても提案をしました。その後研究課題としているということですが、現在の対応、考え方について改めて伺います。

*  *  *

第三に、町会・自治会の合併について伺います。
昨年第三回定例会で私は、地域力日本一というならば、その基礎となる町会・自治会に対する実態調査を行うよう提案しました。現在行われているこの実態調査では、様々な課題が浮き彫りなり、これをひとつひとつ政策化し、丁寧に解決していくことは、まさに地域力の基盤をつくることにもなると信じています。ぜひ、真摯に受け止められ、地縁団体の基盤強化に山本区政として全力で取り組んでいただきたいと存じます。
さて、私は今後、町会・自治会の基盤強化の中で、不可避の論点が、町会・自治会の合併であると考えています。住民の皆様に伺いますと、まだ具体的な議論にはなっていないものの、将来的な合併を視野にする発言が見受けられています。こうした背景には、町会・自治会の人的・物的資源が豊富な会とそうでない会が二極化しており、このようなことから、遠からぬ将来、行政課題として噴出することが予想されます。
講学的には、町会・自治会の合併については、3つの類型が考えられます。一つは、未法人化団体同士の合併、二つは未法人化団体と認可地縁団体の合併、三つは認可地縁団体同士の合併の場合です。未法人化団体同士の合併の場合は、地方自治法の適用を受けませんので、団体同士の合意で任意にすることができますが、片方でも認可地縁団体が関係すると、地方自治法の適用を受けることとなります。
具体的には、認可地縁団体の認可にあたって定めるべき「区域を記載した規約」の変更を伴うため、地方自治法第260条の2第11項に基づき、区長に届出をすることになりますから、区としてはこうした手続に対応する必要があります。
総務省自治行政局に照会を行った結果、具体的な集計はしていないものの、町会・自治会の合併については全国で問い合わせがあるということでした。
そこでまず、こうした手続面での整備についての現況の説明と今後の対応についての所感を区長に伺います。
また、町会・自治会の合併は、「平成の大合併」が目指したように、規模の利益を最大化し、町会・自治会の運営を効率化できる可能性があります。もちろん、「平成の大合併」の負の側面であった住民自治のあり方については配慮する必要性があります。地縁団体ですから、その歴史性、地域性及び住民の意思を最大限尊重したうえでの話となりますが、住民の福祉増進という観点からは、合併の利益について分析してみる価値はあると考えています。
国もこうした動きを予測しています。例えば、『まち・ひと・しごと総合戦略』の中では、町会・自治会を包含する概念として「地域運営組織」を位置づけ、地域課題を解決する組織として小学校区単位の想定を行い、平成32年段階での達成すべきKPIとして5,000団体の形成を目指しています。
こうした動きを踏まえ、町会・自治会の合併に伴い、町会会館の改築や維持補修費を増額するなど、何らかのインセンティブを付与したりする方策等、規模の適正化について区長の考えと今後の検討の余地について伺います。

*  *  *

第四に、職員の育成について伺います。
平成30年は「副業解禁元年」と言われ、企業等で副業解禁の動きが進む一年となりますが、この趣旨は、多様な働き方の推進や副業の経験を他の勤務に活かす取組みであるとされています。こうした中、職員の見分を広げる取組みのあり方について質問します。
まず、ボランティア休暇について伺います。導入当時の、人事院平成8年『年次報告書』では、ボランティア休暇について、「公務員がボランティア活動に参加することは行政とは異なる側面から市民生活に触れることとなるなど、職員自身の視野を広め、ひいては行政面でもより良い効果をもたらすものと考えられる。」とその意義を強調しています。事前の調査によれば、ボランティア休暇は、平成28年度以降は取得件数なしで、それ以前でも数件といった取得状況です。まず昨今のボランティア休暇の取得状況についてご説明いただいた上で、その取得が進まない原因について所感を伺います。
消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律、いわゆる消防団支援法が制定され、自治体職員の加入促進が位置づけられました。また、自治体職員の保護司の兼任を促進する荒川区のような事例が広がる中、消防団員や保護司の兼任をはじめとするボランティア活動の促進について、区長の方針を伺います。
次に、自己啓発等休業について、伺います。これは平成19年、大学等における修学や国際貢献活動を希望する常勤の職員に対し、職員としての身分を保有したまま職務に従事しないことを認める休業制度として認められたもので、給与は不支給、休業期間は定員外として扱われます。過去、本区では青年海外協力隊の事例があるようですが、国際協力機構(JICA)への長期派遣との位置付けで処理されており、この制度利用のための手続策定には至っていません。現在昼夜開講制のビジネスマン向けの専門職大学院等の開設も増えていますが、広く国際的な見分を広げたり、昼間開講制の大学院でしか学べないこともあるため、今一度制度の創設の必要性を感じます。現在の状況と規定整備の方向性について区長に伺います。
更に、幹部職員の視察機会の確保も重要な課題だと考えています。この秋から私たち区議会常任委員会の管外行政調査に同行してくださる部長級職員さんが上限1名から、2名に増員となります。これまで、こうした視察機会のほかには、幹部職員が先進的な事例を調査しようにも、それら調査費用や現地視察費用等の計上が難しい状況が続いていると把握しています。現に、国内他都市派遣研修制度がありますが、ここ10年、これを使った派遣研修は1件も行われていません。職務に関連する出張は行われていますが、この国内他都市派遣研修制度は、直接担当する職務に関連したものに限らないことが特徴で、幹部職員の見分を広げるのに有用です。幹部職員に見分を与え、見識を広めていただき、もって政策立案に大きく還元されるとすれば、この費用等は、この街の将来にとって微々たる投資ではないかと考えますが、区長の見解を伺います。

*  *  *
第五に、事業用シートについて伺います。
先週、東京若手市議会議員の会の研修で、東京都町田市に伺い、先進事例として早稲田大学パブリックサービス研究所にパブリック・ディスクロージャー表彰を授賞されている「町田市課別・事業別行政評価シート」についてレクチャーを受けてまいりました。過去、自民・公明の複数の議員がこの事業を区議会でも取り上げています。
同シートは、数百に及ぶ事業単位別に構成され、A4見開きの半分を財務情報が占め、残りをその事業が行われた背景や目標値、達成度などが示され、内部評価が付随しています。そして注目すべきは、同種施設分析表であり、市内同種施設の行政コストが一覧で比較できるようになっています。
町田市ではこのシートを用いて決算審議を行い、住民説明会を行うなど、「根拠と数字に基づく」行政改革を推進するための大変有用なツールとなっています。区長部局に対しては、当日の資料一式を事前にお渡ししてありますが、まずこの取組みについて所感を伺います。ちなみに関東のある市長は市議会での質問を受けて、「町田市を視察する」と答弁したそうですが、その後本当に町田市に出向いて研修を受けたそうです。区長もぜひ機会があれば訪れてみてください。成熟社会における行政改革のツールとしてきっとお手本になるはずです。
翻って、本区の取組みを見ると、まだまだ道半ばです。公会計改革の実施と合わせて少なくとも23区の事業比較ができる事業シートの作成が一定のゴールとなりましょうが、まず本区でできることとして、現在ある「墨田区事業別コスト計算書」を段階的に改変していくことが重要だと考えます。本区では保育園や児童館等といった大きなまとまりでのコスト計算が行われていますが、個別施設の比較情報は掲載されておらず、また事業の対象数もごくごくわずかです。私たち区議会の決算審議の観点から、また、住民による行政の監視といった観点からも、こうした情報の枠を広げ、公開していくことの重要性を認識しますが、区長の見解を求めます。こうした意味では、昨日のすみだ新政会堀議員の代表質問に賛意を示すものです。また、町田市と比較し、本区が事業シートとその公開についてどのような方向性を目指すのか、併せて答弁を求めます。

