私は、墨田区議会自由民主党の沖山仁です。会派を代表して、まず質問の前に一言申し上げます。
この度は、天皇陛下におかせられましては、このたび御即位になりましたことは、私どもの心からお喜び申し上げるところであります。謹んで慶祝の意を表します。
それでは、質問に入ります。
山本区長は、先の区長選挙におきまして6万6755票、再度70%を超える得票率で当選されました。区民の皆様からのご期待に沿えるよう、また、区政にいただいた厳しい声にもしっかりと耳を傾け、2期目の区政運営に当たっていただきますようお願いいたします。
まず、区長選の所感及び所信表明について伺います。
第1に、区長選を通じた所感について伺います。
山本区長は先日の所信表明における選挙の感想では、4年前と同様、子育て世帯と主要駅周辺での来街者数の増加に加えて、今回は高齢者施策について述べました。改めて言及するに至った理由をまず伺います。
また、4年前の所信表明では、「商店街の中にはシャッターをおろした個店や空き店舗が見られるなど、地域商業の厳しい実情を実感いたしました。さらには、工場や事業所でも操業していないところが散見され」と発言していましたが、その商店が建売住宅に、工場がワンルームマンションになっている例が日に日に増えています。選挙期間中、日中の通行人が4年前、8年前に比べて少なくなっている印象だったと会派の複数の議員より聞いています。人口は27万人を超えたにもかかわらず、日中の街の活気は戻っていないとの感想を持っていますが、区長の認識はいかがでしょうか。
第2に、区長選の公約と所信表明について伺います。
今回の区長選で山本区長は、「すみだの「夢」実現~ステージアップ構想~」を公約として掲げました。選挙公報や確認団体の印刷物を拝見すると、4年間の実績についての数字は掲載されていますが、今後についてはすでに予算化されているもの以外の言及が一切ありません。所信表明において、ステージアップ構想の7つのプログラムについての説明がありましたが、きわめて抽象的かつ総花的なもので、具体的な事業については今年度予算の事業以外は示されませんでした。
昨年12月の本会議で、我が会派の坂下修議員からの、2期目の選挙に当たっては、より具体的な政策とともに成果目標を示すことを求める質問に対し、山本区長は「区民に分かりやすい客観的指標の目標値も示し、その達成に向けた区政運営を進めていきます。」と答弁しました。
この答弁を聞き、我々としては今回の選挙において明確に評価指標を定めた公約が示されるものと期待していましたが果たされず、今回の所信表明でも言及がないことに対して、意に満たない思いを抱いています。
今後も基本計画の「 “夢 ”実現プロジェクト」は引き続き推進していくものと理解しています。「暮らし続けたいまち」「働き続けたいまち」「訪れたいまち」のそれぞれについて、今期4年間で特に注力する事業について、明確な評価指標と共に示すことを区長に求めます。
また、所信表明の中で、「すみだ型共生社会」という言葉が初めて使われました。おそらく第1回定例会での「すみだらしい共に支え合う社会の実現」と同義と思われますが、非常に抽象的な説明にとどまり、具体的な施策の例示等が無いため全くイメージできません。どのような施策のどのような効果によりこの「すみだ型共生社会」が実現していくのか、その一端を具体的に提示するよう区長に求めます。
第3に、投票率の低下について伺います。
この度の区長選挙においては、投票率が前回の44.77%から1%減の43.76%と下がってしまいました。いろいろな要素があるため一概には言えませんが、当日有権者数と投票者数の変化から、流入した方々の投票率が非常に低いと推測しています。
投票率の向上については、我々議員も含めて、有権者の皆様に区政に関心を持っていただけるよう努力することが第一ですが、それに加えて様々な啓発活動を行っていくことも重要です。今回の投票率の低下を受けて、現在考えている方策があればお聞かせ願います。
昨今のSNSの流行に伴い、投票所内をスマートフォンなどで撮影することを希望する方が一定数存在するという話を聞きました。投票所内の撮影は、本区でも投票管理者の秩序維持の観点からお断りしていますが、機会の多くない投票行為等の写真をSNSに掲載することは、若い世代にとって格好の素材ではないでしょうか。
文書図画の頒布に当たらないよう留意する必要がありますが、投票所の建物の別室で撮影可能な模擬投票所を設置するなど、SNSの流行を意識した方策を検討することも有効であると考えていますが、区長の見解を伺います。
この際、開票作業についても併せて伺います。
この度の区議会議員選挙における開票の確定時間が前回、前々回よりも約1時間遅い午前1時45分でした。また、確定時間が日付をまたぐことが常態化しています。正確な開票作業には一定の時間を要することは理解していますが、深夜勤務の是非や人件費の観点から翌日開票を検討する必要もあるかと思います。区長の所見を伺います。
