1.法令等に基づく対応について
(1)肝炎対策の推進に関する基本的な指針の改正について
(2)再犯の防止等の推進に関する法律について
(3)成年後見制度利用促進基本計画について
2.区政運営のあり方について
(1)住民基本台帳及び選挙人名簿抄本の閲覧について
(2)公募委員のあり方について
(3)都市公園の充実について
(4)校庭の芝生化について
(5)墨田区食育推進計画について
3.自治体間広域連携について
(1)区長の基本姿勢について
(2)オリジナルナンバープレート「隅田川ナンバー」構想について
4.「知の拠点」としての図書館について
(1)視覚障害者に対する知る権利の保障について
(2)墨田区立図書館条例に基づく対応について
(3)図書館司書と学校司書の連携について
(4)図書館の時間外利用について
私は、区長及び教育長に対し、大綱4点にわたり質問します。
第一に、法令等に基づく区の対応について3点伺います。
まず、「肝炎対策の推進に関する基本的な指針」の改正について質問します。
墨田区議会では、平成26年第二回定例会での「ウイルス性肝炎患者に対する医療費助成の拡充に関する陳情」を皮切りに、党派を超えた支援運動を展開してきました。翌27年9月には参議院で、さらに28年6月には衆議院で請願が採択され、「国民病」とされるウイルス性肝炎患者の救済に一筋の道が開かれました。
これら動きを受け同月、肝炎対策基本法に基づく「肝炎対策の推進に関する基本的な指針」が改正されました。同方針では、自治体に①肝炎対策に対する具体的な指標等の設定を行うよう求めていますが、これについての本区の対応を伺います。また、②肝炎医療コーディネーター等の人材育成についても同様に伺います。さらに、同指針では、国が多様な検査機会の確保の観点から、健康保険法等に基づき行われる健康診査等に合わせて肝炎ウイルス検査が実施されるよう取り組むこととなっています。本区においては、すみだけんしんダイヤルに連絡をすることで同時受診が可能となっていますが、健康診査を申し込みの方に、同時受診を勧奨するなど、肝炎ウイルス検診の受診率向上に寄与する方策を検討すべきだと考えますが、区長の見解を求めます。
次に、再犯の防止等の推進に関する法律について伺います。
昨年12月施行された同法は議員立法で成立し、主な内容は、刑務所出所者、少年院出院者及び保護観察対象者の再犯防止のための取組みを自治体の責務として規定したものです。そこで伺いますが、①まず本区の同法に関する所管課をお示しください。更に、②同法第4条第2項で自治体の責務となった自治体の地域特性を踏まえた施策の策定と実施について、その内容と実施時期を区長に伺います。また、③同法第8条で市町村の努力義務と定められた地方再犯防止推進計画の策定を本区でも行うべきだと考えますが、区長の見解を求めます。
更に、成年後見制度利用促進基本計画について伺います。成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づき、今年3月、成年後見制度利用促進基本計画が定められました。同法第14条第1項では、①市町村計画を定める努力義務が規定されていますが、本区の対応について区長に伺います。また、②同条第2項では、自治体においては条例を定め、成年後見制度の利用の促進に関する基本的な事項を調査審議させる審議会その他の合議制の機関を設置することが努力義務となっており、同計画でも、市町村計画の検討・策定を進める中心機関とし、取組み状況の点検、評価等を継続的に行うことが望ましいとされています。この点について本区の対応について区長に伺います。また、同計画では③地域福祉計画との有機的な連携の必要性についても指摘がされていますが、これへの対応についても区長の見解を伺います。
第二に、区政運営のあり方について5点伺います。
まず、住民基本台帳及び選挙人名簿抄本の閲覧について伺います。
