令和2年度 11月本会議 一般質問  たきざわ正宜議員

第一に、旅館業法と建築基準法の関係について区長に伺います。

近年、住宅を転換して、旅館業法上の旅館・ホテル営業または簡易宿所として許可を得て営業する事例が多くみられるようになりました。このような物件の中には、旅館業法上合法であっても、建築基準法では違法な物件が存在することが分かっています。

そもそも、旅館業法と建築基準法はその立法趣旨や規制内容が異なるため、それぞれの法律に応じた審査を行い、結果としてそれぞれの判断結果が異なることは当然ですが、建築基準法上違法な物件で旅館業を営んでいる 現状を追認することは、建築基準法を司る特定行政庁として許されません。現在、旅館・ホテル営業または簡易宿所として営業しようとすると、生活衛生課の窓口に出向き、旅館業法上の営業許可を得るべく申請を行います。この際、同法上義務付けられているものではありませんが、添付書類として、建築基準法上適合をしているかどうかにつき、検査済証の提出を求めます。検査済証の提出がない場合、またはあってもその用途が住宅のままの場合、建築指導課に出向き、建築基準法上の適合性確認を受けるよう、行政指導を行います。しかし、この指導を受けなくても、また指導に従わなかったとしても、旅館業法上では合法であるため、最終的には、区として許可を出さざるを得ず、逆に許可を出さないことは、違法な行政行為となってしまいます。現状では、こうしたことから、旅館業法上は合法であっても、建築基準法上違法な物件が存在し得る状態となっているのが現実です。まず、この現状を区長はどう認識しているのか伺います。

 

また、建築基準法上、床面積が200平米を超える場合では、用途変更の申請が必要であるため、建築指導課がその申請時に、法適合に基づく指導を行うことができますが、200平米以下の物件ではこの申請義務がないため、そもそも建築指導課が情報を把握することができません。

 

そこで本日提案するのは、旅館業法上の許可を求める申請者、特に床面積が200平米以下の物件については、一級建築士に相談し、建築基準法上の適合性の報告を義務付ける条例の制定です。このような体制を整備することで、現在の建築指導課のマンパワーでも十分に対応することができ、建築基準法上違法な物件の存在を許さない制度設計を行うことができます。条例違反に対しては、過料を課したり、またその事実の公表を行うことにより、建築基準法上違法な物件の乱立に一定の抑止力を持つことができます。この制度設計の導入を強く求めるものですが、区長の見解を求めます。

 

そもそも、こうした提案の大前提として、区長は、建築基準法上違法な物件に対しては、建築基準法第9条第1項に基づく強制措置、例えば、除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限等の命令をすることができます。こうした命令を適切に行使すべきと考えますが、区長の見解を求めます。

 

同様に、住宅を店舗に改装する事例もあり得ることから、併せて検討を求めますが、区長の見解を伺います。

 

違法な飲食店や旅館・ホテル営業、簡易宿所の乱立は、利用者の安全性はおろか、周辺住民の公共の安全を侵す事態に発展します。こうした違法を野放しに、営業行為を続けさせることは、行政の公共の責任を放棄していると言わざるを得ません。安全なまちづくりと営業活動の自由をしっかりと両立させるよう、区長には強く求めるものです。

 

第二に、大学敷地周辺の再整備についてです。

現在、文花地区では、iUが開学し、また千葉大学の開学も控え、その名に相応ふさわしい文教地区として生まれ変わっています。これまで議会では、関連するiUの第二校舎用地、将来活用用地について議論を重ね、それぞれ一定の方向性が示されました。残された課題として、あずま百樹園の再整備とこれに関連して、文花テニスコートの今後のあり方があると考えます。文花テニスコートは、区内でも稼働率が低く、その要因は様々ですが、利用者の声によると、区内唯一のクレーコートであることが課題とされています。そこで次期改修の際には広く一般に使われ水捌けも良いオムニコートの名称で浸透している砂入り人工芝にする必要があります、   まず、この件について、区長の見解を求めます。

 

