墨田区議会自由民主党の田中友です。会派を代表して区長並びに教育長に質問いたします。
はじめに、区長の平成30年度施政方針及び平成30年度予算編成について伺います。
平成28年に策定した墨田区総合戦略及び墨田区基本計画の中で、区長は「暮らしたいまち」「働き続けたいまち」「訪れたいまち」の実現を目指す、「すみだの“夢”実現プロジェクト」を掲げ、これまで実質2年間の区政運営にあたってきました。
施政方針の中で区長は、「平成29年度は、“すみだの夢”実現に向けた着実な事業推進により、新たなステージを切り拓く予算と位置付け、基本計画に掲げた“夢”実現プロジェクトが本格始動するとともに、計画に掲げる各施策を着実に推進しています。」と述べています。
墨田区総合戦略では平成31年度時点での数値目標及び重要業績評価指標を、墨田区基本計画では平成32年度時点での施策の達成をはかる指標の中間目標値を設けています。平成30年度は、山本区長の今任期の実質的な最終年度に当たることから、これまでの各指標についての達成度を検証して予算編成にあたったものと考えます。また、総合戦略及び基本計画では、PDCAサイクルにより事業の効果の検証を行い、継続的に改善・改革すると謳っています。
区長には、基本計画における各指標の中間目標値に対する達成度を示していただき、これまでの「すみだの“夢”実現プロジェクト」の進捗状況を知らせていただきたい。また、29年度までの各事業のPDCAサイクルの結果、30年度予算へどのような反映があったのか合わせて伺います。
続いて、更なる行財政改革の推進について伺います。
平成30年度予算は、一般会計が1192億5500万円で、約80億円増となりました。歳入面では、納税義務者数や区民所得の伸びにより、特別区税が3億4400万円の増、景気回復に伴う市町村民税法人分の大幅な伸びによる特別区交付金の26億800万円の増が見込まれています。しかし、国による地方消費税清算基準見直しにより、地方消費税交付金が6億5300万円の減収となる他、市町村民税法人分の一部国税化の影響により、特別区交付金の伸びが著しく抑えられるなど、非常に厳しい歳入環境にあります。区長の現在の認識及び今後の見通しをまず伺います。
歳出面においては、民生費のみで一般会計予算額の56%を占める、671億4500万円となっています。今後の少子高齢化社会の進行により、社会保障費の増大は続くものと考えられます。また、平成30年度予算では、基金からの繰り入れを増やすほか、起債も増加しています。この度の予算編成では、景気回復による特別区交付金の増に助けられた部分が非常に大きいと推察します。しかし、今後景気回復が一段落するなど、歳入の伸びが見込めなくなった場合、非常に難しい財政運営を強いられることが予想されますが、区長の認識を伺います。
30年度予算においては、事務事業の廃止や、補助金事業の見直し等の効率化により、約3億8000万円の削減を行うなど、行財政改革の取り組みを進めています。また、区民税・国民健康保険料の収納率向上の取組や、私的債権の管理体制の効率化、ICTの活用による業務改善等、引き続き行財政改革を推進する姿勢については評価します。しかし、現在の財政状況を考えると、更なる行財政改革の推進が必要です。
行財政改革実施計画や第2次公共施設マネジメント実行計画の取組について、平成30年度においての着実な実行に加え、可能な限りの前倒しを求めますが、区長の見解を伺います。
また、各公共施設ついて、稼働率向上による使用料収入の増加を目指し、利用者ニーズを的確に把握し、備品の追加等適切な措置を取っていくことを求めます。長期的な管理運営費の抑制につながるほか、区民活動の活性化や健康寿命の増進にも寄与するのではないでしょうか。区長の見解を伺います。加えて、利用者が限定的となっている施設については、一定の判断の下、廃止・譲渡・売却による公共施設総量の抑制を検討する時期ではないかと考えますが、区長の見解を求めます。
次に、平成30年度予算案の中の、具体的な事業について伺います。
第一は、各種ファミリー世帯の定住促進施策についてです。これらの施策の実施により、墨田区の子育て支援へのイメージが向上し、多くの方々に転入していただくことを期待しています。一方で、居住年数が保育所の優先順位に入っている、学童クラブの定員が不足しているなど、転入促進と相反する状況が散見されます。新規事業を実施する際には、政策目的と現状の齟齬を解消し、より実効性の高いものにしていく必要があると考えますが、区長の所見を伺います。
第二は、東京2020オリンピック・パラリンピック関連予算についてです。報道では、国技館でのボクシング競技の実施の有無が取り沙汰されていますが、何か動きがあるのか伺います。
昨年9月に墨田区オリンピック・パラリンピック地域協議会が発足し、30年度予算で具体的な活動が開始されます。区民全体を巻き込んだ気運醸成を図るため、未来枠の若者世代をはじめ、広く意見を聴取し、区の取組に反映していく仕組みの構築を求めます。また、地域協議会の中で、大会後の墨田区のあるべき姿、方向性を示すことができるよう、区としての支援を求めます。区長の見解を伺います。
オリンピック・パラリンピック大会は、大会後も含めて、区内の小中学生をはじめあらゆる世代の学びのきっかけになると考えます。長野冬季大会の「一校一国運動」のような、息の長い活動が根付くことを期待しています。学校現場や区民活動において、現時点ではどのような取り組みを考えているのか、区長及び教育長に伺います。
次に、大学誘致について伺います。千葉大学及びi専門職大学の誘致が決定したことは、私たちとしても大変喜ばしく、山本区政1期目の大きな成果と高く評価します。その上で、今後の展開に関して2点質問します。
第一に、地域との関係について伺います。
