令和6年2月20日定例会 一般質問 堀 よしあき 議員

 

まず、ふるさと納税について伺います。

墨田区は、令和4年度に9億7000万円余りの寄付額を達成し、その数字は都内において5年連続で第1位の数字となっております。
また、同制度において令和3年度から私自身も繰り返し提案していた、北斎ふるさと納税のトリフォニーホールをはじめとした文化芸術振興の積み立ても可能となり、今年度より開始して頂いた事は高く評価致します。
これまで、墨田区ではふるさと納税の返礼品として、「モノ」の返礼品が多かった一方で、墨田区ならではの体験を寄付者に還元できる「コト」の返礼品があまり見受けられず、今後更なる競争激化が予想される「ふるさと納税」において、本区の魅力を全国に発信できる「コト」の返礼品が不可欠であると考えます。
以前から提案していた、ふるさと納税が文化芸術振興にも活用できるようになったことを踏まえ、隅田川花火大会において協賛席のあり方を見直し、ふるさと納税向けの専用観覧席も設け、返礼品として打ち出してみてはいかがでしょうか。同花火大会は毎年100万人の観覧客が訪れる、日本最大級の花火大会であり、ふるさと納税の返礼品としてもブランド価値があり、墨田区の魅力を全国的に広げるシティプロモーションとしても起爆剤になることを期待しています。
現在、隅田公園と両国親水テラスは既に協賛席として使用していますが、ふるさと納税の専用席にも活用を図り、その他にも桜橋のたもとのテラス等、観覧席として活用できる区有地等を早急に検討して頂き、ふるさと納税の返礼品に加えて頂くことを求めますが、区長の考えをお聞きします。
もう一つ、ふるさと納税における「コト」の返礼品の提案として、相撲部屋の見学ツアーをご提案致します。ご承知の通り、本区には相撲の聖地と言える国技館が所在しており、江戸文化の象徴とも言える国技が区内に存在するのは、墨田区が有する大きな文化財の一つであると考えています。
区内には14もの相撲部屋が存在しており、現在一部の相撲部屋では個別で朝稽古等の見学を行っていますが、令和4年に公益財団法人日本相撲協会と本区の間で、包括連携協定を結び、協定内の連携・協力事項においても文化及び観光振興に関することが目的の一つに掲げられており、ふるさと納税の返礼品にもその趣旨は合致するものではないでしょうか。
是非、日本相撲協会とも意見交換をし、ふるさと納税の趣旨に賛同して頂ける区内の相撲部屋を募り、墨田区が誇る日本の国技の魅了を区内外に更に幅広く発信し、競争が激化するふるさと納税において、墨田らしい魅力を持った返礼品の一つとして、観光協会とも連携し相撲部屋見学ツアーを検討して頂きたいと思いますが、区長のご所見をお聞きします。

 

