令和2年度 11月本会議 一般質問  たきざわ正宜議員

第一に、旅館業法と建築基準法の関係について区長に伺います。

近年、住宅を転換して、旅館業法上の旅館・ホテル営業または簡易宿所として許可を得て営業する事例が多くみられるようになりました。このような物件の中には、旅館業法上合法であっても、建築基準法では違法な物件が存在することが分かっています。

そもそも、旅館業法と建築基準法はその立法趣旨や規制内容が異なるため、それぞれの法律に応じた審査を行い、結果としてそれぞれの判断結果が異なることは当然ですが、建築基準法上違法な物件で旅館業を営んでいる 現状を追認することは、建築基準法を司る特定行政庁として許されません。現在、旅館・ホテル営業または簡易宿所として営業しようとすると、生活衛生課の窓口に出向き、旅館業法上の営業許可を得るべく申請を行います。この際、同法上義務付けられているものではありませんが、添付書類として、建築基準法上適合をしているかどうかにつき、検査済証の提出を求めます。検査済証の提出がない場合、またはあってもその用途が住宅のままの場合、建築指導課に出向き、建築基準法上の適合性確認を受けるよう、行政指導を行います。しかし、この指導を受けなくても、また指導に従わなかったとしても、旅館業法上では合法であるため、最終的には、区として許可を出さざるを得ず、逆に許可を出さないことは、違法な行政行為となってしまいます。現状では、こうしたことから、旅館業法上は合法であっても、建築基準法上違法な物件が存在し得る状態となっているのが現実です。まず、この現状を区長はどう認識しているのか伺います。

 

また、建築基準法上、床面積が200平米を超える場合では、用途変更の申請が必要であるため、建築指導課がその申請時に、法適合に基づく指導を行うことができますが、200平米以下の物件ではこの申請義務がないため、そもそも建築指導課が情報を把握することができません。

 

そこで本日提案するのは、旅館業法上の許可を求める申請者、特に床面積が200平米以下の物件については、一級建築士に相談し、建築基準法上の適合性の報告を義務付ける条例の制定です。このような体制を整備することで、現在の建築指導課のマンパワーでも十分に対応することができ、建築基準法上違法な物件の存在を許さない制度設計を行うことができます。条例違反に対しては、過料を課したり、またその事実の公表を行うことにより、建築基準法上違法な物件の乱立に一定の抑止力を持つことができます。この制度設計の導入を強く求めるものですが、区長の見解を求めます。

 

そもそも、こうした提案の大前提として、区長は、建築基準法上違法な物件に対しては、建築基準法第9条第1項に基づく強制措置、例えば、除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限等の命令をすることができます。こうした命令を適切に行使すべきと考えますが、区長の見解を求めます。

 

同様に、住宅を店舗に改装する事例もあり得ることから、併せて検討を求めますが、区長の見解を伺います。

 

違法な飲食店や旅館・ホテル営業、簡易宿所の乱立は、利用者の安全性はおろか、周辺住民の公共の安全を侵す事態に発展します。こうした違法を野放しに、営業行為を続けさせることは、行政の公共の責任を放棄していると言わざるを得ません。安全なまちづくりと営業活動の自由をしっかりと両立させるよう、区長には強く求めるものです。

 

第二に、大学敷地周辺の再整備についてです。

現在、文花地区では、iUが開学し、また千葉大学の開学も控え、その名に相応ふさわしい文教地区として生まれ変わっています。これまで議会では、関連するiUの第二校舎用地、将来活用用地について議論を重ね、それぞれ一定の方向性が示されました。残された課題として、あずま百樹園の再整備とこれに関連して、文花テニスコートの今後のあり方があると考えます。文花テニスコートは、区内でも稼働率が低く、その要因は様々ですが、利用者の声によると、区内唯一のクレーコートであることが課題とされています。そこで次期改修の際には広く一般に使われ水捌けも良いオムニコートの名称で浸透している砂入り人工芝にする必要があります、   まず、この件について、区長の見解を求めます。

