令和7年02月13日定例会 代表質問 坂井ユカコ議員

 

まず、令和 7年度の施政方針を拝聴し、区長が「夢と希望を未来につなぐ、強くしなやかなまちづくり」を掲げ、本区が直面する少子高齢化や都市インフラの老朽化、物価高騰の影響など、多様な課題に対応しながらも、成長戦略を持って区政を進める姿勢に敬意を評します。
一方で、施政方針に示された各施策が、区民の生活向上にどのように直結するのか、また、優先順位の付け方について会派として確認すべき点がいくつかございます。以下、具体的な施策についてお伺いします。

 

1.区長の施政方針について

 

(1)令和 7年度に向けた考え方について

 

大要一点目は、区長の施策方針の、令和 7年度へ向けた考え方について伺います。令和 7年度は、平成 28年度に策定された現基本計画の最終年度にあたります。

 

先般の施政方針の中で述べられたように、この間区長は、「夢実現プロジェクト」を掲げ、シティプロモーション戦略を推進するなど、独自の山本カラーを打ち出し、区政運営を推進してこられました。1期目の所信表明で、山本区長は、「大学誘致」「陸上競技場の整備」「新しい保健センターの整備」の 3つのプロジェクトを、区政運営の柱として掲げられました。

 

「すみだ保健子育て総合センター」が昨年秋に開設されたことで、3つのプロジェクトがすべて実現され、新型コロナウイルス感染症という想定外の危機に際しても、オールすみだで取り組んだ一連の対応は「すみだモデル」と呼ばれ、全国的にも高く評価されました。

 

こうしたこれまでの成果を、区長ご自身はどのように評価されているでしょうか。また、現基本計画の計画期間はあと 1年を残していますが、新しい基本計画の策定にあたり、現基本計画をどのような視点で振り返り、評価し、次のステージへつなげていくのか、区長のご所見を伺います。

 

また、現在策定中の基本構想や次期基本計画について、区長はどのような取組を重点施策として位置づけるお考えなのか、現時点の方針をお聞かせください。

 

加えて、今後の区政運営を見据えたとき、副区長の複数選任は重要なポイントであると考えます。かねてよりわが会派が求めてきた「ふたりめの副区長像」は、岸川副区長が担ってきた着実な区政運営を堅持しながら、さらに本区を発展させるため、区の成長や財源の確保を意識し、積極的に「区の未来を取りに行く副区長」です。

 

昨年 11月の議会では、副区長の具体的な役割や人選について「これから考えていく」といった答弁がありましたが、来年度予算には複数選任に必要な報酬が計上されており、検討が進んでいるものと受け止めています。現在の検討状況や、副区長の役割・人選について、区長はどのようにお考えなのか、また、いつ頃議会に人事を提案する予定なのか、区長の所見を伺います。

 

(2)今後の財政計画について

 

次に、令和 7年度当初予算案における財政状況について伺います。都区財政調整交付金は前年度比 5.4%増の 468億円が計上され、基金においては令和 6年度最終補正で、公共施設等整備基金に 55億円の積立を行うことになりました。今年度末の基金残高は約 287億円に達する見込みです。さらに、起債の年度末残高は約 267億円となり、基本計画で掲げた「350億円以内」という目標を大幅にクリアすることになりました。我が会派は、これまでも本区の財政基盤が一定の強化を遂げている事を指摘し、区として必要な投資を求めてきました。

 

より積極的に施策を展開すべき時期にある中、現在の財政状況を踏まえ、区長は、どのような財源の見通しを持っているのでしょうか。伺います。

 

来年度は、新たな基本計画の策定に合わせ、財政計画も見直されることになります。次期計画中には、公共施設の改築需要の大幅増加など確実に解決すべき待ったなしの課題が山積している一方で、引き続き物価高騰や、2024年問題による人手不足の影響も懸念されます。こうした状況の中で、どのように施策を実現していくのか。

 

そのための次期基本計画における財政計画の考え方について、区長の見解を伺います。

 

(3)総合的人事戦略について

 

次に、総合的人事戦略について伺います。

 

特別区における職員採用は、行政需要の増大や複雑化等を主な要因に、需要数が過去最多となる一方、申込者は減少し、合格倍率もこれまでと比べて極めて低い水準となっています。こうした環境に追い打ちをかけるように、近年、若手職員の離職者が増える傾向が顕著です。

 

本区に希望を持って入庁した若手職員の人材流出を防止するためにも、区長ご自身が旗振り役となり、目標とやりがいを持って取り組める区役所とすることが極めて重要です。我が会派はこれからも、より良い人材の確保と、区民サービスの向上や、行財政改革の推進にも寄与する職場環境の改善を求めてまいります。

 