次に、観光施策について伺います。

新型コロナウイルス感染症の影響により、世界経済に大きな減速が起こる中で、その影響を色濃く受けた産業の一つが観光です。ご多分に漏れず、本区もその影響を受け、区内の観光産業に大きな影を落としました。墨田区観光協会もコロナ禍で、自主財源である物販が大きく落ち込み、協会の運営自体にも多大な影響を与えたのは記憶に新しいかと思います。
そんな中、昨年5月には新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられ、円安も後押し今後はコロナ禍前を超えるような訪日外国人が訪れる事が予想される中で、観光産業は墨田区においても「主翼の産業」になる大きな可能性を秘めていると、個人的には分析をしています。そこで伺いますが、墨田区として、ポストコロナの観光施策の戦略は具体的にどのような方針を持たれているのか、また来年度の予算案において具体的にどういった施策において反映されているのか、区長のご所見を伺います。
一方で、昨年オープンした観光協会の自主財源の一助となる「コネクトすみだまち処」の現状はどのようになっているのでしょうか。同施設を開設するにあたり、私的に懸念したのが「物販の売り上げ」と、「設置目的」の2点です。
当該施設には、かつて「すみずみ」という「コネクトすみだまち処」と極めて類似する施設が所在し、コロナ禍の影響もあったかと思う一方で、3年間で6000万円の運営費がかかったのに対し、売り上げは3年間で累計2000万円しか得る事のできなかった、コロナ禍ではあったものの収支状況をみれば、設置目的、また収益性に大きな課題があった施設であったと言わざるを得ません。
結果として「すみずみ」は閉店となり、同施設の効果検証や総括も十分にされない中で、息をつく間もなくコネクトすみだまち処が開設となりましたが、賑わいを見せている施設とは言い難いのが現状ではないでしょうか。この点については、観光協会の自主財源の確保という課題から具体的にどのくらいの収益を生み出す施設であると目標を定めていたのか、また実際の収支状況について具体的に現在どのようになっているのか伺います
こうした、一観光施設の状況を危惧し、一般質問で取り上げる大きな理由は、墨田区から観光協会に対し毎年支出している補助金が各観光施策に有効に結びついているのか、また長年の懸案事項となっています観光協会の自立性と自主財源の確保の課題を議会としても適切にチェックするためです。
様々な課題もあり、墨田区基本計画後期の中間改定に合わせ、物販事業からの脱却を掲げ、観光施策の評価指標も大きく見直されました。そんな中、損益分岐点の岐路に立たされていた物販事業の象徴とも言える「すみだまち処」を令和4年度に閉館をし、「迎えるから出迎える」という新たな方針を掲げ、観光施策の転換を図ったと認識をしています。
その賛否はここでは申し上げませんが、結果として物販への回帰を図り、その拠点となる「コネクトスミダまち処」の収支状況が仮に赤字状態だとすれば、本末転倒の結果であり、逆に観光協会の財務を圧迫するのではないかと危惧をしています。物が売れないという事は、その要因としてニーズの有無や販売方法、店舗の立地など、必ずどこかに要因があるはずです。来年度に向け、低迷する要因を分析し、同施設の運営を続けるのであれば、収益アップに繋がる施策を早急に起案するべきだと思いますが、区の考えをお聞きします。
次に観光プロモーションカーについて伺います。令和4年度より「迎える」から「出迎える」をコンセプトに導入した、観光プロモーションカーですが、これまで具体的にどういった施策効果があったと分析されているのでしょうか。今年度の具体的な取り組みや、また物販の売り上げ状況など、まずは現状の総括ついて伺います。
「迎える」から「出迎える」というコンセプトは、新たな観光協会のアイディアとして評価をするものであり、より一層、この観光プロモーションカーの活用を図るべきであると考えます。この施策の最大の利点はモビリティであり、「人が多く集う場所」、「人が多く集う時間」に対し、可変的に観光プロモーション、物販の販売をできる点です。
多くの人が集う、東京スカイツリータウンや錦糸町、また開催中は国技館前、また各種大型イベント等により一層出向き、観光PRだけにとどまらず、観光協会の自主財源の確保にも繋げて頂きたいと思いますが、実際にはこの施策のKPIは存在せずに運営をされている状況だと側聞しています。各年度の具体的な戦略、また物販をはじめとしたKPIをしっかりと定め、PDCAサイクルを含め来年度は戦略性をもって事業を展開していくべきだと思いますが、区の認識を伺います。
観光施策に関して厳しい事を申し上げて来ましたが、それも円安の風を大きく受け墨田区において観光は「稼げる産業」であると期待しているからです。一方で、インバウンド需要が今後更に拡大する事が予想される中で、現在、墨田区が行っている訪日外国人向けの施策は区内の飲食店の紹介やメニューを英語に翻訳する「Oishii Sumida」事業がありますが、現在、同サイトは月に平均して3万~4万回のアクセスがある一方で、掲載されている店舗は一部に限ります。是非区側からも観光協会に対し、観光協会の職員自身が実際に街に出てもらい、こうした個店に対してメニューの翻訳のサポートや同制度を周知する、街と観光客を繋げる「コンサルタント」的機能を期待していることを伝えて頂き、円安の追い風がある中、訪日外国人に区内の個店で消費をしてもらうよう、「Oishii Sumida」の店舗拡充の取り組みを求めますが、区の見解をお聞きします。
また、同制度は英語のみ対応しており、訪日外国人の多くを占める中国語や韓国語への対応も含めたメニューの多言語化の拡充を求めますが、区の考えをお聞きします。
この質問の最後に、来年度以降、更なる訪日外国人が本区を訪れる事が予想される中で、国際文化観光都市を目指す本区においては、より訪日外国人をターゲットにしたインバウンド向けの観光施策の拡充が必要だと思いますが、その点の認識についても合わせて伺います。