住民基本台帳の閲覧制度は、個人情報保護の観点から、住民基本台帳法第11条の2により、現在、統計、学術、公益及び訴訟の目的に限って認められています。閲覧にあたっては、墨田区住民基本台帳の閲覧に関する事務取扱要綱第10条により、台帳からの転写が認められていますが、同条第4項の規定の解釈により、デジタル機器での筆記が不可となっています。これにより、例えば、自衛隊による自衛官募集のための閲覧及び転写は、すべて自衛官が膨大な日数をかけて手書きをしており、また統計及び学術についても同様で、これら公共的利用において、大きな負荷となっています。これら手書きデータは再びそれぞれの機関においてデジタルデータとして再入力することが通例であり、閲覧者にとっては「二度手間」となっています。これまで週2コマまでとされていた閲覧日数について、緩和規定が設けられ、これら利用の利便性向上について改善されたことは評価しますが、根本的な解決策にはなっていないと考えます。
他方で、同様の閲覧制度である、選挙人名簿抄本の閲覧では、選挙人名簿抄本の閲覧に関する事務取扱要綱第5条第3項の柔軟な解釈により、現在、デジタル機器での筆記が認められています。平成18年、個人情報保護の観点から改正された公職選挙法は、閲覧に関する事務処理の基本的な手続及び措置・勧告等の規定を、住民基本台帳の閲覧に準じた形で法令上整備したものであり、いわば、子分である選挙人名簿抄本の閲覧で認められているのに、親分である住民基本台帳の閲覧で認められていないという、ちぐはぐな状況となっています。
統計、学術、公益等に資するため、今一度両制度の整合を図り、デジタル機器による筆記を認めるべきだと考えますが、区長の見解を求めます。
次に、公募委員のあり方について、伺います。
住民自治の観点から、行政における意思決定過程への参加が叫ばれ、本区でも区長の附属機関等で数多くの公募区民の皆様にご活躍いただいています。まず、①委員公募制度の趣旨と、現在②会議体ごとに公募委員を入れるかどうかの判断基準を区長に伺います。
旧自治省のキャリア官僚をやめ、全国津々浦々の市町村を現場の行政官として歩き、住民自治のあり方を模索してきたエピソードが描かれる、元愛知県常滑市副市長・山田朝夫氏の著書『流しの公務員の冒険』(時事通信社・平成28年)の中で、常滑市民病院を再建した際のエピソードは、新事業におけるコンサルタントの使い方や公募委員のあり方など、一読に値します。街を二分する市民病院の廃止か再建か―そこに入ったのは、無作為抽出で選ばれた公募市民で構成される「100人会議」でした。100人会議は、見解が分かれる中で実地の見学等を経ながら討議を重ね、徐々に見解をまとめていきます。まさに、熟議民主主義の体現です。著者曰く「特定のテーマについて議論する委員会にわざわざ自ら手を挙げて参加する市民は、そのテーマに精通し、思い入れを持っている人が多く、その意見はかなり偏っている場合が多い。」と指摘しています。そこで、本区でも、特に重要性の高い施策や住民の多様な意見が求められる施設について、無作為抽出型の公募委員制度を導入し、一般の民意に近い附属機関のあり方を模索してはどうかと提案しますが、区長の見解を伺います。
更に、都市公園の充実について伺います。
昨今、大横川親水公園や錦糸公園に至近であることを売りにしているマンション広告を多く目にするにつけ、公園はこの街の誇れる魅力であると感じます。同世代の保護者の方々に伺っても同様で、都市公園の充実は本区の価値を上げることにつながります。
平成22年に策定された『墨田区公園マスタープラン』では、公園の誘致圏を 250m、児童遊園・こども広場の誘致圏を 100mとしたときに、その誘致圏に含まれない地域をアクセス不便地域と定義し、平成37年までにこの解消を目標としています。しかし、密集事業を除けば新設公園等は平成19年に取得したひきふね児童遊園が最新であり、この間、素晴らしいプランをもちながらも、予算化されない事態となってきました。区長、都市の魅力向上による定住促進を考えたとき、公園マスタープランを今一度真剣にかつ着実に実行すべきではないでしょうか。もちろん、土地取得は相手方のある話ですので、計画通りに行くとは限りません。しかし、具体的な計画なくして、同プランの目標は達成できないのではないでしょうか。具体的には、同プランを基礎とした、年次の実施計画を立て、取得予算を計上し、重点エリアを決めて、年度ごとに具体的に地域を回り、土地取得交渉等を進めることを求めますが、区長の見解を求めます。
