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私は、自由民主党・無所属を代表し、4点にわたり区長及び教育長に質問します。
冒頭、山本区長におかれましては、激戦を見事に勝ち抜かれ、得票率約75%という圧倒的な民意を背景に3期目に進まれましたこと、心よりお祝い申し上げます。
この結果は、この間のコロナ対策を始めた危機管理体制、またもう一つの民意の代表である、私たち議会の声に真摯に耳を傾け、一つ一つの政策実現を愚直にこなしてきたことが要因であると拝察致します。
緊張感ある二元代表制を背景としつつも、どこか、執行権に議会が関与していた明治時代の市参事会制や、イギリスのカウンシルマネージャー制を彷彿とさせる、民意を背景とした丁寧でプロフェッショナルな行政執行には敬意を表するものです。
区長はかねてから民間感覚とおっしゃっていますが、私はこの「議会感覚」こそ、山本区政の真骨頂なのではないかと拝察しております。
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第一は、区長の所信表明について伺います。
区長は、区政運営に関する基本姿勢として、①区民目線に立った情報発信、②地域力で課題を解決する人づくり・地域づくり、及び③スピード感を持った区政運営を表明されました。
①民主主義の根幹は、政治的意思の表明の自由と、これを基礎付ける情報の付与であると考えます。正しい情報なき社会に正しい政治的果実は得られません。区長が表明した区民目線に立った情報発信とは、いかに住民に正しい情報を、迅速に提供するかという点にかかっています。このいわゆる情報の非対称性を解決するために、区長は、どのような手段を用いようとしているのでしょうか。 また、区長とは、行政府の長としてのアカウンタビリティという側面と、政治家としてのダイナミックな説得の両方の側面があると考えます。区長は前者について、特に意を用いてきたと理解していますが、後者についてはコロナ禍の情報発信等、課題があったように感じます。この点、どのように改善していこうと考えているのでしょうか。
②地域力で課題を解決する人づくり・地域づくりとは、巷間言われる言葉に変換すると、公民連携によるまちづくりであると解釈します。政治課題が複雑化する昨今、公共だけで課題解決することができると考えるのは、むしろ慢心であると思っています。官民間の適切な役割分担を整理し、対等な協議の上で協働していく姿勢が求められています。山本区政において締結された、千葉大学・iU、日本相撲協会や東武鉄道との各種協定は、まさにこの姿勢を体現するものとして、高く評価しています。近年、企業の側でパブリック・アフェアーズの動きが盛んになっており、本区もすみだ公民連携デスクを設置していますが、マッチング等の事例を拝見しますと、まだ取組みの端緒にある印象です。できれば企業との協働を通じて、ルール形成へと至る真の官民連携の進化を期待するものですが、現状の課題と改善の方向性について、区長に見解を伺います。
また、さらに今後、このステークホルダーをさらにもっと仔細なレベルまで落とし込んで、町会やNPO、個人へと広げていくことが、課題であると考えています。区長は、この課題をどのように解決しようとしているのでしょうか。
近年、個人の自立思考が高まっていることもあり、さまざまな団体の、特に加入・未加入の場面において、個人の人権と団体活動の自由が相克する場面が目立ち、紛争の種となっています。地域力の担い手を育成するためには、こうした意識を住民全体に醸成し、相互に尊重して地域力を育んでいくことが大変重要であると考えますが。区長はこの課題に対して、どのように臨んでいくでしょうか。
③スピード感を持った区政運営とは、変化の激しい時代に求められる重要な姿勢であると感じます。他方で、民間感覚に対応する言葉としていわば「役所感覚」と名付けるすれば、それは、丁寧な手続き、慎重な判断こそが求められると考えます。区役所職員が行う一挙手一投足は、すべて区長の補助機関として、区長が全責任を負うと同時に、法律による行政の原理により、すべて何らかの法的根拠を持ったものである必要があります。これが民間組織との大きな相違点です。民間感覚の中で、区長はこの役所感覚を、どのように担保し、守っていこうとされているのか、所見を伺います。
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第二に、副区長の複数選任について伺います。4年前のきょう、沖山議員がこの場に登壇して、代表質問を行いました。当時の議事録を紐解くと、区長の補佐役を増やし、区長による事務執行をさらに強力に推進するため副区長の複数選任を求めています。しかし、その答弁は、「今後必要と判断した場合に検討することとしますが、当面の間は、現体制により着実な区政進展を図っていきたい。」とのことでした。
