私は、区長に対して、通告の通り8点にわたり質問します。
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まず第一に、地方自治法及び地方独立行政法人法の改正について伺います。
平成32年4月1日より、新しい地方自治法が全面施行されます。その趣旨は主に、①財務事務の適正化、②監査体制の強化及び③地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直し等で構成されています。また併せて、地方独立行政法人法の改正が行われ、④地方独立行政法人が担うことのできる業務が拡大されました。
①財務事務の適正化に関しては、都道府県知事及び政令指定都市の市長は内部統制に関する方針を定め、これに基づき必要な整備をしなければならないこととなりましたが、その他の市町村長は努力義務とされました。この方針を定めた場合、これを公表し、評価報告書を作成する義務が課され、監査委員の意見を付して議会に報告する義務が課されることとなります。そうすることで、議会や住民がより行政の適正な運営について監視・評価することが可能となります。
以前私は、監査委員を1名増員する際の議案質疑の中で、本区は会社法で定めるところの「資本金5億円以上または負債総額200億円以上」である「大会社」に該当すると申し上げました。そこで、本区においてもこうした「大会社」にふさわしい体制の整備を進めるべきだと考えています。
昨年の予算特別委員会で、総務部長は内部統制について、「地方自治法が改正されれば、即座にこれに沿った指針をつくっていくべきと考えております。」と答弁しているほか、同年10月11日付で特別区人事委員会から区長及び区議会議長に発出された「一般職の職員の給与に関する報告及び勧告」でもこの改正に触れ、「区民からの信頼確保」のための方策として、「自治体のガバナンスの更なる強化という視点で既存の様々な内部統制の仕組みを検証し、今後の体制整備等について検討されたい。」と指摘されています。また、同年5月の第一回臨時会における長谷川代表監査委員の就任あいさつでもこのことに特に触れられているところです。そこで、本区の方針について、この際示すべき時期にあると考えますが、区長の見解を求めます。
加えて、②監査体制の強化についてはこの4月より、新たに監査委員を専門的に補佐する監査専門委員制度も創設されましたが、これについての見解も併せてお答え願います。
更に、④地方独立行政法人の活用については、この4月より、申請等関係事務、いわゆる窓口関連事務を、地方独立行政法人に処理させることができるとされました。こうした業務を地方独立行政法人に担わせることは、専門的な知識を蓄積するという観点から有益です。これに更に人事異動の容易性を担保するという観点から考えると、特別区一体の処理を行う広域的な地方独立行政法人が設立されればなおよしと考えます。現在の特別区長会での議論の内容や、今後の方向性、また本区の態度について区長の見解を伺います。
また、現行法も含めますと、本区に関連する事業として、地方独立行政法人の業務対象となるものとして、社会福祉事業、介護保険施設及び博物館・美術館等があります。現在、本区でこれらの事業には指定管理者制度を導入しているところです。このうち博物館・美術館等については、日本学術会議の協力学術研究団体のひとつである自然史学会連合による「博物館の地方独立法人化に関する情報交換会記録」によれば、事業の継続性や人材育成の観点から、地方独立行政法人の優位性が指摘されています。行政サービスが多様化し、これらの処理方法も柔軟化している今、これら、地方独立行政法人、指定管理者及び外郭団体としての財団・社団法人といった形態のメリット・デメリットの分析やその導入の可否について、庁内での一定の方向性を議論する時期にあると考えます。現時点での考えや、今後の方向性について区長に答弁願います。
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第二に、公職選挙法の改正について伺います。
来年3月1日に施行される、改正公職選挙法では、これまで地方においては首長のみが対象となっていた選挙時のビラ配布について、都道府県議会議員及び市区町村議会議員にも解禁されます。まさに本区においては来年の墨田区議会議員選挙がこの対象となり、証紙を貼付したビラを4,000枚を配布することができるようになります。これはローカル・マニフェスト推進地方議員連盟が全国で「政策選択型」の選挙を目指して運動を行ってきた成果であり、国会においてもその重要性が認識され、与野党横断の合意により成立したものです。同法では、条例で定めることにより、これまでポスターや選挙カー等で認められている公費負担制度が適用されることとなります。
そこで、同法改正の趣旨を生かし、資産の多寡の別によって配布することのできる枚数に違いが出ないように、来たる墨田区議会議員選挙での配布ビラについて、公費負担を可能とする条例の制定を行うべきだと考えますが、区長の考えを伺います。