 

さらに、文花テニスコートを現地再整備するのか、近隣に移転して整備するのかといった選択肢がありうると考えます。テニスコートは一般に、区内外から広く利用されるスポーツ施設であり、それがどこに存在しているかということは重要なファクターではないと考えます。近隣では文花中学校のテニス部が利用しているので、これに配慮する必要がありますが、そう遠くない場所であれば、移転も可能であると考えます。

 

そこで提案するのは、近隣にある区立文花公園との交換です。都市公園法第16条第2項では、公園の廃止を行う際、近隣に同規模の公園の確保を行わなければなりませんが、現テニスコート用地を文花公園の代替地として公園として整備することで、百樹園と一体化した公園として整備することができ、広さとしてもまた景観上も大変有意義であると考えます。

 

他方で、現在文花公園を利用している高齢者や子どもたちについても十分配慮し、例えば、現テニスコート用地部分にこうした利用に供することのできる場所を作るなど、対策を講ずる必要があります。こうした施設の配置転換の提案について、区長の見解を伺います。

 

第三に、公園における禁煙の徹底についてです。

墨田区立公園条例が改正され、令和2年4月から、公園が、分煙することのできる一部の大きな公園を除いて全面禁煙となりました。代用園庭として利用している保育園児をはじめとする子どもたちにとっても良好な環境が整備されたと思っています。他方で、条例改正後も、公園で喫煙する事例について報告が多く上がっています。その都度、立て看板の設置や職員自ら出向いての指導を行っていることは、大変頭の下がる思いでいっぱいですが、改善が見られない事例もあり、近隣住民からは、吸殻を子どもが拾ってしまうのでなんとかしてほしい、また副流煙が家に入ってきて困っている等の声が多く寄せられています。

現在の条例では、喫煙行為に対して、第22条において過料を課すことができますが、この適用は行われているのか、伺います。

過料の適用については、千代田区が路上喫煙について過料を設け、その適用を行っているところですが、徴収員の配置に大きな税金投入が必要で、ここについては是非のあるところですが、ひどい事例については、重点的に対応し、過料を課すという強い姿勢を示すことで、一定の抑止力となることが期待されます。過料の適用の検討について、区長の見解を伺います。

 

第四に、離婚後の養育費支援についてです。

国の平成28年度全国ひとり親世帯等調査によると養育費が支払われている母子家庭は約25パーセントにとどまり、その受給状況については、母子家庭で平均月額約4万4000円、父子家庭で平均月額約3万3000円とされており、ひとり親家庭が経済的に自立し、子どもが健やかに 成長する上で、養育費の支払い状況は十分とは言えません。

また、離婚後に養育費を受け取ることができないことが、母子家庭に おける貧困率が50%を超えてしまう大きな原因であるとも言われています。現在、養育費保証サービスの保証料補助などを行う東京都の養育費 確保事業や明石市の養育費立替パイロット事業などが行われており、また、本年4月に改正された民事執行法では、「第三者からの情報取得手続き」という新しい制度もでき養育費確保につながっていると仄聞しております。

更には、この養育費の不払いは、ひとり親家庭の貧困に直結するため、国においても有識者会議が法務大臣の諮問に基づいて検討が進められているところです。

このような状況を鑑み、本区でも親の離婚による経済的負担等から子どもを守るために、養育費の支援をスピード感をもって対応することが必要だと考えますが区長の見解を伺います。

 

第五に、地域共生社会の実現に向けた取り組みについてです。

 

近年、少子高齢化の進行とともに福祉ニーズは多様化しており、介護と育児の問題を同時に抱えるダブルケア、80代の親と働いていない50代の子が同居する8050問題、身の回りの世話が難しくなりゴミ屋敷となってしまう世帯、ペット多頭飼育の崩壊で近隣とトラブルになる事例など、複合的な課題を抱える世帯が増えています。以前であれば、近くに住む人に助けてもらうこともできましたが、地域コミュニティの希薄化とともに、誰にも相談できないまま、地域から孤立して、問題を深刻化させるケースも少なくありません。

