1.区長の施政方針について (1)「すみだの“夢”実現プロジェクト」の本格的な展開について (2)更なる行財政改革の推進について (3)平成二十九年度の予算案と財政計画との整合性について (4)新保健センター及び大学誘致について (5)働き方改革について (6)区政七十周年ほか主要な事業について 2.防災対策について (1)糸魚川市大規模火災の教訓について (2)「墨田区避難所運営マニュアル」の活用について (3)災害時の生活用水の確保について 3.子ども・子育て支援について (1)「墨田区待機児童解消計画」の進捗状況について (2)保育施設の指導検査業務について (3)定住促進支援及び多子世帯支援について (4)幼保小中一貫教育について |
墨田区議会自由民主党の沖山仁です。会派を代表して、区長及び教育長に質問致します。
第一に、区長の施政方針について、六点伺います。
まず一つ目に、今年度の区政運営について述べられた「すみだの〝夢〟 実現プロジェクト」の本格的展開について伺います。今定例会に提出された新年度予算案は、山本区長が作り上げた「墨田区基本計画」に基づき、山本区長自らが編成した予算ということで、山本区政がまさに自らの力で歩み出したと受け止めました。施政方針で述べられたように「時代の変化を見据えた、新たな取り組みに果敢に挑戦」するためには、基本計画の期中であっても評価と改善を繰り返すことが必須です。こうした中で、二元代表制の下、議会の意見を真摯に受け止めて執行にあたっていただきたいと思います。この点について、区長の見解を伺います 。
二つ目に「更なる行財政改革の推進」について伺います。昨年策定された「行財政改革実施計画」及び「第二次公共施設マネジメント実行計画」については、将来世代の負担軽減の観点から、速やかかつ着実な実行を求めます。特に、未利用公有地の貸付・売却の検討や、旧学校施設の除却など、機会損失につながる課題は、早期に解決すべきと考えます。これらの課題について、今後どのように取り組んで行くのか、区長の見解を求めます 。併せてこのたび東京都から「区市町村に対する都有地情報の提供について」が示されましたが、ここに示された都有地の活用方法についても、区としての見解をお示しください。
三つ目に、平成二十九年度の予算案と財政計画との整合性について伺います。本区の基幹的歳入である特別区交付金のうち普通交付金の額は、約七億円の減収となり、これは過去五年間で最大の減収幅です。法人住民税の一部国税化が強行されたことによる影響はこれまでも指摘されてきましたが、今回の減収幅について想定していたのでしょうか 。また、想定を超えていたということであれば、歳出の削減や基金の繰入れなど、どの部分で調整されたのかについて、具体的にお答え願います 。
この減収に対する最大の懸念は、今後の財政計画に及ぼす影響です。景気の影響により利子割交付金等が減収となり、また国際金融都市を目指す、東京都の「海外金融系企業の誘致促進等に関する検討会」では、超過課税是正が指摘されるなど、先行きへの不透明感が強まっています。来年度以降もこうした状況が常態化すれば、財政計画への影響は必至であり、憂慮すべき事態であると考えます。基本計画に定めた財政計画は、国による、東京都の税収偏在是正の動きを踏まえ、法人住民税の一部国税化など、減収を予測の上、推計されています。今回の減収について財政計画上どう評価しているのでしょうか。影響及び対応策について区長に伺います 。
新年度予算案では、普通交付金の減収約七億円分を、特別区民税の増収がほぼ穴埋めした形になりましたが、納税義務者の増加は政策による誘導の成果というより、本区への転入超過のトレンドによるものと推察されます。安定した財政運営のためには、勤労所得者の転入及び定住促進支援策や、区内産業に従事する区民の所得向上に関する施策の推進が早急に求められています。しかし、産業観光費は、すみだ中小企業センターの廃止による人件費及び維持管理費を合わせた約一億五千万円以上の減額となっており、産業支援策は後退していると言わざるを得ません。これら区民所得向上の施策について、どういった姿勢で臨むのか、区長の見解を求めます 。