また、同様に、「政策選択型」の選挙とするために、今年の予算委員会では「選挙公報のひとりあたりスペースを大きくしてほしい」旨の質疑を行い、選挙管理委員会事務局長は「次期選挙管理委員会の中で議題に」するとの答弁がありました。その後の状況と今後の方針についてお知らせください。
更に、憲法で定められた参政権の実質的保障という観点から、移動が困難な高齢者・障害者等の皆様を考慮し、移動手段の確保についても提案をしました。その後研究課題としているということですが、現在の対応、考え方について改めて伺います。
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第三に、町会・自治会の合併について伺います。
昨年第三回定例会で私は、地域力日本一というならば、その基礎となる町会・自治会に対する実態調査を行うよう提案しました。現在行われているこの実態調査では、様々な課題が浮き彫りなり、これをひとつひとつ政策化し、丁寧に解決していくことは、まさに地域力の基盤をつくることにもなると信じています。ぜひ、真摯に受け止められ、地縁団体の基盤強化に山本区政として全力で取り組んでいただきたいと存じます。
さて、私は今後、町会・自治会の基盤強化の中で、不可避の論点が、町会・自治会の合併であると考えています。住民の皆様に伺いますと、まだ具体的な議論にはなっていないものの、将来的な合併を視野にする発言が見受けられています。こうした背景には、町会・自治会の人的・物的資源が豊富な会とそうでない会が二極化しており、このようなことから、遠からぬ将来、行政課題として噴出することが予想されます。
講学的には、町会・自治会の合併については、3つの類型が考えられます。一つは、未法人化団体同士の合併、二つは未法人化団体と認可地縁団体の合併、三つは認可地縁団体同士の合併の場合です。未法人化団体同士の合併の場合は、地方自治法の適用を受けませんので、団体同士の合意で任意にすることができますが、片方でも認可地縁団体が関係すると、地方自治法の適用を受けることとなります。
具体的には、認可地縁団体の認可にあたって定めるべき「区域を記載した規約」の変更を伴うため、地方自治法第260条の2第11項に基づき、区長に届出をすることになりますから、区としてはこうした手続に対応する必要があります。
総務省自治行政局に照会を行った結果、具体的な集計はしていないものの、町会・自治会の合併については全国で問い合わせがあるということでした。
そこでまず、こうした手続面での整備についての現況の説明と今後の対応についての所感を区長に伺います。
また、町会・自治会の合併は、「平成の大合併」が目指したように、規模の利益を最大化し、町会・自治会の運営を効率化できる可能性があります。もちろん、「平成の大合併」の負の側面であった住民自治のあり方については配慮する必要性があります。地縁団体ですから、その歴史性、地域性及び住民の意思を最大限尊重したうえでの話となりますが、住民の福祉増進という観点からは、合併の利益について分析してみる価値はあると考えています。
国もこうした動きを予測しています。例えば、『まち・ひと・しごと総合戦略』の中では、町会・自治会を包含する概念として「地域運営組織」を位置づけ、地域課題を解決する組織として小学校区単位の想定を行い、平成32年段階での達成すべきKPIとして5,000団体の形成を目指しています。
こうした動きを踏まえ、町会・自治会の合併に伴い、町会会館の改築や維持補修費を増額するなど、何らかのインセンティブを付与したりする方策等、規模の適正化について区長の考えと今後の検討の余地について伺います。
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第四に、職員の育成について伺います。
平成30年は「副業解禁元年」と言われ、企業等で副業解禁の動きが進む一年となりますが、この趣旨は、多様な働き方の推進や副業の経験を他の勤務に活かす取組みであるとされています。こうした中、職員の見分を広げる取組みのあり方について質問します。
まず、ボランティア休暇について伺います。導入当時の、人事院平成8年『年次報告書』では、ボランティア休暇について、「公務員がボランティア活動に参加することは行政とは異なる側面から市民生活に触れることとなるなど、職員自身の視野を広め、ひいては行政面でもより良い効果をもたらすものと考えられる。」とその意義を強調しています。事前の調査によれば、ボランティア休暇は、平成28年度以降は取得件数なしで、それ以前でも数件といった取得状況です。まず昨今のボランティア休暇の取得状況についてご説明いただいた上で、その取得が進まない原因について所感を伺います。
消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律、いわゆる消防団支援法が制定され、自治体職員の加入促進が位置づけられました。また、自治体職員の保護司の兼任を促進する荒川区のような事例が広がる中、消防団員や保護司の兼任をはじめとするボランティア活動の促進について、区長の方針を伺います。
