令和7年02月19日定例会 一般質問 稲葉かずひろ議員

 

一点目は「認可保育園の選考基準における居住年数の積算方法」についてです。

 

現在、本区の認可保育園の選考基準において、「基準指数」と「調整指数」の合算が同ポイントだった場合に、「墨田区に引き続き居住している期間が長い世帯」が優先されるという、基準が設けられています。

 

これは、「暮らし続けたいまちの実現」を目的に我が会派の提案により平成29年に導入された優先基準です。
長く本区に住まわれている世帯の優先順位を上げることで、定住促進に寄与している良い制度だと考えていますし、引き続き継続すべきものだと考えます。

 

しかしながら、この制度は入園申し込み時点から遡り、連続して区内に居住している期間を指標としています。
そのため、元々墨田区に住んでいて一度区外に転出してしまった場合は、再度転入してきた時点から起算されてしまいます。

 

一例を上げますと、墨田区出身で成人になるまで区内に住んでいて、就職の都合で区外に転出し、その後、生まれ育った地元で子育てをしようと、墨田区へ戻ってきてくれた世帯(所謂Uターン)の場合、優先順位の指標とされる居住年数の起算日は、再転入してきた日となってしまします。

 

また、転勤等、何らかの理由により一時的に区外転居した場合も同様の事象が起きます。

 

このような事例から「長年墨田区に住んでいたのに、一時的に区外に転居したために、優先順位が下がってしまい、非常に残念。」という声をよく耳にします。
参考として、杉並区では本区と同様、居住年数による優先基準を設けていますが、「平成26年4月以降の転出入があった場合は居住日数を合算する」という要件が加えられています。
この平成26年4月以降という考え方は、現在の法制度において、居住日数の証明ができる範囲で、公平性を鑑みてのことだと考えます。

 

以上のことを踏まえて、区長に二点、質問及び提案をいたします。

 

一点目は、現行の優先基準において居住年数を指標としていることに対する評価と、先に述べた様に、元々墨田区に住んでいた方が、一時転居したことにより居住期間がリセットされてしまうことに対しての所見をお聞かせてください。

 

二点目として、
令和3年の予算特別委員会で、我が会派からも同様の課題を指摘しています。その際の答弁では「基準見直しの機会があれば社会の考え方に即して考えていきたい」という趣旨の答弁がございました。

 

本区も杉並区の事例のように証明できる範囲内で居住日数を合算したものを指標とすることを提案いたします。
このことにより、以前墨田区に住んでいて、再度転入されてきた方々にも手厚い対応となり、本制度が更に良いものになると考えます。本提案に対して区長はどのように考えるか、お聞かせください。

 

 

次に「子育て世帯の転出抑制に向けた住宅施策」に関しての質問をいたします。

 

現在、本区の人口は約28万7千人となり、人口増加を続けています。
これは、墨田区が選ばれる街として多くの方に評価され、非常に喜ばしいことと考えます。
それと共に、現在本区に暮らす区民の方々に定住をしていただき、次世代を担っていただくことが、重要です。

 

本区の人口動向を直近の総務省発表、住民基本台帳人口移動報告内訳を参考にみると、20代の転入者が最も多く、転入超過状況にあります。
これは働き世代が転入していると考察できます。
しかしながら、転出人口に目を向けると0歳.14歳までの人口が転出超過となっていて、とりわけ0.4歳の世代の転出超過が著しく、全世代通しても0.4歳の転出率が最も高くなっています。
それに伴い、30代.40代に関しても転出超過傾向にあります。

 

このことから、働き世代の20代で墨田区に住んで、子育て世代になった30代.40代になると0.4歳の子供と共に転出してしまうという傾向であると考えられます。
この傾向は本区としての大きな課題だと捉えています。
その理由を様々な視点で考察し、転出超過を改善していく必要があると考えます。

 

本区が令和5年に発表している転出入者アンケート調査(複数回答あり)において、「区外転出のきっかけとなったこと」の設問に対して、「住宅の広さ」が約38%で2位の回答でした。

 

1位が「子育て」で約40%の回答でしたので、住宅の広さと、子育てが殆ど同率で区外転出のきっかけとなっています。
このことからも、子育て支援と同様に住宅の課題に対しても取り組まなければならないと考えます。

また、転出者に対して「墨田区に住んでいた時の印象は?」の設問に対しては「便利で住みやすい街」が最も多い回答でした。

 

つまり、墨田区は住みよい街だと思うが、区外に転出してしまう大きな要因として「住宅環境」がある、ということになります。

 

現在、本区の1住居当たりの平均面積は約59㎡で、借家に絞ると約38㎡です。これは近隣6区と比べて最も低い水準となっています。
国土交通省が定める世帯人数に応じて豊かな住生活を送るために必要と考えられる住宅の面積の水準である、「都市型の誘導居住面積」が単身者向け40㎡、家族三人の場合75㎡ですので、いかに本区に広さのある住戸が少ないかが分かります。

 

また令和5年に策定された「第7次墨田区住宅マスタープラン」では誘導居住面積水準以上の住戸を令和14年までに全体の50%以上にすることが目標とされています。
令和7年現在時点での進捗は約36%です。
平成29年に第6次の住宅マスタープランが策定された際には約38%でしたので、経年で約2ポイント「誘導居住面積水準の住宅」が減少しているしている計算になります。

 

以上のことを踏まえ、区長に3点質問いたします。

 

1点目は墨田区の人口動向に対して、0.4歳及び30.40代の所謂子育て世代の転出超過率が高いことに対して、本区の住宅事情が大きく関係していると考えています。
本区の子育て世帯向けの住宅環境に対する区長の現在の認識をお伺いします。

 

2点目は住宅マスタープランの「誘導居住面積水準以上の住宅の確保」に対する目標値に関して、現在の「進捗と転出抑制」の関連性及び区長の評価をお伺いします。

 

3点目、ファミリー世帯の転出超過を抑えるためには住宅施策が喫緊の課題だと考えています。今後本区の住宅施策はどの様な視点で、どの様な施策を行っていくか、具体的な計画があればお聞かせください。

 

次世代を担う世代の定住は本区にとって大変重要な事項です。
区民から「暮らしやすさ」の評価が高い本区を私も議員として誇りに思っています。
しかしながら、やはり人々の暮らしの基盤は住居です。住宅事情を理由に転出が起きることは、確実に抑制していかなくてはなりません。
住宅問題は一朝一夕に解決できる課題とは考えてはいませんが、区民のライフサイクルを考察し、縁あって本区に住んでいる方々が定住できるような住宅施策を全庁一丸となって検討していくべきだと考えます。
是非、更なる課題認識を持っていただき、解決に向けて検討をお願いいたします。

 

以上 質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

 

区長答弁

区答弁 稲葉議員

 

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