地域における生活課題は複雑化、複合化しており、これまでの高齢者、障害者、子ども、生活困窮者など、分野ごとの支援体制では対応が困難な対象者や、制度の狭間にある対象者を支援していくことが求められています。

国においては、住民が様々な生活課題を抱えながらも、住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう、地域住民等が支え合い、一人ひとりの 暮らしと生きがい、地域をともに創っていくことのできる「地域共生社会」の実現に向けた施策が進められています。平成29年には社会福祉法が改正され、地域課題の解決に資する包括的な支援体制づくりが区市町村の努力義務となりました。さらに、この体制を整備するための「重層的支援体制整備事業」が令和3年4月より、社会福祉法に基づく新事業として施行されます。

 

そこで、区長に伺います。

努力義務ではありますが、包括的な支援体制と体制を整備するための、相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に実施する「重層的支援体制整備事業」は極めて重要であり、本区においても対応が必要と考えます。現時点における新しい組織体制も含めた検討状況と今後の方向性についての見解を伺います。

地域課題の解決には、公的な福祉サービスを充実させるだけでは、財源や担い手確保も含めて限界があり、地域に暮らす人たちが共に支えあい、課題を解決する力を養っていく必要があります。困った人の問題を受け止めて行動できる住民を増やすこと。住民が集える機会を作り、地域の課題を学んだりする機会を増やすことが、自分が暮らす地域に関心を持つことにつながります。

他の自治体では、住民が課題発見から解決までの過程の中で、コミュニティソーシャルワーカーが関わることで、意識の変化があった事例を聞いたことがあります

そこで、重要な役割を果たすのが、墨田区社会福祉協議会であると考えます。社会福祉協議会には、精神保健福祉士や社会福祉士などの資格を有したコミュニティソーシャルワーカーが配置され、地域福祉プラットフォーム事業など地域における相談と居場所づくりの事業を実施しています。

 

そこで、区長に伺います。

包括的支援体制の整備にあたっては、住民自身が課題を発見し、解決につなげる仕組みづくりが重要であり、社会福祉協議会の果たす役割は大きいと考えます。先ほど述べた地域福祉プラットフォーム事業の活用など、区と協働して地域共生社会の実現に向けた取り組みを強化していく必要があると考えますが、区長の見解を伺います

 

次に都有地の活用について伺います。

墨田区の北部には都立墨田川高校堤校舎の跡地が10年以上もの間、何も活用されず、今に至っています。この地は、都立東白鬚公園に隣接し、堤校舎の閉校後には忍岡高校の仮校舎として利用されましたが、平成18年にこちらも閉校となりました。

 

その後は、同跡地が防災センター構想に基づいた防災拠点として、地域の皆様と利活用を考えていたところ、東京都からは東京消防庁第6方面の訓練施設を設置したいとの要望がありましたが、墨田区を管轄する第7方面ではない事もあり、区民の皆様の理解を得られず、計画がとん挫。以来、先が見えない状態で今を迎えました。

 

これまでも、墨田区は東京都に対して、同地の活用を求める要望を重ねてきましたが、実際には都区間で踏み込んだ協議がなされた痕跡はありません。自然災害に対する危機感を常に持っている墨田区にとって、江東地区の防災拠点指定を受けている白髭東地区内に位置する為、この目的を乗り越えての利用は非現実的だと思われます。実際には、臨時のヘリ発着地点になっており、災害時に都民、区民の皆様の為に、同地がフル活用される事は容易に想像できます。

 