次に、自己啓発等休業について、伺います。これは平成19年、大学等における修学や国際貢献活動を希望する常勤の職員に対し、職員としての身分を保有したまま職務に従事しないことを認める休業制度として認められたもので、給与は不支給、休業期間は定員外として扱われます。過去、本区では青年海外協力隊の事例があるようですが、国際協力機構(JICA)への長期派遣との位置付けで処理されており、この制度利用のための手続策定には至っていません。現在昼夜開講制のビジネスマン向けの専門職大学院等の開設も増えていますが、広く国際的な見分を広げたり、昼間開講制の大学院でしか学べないこともあるため、今一度制度の創設の必要性を感じます。現在の状況と規定整備の方向性について区長に伺います。
更に、幹部職員の視察機会の確保も重要な課題だと考えています。この秋から私たち区議会常任委員会の管外行政調査に同行してくださる部長級職員さんが上限1名から、2名に増員となります。これまで、こうした視察機会のほかには、幹部職員が先進的な事例を調査しようにも、それら調査費用や現地視察費用等の計上が難しい状況が続いていると把握しています。現に、国内他都市派遣研修制度がありますが、ここ10年、これを使った派遣研修は1件も行われていません。職務に関連する出張は行われていますが、この国内他都市派遣研修制度は、直接担当する職務に関連したものに限らないことが特徴で、幹部職員の見分を広げるのに有用です。幹部職員に見分を与え、見識を広めていただき、もって政策立案に大きく還元されるとすれば、この費用等は、この街の将来にとって微々たる投資ではないかと考えますが、区長の見解を伺います。
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第五に、事業用シートについて伺います。
先週、東京若手市議会議員の会の研修で、東京都町田市に伺い、先進事例として早稲田大学パブリックサービス研究所にパブリック・ディスクロージャー表彰を授賞されている「町田市課別・事業別行政評価シート」についてレクチャーを受けてまいりました。過去、自民・公明の複数の議員がこの事業を区議会でも取り上げています。
同シートは、数百に及ぶ事業単位別に構成され、A4見開きの半分を財務情報が占め、残りをその事業が行われた背景や目標値、達成度などが示され、内部評価が付随しています。そして注目すべきは、同種施設分析表であり、市内同種施設の行政コストが一覧で比較できるようになっています。
町田市ではこのシートを用いて決算審議を行い、住民説明会を行うなど、「根拠と数字に基づく」行政改革を推進するための大変有用なツールとなっています。区長部局に対しては、当日の資料一式を事前にお渡ししてありますが、まずこの取組みについて所感を伺います。ちなみに関東のある市長は市議会での質問を受けて、「町田市を視察する」と答弁したそうですが、その後本当に町田市に出向いて研修を受けたそうです。区長もぜひ機会があれば訪れてみてください。成熟社会における行政改革のツールとしてきっとお手本になるはずです。
翻って、本区の取組みを見ると、まだまだ道半ばです。公会計改革の実施と合わせて少なくとも23区の事業比較ができる事業シートの作成が一定のゴールとなりましょうが、まず本区でできることとして、現在ある「墨田区事業別コスト計算書」を段階的に改変していくことが重要だと考えます。本区では保育園や児童館等といった大きなまとまりでのコスト計算が行われていますが、個別施設の比較情報は掲載されておらず、また事業の対象数もごくごくわずかです。私たち区議会の決算審議の観点から、また、住民による行政の監視といった観点からも、こうした情報の枠を広げ、公開していくことの重要性を認識しますが、区長の見解を求めます。こうした意味では、昨日のすみだ新政会堀議員の代表質問に賛意を示すものです。また、町田市と比較し、本区が事業シートとその公開についてどのような方向性を目指すのか、併せて答弁を求めます。
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第六に、電線地中化と道路占用料について伺います。
私たち区議会も国に対して意見書を提出して支援してきましたが、平成28年9月、「無電柱化の推進に関する法律」が成立し、「災害の防止、安全・円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るため、無電柱化の推進」を行うことが規定されました。東京都においても「東京都無電柱化推進計画」に基づき、東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催までの都道の無電柱化の完了を目指し整備を進めています。いよいよ本定例会にも、墨田区として「無電柱化基本方針」が示されます。この基本方針では、考え方を示すのみとのことですが、計画期間や総事業費、これに引き当てる区としての財源をどのように考えているのか伺います。
また、現在、道路占用料について袖看板や巻付け広告等に減免措置を講じていますが、これらを無電柱化推進のための貴重な財源と捉え、本則に戻していくこと、また電力・電話回線等事業者に応分の負担を求めていくことも重要だと考えますが、区長の見解を求めます。