次に職員の働き方改革について伺います。

新型コロナウイルス感染症の影響により、社会全体の働き方が多様化し、在宅で仕事が可能なテレワークが一般化しています。
一方で、区役所を見てみるとシステムやネットワーク等の課題が挙げられ、またテレワークには専用端末が必要という事もあり限定的な運用となっていますが、現状でテレワークを実施できている職員はどの程度いるのか。また、合わせてテレワークにおける現状の課題等があればお示し下さい。
DXを推進している墨田区職員の職場環境がデジタルではなく、アナログであり、また多様な働き方が社会的に広がる中で、区役所のみ時計の針が止まってしまっていることに強い危機感を覚えています。その影響は多様な働き方を希望する新卒世代にも大きく波及しており、令和2年度の特別区Ⅰ類採用試験事務の応募者数が約1万4300人、採用倍率が4.7倍であったのに対し、今年度は応募者数が約8500人、採用倍率が2.5倍となり、その数字が半減近くなるなど、過去最低の数字を記録しました。
こうした背景には、民間企業と比較した場合の給与面やテレワークをはじめとした働き方のニーズ、また福利厚生が挙げられる中で、報酬面は特別区人事委員会で議論がなされるべきものですが、テレワークをはじめとした多様な働き方の各特別区の取組は、今後優れた人材確保において不可欠な要素になると感じています。
現在テレワークできる職員は育児や介護等の職員に限られますが、来年度は更にテレワークが可能である部署において、それ以外の職員も希望があれば対応できるよう、専用端末の拡充が必要だと思いますが、区の考えをお聞きします。
もとより、職員の多様な働き方を推奨するには、システムや庁内ネットワークの再構築が不可欠ではないでしょうか。マイナンバーを取り扱う部署や窓口課をはじめ対面が必須な部署ではテレワークの実施は難しい事は理解しますが、その他の部署において希望があれば、テレワークができる体制の構築は、今後激しくなるであろう自治体間の職員の確保においても優位性を示せるものであると考えます。是非、庁舎においても早期にテレワークを拡大するのに必要なシステムの構築を求めますが、区の考えをお聞きします。
また、新卒職員の受験者数が過去最低になっていること以外にも、若年退職や中途退職を希望する職員が増加している事を懸念しています。側聞するところ、事務、福祉職では既に現時点で昨年度と比較して2倍近くの職員が若年退職や途中退職を希望しており、その数は過去最大級となっています。こうした背景を踏まえ、退職の詳しい要因分析や職員のメンタルヘルス体制の見直しが必要だと思いますが、その点の方針についても合わせて伺います。
次に庁舎におけるフリーアドレスの導入について伺います。フリーアドレスとは、オフィスの中で固定席を持たずに、ノートパソコンなどを活用して自分の好きな席で働くワークスタイルのことで、その時オフィスにいない人のスペースを有効活用できる制度です。
 昨年の9月より、墨田区でもICT推進担当課において試験的に導入されていますが、導入後約半年を経過し現時点でどのような波及効果があると考えているのか、その点の認識についてまず伺います。
また、現在進められている庁舎リニューアルプランでも、今後庁舎内のフリーアドレスの考え方はどのように反映させて行くお考えなのでしょうか。フリーアドレスは先述した、テレワークやペーパーレスとも密接に関係するものであり、同時進行で推し進めていくものであると考えています。フリーアドレスのメリットとして場所の有効活用、ペーパーレス化の推進、また行政の縦割り文化をなくす、職員同士の横の連携などのメリットが期待でき、国が推し進める働き方改革の一環として注目をされています。その導入率は10年前と比較して2倍に増える中で今後、庁舎内においてはどういった方針のもとフリーアドレスに取り組まれていくのか、その点の基本的な考えをお聞きします。

 

最後に、廃プラスチックの分別回収・再資源化の本格実施に伴う職員体制について伺います。昨年、モデル実施を開始するにあたり、新たに4名の新規職員を約10年ぶりに採用しましたが、来年度4月からの本格実施に向け、清掃事務所の更なる職員体制の強化が求められるかと思います。
現在のモデル実施ではプラゴミの収集量が約281トンとなっていますが、本格実施ではその数が約2650トンとなることが予想され、その数が約10倍へと膨れ上がることが想定されています。現在、委託している民間事業者では、ゴミ袋の回収はできるものの、例えば法令に基づく排出事業者への指導をはじめ、実際にゴミ袋を空け分別の指導等は法令上できず、その指導ができるのは直営職員のみに限られます。
本格実施に向け、収集量が約10倍に増え業務量が今より増大する中で、現状の職員体制では、円滑な収集業務に支障が生じ、かつ仕分けに対する排出指導にも影響を及ぼすことが予想されます。また、職員の平均年齢も53.9歳と高くなっている事を踏まえると、持続可能な清掃業務を将来的に維持するには少なくとも来年度の新規職員の採用は欠かせないのではないでしょうか。来年度の本格実施に向け、清掃職員の更なる新規採用が必要であると思われますが、区長のご所見を伺います。

 

区長答弁

自民党 堀議員

 

 

 

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