四つ目に、新保健センター及び大学誘致について伺います。新保健センター整備事業は、基本計画で前期に整備されることが掲げられていますが、用地の取得が当初の予定より遅れていると、仄聞しています。まずこの遅れが、計画に及ぼす影響について、お答え願います 。また、整備にあたって補助金の活用や、設計と施工を一括して発注する「デザインビルド」など、手法の研究等、今後の方針を伺います 。
また、大学誘致については、今月九日のプレス発表で、三月に首都圏の四年制大学と、キャンパス誘致に向けた包括的連携協定を締結することが発表されました。昨年の第四回定例会の企画総務委員会では、「今年度中に決定し来年度予算に反映したい」との理事者の発言がありましたが、現在の交渉の進捗状況と予算措置について、ご報告願います 。
五つ目に、働き方改革について伺います。本年二月、安倍内閣総理大臣の諮問機関である「働き方改革実現会議」において、労働基準法改正に向けて、残業上限を月平均六十時間とすることを軸として、意見集約を図ることになりました。また、東京都は午後八時に完全退庁、豊島区は本庁舎の照明を午後七時に一斉消灯する取組みを実施するなど、多くの自治体で、働き方改革の取組みが始まっています。他方で、こうした取組みには、仕事の持ち帰りにつながり根本的な解決策にはならないとの指摘もあります。こうした強制的な業務時間の短縮ではなく、職員自らが業務の効率化に取り組む体制づくりも必要と考えますが、区長の働き方改革に対する所見を伺います 。働き方改革のひとつのバロメーターが、昨年度の人件費に占める残業代の割合です。これはどの程度で、新年度予算ではどの程度を見込んでいるのでしょうか 。
所管による業務の偏重や、季節的要因による業務の集中の是正による、水平方向及び垂直方向の業務の平準化は、行財政改革推進の観点からも重要です。今年度から取り組んでいる「業務改善推進プロジェクト」は、最終的にどのような目標が設定されるのでしょうか。このプロジェクトの進捗状況と、併せてお答え願います 。
六つ目に、区制七十周年ほか、今年予定されている主要な行事について、区長に質問します。墨田区は昭和二十二年三月十五日に区制が施行されてから、今年で区制七十周年を迎えます。「予算概要」によれば、記念行事として式典を予定しており、その中で、感謝状の贈呈、記念コンサートの実施等を行う予定とされています。特に「十年後の未来図事業」は、子どもの夢をはぐくみ、また十年後の成人式においてこれを表彰することで、子どもたちの愛郷心を育てるという点で、政策目的と効果が明確であり、高く評価します。この事業は毎年実施することも検討する価値があると考えますが、区長及び教育長の見解を求めます 。
また、今年は中国・北京市石景山区との友好都市協定締結から二十周年となります。二十周年を記念して訪問事業を予定しているようですが、①具体的な内容と②この事業を通じて次の十年間どういった関係性を目指すのかについてお示しください。石景山区とは民間交流の少なさが課題であると考えますが、この点も併せてお知らせください。また、③更に広く都市外交に対する考え方について区長にそのビジョンを伺います 。
さらに、今年四月十五日から二十一日にかけては、東京オリンピック・パラリンピックのフラッグ・ツアーが本区で実施される予定となっております。特に予算案にて言及はありませんでしたが、オリンピック・パラリンピックへの機運を盛り上げる大変重要な行事であると考えます。区長はこれについてどのような計画を立てているのでしょうか 。ただ存在や式典を周知するだけではなくて、区内あまねく場所からしっかりと参画してもらうことが機運醸成のために重要であり、目標動員人数等具体的な計画を示すべきだと考えます。区長の見解を求めます。