*  *  *

第六に、電線地中化と道路占用料について伺います。
私たち区議会も国に対して意見書を提出して支援してきましたが、平成28年9月、「無電柱化の推進に関する法律」が成立し、「災害の防止、安全・円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るため、無電柱化の推進」を行うことが規定されました。東京都においても「東京都無電柱化推進計画」に基づき、東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催までの都道の無電柱化の完了を目指し整備を進めています。いよいよ本定例会にも、墨田区として「無電柱化基本方針」が示されます。この基本方針では、考え方を示すのみとのことですが、計画期間や総事業費、これに引き当てる区としての財源をどのように考えているのか伺います。
また、現在、道路占用料について袖看板や巻付け広告等に減免措置を講じていますが、これらを無電柱化推進のための貴重な財源と捉え、本則に戻していくこと、また電力・電話回線等事業者に応分の負担を求めていくことも重要だと考えますが、区長の見解を求めます。

*  *  *

第七に、荒川将来像2010地区別計画について伺います。
この質問は、過去、区議会でも多くの会派所属の議員が質問し、議員としても多くの住民要望がある事項であると認識していますが、なぜ再三の提案にも関わらず、区内にバーベキューのできる広場ができないのか、という疑問に端を発します。
私が調査したところによると、特別区内には少なくとも40か所のバーベキューのできる公共の公園が存在しています。特に城東地区の5区に関して言えば、江戸川区に6か所、葛飾区に1か所、足立区に1か所、江東区に8か所という状況となっており、整備されていないのは本区のみとなっています。
これは本区内に大規模公園がないからではないかという反論を受けたので、荒川放水路沿川に関して調査すると、やはり多く存在し、近くでは江東区及び江戸川区の大島小松川公園、北区の荒川岩淵関緑地バーベキュー場、板橋区の荒川戸田橋緑地と各区に存在しています。本区はもちろん荒川放水路沿川にも存在しません。まず、この状況について区長の所感を伺います。
本区は住宅の集積が進み、住宅街の中にある公園等でバーベキューのできる広場を整備することは困難です。したがって、私は荒川放水路の河川敷こそ最も実現可能性のある場所であると考えています。そして他区にも荒川沿川ですと多くの実施例があります。国土交通省荒川下流河川事務所が策定した「荒川下流河川敷利用ルール」の中にも、バーベキューや煮炊きなどは原則禁止ですが、指定場所ではこれを解禁しています。
つまり、区が一定の管理体制を整備し、実施する意思さえあれば、バーベキューのできる広場は実現可能なのです。要はやる気の問題です。
他方で、ハードルとなるのが、区も構成員となっている荒川の将来を考える会が策定した「荒川将来像計画2010地区別計画」です。この中では、自然と区民利用の調和を目指し、地区別に用途が指定されています。この間、過去の議事録を紐解くと、平成16年以降、自民・公明・無所属の総勢6名の先輩議員が同様の質問を繰り返しています。一律に火の管理の問題等を課題として挙げていますが、こうした区議会からバーベキューのできる広場について再三にわたる提案があったにも関わらず、同計画に反映しなかった理由をまず答弁願います。
そして、区長が変わった今—区長も平成22年第四回定例会において、かまどベンチの平時活用として、区内におけるバーベキューの必要性を質問しているのですが—この計画を一部見直して大胆に方針転換されることを求めますが、区長の方針を伺います。
これに先立ち、荒川放水路河川敷以外にも、うるおい広場下の隅田川沿いで吾妻橋フェストとのコラボレーション等、期間限定での社会実験も考え得ると思います。できない理由ばかり並べるのではなく、まずどんなことができるのか、実験してみんなで考えて、区民の声に応えてみませんか。もちろん管理を行うということでしたらなんでも無料ではなく、応益負担の有料で、ごみの持ち帰り等も当然求めてよい話です。改めて区長の見解を求めます。

* * *

最後に、食育について伺います。本日より、すみだ食育フェス2018「食育で みんながつくる 笑顔の環(わ)」が始まっています。全国的な評価を浴びているという観点からすると、食育は、雨水活用や中小企業振興施策と並ぶ、墨田区が誇る数少ない先進事例であると思います。区長が就任した一年目に行われた第10回食育推進全国大会の開催を終え、「ポスト大会」として、これまでの成果を検証し、更に大きく広げていく取組みが、いままさに求められています。
まず、食育を担う人材育成についてです。本区では、食育を推進するのは「人」であるという観点から、平成20年度より、食育を推進する中核となる人材の育成を積極的に進めており、「すみだ食育推進リーダー育成講習会」を開催し、リーダーの育成を行いました。まさに「人」つながる墨田区の施策はここに原点があったといっても過言ではないでしょう。これまで71人の方が講習会を巣立ってきましたが、平成25年を最後に新たな講習は行われていません。先に傍聴した平成29年度第2回すみだ食育推進会議では、民間委員からこうした点も指摘されたところですが、今後、こうした取組みを復活させ、さらなる民間人材の裾野を広げる取組みをすべきではないかと考えますが、区長の見解を求めます。
また、ポスト大会として、これまで国の所管官庁との関係で保健所で行われてきた取組みを、「地域力日本一」を目指す枠組みに再編成し、より全庁横断的な取組みを推進するため、所管の変更を含めた検討を求めますが、区長の見解を伺います。昨年第二回定例会では、現在開かれている庁内の食育推進会議は欠席が多く、参加者が減らされてしまったことを指摘し、改善を求めました。これは全庁的な意識が不足していることの証左であります。区長には、食育のあたたかい火を消さない取組みを強く求めます。

* * *

以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

定例会代表質問

墨田区議会自由民主党の田中友です。会派を代表して区長並びに教育長に質問いたします。
はじめに、区長の平成30年度施政方針及び平成30年度予算編成について伺います。

平成28年に策定した墨田区総合戦略及び墨田区基本計画の中で、区長は「暮らしたいまち」「働き続けたいまち」「訪れたいまち」の実現を目指す、「すみだの“夢”実現プロジェクト」を掲げ、これまで実質2年間の区政運営にあたってきました。