その後、私たちは選挙戦を通じて、再びこのことを問い、区長にも理解を求め、議会に戻ってまいりました。まさに、今こそ必要と判断すべき時期ではないでしょうか。
先日事務の最高責任者としての岸川副区長を選任同意しましたが、もう一名は、喫緊の課題に対応する専門的知見を有する者で、必要に応じて国や東京都とも直接折衝を行い、区長を補佐することのできる副区長を置くのです。これにより、岸川副区長は庁内の総合調整や議会対応に専心することができ、これまでどちらかというと内向きだった山本区政を大きく前に進めるため、重要な外交役としてその力を発揮することでしょう。現在の区長の思いを伺います。
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第三に、子ども・子育て支援策について伺います。
まず、学校給食費の徴収免除ついて伺います。これまで、私たちは、学校給食費の家計負担軽減のため、令和4年11年議会において、補正予算を可決し、一食当たり4円相当の食材費を補助することで、物価高騰対策を講じてきました。また、既にご案内の通り、就学援助制度により、生活保護基準の1.2倍の家庭までは、給食費を徴収しない取扱いとなっています。
また直後の12月には、国に対して「学校給食費の無償化に関する意見書」を全会一致で提出し、学校給食法の改正と国費による全国一律の無償化を求めてまいりました。こうした動きを受けて、わが党の茂木幹事長がこれを目指す意向を表明し、その後、6月13日に出された「こども未来戦略方針」では、この1年間で、学校給食の無償化を実施する自治体に対する実態調査行い、その結果を公表することとなりました。
私たちは、いわゆる「学校給食費の無償化」について、次のように整理しています。学校給食法第11条第2項が立法として存在する以上、あくまで食材費に相当する学校給食費は保護者の負担であり、この保護者負担の例外として無償化を目指すならば、同法第1条に規定する学校給食の普及充実及び学校における食育の推進を図るため必要やむを得ない事情が必要である、と考えます。例えば、学校給食費の徴収がままならず、正常な学校給食の運営が困難になるような大震災や大恐慌など、また、さらに食育を充実させるため、その経費負担を公費で見るなど、です。学校給食法の枠を乗り越えて、家計支援の名目で学校給食費を無償化せんとするのは、同法の解釈運用を誤った、行政運営とも言えるものです。したがって、私は、家計支援として学校給食費の無償化を行うことは、学校給食法の改正が必要だと考えています。こうした学校給食法の法解釈について、教育長の見解を伺います。
その上で、この物価高騰の局面で、本来、対策をすべきは、次のような施策であると私たちは考えています。すなわち、物価高騰の煽りを受けて削られている、学用品の値上げに対する支援、塾や習い事への補助制度などです。こうした対策を打つためには、金券やクーポン券を発行し、家庭に配布するなどが必要となりますが、これを行うための経費と実施時期に課題があり、困難であると予想されます。また、次善の策として、キャッシュレス・ポイント還元事業の実施を検討しましたが、区外の利用者の利用を避けられないことから、直接的な家計支援としての物価高騰対策としてはデメリットとなります。
こうした観点を考えると、喫緊の物価高騰対策及び子育て支援という観点からは、現在徴収している学校給食費を徴収しない、いわば当面の間、「学校給食費の徴収免除」こそが、実務的課題をクリアする唯一の方策であると考えるに至りました。
私たち墨田区議会は、先の国への意見書で、国費による一律の学校給食費の無償化を求めました。その心は、こうした課題は自治体間によって格差があってはならないからです。他方で、この間、統一地方選前後に近隣区が、バリエーションこそ様々あれど、相次いでいわゆる「学校給食費の無償化」に踏み切り、このままでは墨田区だけが孤立しかねない状況にあり、これでは同意見書の趣旨との整合性が取れないばかりか、大都市の一体性を標榜する特別区の自治体運営という観点からも課題が残ります。
こうした観点から、学校給食費は保護者負担であるという学校給食法の理念は維持しつつ、学校給食費徴収事務の効率化や国の検証作業に協力すること、また給食を通じた食育の推進を行うという政策目的を設定し、当面の間、学校給食費を徴収しない取扱いとすることを宣言することが、法令との整合性を担保し、本区にとって最善の策ではないかと考えますが、区長の見解を求めます。
