墨田区議会自由民主党・無所属の井上ひろきです。
初めての一般質問となります。何卒、よろしくお願い申し上げます。
私からはデジタル関連施策について3点質問致します。デジタル社会の形成を一気呵成に作り上げていくことを目指すため、令和3年9月にデジタル庁が発足しました。本区としましても、今年度自治体DX調査特別調査委員会が設置され、デジタル推進を強く推し進める体制ができました。私も区民代表のデジタル関連の専門家として、デジタル推進の一翼を担えるように取り組んで参ります。
■1点目の質問としまして、庁内のデジタル推進に掛かる費用について伺います。
デジタル庁の重点政策の一つとしまして、「地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化」があります。これは令和7年度までに完了させる方針で進めていて、本区としましても「墨田区行財政改革・行政情報化計画」の行政情報化の取組19 に記載のある内容に基づき、完了に向けて進めている最中かと存じます。
現在の懸念点として、「ガバメントクラウド」と呼ばれている国が指定したサーバーへシステムを移行することにより、費用が増大してしまうという点があります。
令和4年9月にデジタル庁が発表した「ガバメントクラウド先行事業(基幹業務システム)における投資対効果の机上検証について」の結果では、初期費用、維持費用が増えてしまい、移行による費用の優位性が現状見られないという結果となった自治体が8団体中7団体となっています。
「ガバメントクラウド」への移行は必須のため、この結果を受けて本区として対策を講じる必要があるのではないでしょうか。
国から指示されているから移行する、移行が完了したから終了ということではなく、庁内全体的にシステム関連費用の見直しをするために知恵を出し合うことが大変重要であると考えています。
行政情報化の取組20においてICTコストの適正化について記載されています。
適正化するためには、庁内で稼働しているシステムの状況が可視化されていることが前提にあると考えますが、私が調査した限りでは、可視化の状況が不十分であると考えています。
この状況で、どのようにしてコストの適正化を行うのでしょうか。
例えば、建築物の長期修繕計画のように各システムの費用や耐用年数、それぞれが抱えている課題点などを一覧化し、将来的なシステムの統廃合を含めた検討ができるような、システムの稼働状況を可視化することをすぐにでも始めるべきであると考えています。
区長に伺います。
費用が増大してしまうことへの対策として
- すぐにでも、庁内全てのシステムの稼働状況を一覧化し可視化すること
- システムの統廃合を視野に入れた庁内全体のシステムの総点検をすること
この2点を希望しますが、区長の考えを答弁ください。
■2点目の質問としまして、システム調達の見直しについて伺います。
システムの導入が進んでいくと、区民の皆様に触れるシステムが急増することが考えられます。
そうなりますと、区民の皆様からのご意見を受けて、柔軟に、そして、早急にシステム改修をしていかなくてはいけない場面が増えることが想定されます。
これは、今までのシステム開発の手法だけでは、対応が遅くなってしまう懸念があります。
現在取り入れている開発手法として、仕様を全て決めてから開発に取り掛かり、途中で変更することが難しい「ウォーターフォール型」と呼ばれる手法のみかと存じます。
大規模なシステム開発をする際には有効な開発手法かと思いますが、欠点としまして融通が利きづらいという点があります。
そこで、別の開発手法の一つとして、「アジャイル型」というものがあります。
こちらは、デジタル庁からも示されている開発手法で、開発周期を数日〜数週間単位で設定し、開発と公開を短い期間で繰り返すという開発手法になります。
融通が利きやすいという利点はありますが、欠点として最終的にどこまで開発したら終了となるのか着地点を見失う可能性があるという点があります。
区民の皆様にデジタル推進の恩恵を享受して頂くためには、アジャイル型の開発手法も取り入れることが重要であると考えます。それと同時に、発注者側である区が、それぞれの開発手法のメリット、デメリットを認識し、システムごとに最適な開発手法を判断していくことが求められます。
令和4年度3月議会にて「墨田区情報システム調達・運用ガイドライン」の見直しを令和5年度も進めていくと報告を受けていますが、ガイドラインの中に、アジャイル型開発にあった契約フロー、及び、どちらの開発手法を採用するのか検討するフローを記述する必要があると考えています。
また、フローの見直しと同時に小規模な事案で良いので実際に
アジャイル開発を取り入れてみて検証を行うことも必要と考えています。
区長に伺います。
区民の皆様のご意見に早急に応えられるようにするために、
- 「墨田区情報システム調達・運用ガイドライン」にアジャイル型の開発手法のメリットを享受できるように、契約フローの見直しを実施すること
- 実際にアジャイル開発を取り入れて検証してみること
この2点を希望しますが、区長の考えを答弁ください。
■3点目の質問としまして、デジタル人材の教育、及び、採用について伺います。
IT業界全体として、近年デジタル人材の不足が顕著であり、企業同士で人材の取り合いとなるような状況が続いています。本区としましても、デジタル推進をしていく上でデジタル人材の確保が急務であると考えています。
今まで以上にデジタル推進を加速させる中では、受注者側に要求を伝えられる人材を増やす必要があります。
人材を増やすために職員の教育を進めているかと思いますが、各個人の向き不向きが非常に出やすい分野であると認識していますので、人材教育は一朝一夕にはいかないと考えます。
そのために、民間企業でITエンジニアを経験した人材を受け入れるような体制も検討するべきであると考えます。
東京都も実施している職務内容を明確にして雇用するジョブ型雇用を区独自で実施することや、東京都全体のDX推進を更に加速させるために令和5年秋に発足予定の「GovTech東京」との連携なども積極的に取り入れるべきです。
現在、生成型AIと呼ばれる人工知能の技術が急速に進んでいます。
6月13日には東京都より都の全ての局に生成型AIを導入し、本年8月から利用開始すると発表がありました。
生成型AIは本年2月ぐらいから急速に認知度を上げた技術です。
AIに限らず、デジタル分野の成長速度は常に情報収集をしないとすぐに置いていかれてしまうほどの早さです。
その中で、本区ではパソコンの事務作業を自動化することができるRPAを既に導入していますが、定められた業務のみにしか使用されていないのが現状かと存じます。
折角、導入しているわけですから、柔軟に利用できるようにするべきであると考えます。
行政情報化の取組11にAI、RPAを積極的に活用していく旨の記載がありますので、AI、RPAを始めとした新しい技術を活用できる環境を整えることで、業務効率の向上にも寄与できますし、実践を通じた人材教育にもなると考えます。
区長に伺います。
本区のデジタル人材を確保する方法として、
- ジョブ型雇用の採用を実施すること
- 積極的に「GovTech東京」と連携すること
- RPAを全職員が利用できるようにすること
- 生成型AIのような新しい技術を職員が積極的に活用できるようにすること
この4点を希望しますが、区長の考えを答弁ください。
以上で質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
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