現在、地域住民や学校、教育関係者らでつくる「跡地利用・まちづくりに関する住民協議会」において地域からの要望事項について、鋭意議論が進められています。過日行われた協議会では、i専門職大学が大学図書館や学生食堂の地域開放、区民向けの生涯学習講座の開催等、多彩な地域貢献の具体策について説明を行いました。大学誘致の経済的効果を区民が享受するためには、大学の建設や管理・清掃業務、学生食堂における食材発注等で、区内業者を指定するよう、地域貢献に加えて、区として大学側に求めていくことが重要と考えますが、区長の考えを伺います。
また、住民側からは、将来、通学路となる十間橋通りや曳舟たから通りについて、大学の開設に合わせて整備することが重要であり、大学を迎える地元住民としてもおもてなしの心をもって臨みたいとの意見が多く出されました。将来的にこれらの道路は拡幅が予定されてはいるものの、大学開設に合わせた計画とはなっていません。現在の状況のまま、例えば舗装や交通安全施設の改修、樹木の整備等を行うことが必要であると考えますが、区長の見解を伺います。
更に、文花子育てひろばが、突如として大学誘致予定地に移設されるとの話は、住民としては寝耳に水との意見も多く出されました。同予定地に建設する理由、容積率の余裕、他の施設との合築等、論点は多岐にわたります。長らく仮設だった子育てひろばの移設が必要なことは理解しており、その観点で補正予算案に賛成していますが、こうした論点については、住民や議会に対して説明不足の感が否めません。これらについて丁寧な説明を求めますが、区長の答弁を求めます。
また、今回示された青写真では、「将来活用用地」が暫定的に位置づけられますが、公有地の有効活用の観点から、当面は地域と大学をつなぐ機能として積極的に用いるべきかと考えますが、区長の見解を求めます。
更に、千葉大学による建築デザイン発表会等、一歩ずつ大学のあるまちづくりに向けてのソフト面の充実が図られてきています。大学開設とポスト大学開設への対応こそ、今後の墨田区の発展の礎となる重要政策です。開設まで残り2年となった中で、こうした大学と地域との連携の具体策について、現時点で考えているものがあればお知らせください。
第二に、今月6日閣議決定された「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律案」について伺います。
この中で、地域における大学振興・若者雇用創出のための交付金制度が新設される予定となっています。本区としてこれに対応する計画や会議体を設置し、国からの交付金を受けるように調査検討する必要があると考えますが、区長の見解を伺います。
また、これに併せて23区全体を「特定地域」として政令で指定し、大学等の学生の収容定員の抑制について法制化する予定です。この中で専門職大学が例外となるものの、千葉大学が例外要件にあたるよう、国との積極的な折衝が重要であると考えます。現在の状況についてお示し願います。
更に、同法案では本区にも地域における若者の雇用機会の創出について講じる努力義務が課せられますが、この具体策についてもお示しください。
次に、新保健センターの整備について伺います。
昨年第一回定例会におけるわが会派の代表質問に対し、区長は、土地取得に関して難航しており、計画の遅れを最小限にとどめるため、デザインビルドなどの整備手法の導入についても検討し、平成34年度までの完成を目指す、と答弁されました。そこで、まず現在の検討状況について伺います。また、デザインビルドを導入する場合、施工者側に立った設計になりやすいというデメリットを解消するため、併せてCM方式を導入し、発注者としての区が技術的助言を受ける方策を導入する必要があると考えますが、この点も併せて伺います。更に、こうした新たな整備手法による削減効果の見込みについても答弁願います。
昨年第三回定例会において「墨田区新保健センター等複合施設整備基本計画」が示されましたが、既存施設の整理統合を最優先した結果、背景にあるビジョンに乏しいものになっていると評価せざるを得ません。新保健センターを公共施設として活用する60年の間、社会はどうなっていて、どのようなビジョンで墨田区民の健康を守っていくのか、健康増進法やすみだ健康づくり総合計画との関係について、同計画にはこの記載が一切ありません。区長は60年先の社会をどう捉え、これに備えて保健センターをどのようなビジョンの下に位置付けようとしているのでしょうか。
また、この計画をつくる前提としてのヒアリングは庁内に限られており、庁外の関係者の皆さんには、現在、事後的にヒアリングを行っている状況です。
そこで、より具体的な計画をつくり、医療介護関係者や一般区民を交えたワークショップで練り上げていくことが重要だと考えます。この点について、区長の見解を求めます。
今後長期間にわたって用いるこうした公共施設については、庁内で検討するだけではなく、さまざまなステークホルダーを交えたワークショップで練り上げていくことが重要だと考え、これこそ区長の言う「地域力」の醸成につながるものと確信します。今後、類似の公共施設に関してこうした手法を積極的に検討すべきかと考えますが、区長の見解を伺います。
次に、住宅宿泊事業法への区としての対応について伺います。
6月の住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法施行を前に、3月から、民泊事業者の届け出が全国で始まります。民泊新法への対応としては、都市計画法における用途地域や曜日指定による規制、区内全域での規制、新法による民泊自体を認めない等、墨田区を含む4区以外は23区それぞれで独自の条例制定を行い、民泊を制限する方向を明確に打ち出しています。