関連して、二月二十六日には、本区を初めて通過することとなる東京マラソンが実施されます。応援フラッグの作成や、沿道イベントなど、現在考えられている計画をお示しいただきたいと存じます 。
第二に、防災対策について三点、伺います。
一つ目は、糸魚川市大規模火災の教訓についてです。昨年十二月に発生した、糸魚川市大規模火災では多くの方が被災されました。まず、被害にあわれた皆様方に謹んでお見舞い申し上げます。この火災は、木造密集地域を抱える本区にとっても対岸の火事ではなく、まさに身内ごととして教訓としなければなりません。そこで、まず糸魚川市大規模火災の教訓をどう生かすのか、区長にお伺いします 。
二つ目に、昨年三月に新しく改訂された「墨田区避難所運営マニュアル」の活用について伺います。昨年は、先の糸魚川市大規模火災に加え、熊本地震など大災害に見舞われた一年で、区民の皆様のお話を伺うと、マニュアルを超えた、「より実際の場面への適用」について真剣に考えておられる方が増えたように思います。区内では町会又は連合町会単位等で区民防災訓練を行っていますが、そこで、このマニュアルを用いて、避難所の具体的な設営を行ってみることが必要なのではないでしょうか。現在、実施されている事例がどのくらいあるのか伺います。また区として同マニュアルをどう周知し、実際に使えるものとしているのか伺います 。避難所として使用する実際の学校体育館等で、誰が指揮を執るのか、どこを居場所とするのか、トイレの設置はどうするのか等を考えることが必要であろうと思います。また、同所でそれぞれ自宅から備蓄物資を持ち寄ってもらい、こういうものが必要だという、指導をするのも大変有益であろうと思います。新年度予算において、防災訓練のメニューを区が提示することとなるようで、一定の評価をしますが、単に提示するだけではなく、①区が推奨する訓練メニューを設定し、②助成費用や助成期限等でインセンティブをつけることで、更に踏み込んだ内容とする必要があると考えます。この点について、区長の見解を伺います 。
三つ目に、災害時の生活用水の確保について伺います。災害時にトイレ等に用いる生活用水の確保は、喫緊の課題です。東京都水道局の資料では、東京湾北部地震が発生した場合、断水率が七十九・六パーセントと特別区で最も悪い数字の本区において、河川近隣の避難所においては、幸い河川から引く水で対応することが可能ですが、河川から一定の距離がある場所での生活用水の確保は困難を極めます。まず、飲料以外の生活用水の確保について、本区の必要量と確保のための計画について伺います 。
避難所の毎日の生活用水の確保については、井戸が有用であると考えます。荒川区では国の住宅市街地整備事業を活用して、学校等に深井戸を整備しました。本区内でも現在、京島地区まちづくり協議会において災害時の井戸の利用について現場視察を行うなど積極的な研究をしています。現在、避難所で生活用水として使用できる防災用井戸の整備計画と現況について伺います 。
第三に子ども・子育て支援について伺います。
まず一つ目に、昨年六月に定めた「墨田区待機児童解消計画」の進捗状況について伺います 。これまで、緊急対策として公園を活用した小規模保育所や、定期利用保育所の開設等、迅速な対応には一定の評価をします。しかし、未だ解消には至っていないことは事実でありまして、今後も適切に丁寧に、かつスピード感をもって対応していただきたいと改めて要望しておきます。
二つ目に、保育施設の指導検査業務について伺います。乳幼児の行動形態は常に危険と隣り合わせであり、保育現場は常に神経を研ぎすまし対応しなければなりません。まず、本区での認可保育所に対する指導検査について、現在の進捗と今後の計画について伺います 。
これまでの待機児童解消計画では量的拡充に、やや比重が大きすぎてはいないか、との受け止め方をしています。保育所整備や定員拡充とともに、重視するべきは、やはり「保育の質」であると思います。保育の質を確保するためにも、施設の指導検査業務を有効的に活用し、事故防止に努めるべきであると考えますが、ご所見を伺います 。