次に、基本計画の中間見直しについて伺います。
第1に、人口が当初計画よりも早く増加していることについて伺います。
6月1日現在の区内人口は27万3832人となり、基本計画の中間年を待たずして今年度中に計画人口27万5000人に達する勢いで、ほぼ計画の倍のペースで増加しています。
毎月の世帯別人口の推移を見ると、世帯増と人口増の数字が近いため、単身者の流入が増えていると言えます。現在でも主に本所地域ではワンルームマンション等賃貸向け物件の建設が進んでおり、今後もこの傾向は続くと考えられますが、基本計画の中間見直しでの計画人口はどの程度修正するのか区長に伺います。
今後の区政運営を展望すると、納税義務者の流入は歓迎する面がある一方で、かつて商店や町工場だったものが区外勤務の給与所得者の住居となると、昼間人口が減少していき、小売店や飲食店の商機が失われ、まちの活気が失われてしまいます。個店や小規模企業は区内の雇用の受け皿であり、区内での消費者であるとともに、子供や高齢者の見守りの機能等を持つ社会インフラの一環であると我々は考えています。
墨田区集合住宅条例の運用等の住宅政策や企業誘致などにより、政策的に昼間人口と夜間人口の適正化を図ることも必要ではないでしょうか。中間見直しに向けての区長の見解を伺います。
第2に、財政推計について伺います。
所信表明で区長が述べていますが、本区では、歳出面においては基本計画策定時点よりも待機児童対策や高齢化対策による行政需要が増加する一方で、法人住民税の国税化等の税制改正による減収が発生しており、今後の財政運営への影響が懸念されます。さらには消費税率の引き上げにより、地方消費税の精算基準の見直しが行われた場合の影響も念頭に入れる必要があります。拡大し続ける歳出に比べ、歳入環境は極めて不安定な状況と言わざるを得ません。
現在、「財政白書」の作成に向け、区財政の現状分析を行っているところと聞いていますが、その状況と明らかになってきた課題について区長に伺います。
平成31年度予算までは基本計画の財政収支とおおむね一致していますが、人口の増加や少子高齢化のますますの進行により、後期計画期間では現在見込んでいる以上の扶助費の伸びが生じる可能性があります。
また、主要な公共施設等整備事業については順調に進んでいると認識していますが、一部遅れが見られます。加えて、各種税制改正による影響も発生します。中間見直しに向けて、改めて財政推計を見直す必要があると考えますが、区長の所見を伺います。
さらに、景気が足踏みをして特別区交付金の伸びが抑えられたり、大幅な税制改正が行われたりするなど、外的な要因で歳入環境の変化が発生する懸念があります。その際は、速やかに財政推計を見直し、事業の取捨選択を行えるよう、準備と情報収集に努めることを期待します。区長の所感を伺います。
次に、墨田区役所の機構改革について伺います。
第1に、副区長の定数について伺います。
昨今では少子高齢化等、山積する区政の課題への的確な対応が求められており、庁舎内での事務量の増加や複雑化が進んでいると見受けられます。各事業の適切な進捗管理等、副区長の業務量も増加の一途をたどっていると推察しています。
また、平成29年の地方自治法改正により、令和2年4月より内部統制が法制度化されます。本区でも内部統制に関する方針策定と、内部統制担当部署の設置や担当者の指名など全庁的な体制整備が義務付けられます。総務省の「地方公共団体における内部統制制度の導入・実施ガイドライン」では、体制整備及び運用の実務上の責任者を副区長と想定しており、大きな職責が副区長に加えられることになります。
一方で、今回の所信表明を聞く限り、その中で掲げた多様な事業を、区長が言うようにスピード感を持って円滑に進めていくためには、前期以上に対外的な交渉や情報収集が必要となることは明白です。今後の副区長の職責及び業務量についての区長の認識を伺います。
23区の状況を見ると、実態は別として、条例で副区長の定数を複数にしている区は20区で、直近では昨年江戸川区が条例改正を行っています。近年複数制を採用した区の区議会議事録を見ると、いずれも増加する区政の課題に迅速かつ的確に対応するためと説明されており、練馬区では副区長の増員について答弁で「デメリットはない」と明言しています。
副区長の定数増により、庁内統治の強化、意思決定の迅速化、対外交渉の強化等、様々なメリットが本区でも見込めます。基本計画の中間見直しのこのタイミングで、副区長を2名とすることを検討してはいかがでしょうか。区長の見解を伺います。
第2に6月1日付の人事異動について伺います。
今回の人事異動での大きな変更点は、監査委員事務局長を部長級職員にしたことと、保健衛生担当次長の創設です。
監査委員事務局長については、平成29年の法改正に伴い、監査基準に従った監査等の義務付け及び内部統制の制度化により内部統制評価報告書の審査等の業務の追加への対応と理解しています。