また、本年4月、都市緑地法改正で創設された 「市民緑地認定制度」では、これまでの財団、社団及びNPOに加え、民間企業も市民緑地を設置・運営することができることとなり、300平米以上の市民緑地については固定資産税の軽減措置が講じられ、一定面積以上の植栽やベンチの設置について国の社会資本整備総合交付金を活用することができることとなるなど、土地提供者及び設置・運営者にとってのインセンティブが増しました。都市における公有地の確保が困難となっている昨今、この制度を具体的に検討するため『墨田区緑の基本計画』を改定し、これを位置付けるべきだと考えますが、区長の見解を伺います。
次に、校庭の芝生化について伺います。本区では、東京都の緑の学び舎づくり事業補助金を活用し、校庭の芝生化を実施しています。これまで小学校25校中7校で事業が完了したと聞いていますが、まず、今後の事業化計画と芝生化完了の目標年次について教育長に伺います。
校庭の芝生化により、子どもたちにとって運動への親近感が増し、それによる運動量の増加がもたらされることが、科学的に証明されていますが、芝生の管理に関する人員確保や維持管理予算、養生の間は使用ができないなどの問題点も、指摘されています。他方で、アスファルト舗装の校庭は、水はけの悪さや夏場に高温になる問題、何より児童・生徒への負担となることが指摘されており、早急に改善すべきこともまた事実です。さらに目黒区や足立区では学校について順次、人工芝化する計画を定めているなど、昨今、校庭を取り巻く環境は変化しています。そこで、校庭の現状に関する認識と、天然芝以外のゴムチップ舗装及び人工芝化等による校庭の機能改善の可能性も含めて、そのメリットやデメリットを今一度検証し、議会に報告することを求めますが、教育長の見解を求めます。
この質問の最後に、墨田区食育推進計画について伺います。
今定例会にも報告されている同計画は、平成19年度の策定以来、行政主導から区民主導へ、「協働」から「協創」へと着実に進化しており、新たに3つのリーディングプロジェクトを設定するなど、先進自治体らしい特徴のある計画となっていて、大きく評価しています。
しかしながら、今年度から、21担当で行われてきた庁内食育推進会議が9の庶務担当課長のみに縮小するなど、本区が内閣府はじめ内外から評価されてきた「庁内の連携体制」が、大きく縮小されたことに懸念を覚えます。縮小の理由は、4月に傍聴した食育推進会議での議論によれば、出席者が少ないからという答えでしたが、先進自治体としては、出席者を増やす努力こそが求められるのではないでしょうか。体制変更の理由と今後見直す余地がないのか、区長に伺います。このような状況を鑑みると、併せて東京都栄養担当者会議において先進事例として評価されている、多職種連携により住民による協創の核となる、災害時食支援ネットワーク検討会も縮小の方向ではないのか心配になります。同検討会のあり方について、今年度の体制に変更はないのか、区長に伺います。
先の第一回定例会の福祉保健委員会で、山本区長は福田議員の質問に対し、「私からもしっかり指示をして、担当と一緒に、この計画を含めてすみだの食育の取組を力強く前進させたいと考えています。」と表明されましたが、これでは体制の縮小と評価せざるを得ません。今一度区長の強い決意を伺いたいと思いますが、見解を求めます。
第三に、自治体間広域連携について伺います。
昨今、過疎化の進行により、住民サービスを提供することが困難となる事例が相次いでいることから、平成26年5月、地方自治法が改正され、連携協約が導入されました。いわば「自治体間の条約」ともいわれる連携協約は、全国の自治体において行政サービスの効率化に大きな一助となるでしょう。
他方で特別区をみると、広域自治体である東京都において一定の調整がなされることが期待されるものの、区同士で一定の圏域を設定し、広域的処理を行うべき事業も散見されます。
この5月、墨田区議会観光対策等調査特別委員会が策定した『「区内循環バス」に関する報告書』では、次々期の協定改定に向けて、他区への乗入れを積極的に検討すべきとされています。その他、総合運動場等のスポーツ施設や大規模ホールについては、個々の区における計画でそれぞれが保有するよりも、むしろ広域的に検討し、それぞれが利用の乗入れを行うことが有用なのではないでしょうか。例えば、すみだスポーツ健康センターは江戸川区平井から、逆に亀戸中央公園にある亀戸スポーツセンターは墨田区立花からの利用もかなり多いと把握しています。昨年、江東5区大規模水害対策協議会が設置され、『江東5区大規模水害避難等対応方針』が策定され、自治体間広域連携の機運は醸成されています。区長の強いリーダーシップで、さまざまなテーマに関する江東5区における自治体間広域連携について検討してみてはいかがでしょうか。区長の見解を求めます。