三つ目に、定住促進支援及び多子世帯支援について伺います。昨年、墨田区議会は五会派の合意で「就学応援事業」を削除する修正議決を行いました。補正予算としてこの後継事業を提出しなかったことは、予算査定の観点から、きわめて問題であったと指摘せざるを得ません。この点についてまず区長の見解を求めます
墨田区人口ビジョンにおける人口の動向分析によると、本区は人口増加傾向が続く一方で、ファミリー層は、転出超過傾向にあることが指摘されています。これに歯止めをかける、子育て世代が住みたいまち、住み続けたいまちにするためには、多方面からの定住支援策を考える必要があります。他方で、本区ではファミリー向けの住宅が不足していると推測され、そこで、住宅購入及び増改築に関する補助支援事業が効果的なのではないかと考えます。
「新住宅マスタープラン」策定に向けても、子育て世帯等に配慮した良質な住宅の供給誘導や、ライフステージに応じた住み替えが選択できる質の高い住宅ストックの形成など、子育て世帯を中心とした定住促進を考えていると区長も答弁されていますので、私たちの提案も含め、子育て支援と住環境施策の連携を工夫していただき、着実な定住促進に結びつくように施策を推進していただきたいと思いますが、区長の所見を伺います 。
四つ目に、幼保小中一貫教育について伺います。どのブロックも、それぞれ、校種の壁が少しずつ取り払われつつあり、交流が進んでいると聞いていますが、課題も様々あることも事実であります。幼稚園や保育園の一部からは「小中学校ともっと交流したい思いはあるが、連絡がしづらい」等の現場の声も聞いています。さらに、小学校の接続の面では、小学校入学直後のいくつかの学校では、授業時間を通して、机にすわっていられない児童が何人かおり、教員が対応に苦慮している状況が見受けられるとも仄聞しています。必ずしも、すべてが順調に進んでいないように感じます。そこで、今申し上げたように、幼稚園・保育園と小学校の連携がスムーズに進んでいないケースがあることを認識し、何らかの支援を行っているのか教育長に伺います 。落ち着いた環境で授業を受けられることは、墨田区の大きな課題の一つでもある「学力向上」のための必要最低条件であると思います。
次に、小学校と中学校の接続についてです。中学生になると、教科担任制が導入され、授業時間が長くなるほか、定期考査も行われる等、小学校と大きく学校の環境がかわります。また、授業のスピードが速くなるほか、生徒会活動、部活動などもあり、中学校生活がスムーズに始まるためには、学校間の連携はもちろん、保護者や本人の不安を少しでも取り払っておくことが必要です。現時点での課題や、そのための取組みをどのように行っているのか進捗をお聞かせください 。
また、来年度は「幼保小中一貫教育推進計画」の改定が予定されています。具体的な検討方法はまだ決定していないと思いますが、これまでの指摘を踏まえて、現段階でどのような方向性で検討していくのか、お考えをお聞かせください 。
以上で区議会自由民主党の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
1 区長の施政方針について ⑴ 「すみだの“夢”実現プロジェクト」の本格的な展開について
平成 29 年度予算案は、新基本計画策定後に編成する初めての予算として、「すみだの夢」の目標達成に向けた“夢”実現プロジェクトを中心に、基本計画に掲げる各施策の着実な推進を図る予算として編成した。時代の変化を見据えた新たな取組を進めていくためには、既存のすべての事業について評価したうえで、常に改善の視点に立ち、見直しを行っていく必要がある。一方、地方自治制度における二元代表制のもとでは、区の重要な活動に関する意思を決定する区議会の意見は、真摯に受け止めるべきものと認識している。引き続き、区議会の意見を踏まえつつ、基本計画事業を着実に推進し、区民福祉の向上に取り組んでいく。