施政方針の中で区長は、「平成29年度は、“すみだの夢”実現に向けた着実な事業推進により、新たなステージを切り拓く予算と位置付け、基本計画に掲げた“夢”実現プロジェクトが本格始動するとともに、計画に掲げる各施策を着実に推進しています。」と述べています。
墨田区総合戦略では平成31年度時点での数値目標及び重要業績評価指標を、墨田区基本計画では平成32年度時点での施策の達成をはかる指標の中間目標値を設けています。平成30年度は、山本区長の今任期の実質的な最終年度に当たることから、これまでの各指標についての達成度を検証して予算編成にあたったものと考えます。また、総合戦略及び基本計画では、PDCAサイクルにより事業の効果の検証を行い、継続的に改善・改革すると謳っています。
区長には、基本計画における各指標の中間目標値に対する達成度を示していただき、これまでの「すみだの“夢”実現プロジェクト」の進捗状況を知らせていただきたい。また、29年度までの各事業のPDCAサイクルの結果、30年度予算へどのような反映があったのか合わせて伺います。

続いて、更なる行財政改革の推進について伺います。
平成30年度予算は、一般会計が1192億5500万円で、約80億円増となりました。歳入面では、納税義務者数や区民所得の伸びにより、特別区税が3億4400万円の増、景気回復に伴う市町村民税法人分の大幅な伸びによる特別区交付金の26億800万円の増が見込まれています。しかし、国による地方消費税清算基準見直しにより、地方消費税交付金が6億5300万円の減収となる他、市町村民税法人分の一部国税化の影響により、特別区交付金の伸びが著しく抑えられるなど、非常に厳しい歳入環境にあります。区長の現在の認識及び今後の見通しをまず伺います。
歳出面においては、民生費のみで一般会計予算額の56%を占める、671億4500万円となっています。今後の少子高齢化社会の進行により、社会保障費の増大は続くものと考えられます。また、平成30年度予算では、基金からの繰り入れを増やすほか、起債も増加しています。この度の予算編成では、景気回復による特別区交付金の増に助けられた部分が非常に大きいと推察します。しかし、今後景気回復が一段落するなど、歳入の伸びが見込めなくなった場合、非常に難しい財政運営を強いられることが予想されますが、区長の認識を伺います。

30年度予算においては、事務事業の廃止や、補助金事業の見直し等の効率化により、約3億8000万円の削減を行うなど、行財政改革の取り組みを進めています。また、区民税・国民健康保険料の収納率向上の取組や、私的債権の管理体制の効率化、ICTの活用による業務改善等、引き続き行財政改革を推進する姿勢については評価します。しかし、現在の財政状況を考えると、更なる行財政改革の推進が必要です。
行財政改革実施計画や第2次公共施設マネジメント実行計画の取組について、平成30年度においての着実な実行に加え、可能な限りの前倒しを求めますが、区長の見解を伺います。

また、各公共施設ついて、稼働率向上による使用料収入の増加を目指し、利用者ニーズを的確に把握し、備品の追加等適切な措置を取っていくことを求めます。長期的な管理運営費の抑制につながるほか、区民活動の活性化や健康寿命の増進にも寄与するのではないでしょうか。区長の見解を伺います。加えて、利用者が限定的となっている施設については、一定の判断の下、廃止・譲渡・売却による公共施設総量の抑制を検討する時期ではないかと考えますが、区長の見解を求めます。

次に、平成30年度予算案の中の、具体的な事業について伺います。
第一は、各種ファミリー世帯の定住促進施策についてです。これらの施策の実施により、墨田区の子育て支援へのイメージが向上し、多くの方々に転入していただくことを期待しています。一方で、居住年数が保育所の優先順位に入っている、学童クラブの定員が不足しているなど、転入促進と相反する状況が散見されます。新規事業を実施する際には、政策目的と現状の齟齬を解消し、より実効性の高いものにしていく必要があると考えますが、区長の所見を伺います。
第二は、東京2020オリンピック・パラリンピック関連予算についてです。報道では、国技館でのボクシング競技の実施の有無が取り沙汰されていますが、何か動きがあるのか伺います。

昨年9月に墨田区オリンピック・パラリンピック地域協議会が発足し、30年度予算で具体的な活動が開始されます。区民全体を巻き込んだ気運醸成を図るため、未来枠の若者世代をはじめ、広く意見を聴取し、区の取組に反映していく仕組みの構築を求めます。また、地域協議会の中で、大会後の墨田区のあるべき姿、方向性を示すことができるよう、区としての支援を求めます。区長の見解を伺います。

オリンピック・パラリンピック大会は、大会後も含めて、区内の小中学生をはじめあらゆる世代の学びのきっかけになると考えます。長野冬季大会の「一校一国運動」のような、息の長い活動が根付くことを期待しています。学校現場や区民活動において、現時点ではどのような取り組みを考えているのか、区長及び教育長に伺います。

次に、大学誘致について伺います。千葉大学及びi専門職大学の誘致が決定したことは、私たちとしても大変喜ばしく、山本区政1期目の大きな成果と高く評価します。その上で、今後の展開に関して2点質問します。
第一に、地域との関係について伺います。
現在、地域住民や学校、教育関係者らでつくる「跡地利用・まちづくりに関する住民協議会」において地域からの要望事項について、鋭意議論が進められています。過日行われた協議会では、i専門職大学が大学図書館や学生食堂の地域開放、区民向けの生涯学習講座の開催等、多彩な地域貢献の具体策について説明を行いました。大学誘致の経済的効果を区民が享受するためには、大学の建設や管理・清掃業務、学生食堂における食材発注等で、区内業者を指定するよう、地域貢献に加えて、区として大学側に求めていくことが重要と考えますが、区長の考えを伺います。

また、住民側からは、将来、通学路となる十間橋通りや曳舟たから通りについて、大学の開設に合わせて整備することが重要であり、大学を迎える地元住民としてもおもてなしの心をもって臨みたいとの意見が多く出されました。将来的にこれらの道路は拡幅が予定されてはいるものの、大学開設に合わせた計画とはなっていません。現在の状況のまま、例えば舗装や交通安全施設の改修、樹木の整備等を行うことが必要であると考えますが、区長の見解を伺います。

更に、文花子育てひろばが、突如として大学誘致予定地に移設されるとの話は、住民としては寝耳に水との意見も多く出されました。同予定地に建設する理由、容積率の余裕、他の施設との合築等、論点は多岐にわたります。長らく仮設だった子育てひろばの移設が必要なことは理解しており、その観点で補正予算案に賛成していますが、こうした論点については、住民や議会に対して説明不足の感が否めません。これらについて丁寧な説明を求めますが、区長の答弁を求めます。
また、今回示された青写真では、「将来活用用地」が暫定的に位置づけられますが、公有地の有効活用の観点から、当面は地域と大学をつなぐ機能として積極的に用いるべきかと考えますが、区長の見解を求めます。

更に、千葉大学による建築デザイン発表会等、一歩ずつ大学のあるまちづくりに向けてのソフト面の充実が図られてきています。大学開設とポスト大学開設への対応こそ、今後の墨田区の発展の礎となる重要政策です。開設まで残り2年となった中で、こうした大学と地域との連携の具体策について、現時点で考えているものがあればお知らせください。
第二に、今月6日閣議決定された「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案」について伺います。
この中で、地域における大学振興・若者雇用創出のための交付金制度が新設される予定となっています。本区としてこれに対応する計画や会議体を設置し、国からの交付金を受けるように調査検討する必要があると考えますが、区長の見解を伺います。