一方で、保健衛生担当次長については、新たな役職の創設です。これまでは新保健センター開設準備も行う保健計画課長事務取扱の参事を置いていましたが、今回の役職新設及び人事異動において、職掌は変わらないまま名称が変更になったように見受けられます。次長の事務取扱部分、医療職と行政職との連絡調整等、今後の人員配置や特筆すべき職務内容及び新設の意義について、区長に説明を求めます。
第3に会計年度任用職員について伺います。
地方公務員の臨時・非常勤職員が増加し、地方行政の重要な担い手となっている状況を踏まえ、臨時・非常勤職員の適正な任用・勤務条件を確保するため、平成29年に地方公務員法が改正され、令和2年4月より会計年度任用職員制度が導入されます。23区では昨年11月に統一基準を決定し、各区で検討・準備することとなっています。
総務省の「会計年度任用職員制度の導入等に向けた 事務処理マニュアル」によると、あくまでも今年春から募集開始でのスケジュールですが、平成31年2月議会までに条例、規則等の制定・改正を行う想定です。6月議会の報告事項にはなっていますが、現時点で本区では条例改正等が行われておらず、想定スケジュールとの乖離があるように見受けられます。現在の検討状況及び今後の予定を区長に伺います。
また、現在臨時・非常勤で働いている方々が会計年度任用職員に移行する人数と、待遇面の変化による影響額について伺います。併せて、今回の法改正で特別職から一般職となり、会計年度任用職員となる人数も伺います。
次に、住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法及び改正旅館業法施行後1年が経過した現状について伺います。
施行後の民泊の登録状況、旅館業法における簡易宿所・ホテル等の許可状況をお聞かせ下さい。
あわせてエリア別・最寄り駅別における部屋数や床面積等の情報を把握しているのか伺います。
本区の比較的寛容な受け入れ体制も手伝って、住宅街の空き地や古家がいつの間にか宿泊施設になっている事が散見されます。我々はこうした無秩序な開発が、将来区民に及ぼす影響を憂慮します。
今後は区としても、エリアマネジメントの観点で、宿泊施設の適正配置へ向けた取り組みを推進すべきと考えますが、区長はどのようにお考えか。見解を伺います。
次に、新学習指導要領の全面実施について伺います。
第一に、学力向上新3か年計画の成果の反映について伺います。
新学習指導要領の全面実施が、小学校は令和2年度から、中学校は令和3年度から始まります。これまで知能・技能の評価が大きな割合を占めきましたが、これからは学んだ知識をもとに自分で考え、判断し、実際の社会で役立てていく力が求められる教育へと大きく転換が図られることとなります。教員主導の講義式授業から、生徒自身が参加する「主体的・対話的で深い学び」を取り入れた授業・学習に変わっていきます。
先ず、区長が先般所信表明の中で述べられていた「学力向上新3か年計画」の取組の成果をどう評価されているのか具体的に教育長に伺います。その上で、子どもたちの更なる学力向上と定着を目指すための今後の展開と、それらが次期学習指導要領も加味し、今年度策定予定の第2次計画にどのように反映されていくのか伺います。
第2に、プロムラミング教育への準備について伺います。
小学校では、英語の教科化に加え、プログラミング教育も必須化となります。現在、隅田小学校にて教員のみなさんを対象とした研究会が定期的に行われていますが、その進捗状況を伺います。また、そこから見えてきた課題をいつまでに洗い出し、実際の授業に活かされる予定でしょうか。教育長に伺います。併せて、墨田区では、既存のどの教科に組み込み、子供達のプログラミング的思考を養っていく計画なのかもお答え下さい。
更に、来年4月に開校するi専門職大学から、区内の小学校を対象に地域貢献の一環としてプログラミング教育での協力の提案をいただいていますが、詳細はこれから詰めていくと仄聞しております。本区としては、受け身ではなく、大学側に事前に明確なビジョン等を示し、上手く連携して、より良い授業展開を行っていただきたいと考えます。所見を伺います。
第3に、新学習指導要領における社会とのつながりについて伺います。
新学習指導要領には、小中共に初めて前文が入り、「社会に開かれた教育課程」という基本理念が明記されました。また、総則では、キャリア教育が明文化されました。変化の激しい時代を生きる子供達が社会に出た時、自らの人生を切り拓いていくために求められる資質・能力とは何かを整理して、家庭・地域・企業と学校との関わりを捉え、社会とのつながりを考えた教育課程を編成していく必要があります。教育長の示す方向性を伺います。加えて、区長には、子供達が大人になった時を考え、一層地域とどのようにコラボレーションしていくのか伺います。
以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。