⑵ 更なる行財政改革の推進について
未利用公有地の活用については、民間事業者の持つ情報や専門的な手法の導入などにより、売却及び貸付に取り組んでいる。旧学校施設をはじめ、用途廃止が決定した施設の除却及び活用についても、地域のまちづくり等の進捗に合わせ順次検討し、機会損失につながらないよう、課題解決に努めていく。区市町村に対する都有地情報の提供については、活用の範囲が、認可保育所等の保育関連施設、高齢者及び障害者関連施設に限られており、民間事業者が活用することとされている。関連各課で活用の可能性を検討するとともに、待機児童対策としては、私立保育園長会において情報提供して積極的な活用を求めたところである。現時点では民間事業者からの活用希望はないが、
今後も運営事業者に適切な情報提供を行い、都有地についても有効活用を促していく。
⑶ 平成 29 年度の予算案と財政計画との整合性について
当初予算案の特別区交付金のうち普通交付金については、過去5年の中で最大の約7億円の減収になった。法人住民税の一部国税化の影響は織り込んでいたが、都区財政調整フレームにおける企業業績の悪化の予測による減収は、想定の範囲を超えるものとなった。そこで、特別区民税の増や基金の活用に加え、事務事業の見直しなどにより、収支の均衡を図ったところである。今回の減収が今後も続くと仮定しても基本計画を着実に実行できるように、財政推計を検証し、歳出削減のための更なる行財政改革を推進するとともに、新たな歳入増を図るための財源対策を検討していく。区民所得の向上施策については、安定した財政運営を実現するための方策のひとつとして、勤労所得のある区民を増やしていくことが求められる。そのためには、より一層、暮らしやすい、働きやすい魅力的なまちになることが必要だと考えている。そこで、ファミリー世帯の定住促進に向けて、一定規模の居住面積を確保できる住環境づくりなどを進めていく。区内の産業振興については、中小企業センターの廃止に伴う経費は削減されているが、産業支援施策を新たな時代や企業ニーズに対応したものに再構築し、更に充実して積極的に推進していく。併せて、区内企業のワーク・ライフ・バランスの取組支援や、女性の活躍推進など、様々な施策を推進し、働き続けたいまちの実現をめざす。このように多方面にわたる施策を総合的に展開することで、区民所得の向上に取り組んでいく。
⑷ 新保健センター及び大学誘致について
現在、庁内検討会や有識者と区民による懇談会の意見を参考に、施設設計の与条件を整理し、整備方針をまとめている。しかし、用地取得の手続に時間を要していることから、当初想定していたスケジュールに変更が生じている。計画の遅れを最小限にとどめるため、設計施工一括発注方式、いわゆる「デザインビルド」などの整備手法の導入についても検討し、平成33年度までの完成を目指したい。今後、新たな手法のメリットとデメリットを精査のうえ、建設費の妥当性と施設の質を確保し、補助金等の財源の可能性を探りつつ、柔軟な発想をもって施設整備に努める。大学誘致の交渉の進捗状況については、本区への進出について協議を進めてきた首都圏の四年制大学とは、来月、包括的連携協定の締結を目指して積極的に協議を進めており、本区から提案した協定の内容について大学内で検討していただいている。詳細については、今定例会の企画総務委員会で報告する予定である。なお、進出を希望しているその他の学校法人とも、引き続き協議を行っていく。大学誘致の予算措置については、旧曳舟中・旧西吾嬬小の解体工事費を計上したほか、大学による利活用を視野に入れた中小企業センターの改修基本計画の策定経費、大学誘致の予定地での学校施設の配置や用地周辺の歩行環境の整備等の構想策定経費などを計上している。
⑸ 働き方改革について