また、これに併せて23区全体を「特定地域」として政令で指定し、大学等の学生の収容定員の抑制について法制化する予定です。この中で専門職大学が例外となるものの、千葉大学が例外要件にあたるよう、国との積極的な折衝が重要であると考えます。現在の状況についてお示し願います。

更に、同法案では本区にも地域における若者の雇用機会の創出について講じる努力義務が課せられますが、この具体策についてもお示しください。
次に、新保健センターの整備について伺います。

昨年第一回定例会におけるわが会派の代表質問に対し、区長は、土地取得に関して難航しており、計画の遅れを最小限にとどめるため、デザインビルドなどの整備手法の導入についても検討し、平成34年度までの完成を目指す、と答弁されました。そこで、まず現在の検討状況について伺います。また、デザインビルドを導入する場合、施工者側に立った設計になりやすいというデメリットを解消するため、併せてCM方式を導入し、発注者としての区が技術的助言を受ける方策を導入する必要があると考えますが、この点も併せて伺います。更に、こうした新たな整備手法による削減効果の見込みについても答弁願います。

昨年第三回定例会において「墨田区新保健センター等複合施設整備基本計画」が示されましたが、既存施設の整理統合を最優先した結果、背景にあるビジョンに乏しいものになっていると評価せざるを得ません。新保健センターを公共施設として活用する60年の間、社会はどうなっていて、どのようなビジョンで墨田区民の健康を守っていくのか、健康増進法やすみだ健康づくり総合計画との関係について、同計画にはこの記載が一切ありません。区長は60年先の社会をどう捉え、これに備えて保健センターをどのようなビジョンの下に位置付けようとしているのでしょうか。

また、この計画をつくる前提としてのヒアリングは庁内に限られており、庁外の関係者の皆さんには、現在、事後的にヒアリングを行っている状況です。
そこで、より具体的な計画をつくり、医療介護関係者や一般区民を交えたワークショップで練り上げていくことが重要だと考えます。この点について、区長の見解を求めます。

今後長期間にわたって用いるこうした公共施設については、庁内で検討するだけではなく、さまざまなステークホルダーを交えたワークショップで練り上げていくことが重要だと考え、これこそ区長の言う「地域力」の醸成につながるものと確信します。今後、類似の公共施設に関してこうした手法を積極的に検討すべきかと考えますが、区長の見解を伺います。

次に、住宅宿泊事業法への区としての対応について伺います。
6月の住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法施行を前に、3月から、民泊事業者の届け出が全国で始まります。民泊新法への対応としては、都市計画法における用途地域や曜日指定による規制、区内全域での規制、新法による民泊自体を認めない等、墨田区を含む4区以外は23区それぞれで独自の条例制定を行い、民泊を制限する方向を明確に打ち出しています。
わが会派は、昨年の第二回定例会以降、再三にわたって条例化について投げかけてきましたが、このたび条例化を見送ることになった経緯と、他の自治体と本区の判断の違いについて区長に伺います。また、条例化を行わないことによるメリットについても合わせて伺います。

東京都では、間もなく「住宅宿泊事業の実施運営に関するガイドライン」が策定され、一定の方向性が示されると思われますが、住宅宿泊事業への対応は、登録、騒音やゴミ出し等迷惑行為、消防設備、旅館業法違反等、多様な部署・機関が関係しており、全庁的な連携が必要です。今後、区として具体的にどのような体制、組織で対応していくのか、区長に伺います。

新法が施行される6月からは、区が無許可の物件に立ち入ることができ、報告を聴取することも可能となります。法に則った厳格な指導を行うことにより、区民の不安が払拭されることを期待しています。これらの対応は通常の業務の中で行われていくと仄聞していますが、十分な体制は確保できているのでしょうか。違法民泊への対応は区民の関心も高いため、新法施行後当面の間は、十分な人員と予算を確保し、迅速かつ臨機応変に動ける体制を確立しておくべきと考えますが、区長の見解を伺います。

あわせて、簡易宿所に関しても伺います。第四回定例会で触れましたが、本区の旅館業法における申請の動向をみると、簡易宿所が増加しており、6月の新法施行後には約50件となる見込みです。簡易宿所は、旅館業法で定められた宿泊施設ですが、区民には、違法民泊との区別がつきにくく、不審に思われている事例も仄聞しています。区内の簡易宿所等、旅館業者は個性的でユニークなサービスを提供しており、すみだらしいおもてなしが受けられるため、観光振興に大きく寄与しています。この点と簡易宿所は許可を得て適法に運営されていることを区民に周知することで、理解が広まり、安心につながると考えます。区長の見解をお聞かせ下さい。

旅館業や新法における民泊への支援は観光振興施策である一方、直接的な指導・監督は保健衛生が行うことになっています。自治体という組織の役割分担の中で、指導と支援のバランスをどのように取っていくかが重要ですが、区長の方針を伺います。

また、日本版DMOの中でも、宿泊場所は重要な要素です。対外的な観光プロモーションの中で、個性的なサービスを提供する簡易宿所の案内は有効ではないでしょうか。高付加価値商品の開発につながる可能性もあるため、観光協会との連携を検討していただきたいが、区長の考えを伺います。

なおこの際、地域全体に観光経済波及効果をもたらすことが期待されるDMOについても伺います。現在墨田区観光協会は23区初の候補法人でありますが、正式法人昇格への道が開けてきたと聞いています。現状についてお知らせ下さい。また、2年目に入るDMO事業の現在の取組について合わせて伺います。

次に、無電柱化の推進について伺います。
墨田区では、東京スカイツリーの開業や、曳舟駅周辺整備事業、東京オリンピック・パラリンピック競技会周辺整備に合わせて、主に景観整備として電線類地中化を行っています。
一方で、住宅密集地を多く抱える墨田区では、避難路と輸送路の確保という災害対策の観点に重きを置いて、区道の無電柱化を推進していくべきであると考えますが、区長の所見を伺います。

無電柱化の推進に関しては、平成29年度から東京都が「無電柱化チャレンジ支援事業制度」によって、無電柱化推進計画の策定や路線の検討に都費の補助を始めています。墨田区も30年度予算で、この制度を活用して無電柱化整備計画の策定を行う予定ですが、具体的に想定している路線について区長に伺います。我々としては、区道の中でも木造密集地域に近く、幹線道路同士をつなぐ路線から優先的に整備を行うべきであると考えます。加えて、今回の整備計画策定にあたっての都費の補助割合と、実際に無電柱化整備を行う際の区費の負担割合についてお知らせ下さい。
また、無電柱化整備計画の策定を行い、整備路線を決定した場合、墨田区として条例を定めて当該路線での電柱の新設等を制限することを視野に入れる必要があると考えますが、区長の見解を伺います。

次にすみだの教育について質問いたします。 平成27年第4回定例会本会議で加藤教育長は、教育委員会制度改正後の初教育長として、所信表明をされました。「自信を育む教育の推進」、「不登校対策の効果的な推進」、「すみだの地域特性を活かした国際化への対応」、「教育委員会運営のさらなる活性化」、「教育委員会事務局の組織体制の強化」の5つの視点で、施策の推進に取り組むと力強く述べました。まず、本年には就任から3年を迎えられます加藤教育長に、すみだの教育の現状認識について率直にお聞かせいただきたい。
それでは墨田区学力向上新3ヵ年計画について伺います。