昨年は、総合的人事戦略の一環として、我が会派が要望したコンビニエンスストアが庁舎内に設置されました。しかし、庁舎内には、職員の休憩スペースについて、まだ改善の余地があると考えます。職員厚生室のリニューアルについては、これまでも繰り返し要望してきたところですが、来年度予算で対応が図られると伺っています。

具体的に、どのようなリニューアルを行う予定なのか、区長のお考えをお聞かせください。

 

また、区役所来庁者からの「暴言や説教」、「長時間の居座り」、「繰り返し行われる苦情電話」といったカスタマー・ハラスメントについても、多くの職員が直面していると側聞しております。心身の健康に影響を及ぼすこれらのハラスメントは重大な問題であり、総合的人事戦略の中で重要な課題として位置づけるだけでなく、早急かつ確実な対策を検討すべきです。

 

4月からは、就業者の安全確保を事業者の努力義務とする都条例も施行されることになりました。こうした状況を踏まえると、区としても職員を守るための具体的な対策が必要になってくると考えますが、今後どのような取組を行っていくお考えなのか、区長の所見を伺います。

 

2.「こどもまんなかすみだ」の推進について

 

(1)5歳児健康相談について

 

大要二点目は、「こどもまんなかすみだ」の推進についてです。まず、5歳児健康相談について伺います。お子さんの発達に課題がある場合、就学後に学習の遅れや友人関係のトラブルが生じるなど、様々な困難に直面することが問題となっています。そのため、発達に課題のある子どもを早期に把握し、必要な支援につなげることが重要です。

 

これまでも、我が会派からは、出産前から就学前までの支援を切れ目なくつなぐため、5歳児健診の実現を提案し、専門医の確保や健診後の受け皿の整備について提言を行う中で、現実として、医師不足といった問題点も見えてきました。こうした中、来年度予算に実施経費が計上され、5歳児全員を対象とした相談事業が開始されることになり、この点について評価したいと考えています。

 

23区においては、昨年 10月に、大田区が 5歳児健診のモデル事業を開始しており、国においても、こども家庭庁が、令和 10年度までに全自治体での実施を目指していると報道されています。全国的にも 5歳児健診の必要性が高まる中で、本区が「相談事業」という形でスタートすることになった経緯について、検討の過程をお聞かせください。

 

また、先日の予算案発表の際に、事業の概要が示されましたが、具体的に、どのような方法で支援の対象者を把握し、その後のフォローアップや支援を進めていくのか、詳細をお示しください。

 

さらに、今後、事業の更なる充実を図るため、どのような方向性を持って検討を進めていくのか、区長の所見を伺います。

 

(2)保護者負担の軽減について

 

次に、保護者負担の軽減について伺います。来年度予算では、新たな負担軽減策として「小学校 6年生の日光移動教室無償化」「中学校 3年生の修学旅行の無償化」、そして「私立・区立幼稚園の昼食費補助事業」が計上されました。物価高騰の影響で教育・子育てにかかる保護者負担が増大する中、支援策は必要不可欠であり、私たちも会派として強く求めてきたものです。

 

移動教室や修学旅行の無償化については、児童生徒にとって一生に一度しかない貴重な機会であり、かけがえのない思い出を残せるよう、保護者もお金の心配なく送り出せることから、大変意義のある政策だと考えています。

 

そこで伺いますが、多額の経費を要する修学旅行および日光移動教室の無償化を実施するに至った経緯や、区長の思いをお聞かせください。

 

また今後、物価高騰が継続した場合、単年度ではなく、再来年度以降も継続する意思がおありなのかについても伺います。

 

さらに、本事業による教育的効果について、教育長に所見を伺います。

 

また、移動教室・修学旅行無償化が、宿泊費等の高騰による保護者負担の軽減施策であるならば、現在実施されている学校給食費の徴収免除が、私立学校等に在籍する児童生徒にも拡充されている点を考慮すべきです。

 

私立学校等に対する支援について、区としてどのように考えているのか。区長の見解を伺います。学校給食費保護者負担軽減事業については、物価高騰により増え続ける給食費の負担を軽減することを目的に実施されています。

 

すなわちこの事業は、法の規定に基づき本来は国がその責任の下に実施すべきものであり、それを踏まえた上で、「無償化」ではなく、あえて「徴収免除」という形で実施しているものと認識します。そうであるならば、新年度予算で、移動教室と修学旅行に、あえて「無償化」という言葉が使われたことは、区長の重大な決断として、その根拠を区長ご自身が明らかにされる必要が生じてまいります。

 

重大なその言葉の示す意味を、区長はどのように受け止められているのか伺います。

 

