墨田区議会自由民主党の樋口敏郎です。会派を代表いたしまして、区長及び教育長に質問いたします。
第1に、山本区長の来期への意向について伺います。
山本区長は、平成27年4月の区長選挙において、「すみだの夢実現構想」として7つのプログラムを公約として掲げて当選されました。その構想は「暮らし続けたいまち」「働きたいまち」「訪れたいまち」の3つのプロジェクト事業と「シティプロモーション戦略」によって構成された「“夢”実現プロジェクト」として、平成28年6月に策定された墨田区基本計画において事業化されています。
以来、その推進を柱として区政運営にあたってこられました。区長選で掲げた公約の達成状況について、ご自身の総括的な評価、また、今後着実に基本計画を進めていく上での課題認識、公約における各事業の成果については、会派の坂下議員からの一般質問で伺いますので、この代表質問ではただ1点、来年4月に行われる区長選挙に立候補され、2期目を目指すご意思があるのかお尋ねします。
第2に、財政状況の認識について伺います。
「平成31年度における区政運営の基本指針」及び「平成31年度予算の見積もりについての依命通達」において、本区の財政状況について「本区の財政状況は、ここ数年の人口増や雇用・所得環境の改善等により特別区民税の増収が図られ、区債残高の減少と基金残高の増加もあり、健全化の兆しがみられている。しかし、歳出面では子育て支援施策の充実や高齢化の進展による扶助費の増加等が引き続き見込まれ、歳入面では国による法人住民税の更なる一部国税化、地方消費税精算基準の見直しなどにより特別区は更なる減収を強いられる可能性があり、今後の区の歳入環境に深刻な影響が及ぶことが懸念されている。」
と分析しています。さらに、平成31年の10月に 予定されている消費税の増税に伴い、幼児教育の無償化が実施された際には、事務負担に加えて一定の財政負担が発生する懸念もあります。来年度の予算編成にあたり、国の税制改正等による影響はどの程度把握 しているのか、まず伺います。
平成29年度は、当初予算では財政調整基金、公共施設整備基金等、約28億円の基金取り崩しを見込んで予算編成が行われましたが、歳入増や契約差金等の不用額及び繰越金の発生により、決算では約4億円の基金積み増しとなりました。一方で、近年同様、民生費は約30億円の歳出増となっています。
平成30年度予算でも同様に、民生費は約30億円の歳出増、約35億円の基金繰入金を計上しています。平成31年度予算の見積もりについての依命通達では、政策経費、標準経費双方について、行財政改革の取り組みは求めているものの、基本的には30年度並みを要求していると読めます。基本計画の着実な達成のためと理解はしますが、ここ数年は景気回復基調と歳入増等により、結果的に順調な財政運営が可能であったとの印象を我々は持っています。このような予算編成を続けていくと、景気の足踏みや国の税制改正等の外的要因により歳入減になった場合、危機的な財政状況に陥ってしまうことを危惧しています。
必要な処置は取りつつも、民生費の歳出を抑制していくとともに、行財政改革の更なる推進が必要と考えますが、区長の所見を伺います。また、平成31年度予算編成にあたって、この観点から取り組む内容があればお伝えください。加えて、今年度の財政運営の見通しの状況も合わせて伺います。
第3に、健康寿命の延伸、介護予防の取組について伺います。
先日、区内の医療関連団体による墨田区地域医療に関する意見交換会が行われ、各団体による地域包括ケアの取組が発表されました。その中では、健康寿命の延伸の重要性や、疾病の重症化予防、介護予防が大いに話題となりました。地域包括ケアシステムで提供する、住まい・医療・介護・予防・生活支援のうち、予防の役割の重要性がより高まっていると認識しました。これは、区長の言う暮らし続けたいまちの実現にも通じるものであると考えます。
将来にわたって民生費の伸びを抑制していくためには、健康寿命の延伸、介護予防の取組に力を入れる必要があると我々も考えています。
各種健康診査やがん検診の受診勧奨の強化による疾病の予防や早期発見、重症化予防、歯科検診による口腔がんの早期発見や、口腔ケアによる嚥下機能の維持、口内環境に起因する疾病の予防、薬剤師による適正な服薬指導や残薬管理、有資格者による介護予防指導、要介護度を進行させないための生活支援や介護サービスによる日常生活の質の維持、区による健康寿命up大作戦等の施策の展開は、いずれも広義の「予防」につながっています。
今後の墨田区の地域医療・介護において、「予防」という観点で各団体や各所管で行っている事業を関連付けて考えてはいかがでしょうか。来年度以降、各団体同士の連携や情報共有への支援も含めて、特に力を入れていただきたいと考えます。区長の言う「地域力」を活かした墨田区ならではの実効性の高い仕組み作りも可能かもしれません。区長の所見を伺います。