平成25年度から27年度の前期計画では、目標は達成できず、教育委員会、学校、地域、家庭が様々な取り組みを行っているが、必ずしも学力向上に結びついていないと総括されていますが、その要因をどのように分析されているのか伺います。

東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の「子供の学習実態に関する調査結果」では、勉強が嫌いな児童生徒の割合は、学年が上がるに連れて増加傾向になり、中学2年で6割近くに達し、つまずきやすい学習内容が増える時期に学習方法の工夫が求められると指摘しています。本区においてもこの調査結果と符合する点があると思いますが、教育長の見解を求めます。

そして前計画の課題を踏まえ、策定された現計画の下で、平成29年度には、墨田区学習状況調査の目標値達成が小学校で8、中学校で5と増えており、一定の成果が見られています。最終年度である30年度へ向け、目標達成への見通しをお聞かせください。

また、2020年度に実施される小学校の英語の教科化に向け、人材や授業時間の確保といった課題がありますが、どのような体制で臨むのかこの際教育長に伺います。

次に墨田区幼保小中一貫教育推進計画についてお尋ねします。
今定例会の常任委員会で報告を受けることになっていますが、改定される内容の方向性について伺います。 1月29日に開催された平成29年度墨田区幼保小中一貫教育フォーラムでは、各ブロックから熱の入った発表があり、課題解決のためにご苦労されている教育現場の様子を伺い知ることができました。
そこで、推進計画の改定に至る背景についてどのような議論が展開されてきたのかお知らせ願います。平成24年2月、「小1プロブレム」の問題や、「中1ギャップ」の問題等は、教育の接続段階での大きな課題と捉え、教育の現状を改善するために、現計画は策定されたものと認識しています。これまでの取り組みをどのように評価し、総括しているのでしょうか。また、現在の課題と次期推進計画で示される解決の道筋についても合わせて教育長に伺います。

今後は教育委員会としての意向を明確に示し、各ブロックで温度差の無い共通の取組を推進する、可能な限り数値化した明確な目標を設定するなど、より踏み込んだ内容を期待していますが、改定計画と現計画の具体的に異なる点を教育長に伺います。

いずれにいたしましても、従来に増して、本区の教育課題に答えられる実効性がある改定計画となることを強く望みます。

最後に、防災教育について伺います。
平成30年度予算に防災教育の一環として、中学校1年生の全生徒が、普通救命講習を受講・修了し、救命技能の認定証を獲得するという提案が盛り込まれています。この事業の成果として、各地域で行われている防災訓練に積極的に参加する意識を芽生えさせ、地域に貢献する意識を高める、また大規模災害等の発生時に活躍できる地域人材となることが期待されます。

まず、生徒たちの防災意識向上の指導方法と、講習を受けた生徒たちの、地域の訓練等での貢献策についてお聞かせください。

次に 継続性の面から、31年度以降の実施についての方向性と、受講後の授業での反映について伺います。
また、中学校が避難所になる可能性を考慮し、地域の方に学校の訓練を公開することの検討を求めます。教育長の見解を伺います。

加えて、防災課と教育委員会が連携して、中学校卒業後にも、受講した生徒が地域防災のために貢献できる仕組みを検討していただきたい。学校の地域貢献が叫ばれる昨今、学校と地域の関りをより深めることが期待されます。
区長・教育長の見解を求め質問を終わらせていただきます。

ご清聴ありがとうございました。

 

 


区長答弁要旨

(区長答弁)1 施政方針について

  「すみだの“夢”実現プロジェクト」の着実な取組みについてですが、ここに掲げる主要事業に関しては、毎月部長会で進捗管理を行っていますが、来年度は基本計画前期の折り返し時期を迎えることから、この2か年の事業進捗や成果、並びに課題を抽出して、政策のブラッシュアップにつなげていく必要があると考えています。そこで、来年度の住民意識調査を活用して、可能な範囲で施策の評価指標により、達成度を把握するとともに、主要事業の取組状況や課題を整理し、取りまとめていきます。次に、PDCAマネジメントサイクルを反映した、事業の見直し・改善による30年度予算への対応ですが、健康ハウスの廃止、借上型区民住宅の終了、新分野参入人材育成支援事業の見直しなどにより、前年度比で3億8千万円の削減となっています。

次に、更なる行財政改革の推進についてです。まず、歳入環境及び今後の財政運営についての、私の認識です。30年度予算においては、国における地方消費税清算基準の抜本的な見直しにより、地方消費税交付金は減収を見込んでいます。また、納税義務者数や区民所得の伸びによる特別区民税の増や、一部国税化の影響はありつつも、法人住民税の大幅な伸びにより、特別区交付金の増も見込んでいます。しかしながら、今後、消費税率が 10%になる段階で、更なる国税化による法人住民税の減収等が想定されるとともに、ふるさと納税による減収の影響など、今後の歳入環境は先行き不透明であり、予断を許さない状況にあるものと認識しています。一方、歳出面においても、今後ますます社会保障費の増大が見込まれることから、景気の変動などにより歳入環境が大きく変化した場合には、今以上の徹底した行財政改革を行い、適切な財政運営に努めることが重要と認識しています。次に、行財政改革実施計画や第2次公共施設マネジメント実行計画の取組みについてです。持続可能な行政基盤の確立と簡素で効率的な行政システムの構築へ向け、両計画に基づく取組みを進めていますが、日々変化する環境においては、なお一層の行財政改革が求められる状況にあると認識しています。したがって、30年度においても、着実な実行に努め、前倒しして取り組めるものについては、積極的に取り組んでいきます。次に、施設の稼働率向上による使用料収入の増加や、区民活動の活性化等に向けた利用者ニーズの把握、備品の追加等適切な措置についてです。各施設においては、随時、利用者アンケートを実施していますが、更なるサービスの向上に努めていきます。また、このほかの区民ニーズについても、住民意識調査などにより把握し、適切な施設の設置・管理運営に努めていきます。

こうした取組みにより、施設の稼働率の向上を図り、使用料収入の増加につなげていきます。

加えて、利用者が限定的となっている施設については、受益者負担の公平性の観点から、住民意識調査などの区民ニーズも考慮のうえ、廃止や譲渡、売却を含め、施設保有総量の抑制につなげていくことを検討していきます。

 次に、新規事業を実施する際には、政策目的と現状の齟齬を解消し、より実効性の高いものにしていく必要があることについてです。本区の人口政策上の最重要課題である、ファミリー世帯の定住促進に関して、来年度予算案で新規事業を提案していますが、ご指摘のとおり、様々なニーズに配慮し、子育て環境の整備に取り組んでいく必要があると考えています。こうした点を踏まえ、待機児解消や放課後の居場所づくりの推進、教育環境の充実など、子育て環境の向上のために対応すべき課題について、総合的な観点から予算編成を行ったところです。