わが会派は、昨年の第二回定例会以降、再三にわたって条例化について投げかけてきましたが、このたび条例化を見送ることになった経緯と、他の自治体と本区の判断の違いについて区長に伺います。また、条例化を行わないことによるメリットについても合わせて伺います。
東京都では、間もなく「住宅宿泊事業の実施運営に関するガイドライン」が策定され、一定の方向性が示されると思われますが、住宅宿泊事業への対応は、登録、騒音やゴミ出し等迷惑行為、消防設備、旅館業法違反等、多様な部署・機関が関係しており、全庁的な連携が必要です。今後、区として具体的にどのような体制、組織で対応していくのか、区長に伺います。
新法が施行される6月からは、区が無許可の物件に立ち入ることができ、報告を聴取することも可能となります。法に則った厳格な指導を行うことにより、区民の不安が払拭されることを期待しています。これらの対応は通常の業務の中で行われていくと仄聞していますが、十分な体制は確保できているのでしょうか。違法民泊への対応は区民の関心も高いため、新法施行後当面の間は、十分な人員と予算を確保し、迅速かつ臨機応変に動ける体制を確立しておくべきと考えますが、区長の見解を伺います。
あわせて、簡易宿所に関しても伺います。第四回定例会で触れましたが、本区の旅館業法における申請の動向をみると、簡易宿所が増加しており、6月の新法施行後には約50件となる見込みです。簡易宿所は、旅館業法で定められた宿泊施設ですが、区民には、違法民泊との区別がつきにくく、不審に思われている事例も仄聞しています。区内の簡易宿所等、旅館業者は個性的でユニークなサービスを提供しており、すみだらしいおもてなしが受けられるため、観光振興に大きく寄与しています。この点と簡易宿所は許可を得て適法に運営されていることを区民に周知することで、理解が広まり、安心につながると考えます。区長の見解をお聞かせ下さい。
旅館業や新法における民泊への支援は観光振興施策である一方、直接的な指導・監督は保健衛生が行うことになっています。自治体という組織の役割分担の中で、指導と支援のバランスをどのように取っていくかが重要ですが、区長の方針を伺います。
また、日本版DMOの中でも、宿泊場所は重要な要素です。対外的な観光プロモーションの中で、個性的なサービスを提供する簡易宿所の案内は有効ではないでしょうか。高付加価値商品の開発につながる可能性もあるため、観光協会との連携を検討していただきたいが、区長の考えを伺います。
なおこの際、地域全体に観光経済波及効果をもたらすことが期待されるDMOについても伺います。現在墨田区観光協会は23区初の候補法人でありますが、正式法人昇格への道が開けてきたと聞いています。現状についてお知らせ下さい。また、2年目に入るDMO事業の現在の取組について合わせて伺います。
次に、無電柱化の推進について伺います。
墨田区では、東京スカイツリーの開業や、曳舟駅周辺整備事業、東京オリンピック・パラリンピック競技会周辺整備に合わせて、主に景観整備として電線類地中化を行っています。
一方で、住宅密集地を多く抱える墨田区では、避難路と輸送路の確保という災害対策の観点に重きを置いて、区道の無電柱化を推進していくべきであると考えますが、区長の所見を伺います。
無電柱化の推進に関しては、平成29年度から東京都が「無電柱化チャレンジ支援事業制度」によって、無電柱化推進計画の策定や路線の検討に都費の補助を始めています。墨田区も30年度予算で、この制度を活用して無電柱化整備計画の策定を行う予定ですが、具体的に想定している路線について区長に伺います。我々としては、区道の中でも木造密集地域に近く、幹線道路同士をつなぐ路線から優先的に整備を行うべきであると考えます。加えて、今回の整備計画策定にあたっての都費の補助割合と、実際に無電柱化整備を行う際の区費の負担割合についてお知らせ下さい。
また、無電柱化整備計画の策定を行い、整備路線を決定した場合、墨田区として条例を定めて当該路線での電柱の新設等を制限することを視野に入れる必要があると考えますが、区長の見解を伺います。
次にすみだの教育について質問いたします。 平成27年第4回定例会本会議で加藤教育長は、教育委員会制度改正後の初教育長として、所信表明をされました。「自信を育む教育の推進」、「不登校対策の効果的な推進」、「すみだの地域特性を活かした国際化への対応」、「教育委員会運営のさらなる活性化」、「教育委員会事務局の組織体制の強化」の5つの視点で、施策の推進に取り組むと力強く述べました。まず、本年には就任から3年を迎えられます加藤教育長に、すみだの教育の現状認識について率直にお聞かせいただきたい。
それでは墨田区学力向上新3ヵ年計画について伺います。
平成25年度から27年度の前期計画では、目標は達成できず、教育委員会、学校、地域、家庭が様々な取り組みを行っているが、必ずしも学力向上に結びついていないと総括されていますが、その要因をどのように分析されているのか伺います。
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の「子供の学習実態に関する調査結果」では、勉強が嫌いな児童生徒の割合は、学年が上がるに連れて増加傾向になり、中学2年で6割近くに達し、つまずきやすい学習内容が増える時期に学習方法の工夫が求められると指摘しています。本区においてもこの調査結果と符合する点があると思いますが、教育長の見解を求めます。
そして前計画の課題を踏まえ、策定された現計画の下で、平成29年度には、墨田区学習状況調査の目標値達成が小学校で8、中学校で5と増えており、一定の成果が見られています。最終年度である30年度へ向け、目標達成への見通しをお聞かせください。
また、2020年度に実施される小学校の英語の教科化に向け、人材や授業時間の確保といった課題がありますが、どのような体制で臨むのかこの際教育長に伺います。