そこで、広域連携の例として、ひとつ、住民の皆様からいただいたおもしろいアイディアを提案しようと思います。それはオリジナルナンバープレート「隅田川ナンバー」構想です。
いわゆるご当地ナンバーは、地域振興や観光振興等の目的から、平成16年11月、期間限定で一定の要件の下で、認められ、有名な例では富士山ナンバー、近隣では川越ナンバー、柏ナンバーなどが誕生しています。全国からの強い要望を受け、平成25年2月には、期間限定ではなく常時受け付けることとしました。その要件は、①原則として、単独の市町村ではなく、複数の市町村の集合体であることや、②対象地域内の登録自動車数が10万台を超えていること、③行政区画や旧国名などの地理的名称であり、当該地域を表すのにふさわしい名称であり、かつ全国的にも認知されているものであること。④ナンバープレートに表示された際に十分視認性が確保されるよう、原則として「漢字」で「2文字」であり、例外として最大で「4文字」までであること、などです。
東京都が提唱する隅田川ルネサンスの流域区である、台東区、墨田区、中央区、江東区及び荒川区の5区で「隅田川ナンバー」を提唱すれば、これら要件を満たすこととなります。こうした区民運動を巻き起こし、隅田川流域の水辺を核とした観光振興とエリアとしての認知度向上を図ることは、区民のシビックプライドを醸成し、広域連携の核となる地域の連帯感を生みだし、かつ域外へのシティプロモーションの一環にもなると考えますが、区長の見解を求めます。
更に、この5月、国土交通省は、地方版図柄入りナンバープレートの募集を開始しました。これは、平成30年10月より、ナンバープレートに図柄を入れるもので、すでに全国でラグビーワールドカップ版及びオリンピック・パラリンピック版の導入が決定しているほか、各地域で独自の図柄選定をすることができることとなっています。これも主に上記同様の要件となっており、「隅田川ナンバー」は、これら要件を満たすと思われます。これについても併せて区長の見解を求めます。
第四に、「知の拠点」としての図書館について伺います。
まず、視覚障害者に対する知る権利の保障について伺います。憲法から導出される知る権利をあまねく国民の保障する機関のひとつが、図書館法第17条によって使用無料の原則が適用される、公立図書館であります。
しかし、視覚障害者にとって、知る権利を享受することは極めて難しい状況となっています。国立国会図書館『公共図書館における障害者サービスに関する調査研究』(2011年)によれば、障害者サービス実施公共館数は、この約40年間で7倍増しているものの、同書では、対面朗読サービスや図書・映像の郵便貸出し、録音・点字の郵便貸出し及び自宅配本サービスについて調査したところ、実施館の約18~37%の館で1年間に実利用者がいなかったとされています。この事実は、全国の図書館で視覚障害者向けサービス自体の提供は増えているものの、視覚障害者の需要に応えられていないのではないか、との推測の根拠となります。
これを特に対面朗読サービスについて、本区において調査してみました。すると、墨田区の視覚障害者は平成27年度末現在544名ですが、延べ人数で341名の利用となっています。これはあくまで延べ人数であり544名のうち、実人数でどのくらいが実際に利用しているのかは不明です。そこでまず実人数について調査し、利用していない方については、利用に障壁があるとすればどのような点かを、区長部局と連携して調査すべきだと考えますが、教育長の見解を求めます。
また、視覚障害者は移動に不自由があり、図書館に来ること自体に困難を生じる事例があるため、図書館の利用を躊躇しているという指摘もあります。本区の配本サービスについて調べてみると、障害者全体の統計で1,226件となっており、障害事由別の統計はありません。お聞きするところによると、肢体不自由の方が多いようですが、これについても改めて、障害事由別の利用者数と、利用していない方はなぜ利用しないのかについて、区長部局と連携して調査を行うべきだと考えますが、教育長の見解を求めます。
