令和7年02月14日定例会 一般質問 大門しろう議員

 

1点目は介護現場におけるケアプランデータ連携システムの導入推進についてです。

 

介護保険制度は2000年に介護保険法が施行されて25年が経とうとしております。この間、実施状況や社会情勢を鑑みて7回の法改正が行われましたが、直近の法改正は昨年施行の改正であり、その中で生産性向上のためのDX化なども推奨されております。
しかしながら、小規模事業者にとってシステムの導入や電子申請等による事務処理の負担増は非常に大きな課題となっているのも事実です。

 

また、介護を担う人材不足も大きな課題となっており、厚生労働省が試算した、第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数については、2040年には全国で約272万人の人材が必要となっており、2022年の約215万人の介護職員に対し、さらに約57万人の職員が必要という試算となっております。

 

本区においても「令和4年度墨田区介護サービス事業所調査報告書」のアンケート結果では、約60%の職員が人員不足と答えており、今後職員の高齢化も重なり、ますます人材不足は深刻となっていくものと思われます。

 

とは言え、それを一気に解消するような人材確保策も難しく、ICTの活用による生産性向上や、処遇改善により少しでも環境を良くしていくことが求められます。

 

同アンケートにおいても、ICT等の導入に必要な要素として「財政的支援」が一番高い要素となっており、ICT等導入による経済的な負担軽減は喫緊の課題と言えます。

 

一方で墨田区が定めた「墨田区高齢者福祉総合計画・第9期介護保険事業計画」のうち、介護サービスの充実における重点推進事業の中で、介護現場の生産性向上推進事業があるが、その中で介護現場のDX化には触れられておりません。

 

そのような中、厚生労働省は、2023年4月にケアプランやサービス利用票をやり取りする関連機関や専門家が情報を共有・共通化できるプラットフォームとして、ケアプランデータ連携システムを本稼働させましたが、まだまだ区内事業所には浸透しておらず、独立行政法人福祉医療機構が運営するサイト「WAMNET」の調べによると、同システムの利用は、令和7年1月1日時点では、区内308事業所中、6事業所のみの導入にとどまっております。普及にあたっての課題については、システムそのものについての理解不足や導入による事務負担があるのではないかといった声や、費用面についての心配の声も特に大きいものと推察しますが、そもそも導入によるメリットが大きいという部分が理解されておらず、普及が進んでいないのではないかと感じております。
一例を取ってみれば、今まで事業者間のケアプランのやり取りは郵送やFAXなど紙で行っていたものを、データ連携することによりオンラインで完結することができ、記載ミスや請求返戻などの事務負担を減らし、介護職員の事務を大きく減らすことが可能となるが、多くの事業所で導入が進まないことにはこの恩恵を受けることができません。

 

そこで近隣自治体での対応を見てみると、港区では年間のライセンス料21,000円の全額を補助しており、千葉県では松戸市や船橋市などが同じく年間ライセンス料の補助を行って導入を推進しております。

 

東京都においても、デジタル機器導入支援事業において費用の4分の3を補助しておりますが、本区においてもその活用について周知が徹底されているとは言えず、区内事業者へのさらなる周知徹底が必要と考えます。

 

そこで区長に伺います。今後、介護現場の生産性向上のため、ケアプランデータ連携システムのより一層の導入推進を図るべく、区内事業者に向けて様々な手法による周知を図ることおよび導入支援やフォローアップ体制をしっかりと確立すべきと考えますが区長のご所見を伺います。

 

次に、ケアプランデータ連携システムの導入については、東京都でも導入費用の4分の3を補助しているが、残りの4分の1の費用や、システム利用に必要な介護ソフト等に係る必要経費を区として補助することにより導入推進を図るべきと考えますが区長のご所見を伺います。

 

今後、介護サービスを取り巻く環境はますます困難な状況となることが予想されます。昨年は介護事業者の倒産が制度始まって以来最多となったという報道もありました。介護される方々はもちろんのこと、介護を担う方々をしっかりと支えていける環境整備の構築を願い、次の質問に移ります。