次に墨田区幼保小中一貫教育推進計画についてお尋ねします。
今定例会の常任委員会で報告を受けることになっていますが、改定される内容の方向性について伺います。 1月29日に開催された平成29年度墨田区幼保小中一貫教育フォーラムでは、各ブロックから熱の入った発表があり、課題解決のためにご苦労されている教育現場の様子を伺い知ることができました。
そこで、推進計画の改定に至る背景についてどのような議論が展開されてきたのかお知らせ願います。平成24年2月、「小1プロブレム」の問題や、「中1ギャップ」の問題等は、教育の接続段階での大きな課題と捉え、教育の現状を改善するために、現計画は策定されたものと認識しています。これまでの取り組みをどのように評価し、総括しているのでしょうか。また、現在の課題と次期推進計画で示される解決の道筋についても合わせて教育長に伺います。
今後は教育委員会としての意向を明確に示し、各ブロックで温度差の無い共通の取組を推進する、可能な限り数値化した明確な目標を設定するなど、より踏み込んだ内容を期待していますが、改定計画と現計画の具体的に異なる点を教育長に伺います。
いずれにいたしましても、従来に増して、本区の教育課題に答えられる実効性がある改定計画となることを強く望みます。
最後に、防災教育について伺います。
平成30年度予算に防災教育の一環として、中学校1年生の全生徒が、普通救命講習を受講・修了し、救命技能の認定証を獲得するという提案が盛り込まれています。この事業の成果として、各地域で行われている防災訓練に積極的に参加する意識を芽生えさせ、地域に貢献する意識を高める、また大規模災害等の発生時に活躍できる地域人材となることが期待されます。
まず、生徒たちの防災意識向上の指導方法と、講習を受けた生徒たちの、地域の訓練等での貢献策についてお聞かせください。
次に 継続性の面から、31年度以降の実施についての方向性と、受講後の授業での反映について伺います。
また、中学校が避難所になる可能性を考慮し、地域の方に学校の訓練を公開することの検討を求めます。教育長の見解を伺います。
加えて、防災課と教育委員会が連携して、中学校卒業後にも、受講した生徒が地域防災のために貢献できる仕組みを検討していただきたい。学校の地域貢献が叫ばれる昨今、学校と地域の関りをより深めることが期待されます。
区長・教育長の見解を求め質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
区長答弁要旨
(区長答弁)1 施政方針について
「すみだの“夢”実現プロジェクト」の着実な取組みについてですが、ここに掲げる主要事業に関しては、毎月部長会で進捗管理を行っていますが、来年度は基本計画前期の折り返し時期を迎えることから、この2か年の事業進捗や成果、並びに課題を抽出して、政策のブラッシュアップにつなげていく必要があると考えています。そこで、来年度の住民意識調査を活用して、可能な範囲で施策の評価指標により、達成度を把握するとともに、主要事業の取組状況や課題を整理し、取りまとめていきます。次に、PDCAマネジメントサイクルを反映した、事業の見直し・改善による30年度予算への対応ですが、健康ハウスの廃止、借上型区民住宅の終了、新分野参入人材育成支援事業の見直しなどにより、前年度比で3億8千万円の削減となっています。
次に、更なる行財政改革の推進についてです。まず、歳入環境及び今後の財政運営についての、私の認識です。30年度予算においては、国における地方消費税清算基準の抜本的な見直しにより、地方消費税交付金は減収を見込んでいます。また、納税義務者数や区民所得の伸びによる特別区民税の増や、一部国税化の影響はありつつも、法人住民税の大幅な伸びにより、特別区交付金の増も見込んでいます。しかしながら、今後、消費税率が 10%になる段階で、更なる国税化による法人住民税の減収等が想定されるとともに、ふるさと納税による減収の影響など、今後の歳入環境は先行き不透明であり、予断を許さない状況にあるものと認識しています。一方、歳出面においても、今後ますます社会保障費の増大が見込まれることから、景気の変動などにより歳入環境が大きく変化した場合には、今以上の徹底した行財政改革を行い、適切な財政運営に努めることが重要と認識しています。次に、行財政改革実施計画や第2次公共施設マネジメント実行計画の取組みについてです。持続可能な行政基盤の確立と簡素で効率的な行政システムの構築へ向け、両計画に基づく取組みを進めていますが、日々変化する環境においては、なお一層の行財政改革が求められる状況にあると認識しています。したがって、30年度においても、着実な実行に努め、前倒しして取り組めるものについては、積極的に取り組んでいきます。次に、施設の稼働率向上による使用料収入の増加や、区民活動の活性化等に向けた利用者ニーズの把握、備品の追加等適切な措置についてです。各施設においては、随時、利用者アンケートを実施していますが、更なるサービスの向上に努めていきます。また、このほかの区民ニーズについても、住民意識調査などにより把握し、適切な施設の設置・管理運営に努めていきます。
こうした取組みにより、施設の稼働率の向上を図り、使用料収入の増加につなげていきます。
加えて、利用者が限定的となっている施設については、受益者負担の公平性の観点から、住民意識調査などの区民ニーズも考慮のうえ、廃止や譲渡、売却を含め、施設保有総量の抑制につなげていくことを検討していきます。
次に、新規事業を実施する際には、政策目的と現状の齟齬を解消し、より実効性の高いものにしていく必要があることについてです。本区の人口政策上の最重要課題である、ファミリー世帯の定住促進に関して、来年度予算案で新規事業を提案していますが、ご指摘のとおり、様々なニーズに配慮し、子育て環境の整備に取り組んでいく必要があると考えています。こうした点を踏まえ、待機児解消や放課後の居場所づくりの推進、教育環境の充実など、子育て環境の向上のために対応すべき課題について、総合的な観点から予算編成を行ったところです。