私立・区立幼稚園の昼食費補助事業については、今年度開催された、「私立幼稚園への支援や区立幼稚園の在り方に関する特別委員会」で、保護者との意見交換も行われた際にも、補助を求める声が多く上がっており、今回の事業は当事者である保護者の意見をしっかりと反映したものであると認識しています。区として、この事業によりどのような効果を期待しているのか、区長および教育長の見解を伺います。

 

3. “夢”実現プロジェクトの推進について

 

(1)すみだ保健子育て総合センターについて

 

大要三点目は、“夢”実現プロジェクトの推進についてです。まず、昨年 11月に開館した「すみだ保健子育て総合センター」について伺います。

 

この施設は、単なる保健所機能の強化にとどまらず、教育や子育ての支援機能も併せ持つ複合施設として、「つなぐ・つながる」をコンセプトに掲げています。切れ目のない子育て支援を実現し、誰もが健康で安心して暮らせる「健康長寿日本一のまち」を目指す拠点として、区民から高い関心と期待が寄せられています。広々とした機能的な空間、バリアフリー設計、プライバシーに配慮した構造と、職員の執務環境についても、グループアドレスの導入や、集中作業スペースの設置など、働き方改革の観点からも工夫がなされていると伺っています。

 

こうしたハード面の充実は大いに評価できるものの、何より重要なのは、この施設を最大限に活用し、より良い区民サービスを提供できるかどうかです。そのためには、ソフト面の充実と、それを支える職員の意識改革、生産性の向上が欠かせません。特に、利用者の声や要望、職員の意見を定期的に集約し、改善を続けることが重要だと考えます。さらなる職員の生産性向上や、保健・教育・子育て部門の連携強化について区長はどのように取り組んでいくお考えでしょうか。

 

サービス改善に向けた具体的な取り組みについても、考えていることがあれば伺いします。

 

さて先般、東京都から江東区に対して、「江東区と墨田区を管轄する都・江東児童相談所を、江東区 1区の管轄にする」ことや、「区が整備予定の建物の一部を都が借りるなどして、一体的な児童相談体制を確立する」といったことについて」提案がなされ、今後協議を進めていきたい旨の提案があったと伺いました。

 

このことについて、すみだ保健子育て総合センターには東京都児童相談所(都児相)のサテライトオフィスが設置されていますが、江東区が単独で児童相談所を始めた場合、本区の管轄はどのようになるのでしょうか。

 

先の 11月議会において、区は墨田区単独での児童相談所設置ではなく、都児相とすみだ子育て支援総合センターが協働する形での児童相談体制を構築する方針であると答弁しましたが、今回の都の動きが本区にどのような影響を及ぼすのか、また、今後、児童相談体制の強化に向け、どのように連携を図っていくのか、区長の所見を伺います。

 

(2)高齢者の心身の健康増進に対する支援について

 

この際、高齢者の心身の健康増進に対する支援についても伺います。山本区政は「こどもまんなかすみだ」を掲げ、子育て支援環境の充実を重点施策としていますが、次代を担う子どもの健やかな成長を支援する一方で、ご高齢の方々への支援も重要であると、我が会派は考えています。

 

今年、いわゆる「団塊の世代」が、全て 75歳以上の後期高齢者になります。今後、医療や介護のニーズがさらに増加すると見込まれていることからも、より多くの高齢者が、健康を維持・増進し、安心して地域の中でいきいきと暮らし続けられることは、地域の活力を維持する上でも、また、社会保障制度を持続可能にする上でも、極めて重要であると考えます。

 

来年度予算には、私たちが提案してきた、認知症検診事業や介護予防・フレイル予防の取り組みが計上されています。区では、すみだ保健子育て総合センターを区民の健康づくりの拠点と位置付けていますが、今後の高齢者の健康づくりの取り組みや、介護予防・フレイル予防の
施策をどのように進めていくお考えでしょうか。

 

(3)旧本所・向島の保健センターの跡地活用について

 

続いて、旧本所・向島の保健センターの跡地活用についてお伺いします。本所保健センター跡地に関しては、東駒形保育園の再整備や、児童発達支援センター「みつばち園」の移転を含む複合施設としての整備方針が示されています。現時点での検討状況と、来年度の具体的な取り組みについてお聞かせください。

 

向島保健センター跡地については、区営住宅との併設もあり、解体の即時実施は難しいとのことでした。建設から相当の年数が経過している中、どのような活用が可能か慎重に検討されていると伺っています。これまでの検討結果として、今後どのように活用を進めていくお考えか、区長のご所見をお聞かせください。

 

(4)災害対策における DXについて

 

次に、災害対策における DXについてお伺いします。

 

来年度予算において、災害備蓄倉庫の管理システムや避難行動要支援者の台帳管理システムの導入費用が計上されており、災害対策・DX特別委員会での議論を踏まえ、速やかに対応いただいているものと受け止めています。一方で、先日、国が自治体に対し、災害用物資の備蓄状況を毎年公表するよう義務付ける方向で検討しているとの報道がありました。本区は、歴史的な経緯もあり、防災に関して非常に力を入れている自治体の一つであると認識していますが、こうした備蓄状況の公表の意義について、区長はどのようにお考えでしょうか。