第4に、区長が続投を表明することを前提に、次期の課題について順次伺います。
1点目として、公共施設等マネジメントについて伺います。
平成25年5月に公表された、「公共施設白書」から始まった本区の公共施設等マネジメントの取組は、第1次実行計画を経て、平成32年度までの第2次実行計画が行われています。実際に施設の廃止を行った第1次計画とは異なり、維持管理業務の適正化、指定管理者制度の導入といった施設管理面での取り組みや、それぞれの施設の方向性の検討といった内容のため、目に見えにくい計画ではありますが、中間点を過ぎ、結果を求められる時期にきています。
その中でも、順次実施するとしている「用途廃止が決定した施設については、速やかに除却等を行うことで、維持管理費の削減を図る。」について、第1次計画で廃止した施設については除却しました。しかし、それ以前から使用されていない旧学校施設については、跡地利用が決まったもの以外は行われていません。全く使用していなくても、維持管理に1施設あたり年間数百万円を支出し続けています。このような支出は区民の理解が得られない点、起債して除却しても支払い利子の方が有利な点を挙げ、早期に除却するよう再三指摘してきましたが、この場で改めて区長の見解を伺います。
また、平成29年3月にクアハウス天井の損傷により休館し、その後廃止されたすみだ健康ハウスは、28年度中にあり方検討を行っていた施設です。想定外の事情により、これまで同様の使用ができなくなったとはいえ、早期に方向性を出すべき施設に変わりはありません。今後の用途については補助金の関係で制限があると聞いていますが、施設の一部が利用できない状態でも一定の規模を有しているため、近隣の類似施設同士の統合や複合施設化も可能ではないかと考えます。現在の検討状況と、結論を示す時期を伺います。
さらに、平成31年度末で用途指定期間が終了する清掃関連施設については、今回の計画では事業所の集約化や多用途への機能転換が検討されていましたが、決算特別委員会では具体的な回答がありませんでした。有効利用すべき土地建物であるとの認識のもと、現在の所管に囚われず、区長が先頭に立って早急に方針を示していただきたい。平成32年度初頭には新たな目的で活用されることを強く望みます。区長の所見を伺います。
この際、公共施設等マネジメントとは異なりますが、類似の事例として、都道465号線の拡幅に関する曳舟小学校プールの対応についても指摘しておきます。
拡幅に応じるにあたって関係機関との合意に時間がかかったという点については理解します。しかし、当該プールについては当初から計画道路上に位置しており、拡幅事業が始まれば時期のずれはあっても移設等の措置が必要になることは明確であり、その方法について区として準備し、対案を用意しておくのが当然です。保護者や地域の方々の不安や疑問を解消するためにも、早急に対応を用意するべきだと考えますが、区長の見解を伺います。
また、曳舟文化センターについては、今回の計画で平成32年度の有償貸付期間終了後のあり方等の検討を行ってきた施設です。過去の答弁では、まちづくり公社のあり方を検討する中で貸付期間終了後の取り扱いを決定するとのことでしたが、施設の方向性は早期に定めておくべきではないでしょうか。施設自体の老朽化が進んでいるため、貸付期間終了後に指定管理者制度を導入するならば、大規模修繕を行う必要があります。修繕による長期の休館が発生すると、大ホールは多くの区民や団体が例年の行事で利用しているため影響が大きく、利用者への周知や調整の期間を要します。また、大規模な施設であるため、修繕費用の財源についても考慮しなければなりません。
これらの点について区長の見解を伺います。
2点目として、大規模修繕が必要な施設として、すみだトリフォニーホールについて伺います。
山本区長が委員長を務めた平成26年決算特別委員会において、すみだトリフォニーホールの大規模修繕費用については、オリンピックの開催年から3か年で総額約20億円から30億円を見込んでおり、平成30年度くらいに具体的な数字を示したいとの答弁がありました。現時点での費用の見込みと、財源についての検討状況を伺います。
トリフォニーホールについては、音楽都市すみだの象徴的な施設であり、これまで一定の役割を果たしてきたことは承知しています。しかし、例年予算、決算特別委員会の度に指摘されているように、多額の維持管理費が毎年必要である上に、一定期間毎に大規模修繕の費用を負担し続けることは、財政運営上、非常に大きな課題となっていることも事実です。民間への移譲や、最低でも収入増のための利用方針の転換等、最大限の区費負担の軽減策を真剣に検討する時期ではないでしょうか。政治家出身である山本区長だからこその政治的な決断を期待していますが、区長の見解を伺います。