次に、東京2020オリンピック・パラリンピック関連予算についてです。まず、ボクシング競技除外に関する報道についてです。先日、IOC会長が、東京大会におけるボクシング競技除外の可能性について発言したとの報道がありました。報道によれば、IOCは国際ボクシング協会に対し、4月末までに報告書を再提出するよう求め、5月のIOC理事会で承認を諮る予定とのことです。大会組織委員会に状況の確認をしましたが、報道されている以上の情報はなく、事態の推移を見守るとのことでした。今後も、競技会場を抱える区として、引き続き、大会組織委員会や東京都と連携を密にして情報収集に努めながら、大会に向けた準備を進めていきます。地域協議会の活動については、情報提供、意見交換、そして議論を進めていく中で、未来枠の若い人たちを中心にした自主的な取組が具現化されるための予算を計上しています。その際には、地域協議会の皆さんの協力を得ながら、地域の中で実施できる体制を整えていきます。また、大会後の本区のあるべき姿、方向性については、気運醸成の過程を通じ、これまでの地域の課題も考えていただき、区の施策と同一歩調をとっていくことができるように進めていきます。次に、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機とした持続可能な取組みについてですが、これを機に、次の世代に確実に遺していくものを生み出すことが必要であり、2018年度の取組みが非常に重要ですので、議論を深め、国際文化観光都市の進展につながる具体的な取組みを行う考えです。
2 大学誘致と地域等の交流について
大学の建設等における区内業者の活用についてですが、各大学は費用の最適化などの
観点から、既に取引実績のある事業者への一括発注などを検討することも想定されますが、 今後、区内事業者への業務発注を行って頂けるよう働きかけていきます。
次に、通学路の舗装や交通安全施設の改修等についてですが、大学への通学路としては、小村井駅のほか、押上駅、曳舟駅などからの、多様な通学ルートが想定されます。このため、開校後、学生・職員の通学・通勤ルートと交通量の変化などを勘案した上で、改めて検討したいと考えています。
次に、文花子育てひろばの移設については、近隣での移設先を検討していました。しかし、施設の諸条件に見合う移転先が見つからなかったこと、大学整備用地の活用構想を検討している中で、用地内に、容積率に関わらず、近隣との関係で、低層の建物の設置にしか適さない箇所があったこと、ひろばの運営を支えている地元ボランティアの皆さん等とのつながりを継続していくためには、遠方への移転が望ましくないこと、などを総合的に考慮し、新たな施設を加えることなく、現在のひろばと同じ敷地内で移設することとしましたので、ご理解をお願いします。
次に、将来活用用地についてですが、今後、文花子育てひろばの移設工事や、旧すみだ中小企業センターの改修工事に伴い、工事車両の通行や建設資材の保管などに使用することが見込まれています。移設工事等の完了後には用地が活用されるよう、千葉大学による有効利用に関する協議や、更なる大学誘致活動など、「知の拠点」づくりに精力的に取り組んでいきます。なお、大学整備用地の活用については、まず、区が現在策定している大学整備用地活用構想のなかで、キャンパス全体が地域に開かれた開放的な空間としてデザインされており、これを受けて、大学は、地域の方が活用できるキャンパスを構想していますので、ご指摘の地域と大学がつながる機能が果たされるものと考えます。
次に、大学と地域との連携の具体策についてですが、これまで、千葉大学生による文花・京島地域でのフィールドワークや、旧すみだ中小企業センターの改修案の展示・発表会等を行ってきました。現在、千葉大学写真部が、風景や名所、日常など、すみだの魅力的な場面を撮影したものを、区公式 SNS で発信するなどの取組みを進めており、今後、千葉大学生に、子どもたちの学力向上支援事業に携わる学生ボランティアとしての参加への働きかけ等も行っていきます。
次に、地域における大学振興・若者雇用創出のための交付金制度についてですが、当該交付金の制度は、東京圏への流出により、若者が減少している地域の活力を向上させること等を目的としています。このため、交付金の交付対象となるかどうかも含め、国の制度設計を注視していきます。
次に、千葉大学が例外適用されるかについてです。千葉大学からは、デザイン・建築スクールの本区への進出は、学部の新設や定員増を伴わない、機能強化の一環であるため、 23 区内での大学等の学生の収容定員の抑制を図る法案が成立した場合でも、抑制されないものと伺っています。
次に、若者の雇用機会の創出についてですが、法案では、地方公共団体は「地域における若者の修学及び就業を促進するよう所要の施策を策定し、実施する責務を有する」としており、今後、地方の定義など、国の考え方の詳細が示されるのを待って、具体的な施策の検討を進めていきます。
3 新保健センターの整備について