ところが、現実的には、これまでも自然災害の脅威にさらされて参りましたが、ここにヘリが離発着されたという事がなく、地元の皆様からも、この土地スペースを活用しないのは勿体ないので運動広場として開放して頂きたいという声が多数上がっています。過去に都区間では、広場利用についてや、一般論で売却費用等の話があったことは仄聞しています。しかしながらあらためて区民ニーズが高まってきたことから、現状の緊急時におけるヘリ発着地点という考えは維持しつつ、何もない通常時には、区として何らかの活用が図れるよう、再度具体的に東京都に提案する時期が来ているのではないかと考えます。例えば地域の防災力の向上に資する活動用地や、他にも子ども達の運動広場等として活用することが考えられます。これらのことを踏まえて、東京都との進捗状況と今後の展望について区長の所見を伺います。あわせて区内に残る大きな都有地について、区民ニーズを踏まえて、都へ更に一歩踏み込んだ都区間の協議体の場を設けることも強く要望します、こちらについても区長の所見を伺います。

 

以上で質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

令和2年度 11月本会議 代表質問  坂井ユカコ議員

大要1点目は、令和3年度の予算編成についてです。

これまでの景気拡大傾向が続き、令和元年度決算では、当初予算を大きく超える特別区交付金の増加と、給与所得者の所得増加や納税義務者の流入等による区民税の増加等による全体的な歳入増がありました。そのため実質収支が大幅な黒字となった他、経常収支比率はさらに減少し、財政調整基金も大きく積み増すことができました。

 

決算だけを見ると、今後の区政運営を安定的に行っていくための財政基盤が整い始めたという非常に喜ばしい数字が並んでいます。しかし、今年度以降については、新型コロナウイルス感染症の影響で大幅な歳入減が見込まれ、非常に厳しい財政運営となることが必至です。

 

リーマンショックの影響を大きく受けた平成21年度は、大幅な特別区交付金の減少がありましたが、今回のコロナ禍の影響はそれを超えると言われています。①今年度及び来年度の特別区交付金への影響は全体的にどの程度になると予測しているのか、区長に伺います。

 

また、東京都では財政調整交付金の財源である市町村民税法人分、固定資産税等の徴収猶予を行っていますが、②特別区交付金にどのように影響があるのか動向を把握しているか伺います。さらに、③本区の今年度の予算執行については、昨年度決算の繰越金等を活用すれば、財源不足にならずに行えるのかも伺います。

 

来年度予算編成は大幅な歳入減を考慮して編成作業を行っていると認識しています。また、9月議会では財政規模を縮小すると区長は答弁しています。④経常的経費のマイナス5%シーリング、新規事業を原則認めない等が示された副区長の「令和3年度予算の見積もりについて」の依命通達を踏まえた見積もりと、終期を迎えた事業により、どの程度の予算規模を想定しているのか伺います。加えて、⑤主に削減する事業の分野と、具体的な行政改革の取り組みについても伺います。

 

墨田区基本計画の中間改定が1年延期となり、来年度に新たな4年間の計画を策定することになりました。過去の歳入減の例を踏まえると、新型コロナウイルス感染症の影響は、最低でも3年は続くことを想定する必要があると考えています。計画当初とは歳入環境が大幅に厳しくなっている状況で、コロナ禍がいつまで続くか不明ではありますが、改めて財政推計を作り直し、現行計画から事業を取捨選択する必要があります。⑥起債の償還が財政を圧迫しないよう、公共施設整備を考慮することや、中途で財源不足に陥らないための計画的に基金を取り崩すことなどを検討しつつ、当面の3年間、基本計画期間の4年間を念頭に財政運営の考え方を示すことを求めます。区長の所見を伺います。

 

本区の事業には東京都の補助事業が数多くあります。都は新型コロナウイルスへの対応のため大きく基金を取り崩した他、財政状況が大幅に悪化しています。来年度予算編成では、経常経費はマイナス10%シーリングなど、非常に厳しい方針を示しています。これを受けて、⑥補助事業の打ち切り等があると、23区一様に区政運営に大きな影響を受けてしまいます。現在、特別区長会で東京都に対して要望活動を行っていると聞いていますが、より強い姿勢で交渉することを望みます。区長の所見を伺います。