 

二点目は、介護現場における新しい取り組みとして注目を集めているeスポーツの活用について伺います。

 

本区においても高齢化が進む中で、身体的・精神的健康を維持するための新たなアプローチが求められています。eスポーツはその可能性を大いに秘めた取り組みであり、本区の介護現場においても積極的に活用すべきではないかと考えます。

 

近年、eスポーツは高齢者の認知機能の向上や社会参加の促進に寄与する可能性があるとして大変注目を集めています。ゲームを通じた手と目の協調運動の訓練や、仲間と楽しむことで得られる交流の場は、介護予防やQOL(生活の質)の向上につながると言われています。他自治体においては、例えば、埼玉県や福岡県では、高齢者向けのeスポーツイベントを通じて健康促進や社会参加を目指す取り組みが実施されています。これらの事例では、イベントへの参加をきっかけに高齢者同士の交流が深まり、身体機能や認知機能の向上が期待されています。また、福井県では、「eスポーツを活用した地域の高齢者元気応援事業」として、県内の介護保険施設・事業所への補助金事業を行っております。

 

墨田区においては、2022年に区内のデイサービス事業者がデイサービスとしては日本初となるeスポーツ大会を開催し、その後も不定期ではありますが大会を開催していると仄聞しております。

 

また、昨年11月にINSOMNIAというeスポーツチームと情報経営イノベーション専門職大学が連携し、日本初の公民学連携eスポーツプロジェクトがスタートしました。このプロジェクトにより、将来的には墨田区を「eスポーツの聖地」とすることを目標に、eスポーツに特化したまちづくりや教育機関の拠点化を進め、地域とeスポーツが一体となった新たな文化を創造すると報道にもありまた。地域と一体という意味においては、高齢者福祉施策の一環としてeスポーツを活用したプログラムを構築し、地域とのつながりを強化していく事も進めていくべきと考えますが、区長のご所見を伺います。

 

次に、本区では高齢者向けの介護サービスやレクリエーション活動はさまざま提供され、充実をしていると認識しておりますが、認知症予防や社会的孤立の解消に向けた具体的な取り組みについては、まだ課題が残されているのではないかと感じます。特に、従来のレクリエーション活動に参加することが難しい高齢者や、従来のレクリエーション活動では物足りない高齢者、デジタル機器に不慣れな方々への支援が求められているものと思います。

 

一方で、あと10年もすれば、子どもの頃に家庭用コンピューターゲームで遊んでいた世代が高齢者となり、日常的にゲームに慣れ親しんでいる世代が高齢者となってまいります。

 

今後、eスポーツを高齢者福祉施策の一環として導入した場合、例えば、高齢者が親しみやすいゲームの選定や、機材の導入、スタッフの育成など様々な部分で検討を要してくると考えられます。また、施設内での利用だけでなく、地域住民との交流を促進するイベントや大会の開催も、介護予防や地域の活性化につながるのではないかと考えます。

 

eスポーツを介護現場に導入する際には、まず区民や介護従事者に対してその意義を理解していただくことも非常に重要です。デジタル機器に不慣れな高齢者へのサポートや、家族の理解を得るための取り組みも不可欠です。

 

こうした課題と現状を踏まえ、eスポーツの活用がどのように効果を発揮するのか、また、区としてその可能性をどのように捉えているのか、実現可能性も含めまして区長のご所見を伺います。
eスポーツは、従来の介護サービスにはなかった新しい価値を提供できる可能性を秘めています。本区の高齢者福祉施策の一環として、eスポーツ活用を積極的に推進することで、高齢者の健康促進や社会参加をさらに進められるのではないかと考えます。
ひいては医療費の抑制、健康寿命の延伸など様々な効果を生むものと考えます。

 

10年先を見据えた施策として推進していただけるよう切に願い、以上2点について質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

 

区答弁

 

区答弁 大門議員

 

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