現在の検討状況についてです。当該施設の計画は、昨年の第3回定例会において、「墨田区新保健センター等複合施設整備基本計画」を策定し、ご報告させていただきました。その中で、建設候補地である都有地において、地下埋設物の調査が必要となり、土地取得が平成30年度中となることが想定されるため、当初目指していた33年度の完成予定を34年度と修正させていただいたところです。なお、今月中には、都に対して買受申請を予定しており、土地取得に向けた手続きを順次進めていきます。このような状況のもとで、計画の遅れを最小限に留めるためには、整備基本計画の検討のなかで、設計・施工一括発注方式、いわゆる「デザイン・ビルド方式」が、最も有効であると判断したことから、導入にむけた予算を計上したところです。この方式のメリットとしては、施工者のノウハウや、固有技術等の活用、工期の短縮、コストの縮減などがありますが、ご指摘のデメリットがあるのも事実です。そこで、設計・施工など各段階において、技術的な中立性を保ちつつ、発注者の側に立った、工程管理、品質管理、コスト管理などの各種マネジメント業務、いわゆるコンストラクション・マネジメント業務委託を導入したいと考えています。これによる削減効果については、現在のところ、具体的な金額は算出できませんが、この方式は、大規模複合施設において、従来方式と比較すると、品質管理や、コストコントロールなどに優れた手法であると考えており、計画でお示ししている45億円を超えないように整備を進めていきます。
次に、60年先の社会をどう捉え、保健センターをどのようなビジョンの下に位置づけようとしているのかについてです。新保健施設開設後60年後の社会は、健康増進法や、すみだ健康づくり総合計画の着実な進展により、高齢社会は進むものの、健康寿命と平均寿命の差が縮小し、お年寄りや若者も、障害や難病のある方も、誰もが生きがいを感じられる総活躍社会を目指しています。そこで、新保健施設では、生涯健康都市の実現に向けて、区民の健康を「いつでも」「だれでも」しっかり支えるための保健サービス全般を充実し、区民の健康づくりや母子保健、災害医療体制の拠点とします。
次に、ワークショップ等の重要性についてです。平成30年度に、新施設のデザイン・ビルド発注に向けて、先ほどのコンストラクション・マネジメント業務委託を活用して、要求水準の作成等を行っていきます。そのなかで、区民の方や、新施設の関係者に、ワークショップ形式などの意見を伺う機会も検討します。
次に、今後の施設整備についてです。施設の建設・改修を行うときには、そこで何をやるのか、どのように利用してもらうのかを明確にして、将来を見通した行政サービスの必要性やあり方を踏まえ、整備していくことが重要であると考えています。新保健センター等複合施設整備基本計画の策定にあたっては、区民委員と有識者による懇談会の開催や、区民の方へのインタビューを行いましたが、今後、類似の施設整備の際は、状況に応じて、ご指摘のような、ステークホルダーを交えたワークショップ等の実施について、検討していきます。
4 住宅宿泊事業法への対応について
独自条例を制定しなかった経緯と、他の自治体との判断の相違などについてです。住宅宿泊事業法及びそのガイドラインでは、一定のルールが示され、住居専用地域のない本区においては、独自の条例で制限することなく、法にのっとった届出を促し、適切な指導を行うことによって、健全な民泊の普及が図られ、国が意図するオリパラに向けた外国人観光客の受け皿となるというメリットがあるものと判断しました。また、無届の住宅宿泊事業は、旅館業法で無許可営業として取締りが強化されるので、これにより、区が適切に対応することによって、区民の不安も払しょくできるものと考えています。
次に、住宅宿泊事業の指導についてです。これまでも、違法民泊に対して、全庁的に連携して指導してきましたので、今後は、保健衛生担当が窓口となって、警察、消防など関係機関とも積極的に情報共有をしながら、指導していきます。そのために、今までの指導の実績を活かして、各機関が持つ情報を共有できる場の設定についても検討します。
次に、新法施行後の初動体制についてです。当面は、旅館業に対する監視指導の経験をフルに活かして、組織を充実するとともに、適切な予算で、迅速かつ柔軟に対応していきます。適法な簡易宿所の周知についてですが、ご指摘のとおり、住宅宿泊事業法や旅館業法の正しい情報をアナウンスし、区民の皆様の安心につなげることは、区の責務であると考えますので、適切に対応していきます。
次に、保健衛生と観光振興との関係についてです。現在、区内に外国人向けの簡易宿所が増加しており、多くのお客様が区内に宿泊し、区内観光を楽しんでいただくことは、望ましいことですが、一方で、これらが適法に運営され、区民が安心して生活することができることも重要ですので、庁内組織が連携して、指導と支援のバランスを取った対応を図る必要があると考えます。
次に、観光協会との連携についてです。現在、いくつかの大手民泊、宿泊事業者から、観光分野での連携等について、様々なご相談が寄せられています。区としても、宿泊施設内への観光パンフレットの配置や、観光案内所との連携などの有効な支援を行っていきます。
次に、DMOについてですが、現在、墨田区観光協会では、DMO法人としての登録に必要な成果指標等を取りまとめ、先般、正式登録に向けた申請を行ったところです。審査が順当に進めば、年度内に正式登録が受けられるとのことですので、引き続き、協会を支援していきます。
次に、DMO推進事業の取組状況についてです。墨田区観光協会では、DMO候補法人として、神社仏閣、美術館等の観光施設や宿泊事業者、伝統工芸職人等と連携し、広く国内外に対するプロモーション活動や観光誘客に取り組んでいます。主な取組として、観光庁の「地域資源を活用した観光地魅力創造事業」を活用し、欧米富裕層向けの旅行商品の開発を進めています。事業期間は、3年間を想定しており、今年度はモデルコースの開発と、受入体制の構築に向けた検討を進めており、30年度には、海外の旅行エージェントや欧米富裕層向けのモニターツアーを実施し、31年度からの本格始動を目標としています。大相撲やすみだ北斎美術館、向島の料亭など、「すみだ」ならではの観光コンテンツを活かし、質の高いツアーの実施を目指します。
5 無電柱化促進について