 

大要2点目は、民間活力、英知の活用についてです。

まず、隅田公園における民間活力の導入について伺います。
今、公園は、維持管理だけではない、まちづくりの視点が求められております。
隅田公園が大規模改修で生まれ変わり、ご存知の通り、本区の新名所として、人々の憩いの場となっています。社会実験や感染症対策に配慮したイベント等も開催され、魅力ある公園を核とした新たなにぎわいを実感するとともに、公園利用者が快適に過ごせる空間づくりは、地域全体、ひいては本区の価値を向上させることを再認識しました。

 

これまでにも区から議会へ報告があり、それを踏まえて議論がなされていますが、①現時点での検討状況を伺うとともに、あらためて、隅田公園における指定管理者制度導入等の民間活力の導入について、区長のご認識を伺います。
また、本区の公共空間に対する考えを示す上で大変重要な、隅田公園の第2期整備工事の展開は、全国からも注目されています。
②更なる公園と地域の価値向上へ向け、パークPFIの導入などによる官民協働による場づくりを検討しているか伺います。

 

続いて千葉大学・情報経営イノベーション専門職大学についてです。
過日、議会で両大学の視察を行いました。
情報経営イノベーション専門職大学では、将来有望な一期生の方々の様子や、一般開放された学食を拝見し、学による地域活性化のイメージが膨らみました。
改修中の千葉大学は、旧中小企業センターの堅牢な躯体のもと、大野勘三郎氏の欄間やアトリエとなる広大な吹き抜け等、元々の構造を生かし、学習目的達成のために改修された素晴らしい再生建築です。地境の無いキャンパスは敷地全体が文教コミュニティとして発展する可能性を十分に感じることが出来ました。

 

新たな命が吹き込まれたこの再生建築を、長く使っていくことは、地域の財産であり、本区のレガシーであり、未来への投資となるでしょう。
①建築を学ぶ学生を迎え入れるに相応しい、千葉大学を迎えるにふさわしい改修となるように、完成まで徹底して取り組むべきですが、区長のご所見を伺います。

 

来年4月始動する千葉大学は、全10学部と多岐にわたる知の集積があり、情報経営イノベーション専門職大学は在学中に起業する学生が多数出現する見込みです。
②区長は、大学の英知恩恵を十二分に享受するために、これから、どのような方向性を持って、連携し、本区の課題解決と発展に資するものにしていこうと考えているのか伺います。

 

最後にキャンパスコモンついて質問します。
9月議会企画総務委員会で、情報経営イノベーション専門職大学と千葉大学の間にある敷地は、地域と大学の交流を生み、誰でも利用できる空間、キャンパスコモンとして区があずま百樹園と一体的に整備すると報告されました。一般質問でたきざわ議員からも切り口を変え質問いたしますが、③まずは区長が、両大学と、地域全体にとってのキャンパスコモン活用をどんなイメージで考えているのか。地域の意向を反映させながら、文教地区としての知の集積に資する活用をどのように考えているのか伺います。

 