働き方改革に対する考えでは、平成27年8月に行った「イクボス宣言」において、職員のワーク・ライフ・バランスを考え、キャリアと人生を応援するとともに、業務の効率化を図ることとしているが、業務改善については、職員一人ひとりや組織全体として、日々の業務を行う中で、効率化に取り組むという意識改革が必要であると考えている。なお、平成 27 年度決算における一般職員の人件費に占める時間外勤務手当等の割合は、約2%であり、平成 29 年度予算においても同程度を見込んでいる。業務改善推進プロジェクトの進捗状況と最終的な目標については、先日、管理職に対し、9月から12月分までの業務量調査の中間報告を行うとともに、平成 29 年度に各課単位で、業務改善に取り組む方針を指示した。全庁的な目標等については、業務量調査が終了する本年8月末までの調査結果に基づく分析等を行った上で、全体業務量の圧縮・最適化など、より効果的な目標を設定したい。
⑹ 区制 70 周年記念事業ほか主要な事業について
「十年後の未来図事業」は、平成29年度の小学校4年生を対象として、10年後の自分の夢や墨田区の将来、日本の未来を描いてもらう。その子どもたちが 10 年後に「成人を祝うつどい」で、当時を振り返ることで、区制80周年記念につながる事業として計画した。区制 70 周年を節目として、本事業を実施することと考えているので、まずはこの仕組みで実施し、平成 30 年度以降については、子どもたちの夢を育む事業としてどのようなことができるか、教育委員会とも連携しながら検討したい。中国北京市石景山区との友好都市提携20周年事業については、友好都市提携20周年を記念して、区長と議長による訪中及び石景山区側の訪日受け入れを予定している。今後の都市交流については、引続き民間交流を中心に進め、行政はそれを側面から支援することを基本に友好関係を築いていきたい。この機会に、石景山区とも意見を交換し、行政交流とともに民間同士の交流の可能性を探っていきたい。本区では、今後ますます在住外国人の方や外国からの観光客が増えていくことが予想される。そうした中で、区民や区内の団体の方が、文化芸術等を通して、外国人の方とふれあい、お互いの文化を受け入れ、理解し合うことが重要であると考えている。そのような交流が基本となり、様々な国や地域の方たちと多面的な関係が結ばれることを目指していく。東京 2020 オリンピック・パラリンピックフラッグツアーについては、東京 2020 大会が近付いていることを実感できる大変重要なイベントであると考えている。本区では、4月 15 日から 21 日までの1週間、庁舎1階のアトリウムに、オリンピックとパラリンピックのツアーフラッグ等を展示する。また、4月 15 日にはリバーサイドホールでツアーフラッグの歓迎セレモニーを行うこととしており、区長と議長がアンバサダーからツアーフラッグを受け取る予定である。セレモニーの内容は、現在東京都等と調整中だが、早急に取りまとめたいと思う。多くの区民の皆さんにセレモニーに参加していただき、この機会に気運を盛り上げたいと考えており、区のお知らせやホームページ、SNSなどにより、幅広く呼びかけていく。東京マラソンを盛り上げるための区の取組については、区内がコースとなる初の東京マラソンを歓迎するため、東京マラソン財団や東京都などの関係団体と連携しながら準備を進めている。今回、東京マラソンと共に行う「マラソン祭り」のステージを江戸東京博物館1階とみずほ銀行本所支店前の2か所に設置するほか、メイン会場を江戸東京博物館の3階広場に誘致することができた。「マラソン祭り」のステージでは、区内で活動する 13 団体による歌や踊り、和太鼓などのパフォーマンスが予定されているほか、メイン会場では、相撲体験コーナーや東京下町ソウルフードコートなど、様々な魅力的なブースが設置される予定となっている。また、シティプロモーションの小旗を作成したので、周辺町会や体育協会加盟団体の皆さんにも協力していただき、盛り上げていく。このほか、沿道の金融機関や清掃事務所の壁面には、ランナーや東京マラソンをお迎えする懸垂幕を掲出するとともに、東京ビッグサイトで開催のマラソンエキスポにも出店し、墨田区をPRする予定である。このような様々な取組を通して、東京マラソンを大いに盛り上げていきたい。