 次に、東京2020オリンピック・パラリンピック関連予算についてです。まず、ボクシング競技除外に関する報道についてです。先日、IOC会長が、東京大会におけるボクシング競技除外の可能性について発言したとの報道がありました。報道によれば、IOCは国際ボクシング協会に対し、4月末までに報告書を再提出するよう求め、5月のIOC理事会で承認を諮る予定とのことです。大会組織委員会に状況の確認をしましたが、報道されている以上の情報はなく、事態の推移を見守るとのことでした。今後も、競技会場を抱える区として、引き続き、大会組織委員会や東京都と連携を密にして情報収集に努めながら、大会に向けた準備を進めていきます。地域協議会の活動については、情報提供、意見交換、そして議論を進めていく中で、未来枠の若い人たちを中心にした自主的な取組が具現化されるための予算を計上しています。その際には、地域協議会の皆さんの協力を得ながら、地域の中で実施できる体制を整えていきます。また、大会後の本区のあるべき姿、方向性については、気運醸成の過程を通じ、これまでの地域の課題も考えていただき、区の施策と同一歩調をとっていくことができるように進めていきます。次に、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機とした持続可能な取組みについてですが、これを機に、次の世代に確実に遺していくものを生み出すことが必要であり、2018年度の取組みが非常に重要ですので、議論を深め、国際文化観光都市の進展につながる具体的な取組みを行う考えです。

2 大学誘致と地域等の交流について

  大学の建設等における区内業者の活用についてですが、各大学は費用の最適化などの

観点から、既に取引実績のある事業者への一括発注などを検討することも想定されますが、  今後、区内事業者への業務発注を行って頂けるよう働きかけていきます。

次に、通学路の舗装や交通安全施設の改修等についてですが、大学への通学路としては、小村井駅のほか、押上駅、曳舟駅などからの、多様な通学ルートが想定されます。このため、開校後、学生・職員の通学・通勤ルートと交通量の変化などを勘案した上で、改めて検討したいと考えています。

次に、文花子育てひろばの移設については、近隣での移設先を検討していました。しかし、施設の諸条件に見合う移転先が見つからなかったこと、大学整備用地の活用構想を検討している中で、用地内に、容積率に関わらず、近隣との関係で、低層の建物の設置にしか適さない箇所があったこと、ひろばの運営を支えている地元ボランティアの皆さん等とのつながりを継続していくためには、遠方への移転が望ましくないこと、などを総合的に考慮し、新たな施設を加えることなく、現在のひろばと同じ敷地内で移設することとしましたので、ご理解をお願いします。

次に、将来活用用地についてですが、今後、文花子育てひろばの移設工事や、旧すみだ中小企業センターの改修工事に伴い、工事車両の通行や建設資材の保管などに使用することが見込まれています。移設工事等の完了後には用地が活用されるよう、千葉大学による有効利用に関する協議や、更なる大学誘致活動など、「知の拠点」づくりに精力的に取り組んでいきます。なお、大学整備用地の活用については、まず、区が現在策定している大学整備用地活用構想のなかで、キャンパス全体が地域に開かれた開放的な空間としてデザインされており、これを受けて、大学は、地域の方が活用できるキャンパスを構想していますので、ご指摘の地域と大学がつながる機能が果たされるものと考えます。

次に、大学と地域との連携の具体策についてですが、これまで、千葉大学生による文花・京島地域でのフィールドワークや、旧すみだ中小企業センターの改修案の展示・発表会等を行ってきました。現在、千葉大学写真部が、風景や名所、日常など、すみだの魅力的な場面を撮影したものを、区公式 SNS で発信するなどの取組みを進めており、今後、千葉大学生に、子どもたちの学力向上支援事業に携わる学生ボランティアとしての参加への働きかけ等も行っていきます。

次に、地域における大学振興・若者雇用創出のための交付金制度についてですが、当該交付金の制度は、東京圏への流出により、若者が減少している地域の活力を向上させること等を目的としています。このため、交付金の交付対象となるかどうかも含め、国の制度設計を注視していきます。

次に、千葉大学が例外適用されるかについてです。千葉大学からは、デザイン・建築スクールの本区への進出は、学部の新設や定員増を伴わない、機能強化の一環であるため、 23 区内での大学等の学生の収容定員の抑制を図る法案が成立した場合でも、抑制されないものと伺っています。

次に、若者の雇用機会の創出についてですが、法案では、地方公共団体は「地域における若者の修学及び就業を促進するよう所要の施策を策定し、実施する責務を有する」としており、今後、地方の定義など、国の考え方の詳細が示されるのを待って、具体的な施策の検討を進めていきます。

3 新保健センターの整備について

  現在の検討状況についてです。当該施設の計画は、昨年の第3回定例会において、「墨田区新保健センター等複合施設整備基本計画」を策定し、ご報告させていただきました。その中で、建設候補地である都有地において、地下埋設物の調査が必要となり、土地取得が平成30年度中となることが想定されるため、当初目指していた33年度の完成予定を34年度と修正させていただいたところです。なお、今月中には、都に対して買受申請を予定しており、土地取得に向けた手続きを順次進めていきます。このような状況のもとで、計画の遅れを最小限に留めるためには、整備基本計画の検討のなかで、設計・施工一括発注方式、いわゆる「デザイン・ビルド方式」が、最も有効であると判断したことから、導入にむけた予算を計上したところです。この方式のメリットとしては、施工者のノウハウや、固有技術等の活用、工期の短縮、コストの縮減などがありますが、ご指摘のデメリットがあるのも事実です。そこで、設計・施工など各段階において、技術的な中立性を保ちつつ、発注者の側に立った、工程管理、品質管理、コスト管理などの各種マネジメント業務、いわゆるコンストラクション・マネジメント業務委託を導入したいと考えています。これによる削減効果については、現在のところ、具体的な金額は算出できませんが、この方式は、大規模複合施設において、従来方式と比較すると、品質管理や、コストコントロールなどに優れた手法であると考えており、計画でお示ししている45億円を超えないように整備を進めていきます。

次に、60年先の社会をどう捉え、保健センターをどのようなビジョンの下に位置づけようとしているのかについてです。新保健施設開設後60年後の社会は、健康増進法や、すみだ健康づくり総合計画の着実な進展により、高齢社会は進むものの、健康寿命と平均寿命の差が縮小し、お年寄りや若者も、障害や難病のある方も、誰もが生きがいを感じられる総活躍社会を目指しています。そこで、新保健施設では、生涯健康都市の実現に向けて、区民の健康を「いつでも」「だれでも」しっかり支えるための保健サービス全般を充実し、区民の健康づくりや母子保健、災害医療体制の拠点とします。

次に、ワークショップ等の重要性についてです。平成30年度に、新施設のデザイン・ビルド発注に向けて、先ほどのコンストラクション・マネジメント業務委託を活用して、要求水準の作成等を行っていきます。そのなかで、区民の方や、新施設の関係者に、ワークショップ形式などの意見を伺う機会も検討します。

次に、今後の施設整備についてです。施設の建設・改修を行うときには、そこで何をやるのか、どのように利用してもらうのかを明確にして、将来を見通した行政サービスの必要性やあり方を踏まえ、整備していくことが重要であると考えています。新保健センター等複合施設整備基本計画の策定にあたっては、区民委員と有識者による懇談会の開催や、区民の方へのインタビューを行いましたが、今後、類似の施設整備の際は、状況に応じて、ご指摘のような、ステークホルダーを交えたワークショップ等の実施について、検討していきます。