災害対策に重きを置いた無電柱化の推進についてです。ご指摘の災害時の避難路や輸送路における、防災面からの無電柱化については、住宅密集地を抱える本区において、その必要性があると考えています。無電柱化整備計画における具体的な整備路線については、現在、東京都の「無電柱化チャレンジ支援事業制度」を活用して、「災害に強いまち」、「安心して通行できる道路空間」、「良好な都市景観」という3つの観点から基本方針を策定・検討しています。今後、これに基づき、ご質問にある整備計画を策定しますので、そのなかで、事業効果の高い路線を優先整備路線として指定して行きたいと考えています。また、チャレンジ補助事業における調査・設計・計画策定に係る費用は東京都の全額補助であり、工事費については国費対象額のうち、国庫補助が55%、都補助が45%となっていますが、既設道路の掘削や、構造物撤去など、全体事業費の4割程度が区の負担となります。
次に、電柱の新設等を制限する条例についてです。電柱等の占用規制をかける道路法の一部改正案が、過日閣議決定されたので、改正内容や他自治体の動向を注視しながら、無電柱化の推進に向けた必要な措置について検討していきます。
6 すみだの教育について
防災教育に関して、中学卒業後の地域防災活動への貢献についてです。区では、これまで中学一年生全員に「すみだ防災ガイド」を配布し、防災の基礎知識を学ぶ取組みを行ってきました。また、区民防災訓練では、町会・自治会から、学校やPTAを通し、児童生徒の参加を促している事例もあり、開催日、場所等のスケジュールを区のホームページで公表し、訓練参加を促しています。今後とも、教育委員会と連携し、さまざまな情報提供を行い、地域で行われる防災活動への自主的参加を進めていきます。中学生の皆さんには、今回の普通救命講習の受講をはじめ、さまざまな防災教育の機会を通して、地域貢献への意識を高めていただき、卒業後においても地域社会のために活躍できる人材となるよう期待しているところです。
(教育長答弁)1 施政方針について
学校現場におけるオリンピック・パラリンピックへの取組についてです。
教育委員会では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を幼児・児童・生徒の教育にとって重要な機会と捉え、オリンピック、パラリンピック教育を幼稚園、小学校、中学校で展開しています。今年度は、「重点的に育成すべき5つの資質」として「ボランティアマインド」、「障害者理解」、「スポーツ志向」、「日本人としての自覚と誇り」、「豊かな国際感覚」の視点を重点として、オリンピアン、パラリンピアンとの交流や、学校ごとに大会参加予定国、地域について幅広く学び、実際の国際交流に発展させる取組である「世界ともだちプロジェクト」及び、その他、各教科の内容に関連付けたオリンピック・パラリンピック教育をすすめています。平成 30 年度においても、同様の取組を実施していく予定です。東京大会以降もレガシーを価値あるものとして形成し、教育活動を展開していきます。
6 すみだの教育について
次に、すみだの教育の現状ですが、私は教育長として、夢と希望にあふれる素晴らしい子どもを育成するため、知・徳・体のバランスのとれた教育を行うことを施策にかかげて、様々な教育課題の解決に取り組んできました。「自信を育む教育の推進」や「地域特性を活かした国際化への対応」など5つの方向性を示し教育施策を進め、5つの方向性の視点から、すみだ教育指針や墨田区学力向上新3か年計画の策定を行っていますが、今後とも課題解決に着実に取り組む必要性を感じています。特に学力向上の取組については、私としても重点事項として取り組んできています。その学力向上の、前計画である「墨田区学力向上3か年計画」の総括についてですが、平成25年度から27年度までの前計画では、「D・E層の割合を40%以下にする」という目標を設定したものの、平成27年度は、延べ30教科のうち11教科が目標を達成していませんでした。その要因としては、「教育委員会と学校との連携・協働が十分とは言えない」こと、「全ての教員に施策の方向性等が十分伝わっていない」こと、「一部の児童・生徒の家庭学習時間が不足している」こと、また、「家庭等に対して、家庭学習の重要性が十分に伝わっていない」ことであると分析しています。このような前計画の総括をふまえ、現在の計画を策定しました。
次に、学年が上がるにつれて学習につまずきが出やすくなることについては、区学習状況調査においても同様に、D・E層の割合は、学年が上がるにつれて増加傾向にあることから、まずは、学習内容を現学年のうちに定着させることが重要であると考えます。そこで、平成28年度から、全ての小・中学校において、学習内容の定着のための「ふりかえり期間」を設定し、校長のリーダーシップのもと、定着を強化する取組を組織的に展開しています。教育委員会としては、学校で活用できる教材をより多く開発し、学校ICTの取組なども利用しながら、各学校へ提供し、活用を促しています。また、区学習状況調査結果から明らかになった課題のある個々の学習内容について、指導のポイントを作成し、各学校へ提供し、授業力向上を図る取組も行っています。平成30年度に向けては、つまずきやすい単元について、ふりかえりのための教材開発や指導のポイント集の作成などを強化し、引き続き課題に応じた学力向上の取組を継続させつつ、特に教員が「何を教えたか」ではなく、児童・生徒が「何が分かったか・できたか」を重視した指導を行う授業力向上を推進し、児童・生徒に授業内容を確実に定着させることで、墨田区学力向上新3か年計画の目標値の達成を目指していきたいと考えています。