さらに、文花テニスコートを現地再整備するのか、近隣に移転して整備するのかといった選択肢がありうると考えます。テニスコートは一般に、区内外から広く利用されるスポーツ施設であり、それがどこに存在しているかということは重要なファクターではないと考えます。近隣では文花中学校のテニス部が利用しているので、これに配慮する必要がありますが、そう遠くない場所であれば、移転も可能であると考えます。

 

そこで提案するのは、近隣にある区立文花公園との交換です。都市公園法第16条第2項では、公園の廃止を行う際、近隣に同規模の公園の確保を行わなければなりませんが、現テニスコート用地を文花公園の代替地として公園として整備することで、百樹園と一体化した公園として整備することができ、広さとしてもまた景観上も大変有意義であると考えます。

 

他方で、現在文花公園を利用している高齢者や子どもたちについても十分配慮し、例えば、現テニスコート用地部分にこうした利用に供することのできる場所を作るなど、対策を講ずる必要があります。こうした施設の配置転換の提案について、区長の見解を伺います。

 

第三に、公園における禁煙の徹底についてです。

墨田区立公園条例が改正され、令和2年4月から、公園が、分煙することのできる一部の大きな公園を除いて全面禁煙となりました。代用園庭として利用している保育園児をはじめとする子どもたちにとっても良好な環境が整備されたと思っています。他方で、条例改正後も、公園で喫煙する事例について報告が多く上がっています。その都度、立て看板の設置や職員自ら出向いての指導を行っていることは、大変頭の下がる思いでいっぱいですが、改善が見られない事例もあり、近隣住民からは、吸殻を子どもが拾ってしまうのでなんとかしてほしい、また副流煙が家に入ってきて困っている等の声が多く寄せられています。

現在の条例では、喫煙行為に対して、第22条において過料を課すことができますが、この適用は行われているのか、伺います。

過料の適用については、千代田区が路上喫煙について過料を設け、その適用を行っているところですが、徴収員の配置に大きな税金投入が必要で、ここについては是非のあるところですが、ひどい事例については、重点的に対応し、過料を課すという強い姿勢を示すことで、一定の抑止力となることが期待されます。過料の適用の検討について、区長の見解を伺います。

 

第四に、離婚後の養育費支援についてです。

国の平成28年度全国ひとり親世帯等調査によると養育費が支払われている母子家庭は約25パーセントにとどまり、その受給状況については、母子家庭で平均月額約4万4000円、父子家庭で平均月額約3万3000円とされており、ひとり親家庭が経済的に自立し、子どもが健やかに 成長する上で、養育費の支払い状況は十分とは言えません。

また、離婚後に養育費を受け取ることができないことが、母子家庭に おける貧困率が50%を超えてしまう大きな原因であるとも言われています。現在、養育費保証サービスの保証料補助などを行う東京都の養育費 確保事業や明石市の養育費立替パイロット事業などが行われており、また、本年4月に改正された民事執行法では、「第三者からの情報取得手続き」という新しい制度もでき養育費確保につながっていると仄聞しております。

更には、この養育費の不払いは、ひとり親家庭の貧困に直結するため、国においても有識者会議が法務大臣の諮問に基づいて検討が進められているところです。

このような状況を鑑み、本区でも親の離婚による経済的負担等から子どもを守るために、養育費の支援をスピード感をもって対応することが必要だと考えますが区長の見解を伺います。

 

第五に、地域共生社会の実現に向けた取り組みについてです。

 

近年、少子高齢化の進行とともに福祉ニーズは多様化しており、介護と育児の問題を同時に抱えるダブルケア、80代の親と働いていない50代の子が同居する8050問題、身の回りの世話が難しくなりゴミ屋敷となってしまう世帯、ペット多頭飼育の崩壊で近隣とトラブルになる事例など、複合的な課題を抱える世帯が増えています。以前であれば、近くに住む人に助けてもらうこともできましたが、地域コミュニティの希薄化とともに、誰にも相談できないまま、地域から孤立して、問題を深刻化させるケースも少なくありません。

地域における生活課題は複雑化、複合化しており、これまでの高齢者、障害者、子ども、生活困窮者など、分野ごとの支援体制では対応が困難な対象者や、制度の狭間にある対象者を支援していくことが求められています。