3点目として、墨田区の観光の拠点であるすみだまち処の方向性について伺います。
すみだまち処は、東京スカイツリーの開業に合わせて、平成24年5月に開業して以来、区内観光及び区内生産品の販売の拠点としての役割を担っています。開業当初は利用者数も多く一定の売り上げもありましたが、来街者が平準化するにつれて、不利な立地などの諸条件により、期待している効果が得られているとは言えません。区は約1億6000万円で墨田区観光協会に委託していますが、約6000万円という多額の賃料、公益費の支出がある上に売り上げが増えない現状は、観光協会にも厳しいものです。
HPの工夫や、各種催しなど観光協会の改善の努力を超えて、スカイツリー出入り口と飲食店への動線から離れている立地の悪さが要因となっていると考えられます。今後は開業当時の水準まで来街者が増えることは考えにくいため、この状況は続いていくと予想しますが、区長の認識を伺います。
当初のテナントの賃貸借契約期間は平成34年5月末までと承知していますが、まち処の機能は同じ場所で続けていくのか、観光協会の意向も含めて契約の延長についての考え方を区長に伺います。
開設に当たって多額の費用を支出したとはいえ、引き続き期待した効果が得られないことが予想されるのであれば、将来の観光協会の自立や区内生産品の売り上げ増、観光まちづくりのために決断することも見識だと思いますがいかがでしょうか。
4点目として、大学のあるまちづくりについて伺います。
旧西吾嬬小学校、旧曳舟中学校の大学誘致用地では、i専門職大学校舎の建設が始まり、旧中小企業センターの改修の設計も進んでいると聞いています。
特にi専門職大学は区内外で様々なイベントや情報発信を行っており、開学まで1年半と目の前に迫っていることが感じられます。また、千葉大学についても、校舎の概要が明らかになれば区民に実感として認識されるのではないでしょうか。現時点での区長の感想を伺います。
区による文花地区のまちづくりについては、都営住宅の建て替えと大規模事業者の建て替え計画も含めて、本年6月に文花地区まちづくり方針として示されています。「大学のあるまちづくり」の姿としてのイメージはある程度共有されていると考えますが、その他については未知数な部分が多いと現状では認識しています。
開学が近付き、各校の学部・学科、学生数、学生の属性等、具体的な事項が明らかになってきた現在、墨田区に「大学のあるまち」がどのような影響を及ぼすのか、その波及効果について区民に示す時期だと考えます。
学生・教員による消費等の直接的な経済効果、大学の運営に関しての区内事業者の活用策、区内産業との連携体制、小中学校との交流、学生の地域活動への協力等、区として調査しているもの、大学側と協議しているもの、今後検討するものについてお知らせ願います。
大学が開学してからは「大学のあるまち墨田区」をどのように作っていくかが重要です。
大学のあるまちづくりに向けての区長の決意を伺います。
第5に、先ほど再任にあたっての所信表明を行った加藤教育長に今任期の教育施策について伺います。
加藤教育長は、第3回定例会での答弁や、先ほどの所信表明でも、学力向上を重点施策ととらえ、今後とも力を入れて取り組んでいくと述べられています。これまでの教育長の下での取組みにより、墨田区の児童・生徒の学力は向上傾向にあることを我々は高く評価しています。
確かな学力は将来の選択肢の幅を広げるものであり、子供たちが夢や希望を抱いて義務教育を終えることができるよう、今任期でも取り組みを進めていただきたいと考えています。しかし、未だに「墨田区学習状況調査」における学力低位層であるD・E層の割合や社会科・理科については課題が見られることも事実です。今任期でのこれらの課題解決に向けて、拡充する事業や新たに行おうとしている取り組みについて、具体的にお知らせ願います。
特に、我々は放課後学習や家庭学習等、授業時間外での基礎的な学力、学習習慣の定着の取り組みが、学力に課題のある児童・生徒には非常に効果的であると認識しています。
この点について、より進化した取り組みを求めますが教育長の見解を伺います。
また、第3回定例会で、会派として議案提出者に名を連ねた墨田区子ども読書活動推進条例が提出されました。授業での活用や子供の学習支援、子供の居場所等、学校図書館が果たす役割は多岐にわたる上に重要なものと考えているため、本条例が可決され施行された際には、是非とも蔵書数の増加や開館時間の延長等、充実に努めていただきたいと要望します。来年度には第4次墨田区子ども読書活動推進計画の検討が行われます。学校図書館の拡充について盛り込んでいただきたいと思いますが、教育長の答弁を求めます。
以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。