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第七に、荒川将来像2010地区別計画について伺います。
この質問は、過去、区議会でも多くの会派所属の議員が質問し、議員としても多くの住民要望がある事項であると認識していますが、なぜ再三の提案にも関わらず、区内にバーベキューのできる広場ができないのか、という疑問に端を発します。
私が調査したところによると、特別区内には少なくとも40か所のバーベキューのできる公共の公園が存在しています。特に城東地区の5区に関して言えば、江戸川区に6か所、葛飾区に1か所、足立区に1か所、江東区に8か所という状況となっており、整備されていないのは本区のみとなっています。
これは本区内に大規模公園がないからではないかという反論を受けたので、荒川放水路沿川に関して調査すると、やはり多く存在し、近くでは江東区及び江戸川区の大島小松川公園、北区の荒川岩淵関緑地バーベキュー場、板橋区の荒川戸田橋緑地と各区に存在しています。本区はもちろん荒川放水路沿川にも存在しません。まず、この状況について区長の所感を伺います。
本区は住宅の集積が進み、住宅街の中にある公園等でバーベキューのできる広場を整備することは困難です。したがって、私は荒川放水路の河川敷こそ最も実現可能性のある場所であると考えています。そして他区にも荒川沿川ですと多くの実施例があります。国土交通省荒川下流河川事務所が策定した「荒川下流河川敷利用ルール」の中にも、バーベキューや煮炊きなどは原則禁止ですが、指定場所ではこれを解禁しています。
つまり、区が一定の管理体制を整備し、実施する意思さえあれば、バーベキューのできる広場は実現可能なのです。要はやる気の問題です。
他方で、ハードルとなるのが、区も構成員となっている荒川の将来を考える会が策定した「荒川将来像計画2010地区別計画」です。この中では、自然と区民利用の調和を目指し、地区別に用途が指定されています。この間、過去の議事録を紐解くと、平成16年以降、自民・公明・無所属の総勢6名の先輩議員が同様の質問を繰り返しています。一律に火の管理の問題等を課題として挙げていますが、こうした区議会からバーベキューのできる広場について再三にわたる提案があったにも関わらず、同計画に反映しなかった理由をまず答弁願います。
そして、区長が変わった今—区長も平成22年第四回定例会において、かまどベンチの平時活用として、区内におけるバーベキューの必要性を質問しているのですが—この計画を一部見直して大胆に方針転換されることを求めますが、区長の方針を伺います。
これに先立ち、荒川放水路河川敷以外にも、うるおい広場下の隅田川沿いで吾妻橋フェストとのコラボレーション等、期間限定での社会実験も考え得ると思います。できない理由ばかり並べるのではなく、まずどんなことができるのか、実験してみんなで考えて、区民の声に応えてみませんか。もちろん管理を行うということでしたらなんでも無料ではなく、応益負担の有料で、ごみの持ち帰り等も当然求めてよい話です。改めて区長の見解を求めます。
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最後に、食育について伺います。本日より、すみだ食育フェス2018「食育で みんながつくる 笑顔の環(わ)」が始まっています。全国的な評価を浴びているという観点からすると、食育は、雨水活用や中小企業振興施策と並ぶ、墨田区が誇る数少ない先進事例であると思います。区長が就任した一年目に行われた第10回食育推進全国大会の開催を終え、「ポスト大会」として、これまでの成果を検証し、更に大きく広げていく取組みが、いままさに求められています。
まず、食育を担う人材育成についてです。本区では、食育を推進するのは「人」であるという観点から、平成20年度より、食育を推進する中核となる人材の育成を積極的に進めており、「すみだ食育推進リーダー育成講習会」を開催し、リーダーの育成を行いました。まさに「人」つながる墨田区の施策はここに原点があったといっても過言ではないでしょう。これまで71人の方が講習会を巣立ってきましたが、平成25年を最後に新たな講習は行われていません。先に傍聴した平成29年度第2回すみだ食育推進会議では、民間委員からこうした点も指摘されたところですが、今後、こうした取組みを復活させ、さらなる民間人材の裾野を広げる取組みをすべきではないかと考えますが、区長の見解を求めます。
また、ポスト大会として、これまで国の所管官庁との関係で保健所で行われてきた取組みを、「地域力日本一」を目指す枠組みに再編成し、より全庁横断的な取組みを推進するため、所管の変更を含めた検討を求めますが、区長の見解を伺います。昨年第二回定例会では、現在開かれている庁内の食育推進会議は欠席が多く、参加者が減らされてしまったことを指摘し、改善を求めました。これは全庁的な意識が不足していることの証左であります。区長には、食育のあたたかい火を消さない取組みを強く求めます。
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以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。