大要3点目は、ウィズコロナ時代の教育施策・災害対策についてです。

まず、学校の学力向上施策等について伺います。
今年、区立の小中学校では、3月から5月まで臨時休業を余儀なくされましたが、各学校では、事前の計画どおりに「学習の振り返り期間」の学習内容に沿って、自宅学習のプリント教材による振り返りを行い、学習の定着を図られたと伺いました。3か月に及ぶ学校の休業は、児童・生徒たちにも少なからぬ影響があったと推察します。各学校では、今後さらにICT等の活用を充実して「学習の保障」と「学力の向上」を目指されるのだと思います。
子供を取り巻く環境は、今後も目まぐるしく移り変わり、子供たちは、その中でしっかりと 学び、生活し、成長していかなければなりません。①教育長としては、今後、どのような子どもの姿を目指して、学力を伸ばしていこうと考えているのか、お尋ねします。
次に、「GIGAスクール構想と学力向上」について、伺います。
文部科学省のGIGAスクール構想を受けて、本区でも、区立小中学校の児童・生徒に一人一台、学習用タブレット端末が配布され、使用が開始されます。
このタブレットを活用することで、一人ひとりの興味・関心や、学習理解の状況に応じて、個別に最適な学習を継続的に実施できる事を期待します。
②そこで今後、タブレット端末を利用して、児童・生徒の学力向上をどのように進められるのか、具体的な考え方を伺います。
③あわせて、タブレットは、児童生徒が学習のみに使えるようしっかりとカスタマイズを行うべきですが、対策を伺います。

 

次に、「学校給食における和牛の提供」について伺います。
今般、国の補正予算で「学校給食における和牛の肉の提供」の事業化が動き出しています。都では調整に時間を要し、事業の進捗を心配していましたが、一方で、事業実現に向け、樋口議長が行われた特別区 議長会への働きかけや、加藤教育長が、各区の教育委員会に働きかけられたことなどにより、このたび、④事業の実現に大きな道筋が着いたと伺いました。そこでお尋ねします。これまでに都から事業実施の通知はあったのでしょうか。実施の時期は、いつごろになる予定でしょうか。
今回は、樋口議長が農林水産省の話を紹介されたことが、事業実施の発端となり、非常に有意義な給食提供に繋がったと評価しています。⑤今後も、国の補正予算が組まれる際には、各省庁の事業の関連情報には十分に注視してほしいと考えますが、教育長の見解をお尋ねします。

 

続いて、水害対策について伺います。
大規模な台風等による水害が日本各地に被害を及ぼしている昨今、東京においても昨年の台風15号・19号は記憶に新しいと思います。水害では特に、入院患者や介護施設入居者・自宅で介護を受けられている方・障害をお持ちの方等 自ら避難する事ができない方々の逃げ遅れによる痛ましい被害が発生しています。
これらをうけて、「水防法」および「土砂災害防止法」が改定され、浸水想定区域等の要配慮者利用施設の所有者または管理者に、「避難確保計画書」の作成と避難訓練の実施が義務付けられました。避難確保計画とは、水害や土砂災害が発生したときに施設のご利用者様やスタッフが円滑かつ迅速に避難できるように必要な事項を定めた計画になりますが、仄聞するところによれば、「避難確保計画書」を作成している施設はまだまだ少ないとの事です。
①そこで区長に伺います。本区に所在する要配慮者利用施設での「避難確保計画書」の作成状況について、区は把握されているのか。また未作成の施設に対して、どのような支援・指導をされているのでしょうか。

 

②あわせて、わが会派から再三求めている広域避難が可能な場合の避難先の確保は、「避難確保計画書」と同様に要介護者にとって重要な課題です。広域避難を推奨するなかで、避難場所の確保に関する区長の考え方を再度伺います。

 

大要4点目は、デジタルガバメント政策の推進についてです。

まず、行政手続きのデジタル化について伺います。
令和元年12月に「デジタル行政推進法」が施行され、地方自治体についても行政手続きのオンライン実施が努力義務とされました。コロナ禍で山積する対応に追われながら、日夜精力的に手続きのデジタル化に取り組む職員の皆様のご尽力に感謝申し上げ、質問します。

 

まず、本区における窓口デジタル化について伺います。
今年7月、1階窓口の混雑状況がスマートフォンやパソコンから確認できるようになり大変便利になりました。
続いて来年早々、税額の計算と申告書作成が、また今年度中には申請書作成システムが導入される予定です。導入されるシステムは、窓口の住民票系の申請だけでなく、児童手当等の子育て系も同時に申請が可能になると伺いました。区民の利便性向上に大変良いことだと思います。
①デジタル行政推進法が行政デジタル化の基本原則を示すなか、これまで区民部が牽引してきたデジタル化は、全庁展開が基本となるはずです。本区全体として、どのような広がりを考えているのか、窓口サービスのデジタル化について、区長に伺います。