4 住宅宿泊事業法への対応について

  独自条例を制定しなかった経緯と、他の自治体との判断の相違などについてです。住宅宿泊事業法及びそのガイドラインでは、一定のルールが示され、住居専用地域のない本区においては、独自の条例で制限することなく、法にのっとった届出を促し、適切な指導を行うことによって、健全な民泊の普及が図られ、国が意図するオリパラに向けた外国人観光客の受け皿となるというメリットがあるものと判断しました。また、無届の住宅宿泊事業は、旅館業法で無許可営業として取締りが強化されるので、これにより、区が適切に対応することによって、区民の不安も払しょくできるものと考えています。

次に、住宅宿泊事業の指導についてです。これまでも、違法民泊に対して、全庁的に連携して指導してきましたので、今後は、保健衛生担当が窓口となって、警察、消防など関係機関とも積極的に情報共有をしながら、指導していきます。そのために、今までの指導の実績を活かして、各機関が持つ情報を共有できる場の設定についても検討します。

次に、新法施行後の初動体制についてです。当面は、旅館業に対する監視指導の経験をフルに活かして、組織を充実するとともに、適切な予算で、迅速かつ柔軟に対応していきます。適法な簡易宿所の周知についてですが、ご指摘のとおり、住宅宿泊事業法や旅館業法の正しい情報をアナウンスし、区民の皆様の安心につなげることは、区の責務であると考えますので、適切に対応していきます。

次に、保健衛生と観光振興との関係についてです。現在、区内に外国人向けの簡易宿所が増加しており、多くのお客様が区内に宿泊し、区内観光を楽しんでいただくことは、望ましいことですが、一方で、これらが適法に運営され、区民が安心して生活することができることも重要ですので、庁内組織が連携して、指導と支援のバランスを取った対応を図る必要があると考えます。

次に、観光協会との連携についてです。現在、いくつかの大手民泊、宿泊事業者から、観光分野での連携等について、様々なご相談が寄せられています。区としても、宿泊施設内への観光パンフレットの配置や、観光案内所との連携などの有効な支援を行っていきます。

次に、DMOについてですが、現在、墨田区観光協会では、DMO法人としての登録に必要な成果指標等を取りまとめ、先般、正式登録に向けた申請を行ったところです。審査が順当に進めば、年度内に正式登録が受けられるとのことですので、引き続き、協会を支援していきます。

次に、DMO推進事業の取組状況についてです。墨田区観光協会では、DMO候補法人として、神社仏閣、美術館等の観光施設や宿泊事業者、伝統工芸職人等と連携し、広く国内外に対するプロモーション活動や観光誘客に取り組んでいます。主な取組として、観光庁の「地域資源を活用した観光地魅力創造事業」を活用し、欧米富裕層向けの旅行商品の開発を進めています。事業期間は、3年間を想定しており、今年度はモデルコースの開発と、受入体制の構築に向けた検討を進めており、30年度には、海外の旅行エージェントや欧米富裕層向けのモニターツアーを実施し、31年度からの本格始動を目標としています。大相撲やすみだ北斎美術館、向島の料亭など、「すみだ」ならではの観光コンテンツを活かし、質の高いツアーの実施を目指します。

5 無電柱化促進について

災害対策に重きを置いた無電柱化の推進についてです。ご指摘の災害時の避難路や輸送路における、防災面からの無電柱化については、住宅密集地を抱える本区において、その必要性があると考えています。無電柱化整備計画における具体的な整備路線については、現在、東京都の「無電柱化チャレンジ支援事業制度」を活用して、「災害に強いまち」、「安心して通行できる道路空間」、「良好な都市景観」という3つの観点から基本方針を策定・検討しています。今後、これに基づき、ご質問にある整備計画を策定しますので、そのなかで、事業効果の高い路線を優先整備路線として指定して行きたいと考えています。また、チャレンジ補助事業における調査・設計・計画策定に係る費用は東京都の全額補助であり、工事費については国費対象額のうち、国庫補助が55%、都補助が45%となっていますが、既設道路の掘削や、構造物撤去など、全体事業費の4割程度が区の負担となります。

次に、電柱の新設等を制限する条例についてです。電柱等の占用規制をかける道路法の一部改正案が、過日閣議決定されたので、改正内容や他自治体の動向を注視しながら、無電柱化の推進に向けた必要な措置について検討していきます。

6 すみだの教育について

  防災教育に関して、中学卒業後の地域防災活動への貢献についてです。区では、これまで中学一年生全員に「すみだ防災ガイド」を配布し、防災の基礎知識を学ぶ取組みを行ってきました。また、区民防災訓練では、町会・自治会から、学校やPTAを通し、児童生徒の参加を促している事例もあり、開催日、場所等のスケジュールを区のホームページで公表し、訓練参加を促しています。今後とも、教育委員会と連携し、さまざまな情報提供を行い、地域で行われる防災活動への自主的参加を進めていきます。中学生の皆さんには、今回の普通救命講習の受講をはじめ、さまざまな防災教育の機会を通して、地域貢献への意識を高めていただき、卒業後においても地域社会のために活躍できる人材となるよう期待しているところです。

(教育長答弁)1 施政方針について

  学校現場におけるオリンピック・パラリンピックへの取組についてです。

教育委員会では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を幼児・児童・生徒の教育にとって重要な機会と捉え、オリンピック、パラリンピック教育を幼稚園、小学校、中学校で展開しています。今年度は、「重点的に育成すべき5つの資質」として「ボランティアマインド」、「障害者理解」、「スポーツ志向」、「日本人としての自覚と誇り」、「豊かな国際感覚」の視点を重点として、オリンピアン、パラリンピアンとの交流や、学校ごとに大会参加予定国、地域について幅広く学び、実際の国際交流に発展させる取組である「世界ともだちプロジェクト」及び、その他、各教科の内容に関連付けたオリンピック・パラリンピック教育をすすめています。平成 30 年度においても、同様の取組を実施していく予定です。東京大会以降もレガシーを価値あるものとして形成し、教育活動を展開していきます。

6 すみだの教育について

次に、すみだの教育の現状ですが、私は教育長として、夢と希望にあふれる素晴らしい子どもを育成するため、知・徳・体のバランスのとれた教育を行うことを施策にかかげて、様々な教育課題の解決に取り組んできました。「自信を育む教育の推進」や「地域特性を活かした国際化への対応」など5つの方向性を示し教育施策を進め、5つの方向性の視点から、すみだ教育指針や墨田区学力向上新3か年計画の策定を行っていますが、今後とも課題解決に着実に取り組む必要性を感じています。特に学力向上の取組については、私としても重点事項として取り組んできています。その学力向上の、前計画である「墨田区学力向上3か年計画」の総括についてですが、平成25年度から27年度までの前計画では、「D・E層の割合を40%以下にする」という目標を設定したものの、平成27年度は、延べ30教科のうち11教科が目標を達成していませんでした。その要因としては、「教育委員会と学校との連携・協働が十分とは言えない」こと、「全ての教員に施策の方向性等が十分伝わっていない」こと、「一部の児童・生徒の家庭学習時間が不足している」こと、また、「家庭等に対して、家庭学習の重要性が十分に伝わっていない」ことであると分析しています。このような前計画の総括をふまえ、現在の計画を策定しました。