国においては、住民が様々な生活課題を抱えながらも、住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう、地域住民等が支え合い、一人ひとりの 暮らしと生きがい、地域をともに創っていくことのできる「地域共生社会」の実現に向けた施策が進められています。平成29年には社会福祉法が改正され、地域課題の解決に資する包括的な支援体制づくりが区市町村の努力義務となりました。さらに、この体制を整備するための「重層的支援体制整備事業」が令和3年4月より、社会福祉法に基づく新事業として施行されます。

 

そこで、区長に伺います。

努力義務ではありますが、包括的な支援体制と体制を整備するための、相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に実施する「重層的支援体制整備事業」は極めて重要であり、本区においても対応が必要と考えます。現時点における新しい組織体制も含めた検討状況と今後の方向性についての見解を伺います。

地域課題の解決には、公的な福祉サービスを充実させるだけでは、財源や担い手確保も含めて限界があり、地域に暮らす人たちが共に支えあい、課題を解決する力を養っていく必要があります。困った人の問題を受け止めて行動できる住民を増やすこと。住民が集える機会を作り、地域の課題を学んだりする機会を増やすことが、自分が暮らす地域に関心を持つことにつながります。

他の自治体では、住民が課題発見から解決までの過程の中で、コミュニティソーシャルワーカーが関わることで、意識の変化があった事例を聞いたことがあります

そこで、重要な役割を果たすのが、墨田区社会福祉協議会であると考えます。社会福祉協議会には、精神保健福祉士や社会福祉士などの資格を有したコミュニティソーシャルワーカーが配置され、地域福祉プラットフォーム事業など地域における相談と居場所づくりの事業を実施しています。

 

そこで、区長に伺います。

包括的支援体制の整備にあたっては、住民自身が課題を発見し、解決につなげる仕組みづくりが重要であり、社会福祉協議会の果たす役割は大きいと考えます。先ほど述べた地域福祉プラットフォーム事業の活用など、区と協働して地域共生社会の実現に向けた取り組みを強化していく必要があると考えますが、区長の見解を伺います

 

次に都有地の活用について伺います。

墨田区の北部には都立墨田川高校堤校舎の跡地が10年以上もの間、何も活用されず、今に至っています。この地は、都立東白鬚公園に隣接し、堤校舎の閉校後には忍岡高校の仮校舎として利用されましたが、平成18年にこちらも閉校となりました。

 

その後は、同跡地が防災センター構想に基づいた防災拠点として、地域の皆様と利活用を考えていたところ、東京都からは東京消防庁第6方面の訓練施設を設置したいとの要望がありましたが、墨田区を管轄する第7方面ではない事もあり、区民の皆様の理解を得られず、計画がとん挫。以来、先が見えない状態で今を迎えました。

 

これまでも、墨田区は東京都に対して、同地の活用を求める要望を重ねてきましたが、実際には都区間で踏み込んだ協議がなされた痕跡はありません。自然災害に対する危機感を常に持っている墨田区にとって、江東地区の防災拠点指定を受けている白髭東地区内に位置する為、この目的を乗り越えての利用は非現実的だと思われます。実際には、臨時のヘリ発着地点になっており、災害時に都民、区民の皆様の為に、同地がフル活用される事は容易に想像できます。

 

ところが、現実的には、これまでも自然災害の脅威にさらされて参りましたが、ここにヘリが離発着されたという事がなく、地元の皆様からも、この土地スペースを活用しないのは勿体ないので運動広場として開放して頂きたいという声が多数上がっています。過去に都区間では、広場利用についてや、一般論で売却費用等の話があったことは仄聞しています。しかしながらあらためて区民ニーズが高まってきたことから、現状の緊急時におけるヘリ発着地点という考えは維持しつつ、何もない通常時には、区として何らかの活用が図れるよう、再度具体的に東京都に提案する時期が来ているのではないかと考えます。例えば地域の防災力の向上に資する活動用地や、他にも子ども達の運動広場等として活用することが考えられます。これらのことを踏まえて、東京都との進捗状況と今後の展望について区長の所見を伺います。あわせて区内に残る大きな都有地について、区民ニーズを踏まえて、都へ更に一歩踏み込んだ都区間の協議体の場を設けることも強く要望します、こちらについても区長の所見を伺います。

 

以上で質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

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