 

合わせてキャッシュレス化の推進について伺います。
この11月から、スマートフォンを利用した税・保険料のキャッシュレス決済がスタートしました。
②電子マネーを利用した公金の収納については、これまでわが会派も、従前の税や保険料にとどまらず、範囲を拡大すべきと求めてまいりました。現在の具体的な検討状況や、今後の見込みの中で報告できる点を伺います。

 

この際、自治体の情報セキュリティ対策の見直しについても伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響により、区職員の皆様には分散登庁、在宅勤務を余儀なくされる期間が発生しました。在宅でできる業務は極めて限定され不便であったと仄聞しています。
これには情報セキュリティ対策として、住民記録システム系、庁内情報システム系とインターネット系の3つのネットワークを分離する、いわゆる「三層の対策」が背景にあります。
③まず、この期間、業務効率にどのような影響が出ていたのか伺います。

 

5月発表の総務省「自治体情報セキュリティ対策見直しのポイント」では、自治体の効率性、利便性の向上とセキュリティの確保を両立する観点から、三層対策の見直しのほか、自治体の内部環境からパブリッククラウドへの接続等を可能とする要件等を含めた「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の改定を行うこととしています。
④テレワーク・在宅勤務のような柔軟な働き方に合わせて、また今般のような予測不能の事態にも行政運営を停滞させないためにも、本区として、国が最低限満たすべき事項を遵守しながら、情報セキュリティ対策の見直しを検討していくべきと考えますが、区長のご所見と、今後の取り組みを伺います。

 

令和7年には、住基システム統一、自治体業務システム標準化という待ったなしの課題も待ち受けています。
⑤最後に、このたび質問したいくつかの課題について、「墨田区行政情報化推進計画」にどのように盛り込んでいくのか、具体的な検討はどのように進んでいるのか伺います。

 

大要5点目は、地域力向上と芸術振興についてです。

まず、町会自治会支援について伺います。
先の決算特別委員会において、墨田区町会・自治会会館建設等補助金に関するわが会派沖山議員、藤崎議員の質問に対して、法人化されている、いないに関わらず全町会自治会を補助対象とする、との答弁がありました。この事を地縁団体の財産を守る観点から、評価いたします。

 

地縁団体の認可制度を推進する過程であっても、町会会館の老朽化は同時に進行します。①今後申請が増加する事が予想されますが、区としてどのような対応を考えているのか伺います。

 

デジタル化について、町会自治会支援の視点からも伺います。
行政、学校と、デジタル化が着々と進むなか、同じように地域にもデジタル化が求められます。②人々が集まる拠点としての機能が向上し、住民の自主と連携による地域コミュニティ活動の推進に資する。デジタル化の環境整備に、区として支援を考えていることがあればお答えください。

 

続いて、北斎を通じた交流について伺います。
わがすみだ北斎美術館とクラクフ日本美術技術博物館“Manggha”館との友好協定から1年を迎えました。先日講演が開催され、周年記念展示「クラクフ ドラゴンとドラゴン」も始まり、北斎を通じた本区との交流は順調です。
①まずは参加された山本区長から、感想とポーランド及びクラクフ、“Manggha”館との友好について、今後の展望やお考えを伺います。

 

本区では、北斎生誕260年記念事業として、9月に「北斎ゆかりの地を巡るリモート旅」、先月10日に、技術を駆使したリアルとリモートの同時進行で「記念シンポジウム」が開催されました。
私も画面越しに、参加者相互の即時性あるコメントを拝見しながら、コロナ禍にあっても、アートを通じて日常の属性を超えて交流できる事に、改めて葛飾北斎という絵師の求心力に感心した次第です。
②そこで区長に伺います。今回の記念事業実施によってどのような効果があったか、今後の取り組みにどのように生かしていこうと考えているのか、ご所見を伺います。