 

災害 DXの取り組みについては、デジタル環境の整備が一朝一夕に進むものではないため、計画的に進めていく必要がありますが、環境整備による改善や体制強化が、区民の生命財産を守るという究極の目標を達成することに繋がるのか、という視点を常に忘れないで頂きたいと思います。

 

そこで、本区において、防災上のどのような課題を、来年度の取り組みによってどのように改善しようと考えているのか、区長のご見解を伺います。

 

(5)民泊への対応について

 

次に、民泊への対応について伺います。

 

政府が 2030年の訪日外国人観光客 6,000万人を目標に掲げ、昨年は、訪日外国人観光客数が 3,600万人を超え、現在も、その勢いはとどまるところを知りません。

 

現在の墨田区は、住宅宿泊事業(いわゆる民泊)の数が新宿区に次いで都内で2番目に多く、そのほとんどが管理者不在型の宿であります。インバウンドの堅調等を背景に、この状況は維持・増大する可能性が高く、区民の皆様からは、騒音やごみといったご近所迷惑に、周辺住民が対応を余儀なくされるケースが報告されています。また、トラブルや緊急事態、災害が発生した時の即時対応を指摘する声も多くいただいています。

 

消費の活性化は経済にとって望ましいことですが、一方で、オーバーツーリズムによる地域への影響については、住民に最も身近な基礎自治体として、しっかりと対応すべきです。9月議会で我が会派がこの問題を指摘したところ、来年度予算で、警察官 OBの施設調査による監視指導体制の強化、そして条例制定を含めた規制強化策が表明されました。迅速な対応を評価いたします。

 

地域の不安を解消するためのこの施設調査員ですが、具体的にどのような役割を担うのか、また、区はどのように指導を行い、管理体制の強化を図るのか、区長のご所見を伺います。

 

また、条例制定を含めた規制強化策を実効性のあるものとすることが何よりも重要であると考えます。条例の具体的な内容はどのようなものを想定しているのか、また、制定に向けての課題にはどのようなものがあり、どう克服しようとしているのか、さらに、条例の制定時期はいつ頃を想定しているのか、区長のお
考えを伺います。

 

(6)産業振興施策について

 

次に、産業振興施策について伺います。

 

まず、補正予算に計上されている DX推進事業についてお尋ねします。これまで、区内中小事業者を支援する緊急対策として、我が会派の要望に基づき、「墨田区生産性向上等支援補助金」や「原油価格・物価高騰等緊急対策資金」など、必要な施策を適宜実施していただきました。厳しい経済環境の中でも、区内事業者の経営を支える施策が講じられてきたことを我々も評価しています。

 

今定例議会においては、補正予算で DX推進経費が計上されました。急速に社会のデジタル化が進む中、区内事業者が時代の変化に対応できるよう、迅速に支援策を講じる姿勢は評価するものの、施策の実効性についてはどのようにお考えでしょうか。デジタル技術の活用が事業の生産性向上や競争力強化につながるよう、具体的にどのように事業者の経営を後押ししていくのか、区の考えを伺います。

 

また、依然として先行きが不透明な状況を踏まえると、支援は今年度に限らず、来年度以降も継続的に講じられるべきであると考えますが、区長の見解をお聞かせください。

 

続いて、デジタル決済促進事業の来年度の実施に向けた考えについて伺います。コロナ禍の緊急支援策としてこれまで 5回実施された「キャッシュレス決済促進・ポイント還元事業」では、約 90億円の消費喚起という大きな成果の一方、還元ポイントの区外への流出、予算が尽きて実施期間が短縮される、といった課題も浮き彫りとなりました。

私たちも、この課題に対し、事業の妥当性を高めるための工夫と改善を求めました。その後、商店街連合会のご尽力もあり、今年度、デジタル商品券事業が実施されました。商品券が区民優先販売されたことに加え、使用可能店舗を区商店街連合会加盟店に限定することで、区民への還元と区内事業者支援を最大限に両立させる経済政策としての意義があったものと、大きく評価しています。今年度実施した本事業について、区はどのような効果や課題があったと認識しておられるでしょう。

 

物価高騰が続く状況下で、事業者支援のみならず区民生活にも寄り添う施策として、我が会派は、事業の年間継続実施と今後の予算増額を求めてまいります。

 

検証を踏まえ、来年度の事業費をどのような考え、根拠のもとで予算に反映させたのか、区長のご見解をお聞かせください。

 

以上で私からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

区答弁

 

区答弁 坂井議員

 

 

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