2 防災対策について ⑴ 糸魚川市大規模火災の教訓について
今回の火災は、木造住宅密集地域における火災が強風の影響により、急速に延焼拡大したものである。延焼火災の危険性の高い木造住宅密集地域を有する本区としても、火災に強いまちづくりと初期消火対策などの地域防災力の充実強化といった事前の備えが重要であると再認識した。燃えない・壊れないまちづくりの推進のほか、消防団、消火隊をはじめ、住民防災組織の育成等により、防火対策を進めているが、今回の火災を教訓とし、本所・向島両消防署とも更なる連携を図り、改めてハード、ソフトの両面から、防火・防災対策を推進する。
⑵ 「墨田区避難所運営マニュアル」の活用について
今年度、全ての町会・自治会に新たな避難所運営マニュアルを配布し、内容を周知してきた。多くの地域防災活動拠点会議において、これを活用し、避難所資器材の設営等を中心とした訓練が実施されている。今後とも、地域の特性や実情に応じた避難所運営ができるよう、マニュアルの更なる活用策を検討し、運営体制の強化を図っていく。防災訓練の推奨メニューの設定と助成金等のインセンティブについて、区では、各町会・自治会の担当者に対し、推奨する訓練メニューや活性化につながる事例を紹介していく。訓練の実施に対する助成費用等によるインセンティブの付与も必要な視点であり、今後、町会・自治会とも協議していくが、内容の如何を問わず一定の経費が必要となることから、まずは先程述べた推奨メニューの提供や相談対応の充実などにより、ノウハウ面でのインセンティブを図っていきたい。
⑶ 災害時の生活用水の確保について
1日に必要な生活用水は、飲料水とは異なり、災害時における明確な基準が一般的には示されていない。本区の計画においては、学校プール、防災貯水槽の活用のほか、民間協定団体からの供給や既存の避難所施設内の井戸等から生活用水を確保することとしている。今後も避難所生活に不便が生じないよう、過去の震災等の教訓も踏まえ、水の確保に努める。なお、防災用井戸の整備計画については、避難所施設内のマンホールトイレ設置のための排水管路耐震化工事に合わせ、設置を順次進めており、現在、13 校・14 か所に設置済みである。
3 子ども・子育て支援について ⑴ 「墨田区待機児童解消計画」の進捗状況について
墨田区待機児童解消計画では、平成 28 年度に 300 人、平成 29 年度に 500 人の保育定員拡大を目標としている。28年度中の拡大は、272人で目標の約9割となったが、29 年度については、既に公募選定を終えている案件で 494 人の拡大を予定しており、更に募集を進め、2年間で 900人を超える定員拡大を目指していく。保育園のニーズは、引き続き高い状況にあることから、待機児童の解消のため、潜在的ニーズにも対応する保育定員の確保に向けて、スピード感を持って取り組んでいく。
⑵ 保育施設の指導監督業務について
保育施設に対する指導検査の現在の進捗と今後の計画については、子ども・子育て支援法の施行により、認可保育所等への指導検査を区でも実施しており、今年度は、年間計画にしたがって 12 園で実施している。来年度は、私立認可保育所 12 園及び小規模保育所4園などで実施する予定である。「保育の質」を確保することは、安心・安全な保育を実施する上で、大変重要なことと認識している。来年度は、区の指導検査対象となる全園について、巡回チェックを実施する予定である。これにより、効率的・効果的に指導検査を行い、事故の防止に努めていく。
⑶ 定住促進支援及び多子世帯支援について