更に、音訳及び点訳にかかる時間も視覚障害者の知る権利の享受に大きな支障となっています。例えば学生や社会人として活躍する視覚障害者にとっては、参考書や学術書をすぐに読みたいが、点訳・音訳には数か月の単位で時間がかかり、知る権利を十分に享受することができません。この問題についても本区について調査すると、約3か月かかるということです。こうした状況を早急に改善すべきと考えますが、教育長の見解を求めます。
これら課題を解決する手段が図書館におけるICTの活用です。誰でも自宅で電子書籍を閲覧することができるようにネット上で貸出し事業を実施し、音声読上げソフトにより電子書籍を読むことで、視覚障害者に資する事業を行っている自治体も増えつつあります。特別区の中では豊島区のTRC豊島電子図書館が参考になります。こうした事業は、視覚障害者の知る権利の保障に奉仕するだけではなく、忙しいビジネスマンや、お子さまがいて外出が困難な保護者にも有用なサービスであり、図書館事業の満足度を上げることにもつながると考えます。こうした電子図書を自宅で簡単に借り受けることができる事業について、教育長の見解を求めます。
次に、墨田区立図書館条例に基づく対応について、区長及び教育長に伺います。平成27年第四回定例会で墨田区議会は、区長提案の同条例を6会派26名の合意で修正議決しました。この成果は、昨年、パシフィコ横浜で行われた全国規模の図書館に関する見本市「図書館総合展」で約200名を前に発表されたほか、ぎょうせいの発行する『ガバナンス』平成28年12月号にも掲載、私自身、東京、名古屋、栃木等で市議会議員向けに講演を行う機会をいただくなど、墨田区議会の取組みは、多くの自治体議会のやる気を喚起しています。特にパシフィコ横浜でお話を聴いてくださった、愛知県の図書館司書さんから講演後「議会が図書館のことをこんなに考えていてくれたとは感動しました。ますます仕事に精励したいと思います。」と言われ、議会の取組みが職員を鼓舞したと知り、私も感動してしまいました。そこで、本日は、あれから1年経ち、この修正案が、どのように行政に生かされているのか伺います。
まず、第2条の目的規定について伺います。区長提案に対して、修正案では教育及び「等」との文言が追加されました。これを受けて、①教育に資する図書館との位置づけについてどのような見解をお持ちでしょうか、教育長に伺います。また、②「等」については、修正案の合意形成の過程に鑑みると、中小企業の街そして住宅都市として、産業や福祉に役立つ図書館との思いも込められています。昨今では、単に書籍から知識を得るという図書館だけではなく、農業や漁業に資する図書館など、その街の産業に資する図書館のあり方が模索されています。これらに役立つ図書館としての役割について、修正案を受けての教育長の見解を求めます。
更に、第3条の事業規定については、図書館法上努力義務になっているものの多くを義務化したほか、いくつかの独自規定を追加しました。例えば、第3条の第1項第5号では、区立の学校図書館との連絡、協力及び当該図書館への援助が規定されました。これは、図書館法第3条第4号を努力義務化したほか、「援助」という財政的支援をも含んだ表現が独自の規定となっています。この修正案を受け、区長は学校図書館への援助について、予算編成上どのように考えているか伺います。更に同条第11号において、すみだ北斎美術館を念頭に美術館を連絡および協力の対象に定めたほか、図書館法上努力義務となっている時事に関する情報及び参考資料の紹介及び提供についても特に規定しました。これら修正案に対する見解と対応について教育長に伺います。
次に、図書館司書と学校司書の連携について伺います。本区の図書館司書は、本区職員のほか、指定管理者職員で構成されています。また、中学校については、本区職員が学校司書として巡回しています。他方で、小学校の学校司書については、別の民間事業者の職員となっており、図書館司書と学校司書が連携の機会を確保することにより、より有機的な事業を行うことが求められると考えます。そこで、現在、図書館司書と学校司書が一堂に会して、研修等を行う機会はないと聞いていますが、①現場の課題を共有し、意思疎通を図るため、情報連絡のスキームを構築してはどうかと考えますが、教育長の見解を求めます。また、②司書教諭や教諭による教科研究グループとの連携はどのような状況となっていますか、現状について伺います。