次に、小学校の英語の教科化等への対応についてです。まず、外国語・英語教育にあたる人材の確保につきましては、今後も学級担任が指導することを基本に考えています。そのため、小学校外国語教育研修会を通して、外国語の指導力向上に引き続き取り組んでいきます。教員の発話技能を補うものとして、音声教材や国のインターネット配信による動画等の活用を推奨していきます。また、教員自身の英語力や指導力を高めるために、東京都教育委員会が行っている英語免許状取得促進事業や英検などの資格取得につながる研修についても、教員が積極的に受講していくよう働き掛けていきます。さらに、小学校5・6年生における外国人講師の配置時間の増加を計画しており、児童がネイティブ・スピーカーによる発音に触れる機会を確保するとともに、外国語のコミュニケーションに慣れ・親しみ、主体的にコミュニケーションを図ることができるようにしていきます。小学校の英語専科教員や加配等の教員配置については、東京都教育委員会の今後の方針等を注視していきます。
次に、授業時間数確保についてです。平成 32 年度の学習指導要領の全面実施に向けて、区立学校では、平成 30・31 年度の移行期間は、段階的に授業時間数を増やして対応していき、平成 32 年度の3・4年生の外国語活動は 35 時間、5・6年生の外国語は 70 時間を実施していきます。当面はこれまでも取り組んでいる土曜授業を活用して授業時間数を確保することを考えておりますが、今後も、東京都教育委員会が指定した英語教育推進地域のモデル実施を参考にして、授業時間数の確保について引き続き検討していきます。
次に、幼保小中一貫教育推進計画の改定に関する議論の内容についてです。平成30年度から平成34年度までを計画期間として改定作業を行ってきましたが、計画改定にあたっては、学識経験者、学校・園等の管理職、教員の代表等による検討会と作業部会を開催しました。検討会では、計画の大きな方向性を決めていく中で、幼保小中一貫教育を推進していくための運営体制も明確にすべきとの議論がありました。作業部会では、今後、全ブロックで取り組むべき事業や業務等について具体的に検討する中で、保育要録・指導要録を確実に引き継ぐための仕組みが必要であるという意見も出ました。また、連携を強化するために、各園・学校の担当者会議を定期的に行い、研修も行うなど、継続した人材育成の場も作ってはどうかとの意見など前向きな提案もあり、計画に盛り込んだところです。
次に、現計画の評価と総括及び課題解決への道筋についてです。現計画では、これまでブロックごとに、子どもたちや地域の実情に応じた取組を進めてきており、その中で「異なる校種の子どもたち同士の交流」や「教員等同士の相互理解のための交流」については、区全体で取組が定着したと考えています。しかしながら、「効果的な取組の全ブロック展開」、
「取組の計画性・継続性」、「就学・進学期を意識した取組」については課題があると考えています。これらの課題を解決するための道筋として、各ブロックの従来の取組を一層強化するとともに、全ブロックの共通した取組を教育委員会として設定していきます。改定する計画において、現計画と異なる点は、効果的な取組を全ブロックで実施することを、教育委員会として、明確に打ち出したことです。例えば、新学習指導要領等を見据え、「外国語(英語)」などの教科連携を異校種間でさらに推進していくこと、ブロック内共通の生活規律の取組を進めること、就学や進学を意識した学校訪問・授業体験などの取組を全ブロックで推進していきます。さらに、成果指標を意識した数値目標を掲げるとともに、取組についての適正な進捗管理も行い、幼保小中一貫教育をさらに推進していきたいと考えています。
次に、防災教育に関するご質問です。まず、防災意識向上の指導方法と、地域の訓練等での貢献策についてです。教育委員会ではこれまでも、区長部局等と連携し、防災ガイドや都の防災ノート等を活用して、中学生に防災意識を高めるための取組を進めてきました。災害時に地域での活躍が期待される中学生には、緊急災害時等に自らの身を守るだけでなく、実用的な救命方法を学ぶことや、他の人の役に立とうといった意識を高めることが重要であり、このたび計画している中学生の普通救命講習受講も、この一環としています。地域の防災訓練等への中学生の参加は、学習効果を一層高め、中学生と地域の結び付きを強める機会となります。各学校には、防災訓練等への参加意欲を高める教育活動も含めて、引き続き防災教育の充実を図るよう指導をしていき、もって地域への貢献に資するものと考えています。
次に、今後の方向性と、授業での反映についてですが、31年度以降も普通救命講習は継続していく計画でいます。また、講習によって身に付けた知識や技能を活用する場面を設けることで、その定着を図ることが重要です。中学校 2 学年以降の保健体育科の応急手当についての学習や、各種行事等の機会と関連付け、講習内容の反復や活用を図っていきます。
次に、地域の方に中学校の避難訓練を公開することについてです。各学校で行われています避難訓練は、学校防災計画等に基づいて行われていますが、実際の災害時を想定して行うことが重要であり、訓練内容を地域の方に理解していただき、連携を進めることの必要性は高いと考えます。学校を避難所として開設する状況想定も含め、学校の避難訓練の内容や、地域住民への公開の方法等については、校長会や関係部署と連携して検討を行っていきます。
最後に、中学校卒業後の地域防災への貢献のための仕組みづくりについてです。中学校卒業後も、学校で身に付けた知識や技能を生かし、社会に貢献していく人材を育てるためには、生徒自身に、「自分たちは、地域の一員であり、未来の地域を支える担い手である」ことを認識させるとともに、貢献の機会等についても情報を提供していく必要があります。学校における防災教育の一層の充実と、将来にわたる地域防災への貢献の視点で、防災課をはじめとした関係部署等と連携を進めていきます。