本会議場で手話表現を行いました。(墨田区議会史上初)
議席番号1番、自由民主党、坂井ユカコです。
私からは、先に通告した大要3点について、質問いたします。区長・教育長には、前向きな、ご答弁をお願いいたします。
- 手話及びろう者への理解促進について伺います。
手話がどこでも使える社会へ向けた大きな一歩となる「墨田区手話言語及び障害者の意思疎通に関する条例」が、今定例会に議案として提出され、ろう者から、喜びの声が多数寄せられています。
平成21年の、学習指導要領改訂以降の今日、日本のろう教育は、手話教育が中心となっていますが、つい20年前まで、ろう学校で手話を使うことは、禁止されていました。口で話す訓練をする「口話教育」が、重要視されていたからです。聞こえないのに、声を出すことを求められ、当時、つらい思いをされた方も、多くいらっしゃったと聞きます。
このたびの条例で、手話などの非音声言語が、音声言語と同様に「言語」と定義づけられる事になります。ろう者苦難の歴史を顧みれば、実効性のある、より良いものにしていかなくては、と意を強くするものです。
さて、「手話は言語である」ということが世界で初めて定義されたのは、平成18年の「障害者権利条約」の国連総会による採択です。
国内においては、23年に「障害者基本法」が改定されました。
その後、25年に全国の自治体で初めて、鳥取県が手話言語条例を施行し、昨年末で、全国で234自治体、都内では4自治体が、手話言語や障害者の意思疎通に関する条例を制定しています。
まずは、
条例(案)制定に至る経緯を伺うとともに、先達自治体が多くある中での条例(案)提出における、本区独自の特色について伺います。
具体的に他自治体と違う点、工夫、踏み込んだ点をお示し下さい。
続いて、条例(案)の第五条、区民の役割として、障害者の意思疎通に係る、理解を深めることについて伺います。
秋篠宮佳子内親王殿下が、手話を使い、お言葉を述べるのをニュースでご覧になった方も多いと思いますが、今、佳子殿下のように手話を学ぶ人が増えています。全国手話研修センターが実施する「全国手話検定」を、10,059名もの方が、昨年受験されました。
現在墨田区で手話を知る機会としては、➀すみだボランティアセンターで行う年間40回の手話専門講座、②手話が話せる方向けの手話サークルといった活動が既にありますが、条例制定後は、さらに日常的に、多くの区民が、手話を知ることができ、手話表現に触れることができる、仕組みづくりが求められます。
今後どのような方法で、この機会を増やしていくおつもりか、伺います。
音の世界から、すべて隔てられている、ろう者の孤独を、健聴者が想像することは不可能です。だからこそ、聞こえないことはどういう事か、考えたり、想像する機会を作っていく事が大切です。
ろう者を知る事は、見た目にわからない障害をお持ちの方への、理解を深める事につながります。
区民全体、そして児童・生徒への取り組みを積極的に展開すべきと考えますが、この点について、区長ならびに教育長の所見を伺います。
あわせて、広報についても触れておきます。
昨年、手話言語条例を制定した江戸川区では、区民だより特集号を発行し、聞こえない人の毎日や、日常生活で困る場面、身近な手話表現、条例制定を機に始まる、庁内オープンスペースで、どなたでも参加することができる「初心者向け手話体験」等、大きく掲載しておられました。
条例制定に対する機運を区民に見える化することも、重要ですので、しっかりと取り組んで頂きたいと考えますが、区長のご所見を伺います。
- 次に、情報保障について伺います。
情報保障とは、個人の「知る権利」を、実質的に保障するものです。
特に聴覚障害者は、音声によって提供される、情報や会話を理解できないため、日常的に、情報から疎外されています。
そのため、一般的に「情報保障」とは、聴覚障害者に対するコミュニケーション支援を指して用いられ、具体的には、手話通訳や要約筆記、字幕等の対応を指しています。
私は区議会に入って、区の大きな行事には、登壇者の傍らに、必ず手話通訳者が立ち、同時通訳をしていることを知りました。
東京都の定める『区市町村・事業者のための「心のバリアフリー」及び「情報バリアフリー」ガイドライン』を参考に、こうした対応を行っているとのことですが、参列者の中に、手話通訳による情報保障を必要としている方が、本当にいるのか、いつも不思議に思っていました。
何故なら、ろう者なら、手話通訳者と正対して、通訳して頂いたほうが、理解しやすいだろうと思ったからです。
そこでまず、
これまで、手話通訳者を派遣した行事等で、実際に手話による、情報保障を必要とする方を、把握されているのか。
個別に対応したほうが良い場合等、無かったのか、伺います。