さて、この問題は、法的解釈の整合性だけではなく、財源論も課題として残ります。学校給食費の区独自財源での無償化に踏み出すならば、少なくとも年間約7億8,000万円の費用が必要ということで、財政計画の再検討が必要であります。仮に学校給食費の無償化を目指すとしても、喫緊の対策としての「学校給食費の徴収免除」を行い、国の動向等、本区にとって最適な財源論を模索していき、段階を踏んで将来的な「学校給食費の無償化を目指す」ことが、責任ある基礎自治体の態度であると私は考えます。この点について、区長の見解を求めます。
さて、私たちは、令和4年9月、国と東京都に提出した「子育て支援の拡充に関する意見書」の中で、所得制限なき子育て支援策を求めてまいりました。本件をこれに当てはめると、こどもまんなか社会を実現するためには、私立学校に通学する子どもたちについても同様の支援を行う必要があります。公立学校の給食費の徴収猶予を行う場合、同様の金額を私立学校に通学する児童・生徒の家庭にも支給すべきかと考えますが、区長の見解を求めます。
併せて、この際、物価高騰対策としては、就学援助基準の引上げも検討すべき局面にあると考えます。併せての検討を求めますが、予算編成権者として区長の見解を求めます。
ここまで学校給食費の徴収猶予について提案してきましたが、これは子育て支援策の一つの局面に過ぎないと私たちは思っています。その上で、総合的な子育て支援、いわば「子育て政策パッケージ」を提示すべきということを、私たちは議会で繰り返し求めてまいりました。先の学校給食費の徴収免除は、学校給食費年間平均約5万円〜6万円相当額の家計支援になります。しかし、これをやって子育て支援が終わるわけではありません。これまで求めてきたものとして、保護者目線に立った子育て環境・学校のDX化、障害者施策を含む、所得制限なき子育て支援策の総点検などです。6月議会の報告案件で、これらの報告があるようですが、区長はどのような視点で、これらをまとめ、方向性を示されたのでしょうか、答弁を求めます。
次に、子どもの放課後対策について伺います。これは、今回の選挙戦を通じて、保護者の皆様の切実なお声が届けられた政策課題の一つです。私たちも放課後の図書室開放を提言し、選挙戦を戦ってまいりました。前期、区長が教育委員会の理解を得て、学童クラブについて大幅増員が図られてきたことは、高く評価しています。他方で、場所や人員の都合上、学童クラブに依存した放課後対策は最早限界に近づいているのではないかと感じます。
こうした観点から、放課後の補習学習の充実や放課後子ども教室の抜本的拡充、民間事業者への補助も含めた、これら以外の居場所づくりを総合的に検討する必要が増していると考えます。区長及び教育長が連携して取り組むべきと考えますが、それぞれ、現況と方向性について伺います。
また、墨田区議会では、平成30年第4回定例会において、議員立法の形で、墨田区子ども読書活動推進条例を制定しました。その後、教育委員会が地道な取組みを続けていますが、今こそ区民運動にこの成果を結実するため、読書習慣の定着や家庭における読書活動の推進を大胆に目指すべきであると考えますが、具体的な方策について教育長の答弁を求めます。
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第四に、ポスト・コロナの健康政策について伺います。
まず、口腔環境への影響について伺います。令和5年1月20日の毎日新聞に、「コロナ禍で衰えた?口の働き」との表題で記事が掲載されました。曰く、コロナ禍、大きな声で話すことが制限され、口周りの筋力が弱っていたり、またマスクによって口呼吸となることから、口腔内が乾燥し、虫歯や歯周病の発症リスクが上がるというものでした。本区として、こうした現状を把握していますか。またこれについて対策を講じる必要性を感じますが、保健衛生担当部長に伺います。
また、私自身、父親として、保育環境における影響、また学校生活における影響について関心を持ってみています。例えば、ニッセイ基礎研究所が本年1月に公表した研究成果によると、マスクの着用は、顔を見た人に、笑っていると認識させにくくする影響が見られる、などの指摘がありました。このコロナ禍約3年間の影響がどのように現れ、リカバーすることが可能であるならばその対策を講じていく、こうした姿勢が本区の保育・教育行政に求められていると感じます。この点について、区長及び教育長の答弁を求めます。
さらに、高齢者についても同様に、運動機能の低下や社交能力の低下を懸念する指摘もあります。この点についても、区長の答弁を求めます。
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以上で質問を終わります、ご清聴ありがとうございました。
区長答弁PDF