最後に、図書館の時間外利用について伺います。現在、条例上、区立図書館は、最長でひきふね図書館が午後9時までの開館となっています。これ以外の時間帯、特に夜間利用について、見解を伺います。
時事通信によると、埼玉県杉戸町立図書館では、昨年12月、「受験勉強がんばらNIGHT」が開かれました。閉館後午後7時から10時までの時間、同じ「受験」という目標を持った学生20名が利用し、利用した受験生によると、「夜に勉強できる所が少なく、家よりも集中できる」と感想を語って企画を歓迎し、「朝も早くから開いているともっとうれしい」と企画の拡大を望んでいます。こうした事業は、夜遅くビジネスでの利用を行いたいビジネスマンについても同様に有意義であると考えます。
このほか、岐阜県の飛騨市図書館では、閉館後に行っているイベント「おとなの時間」の一環で、ジャズライブを行いました。奈良県の生駒市図書館では閉館後、市にゆかりのある人物を講師として招く大人の語り場「本棚のWA(わ)」を行いました。
もちろん、これら時間外利用は図書館の業務として行うものである必要はなく、貸出しや閲覧業務は行わず、最低限の職員のみの配置でよいと考えます。図書館が公の施設として、これまで利用してこなかった層にアピールし、いかにリーチするかについて、これまでにない発想で取り組まれてはいかがでしょうか。こうした時間外利用の取組みについて、教育長の見解を求めます。
(区長答弁)
1 法令等に基づく対応について
(1)肝炎対策の推進に関する基本的な指針の改正について
国は、同指針の中で肝がんの罹患率をできるだけ減少させることを目標としており、都道府県に対し具体的な指標を設定するよう求めている。都は、東京都ウイルス肝炎対策協議会においてこの指標を検討していくこととしているので、区としては都の動向を注視しながら、適切に対応していく。
国は都道府県に対し、地域の実情に応じた肝炎医療コーディネーターの育成及び活用を求めている。現在、区の保健所等においては、医師や保健師などの専門職が、肝炎に関する普及啓発を行い、検診や医療費助成制度等の相談を受けている。これまで、職員を肝炎に関する研修等に参加させてきたが、今後もより一層人材育成に努めていく。
本年4月より、区民の利便性の向上をはかるため、肝炎ウイルス検診を「すみだけんしんダイヤル」で申込みができるよう変更した。健康診査を申込まれた方に、肝炎ウイルス検診の同時受診を勧奨することについては、今後検討していく。
(2)再犯の防止等の推進に関する法律について
同法の所管課は、法の目的が安全で安心して暮らせる社会の実現であること、国の所管が法務省、東京都の所管が青少年・治安対策本部であることから、生活安全に係る施策を所管する「危機管理担当安全支援課」としている。
再犯防止等に関する施策は、国との適切な役割分担を踏まえて実施するとなっていること、また、その内容は就労支援、住居の確保、保健医療や福祉サービスの利用支援等、多様な部署に関わるものとなる。国においては、「再犯防止推進計画」を本年 12 月頃に策定すると聞いているので、その内容や現在区で実施している施策を踏まえ、関係部署や関係団体と連携して実施していく。
「地方再犯防止推進計画」の策定は、国の計画策定後、都においても策定を予定しているので、速やかに国や都の計画と整合を図りつつ、地域の状況に応じた計画を策定する。
(3)成年後見制度利用促進基本計画について
内閣府は、本促進基本計画について、5月 23 日に、成年後見制度の利用支援事業の普及啓発・担い手の育成等を内容とする説明会を、区市町村向けに開催した。
国と都は、連携して区市町村の計画策定に協力していくこととなっており、本区としても、他の自治体の動向に留意しながら区の計画、条例及び審議会について、そのあり方も含め検討していく。
なお、現在も地域福祉計画に成年後見制度の利用支援を位置づけて取組んでいるので、今後とも有機的に連携していく。
2 区政運営のあり方について
(1)住民基本台帳及び選挙人名簿抄本の閲覧について
住民基本台帳の閲覧では、基本的人権やプライバシー保護の観点から、リストの閲覧及び転写にあたり、カメラ、テープレコーダー、ハンディースキャナーなどの、デジタル機器の持込みを制限しているが、選挙人名簿の閲覧では、積極的に閲覧を認める立法趣旨から、パソコン等による筆記を認めている。未成年者等も対象となる住民基本台帳の閲覧では、区市町村に、より厳正な取扱いが求められているので、閲覧の際のデジタル機器の持込みについては、国や都の考え方、他区の取扱いなども参考にして、両制度の趣旨を踏まえ、適切な取扱いを検討していく。