一方で、区主催の行事でも、中規模の行事となると、急に手話通訳者を見かけなくなります。区の行事等において、手話通訳を派遣する、しない、の基準は、あるのか、この点についても、合わせて伺います。
本日開催の本会議のように、事前の申し出で、手話通訳等の対応ができる行事も有りますが、区民にお知らせする行事の殆どは、実質的に、健聴者のみが対象となっています。
折しも、31年度予算(案)には、タブレットを使った手話通訳サービスの提供を、準備しているとあります。このサービスが開始すれば、より簡便に、手話通訳を行うことが、できる環境が整います。
そこで、私からは、区主催及び区後援行事を案内する、パンフレットに、統一した文言やマークを配するなどして、「すみだの情報保障」をうたい、積極的にコミュニケーション支援を推進することを、提案します。
障害者差別解消法が、平成28年4月に施行され、障害をお持ちの方に対する不利益取扱いの禁止や合理的な配慮の提供が行政機関において法的義務となっています。
「墨田区手話言語及び障害者の意思疎通に関する条例」制定を機に、手話通訳や要約筆記、磁気ループ補聴器等を活用した、コミュニケーション支援が、一層進展していくために、また、障害をお持ちの方への合理的配慮の確かな一歩とするために、この提案への、区長の明快なご見解を求めます。
- 訪日外国人増加に伴う対応について
東京都の訪都旅行者数等実態調査結果によれば、平成29年、東京を訪れた外国人旅行者数は過去最多の約1,377万人(対前年比5.1%増)で、そのうち1,030万人が都内に宿泊しています。スカイツリー等、多くの観光資源を有する我が区にも、多数の外国人が滞在していることが推測されます。
また、本区居住の外国人に関しても、5年前は9,351人、今年2月1日現在12,629人と、着実に増加しています。
数年前と比べて、外国人を見ることが本当に増えたなぁ、という実感は、誰もがお持ちの事と思います。
昨年6月に、住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、新法における民泊の登録が、スタートしました。
そこでまず、本区における施行半年の届出状況及び受理状況、合わせて旅館業法におけるホテル・旅館・簡易宿所の申請状況を伺います。
合わせて、23区全体の届出・受理状況、他区との比較等から、分析できる点についても、お示し下さい。
地域住民からは、外国人旅行者を見かけることに、かなり慣れてきた、といった意見と同時に、マナーに関する摩擦を懸念する声が、聞こえます。
本区は、民泊、簡易宿所等に、責任者の連絡先の明記を求めていますので、まずは、実際に苦情等を受け付けた件数とその内容、苦情発生後の対応について伺います。
確かに一部に、マナーが悪い方がいることも事実ですが、多くの外国人は、その国の文化に敬意を払い、ローカルルールを楽しみたいと思っています。
ところがこのローカルルール、暗黙の了解すぎる事から、文化の異なる訪問者が理解するのは、至難の業である事も事実であります。
トラブルや苦情を未然に防ぐためにも、受け入れる側も、日本ならでは、下町ならではの慣習やマナーは、あらかじめ宿泊客に説明すべきです。
そこで、区民から寄せられた苦情や意見を基に、本区の実情を反映・集約した「下町滞在のしおり」のようなものを、電子データ等で、用意することはできないでしょうか。
宿泊施設 事業者が、予約時にメールに添付したり、チェックインの時に手渡す等、することができれば、住んでいる人も、海外からの旅行者も、良好な関係を築ける仕組みとなると思いますが、区長のご所見を伺います。
あわせて、その内容を観光協会や旅行会社を通じて周知できるような動きが出来ないか、さらに外国人の区内居住者が生活する上での参考資料と出来ないか。これらの視点についても、伺います。
さて、外国人の増加に伴い、思わぬ事態も発生しています。
昨年末、「日の丸」の国旗をと売りつけようとする外国人グループに注意するよう、港区愛宕警察署が注意を呼びかけたと伺いました。
この事案は、被害が少額である事や、100%詐欺にあたるという判断が難しいため、犯罪として表面化はしていませんが、外国人はひとりやふたりではなく、今年に入り、浅草や東京スカイツリー等の観光地だけでなく、区内の住宅街や、飲食店等で、活動する姿が目撃されています。聴覚障害を持つ旅人を装っている例も多く目撃されています。
こうした類は、今後も手を変え品を変え、続くことが予想されます。
訪日外国人に対する、私たちの善意やおもてなしの気持ちを踏み躙る、これらの誘いに乗らないよう、今後の目撃・被害・通報状況次第では、注意喚起することや警察などの機関とも連携して、情報提供するなど、対応すべきと考えます。区長のご所見を伺います。
以上で、私からの質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。