就学応援事業の後継事業を、補正予算に計上しなかったことについては、昨年提案した「就学応援事業」は、多子世帯の子育てを応援することで、定住促進と、小学校入学時の教育費負担の軽減、合計特殊出生率の増につなげることを目的としていた。予算の範囲内で、これら3つの目的を達成する代替事業を幅広く検討したが、適切な事業を見出すことは困難であった。したがって、定住促進対策に的を絞り、区内の子育て世帯の転出防止と、区外からの子育て世帯の転入促進につながる支援制度を検討する経費として、改めて当初予算に計上したものである。子育て世帯への定住促進施策の推進について、子育て世帯が希望する住宅を選択・確保できる環境を整備し、定住促進に結びつけていくことは、重要な課題であると認識している。今年度策定する新住宅マスタープランにおいて、『子育て世帯の定住支援』を重点的な取組として掲げ、子育て世帯等の定住促進のための住宅確保支援制度及び住み替え支援システムの構築、空き家の有効活用などの取組を推進していくこととしている。今後、これらの取組について、各種データや先進自治体の事例等の調査・分析を行い、提案いただいた支援事業も参考に、平成 30 年度の制度構築を目指して、子育て世帯の定住促進に向けた効果的な支援策の検討を行っていく。
(教育長答弁)1 区長の施政方針について ⑴ 区制 70 周年記念事業ほか主要な事業について
児童が 10 年後の墨田区を思い描き、夢を託す「10 年後の未来図事業」は、墨田区の郷土愛や未来への夢を育む観点からも大変素晴らしい事業であると考える。現在、区内のほとんどの小学校では、同様の事業として「二分の一成人式」という行事を行っている。
小学校4年生がこれまで自分が頑張ってきたことや、感謝の思い、未来に向けた決意を新たにするなど、それぞれの学校が工夫して行っている。作品を毎年、全児童の分を残すことは、保管の問題等もあり難しいが、教育委員会としては、今回の事業を各学校に紹介する中で、引き続きこうした取組を支援していきたい。
3 子ども・子育て支援について ⑷ 幼保小中一貫教育について
幼稚園、保育園との小学校の連携についての認識と支援については、毎年開催する「幼保小中一貫教育フォーラム」で各ブロックの取組を発表し合うことによって、今後のより良い連携のあり方を考える機会としている。併せて、ブロックごとに年2回の幼保小中連絡協議会を行うほか、教科ごとの連携を検討する部会を設置するなど、様々な、具体的な課題の検討や情報共有を行うことにより、少しずつ交流・連携が進んでいるが、十分とはいえず、課題があることも認識している。そのうえで、幼保小中の連携が進むよう、一貫教育巡回指導員を2名配置し、学校・園の間の連絡調整や指導・助言を行っており、幼保小中一貫教育を推進する教員の業務の補助等を行う一貫教育推進員の配置や、教員が授業を円滑に行えるように支援するための学校支援指導員等の配置を行うことで、支援をしている。小学校と中学校の接続について、中学校に入学するにあたっては、学校の環境が変わることに対して子どもたちや保護者の不安を少しでも和らげること、小学校までの学習内容を確実に理解・定着させ、中学校の授業について行けるようにさせること等が必要であると考えている。そのため、中学校では、小学校6年生を対象として、中学校の授業や部活動等の体験を行っている。教育委員会では、平成28年度中に、小学校6年生を対象として、小学校の学習内容をまとめた問題や解き方を掲載した「(仮称)中学校すたーとブック」を作成、配布する。平成 29 年度には、小学校の学習内容をまとめた問題の他に、中学校入学までに身につけておくべきこと等を付け加え、本人や保護者への意識付けを行うことによって、接続が円滑にいく施策を進める。併せて、協議会等において各ブロックが課題を共有し、学校・園の間でどのような交流ができるかを検討し合えるよう、各学校・園に対して指導・助言をしていく。「幼保小中一貫教育推進計画」の平成 29 年度の改定にあたっては、学識経験者や校長、園長、教育委員会事務局管理職からなる検討会を設置し、その下に現状及び課題を把握するため、幼保小中の連携の中心となる教員、職員からなる作業部会等も設置する。そのうえで、現在の推進計画や学習指導要領などの社会情勢を踏まえて見直しを行い、校種間の教科等に関する連携を深められるようにしていく。