次に、学年が上がるにつれて学習につまずきが出やすくなることについては、区学習状況調査においても同様に、D・E層の割合は、学年が上がるにつれて増加傾向にあることから、まずは、学習内容を現学年のうちに定着させることが重要であると考えます。そこで、平成28年度から、全ての小・中学校において、学習内容の定着のための「ふりかえり期間」を設定し、校長のリーダーシップのもと、定着を強化する取組を組織的に展開しています。教育委員会としては、学校で活用できる教材をより多く開発し、学校ICTの取組なども利用しながら、各学校へ提供し、活用を促しています。また、区学習状況調査結果から明らかになった課題のある個々の学習内容について、指導のポイントを作成し、各学校へ提供し、授業力向上を図る取組も行っています。平成30年度に向けては、つまずきやすい単元について、ふりかえりのための教材開発や指導のポイント集の作成などを強化し、引き続き課題に応じた学力向上の取組を継続させつつ、特に教員が「何を教えたか」ではなく、児童・生徒が「何が分かったか・できたか」を重視した指導を行う授業力向上を推進し、児童・生徒に授業内容を確実に定着させることで、墨田区学力向上新3か年計画の目標値の達成を目指していきたいと考えています。

次に、小学校の英語の教科化等への対応についてです。まず、外国語・英語教育にあたる人材の確保につきましては、今後も学級担任が指導することを基本に考えています。そのため、小学校外国語教育研修会を通して、外国語の指導力向上に引き続き取り組んでいきます。教員の発話技能を補うものとして、音声教材や国のインターネット配信による動画等の活用を推奨していきます。また、教員自身の英語力や指導力を高めるために、東京都教育委員会が行っている英語免許状取得促進事業や英検などの資格取得につながる研修についても、教員が積極的に受講していくよう働き掛けていきます。さらに、小学校5・6年生における外国人講師の配置時間の増加を計画しており、児童がネイティブ・スピーカーによる発音に触れる機会を確保するとともに、外国語のコミュニケーションに慣れ・親しみ、主体的にコミュニケーションを図ることができるようにしていきます。小学校の英語専科教員や加配等の教員配置については、東京都教育委員会の今後の方針等を注視していきます。

次に、授業時間数確保についてです。平成 32 年度の学習指導要領の全面実施に向けて、区立学校では、平成 30・31 年度の移行期間は、段階的に授業時間数を増やして対応していき、平成 32 年度の3・4年生の外国語活動は 35 時間、5・6年生の外国語は 70 時間を実施していきます。当面はこれまでも取り組んでいる土曜授業を活用して授業時間数を確保することを考えておりますが、今後も、東京都教育委員会が指定した英語教育推進地域のモデル実施を参考にして、授業時間数の確保について引き続き検討していきます。

次に、幼保小中一貫教育推進計画の改定に関する議論の内容についてです。平成30年度から平成34年度までを計画期間として改定作業を行ってきましたが、計画改定にあたっては、学識経験者、学校・園等の管理職、教員の代表等による検討会と作業部会を開催しました。検討会では、計画の大きな方向性を決めていく中で、幼保小中一貫教育を推進していくための運営体制も明確にすべきとの議論がありました。作業部会では、今後、全ブロックで取り組むべき事業や業務等について具体的に検討する中で、保育要録・指導要録を確実に引き継ぐための仕組みが必要であるという意見も出ました。また、連携を強化するために、各園・学校の担当者会議を定期的に行い、研修も行うなど、継続した人材育成の場も作ってはどうかとの意見など前向きな提案もあり、計画に盛り込んだところです。

次に、現計画の評価と総括及び課題解決への道筋についてです。現計画では、これまでブロックごとに、子どもたちや地域の実情に応じた取組を進めてきており、その中で「異なる校種の子どもたち同士の交流」や「教員等同士の相互理解のための交流」については、区全体で取組が定着したと考えています。しかしながら、「効果的な取組の全ブロック展開」、

「取組の計画性・継続性」、「就学・進学期を意識した取組」については課題があると考えています。これらの課題を解決するための道筋として、各ブロックの従来の取組を一層強化するとともに、全ブロックの共通した取組を教育委員会として設定していきます。改定する計画において、現計画と異なる点は、効果的な取組を全ブロックで実施することを、教育委員会として、明確に打ち出したことです。例えば、新学習指導要領等を見据え、「外国語(英語)」などの教科連携を異校種間でさらに推進していくこと、ブロック内共通の生活規律の取組を進めること、就学や進学を意識した学校訪問・授業体験などの取組を全ブロックで推進していきます。さらに、成果指標を意識した数値目標を掲げるとともに、取組についての適正な進捗管理も行い、幼保小中一貫教育をさらに推進していきたいと考えています。

次に、防災教育に関するご質問です。まず、防災意識向上の指導方法と、地域の訓練等での貢献策についてです。教育委員会ではこれまでも、区長部局等と連携し、防災ガイドや都の防災ノート等を活用して、中学生に防災意識を高めるための取組を進めてきました。災害時に地域での活躍が期待される中学生には、緊急災害時等に自らの身を守るだけでなく、実用的な救命方法を学ぶことや、他の人の役に立とうといった意識を高めることが重要であり、このたび計画している中学生の普通救命講習受講も、この一環としています。地域の防災訓練等への中学生の参加は、学習効果を一層高め、中学生と地域の結び付きを強める機会となります。各学校には、防災訓練等への参加意欲を高める教育活動も含めて、引き続き防災教育の充実を図るよう指導をしていき、もって地域への貢献に資するものと考えています。

次に、今後の方向性と、授業での反映についてですが、31年度以降も普通救命講習は継続していく計画でいます。また、講習によって身に付けた知識や技能を活用する場面を設けることで、その定着を図ることが重要です。中学校 2 学年以降の保健体育科の応急手当についての学習や、各種行事等の機会と関連付け、講習内容の反復や活用を図っていきます。

次に、地域の方に中学校の避難訓練を公開することについてです。各学校で行われています避難訓練は、学校防災計画等に基づいて行われていますが、実際の災害時を想定して行うことが重要であり、訓練内容を地域の方に理解していただき、連携を進めることの必要性は高いと考えます。学校を避難所として開設する状況想定も含め、学校の避難訓練の内容や、地域住民への公開の方法等については、校長会や関係部署と連携して検討を行っていきます。

最後に、中学校卒業後の地域防災への貢献のための仕組みづくりについてです。中学校卒業後も、学校で身に付けた知識や技能を生かし、社会に貢献していく人材を育てるためには、生徒自身に、「自分たちは、地域の一員であり、未来の地域を支える担い手である」ことを認識させるとともに、貢献の機会等についても情報を提供していく必要があります。学校における防災教育の一層の充実と、将来にわたる地域防災への貢献の視点で、防災課をはじめとした関係部署等と連携を進めていきます。

 

 

 

                                             

◀◀ 新しい記事 | ブログトップ |  古い記事 ▶▶

上へ戻る

すみだ北斎美術館