 

先般フランスでは、北歳の未公開作品103点が発見され、収蔵した大英博物館がウェブサイトで作品を公開し始めたことが、世界で大きな話題になっています。
③フランスも、ポーランドも、小布施も、本区と北斎でつながっています。区長には強い意気込みで、北斎イヤーにあたるこの機を逃すことなく、ワールドワイドな取り組みを期待します。区長は今後、北斎プロモーションをどのように展開されようとしているのか、伺います。

 

最後に、産業振興施策について4点伺います。

1点目は錦糸土木事務所跡地の活用についてです。
11月4日の報道発表によると、株式会社アストロスケールホールディングスが新施設の主要な入居者となるとのことで、区内昼間人口の増加、優良企業の区外転出防止を訴えてきた私達は大いに歓迎しています。
新施設の他のテナントについても、関連する分野の事業者や、ものづくりに関する企業の入居を促し、アストロスケールを中心として、①錦糸町地区に新たな産業集積が行われることを期待するところです。区としてどのような働きかけを行っていくのか伺います。
②また、現在策定中の新しい産業観光マスタープランにおいても、この地域の位置づけを明らかにすることを求めます。

 

2点目は、産業支援施策としての区内未利用地・施設の活用についてです。
錦糸土木事務所跡地以外にも、区内には未利用地、未利用施設が点在しています。③私たちは、積極的に産業振興の観点からも検討し、効果的に活用するべきであると考えています。現在、東墨田会館の活用が示されていますが、その進捗状況を伺います。
また、④旧すみだ清掃事務所亀沢待機所については、両国駅に近く、産業観光での活用に最適な未利用施設と言えます。墨田区内で起業した事業者の規模拡大に伴うオフィス需要等への対応など、産業面での課題解決のために活用することを提案しますが、区長の見解を伺います。

 

3点目は、新型コロナウイルスの影響下での今後の区内事業者支援についてです。
先の見えないコロナ禍の中でも、多くの区内事業者の皆様は事業継続のために日々努力されています。その中でも、新たな業態や別分野の製品開発等による事業転換で活路を見出している事業者の苦労はいかばかりか。⑤すみだビジネスサポートセンターの機能強化や、金融機関等との連携強化を行うことはもちろん、区はこれら前向きな事業者の取り組みをしっかりと支援していくべきです。区としてどのような支援ができるのか、検討中の事を伺います。
また、⑥区内事業者の人材の確保と定着を図るために、就業環境の整備に対する支援を行うべきと考えますが、区長のご所見を伺います。

 

4点目は、キャッシュレスポイント還元事業についてです。
10月に実施したキャッシュレスポイント還元事業については、結果としては3億円の予算に対し2億円余のポイント付与にとどまりましたが、新しい生活様式を見据えた取り組みとして、区内事業者に一定の効果があったものと私たちは評価しています。⑦今回の事業について、経済的な効果と実施に当たっての課題をどのように検証しているのか区長に伺います。
また、決算特別委員会では、⑧余剰となった予算を有効活用するため、年度内の実施を検討するとの意向が示されましたが、具体的な時期と規模、予定している10月実施からの改善点について伺います。加えて、財源については、国の補正予算等を活用するのか伺います。

 

現在、事業者が負担する手数料が無料や低価格なものが多いキャッシュレス決済ですが、今後は手数料が発生する可能性もあり、売り上げが大きくない事業者にとっては大きな負担となることが予想されます。新しい生活様式として普及させても、手数料の発生でキャッシュレス決済をやめてしまう事業者が出てしまう可能性があり、これでは、キャッシュレス決済を推進している本区にとって、政策的に後退する事が懸念されます。⑨継続的にキャッシュレス決済を推進できる施策が必要と考えますが、区長のご所見を伺います。

 

以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

                                             

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