(2)公募委員のあり方について
平成22年に定めた、協治(ガバナンス)推進条例の3つの基本原則である、情報の共有、参加、協働の趣旨に基づき、区民の皆さんに区政に参加していただく手法の1つとして、区民委員を公募している。公募実施の基準については、「区政への参加手続に関するガイドライン」に基づき、個人情報を取り扱う場合や極めて専門的な知識、技能等が要求される場合などを除き、原則として公募により行うこととしている。新基本計画の策定にあたって、無作為抽出による区民アンケート調査の際に参加を募る手法をとった。今後も、区政全般に関わる重要な計画の策定等においては、このような公募委員制度の手法も活用したいと考える。
(3)都市公園の充実について
市街化が進んでいる区内においては、土地所有者の意向等から、公園用地取得の年次計画を定めることは困難だが、公園マスタープランを着実に推進するため、国庫補助制度である住宅市街地総合整備事業の区域を重点的に、この事業計画と期間の中で公園用地の確保に向けた取組みを進める。さらに、公有地の拡大の推進に関する法律の届出や開発行為等の機会を捉えて、アクセス不便地域の解消に努めていく。
都市緑地法に基づく市民緑地認定制度の活用について、今回創設されたこの制度は、平成32年度に予定している「緑の基本計画」の改定に合わせ、本区の地域特性を踏まえた上で、施策としての実効性等を十分に検討し、緑化推進の有効な制度活用につながれば取り入れていきたいと考える。
(5)墨田区食育推進計画について
庁内食育推進会議の体制を変更した理由は、食育推進計画を検討するにあたり、限られた時間の中で、より深い議論を行うためであり、メンバーを庶務担当課長や関連部署の管理職にさせていただいた。すみだ食育推進会議の皆さんからのご意見をいただいたので、連携強化の観点から今後体制を再検討する。
災害時食支援ネットワーク検討会の体制は変更しない。なお、29 年度は、この検討会のもとに「食の提供」に絞った部会を設け、推進したいと考える。
食育推進に対する決意について、この施策は、各方面からの高い評価を得ているとともに、子育てや教育、保健福祉、文化観光産業など、裾野の広い分野とつながる重要な取組みであると考える。今後とも、食育に携わる幅広い皆さんからのご意見を伺いながら、引続き全庁挙げて力強く進めていく。
3 自治体間広域連携について (1)区長の基本姿勢について
平成26 年の地方自治法改正により設けられた「連携協約制度」は、人口減少・超高齢化社会に対応し、地方圏から三大都市圏への人口流失に歯止めをかけるための手段として位置づけられている。この法改正においては、地方圏以外の三大都市圏における自治体間連携の仕組みを制度化することは課題として残され、平成28年3月の第31次地方制度調査会の答申で「三大都市圏では、水平的・相互補完的、双務的に適切な役割分担を行うことが有用である。」と述べられている。このようなことから、東京23区エリアにおける連携協約制度の活用可能性をはじめ、提案の江東5区における連携については、様々な観点から今後の研究課題とさせていただく。
(2)オリジナルナンバープレート「隅田川ナンバー」構想について
「隅田川ナンバー」については興味深い提案だが、関係する区、すべてでの機運の盛り上がりと、利用する住民の理解が必須であり、さらに他区の意向や他の流域自治体との関係をはじめ様々な課題があるので、実現可能性について研究したい。地方版図柄入りナンバープレートについても、同様に考えている。
4 「知の拠点」としての図書館について (2)墨田区立図書館条例に基づく対応について
平成27年12月に改正した図書館条例においては、特に、区立図書館と学校図書館との連絡、協力さらには学校図書館への援助を行うことを新たに規定している。これを受け、学校司書要員として図書館職員の派遣等を充実するなどの対応を行った。今後とも、予算編成においては、教育委員会からの要求に対し、本条例の趣旨を踏まえ、適切に措置していく。
(教育長答弁)2 区政運営のあり方について
(4)校庭の芝生化について
本区では、平成17 年度から小学校の校庭整備にあわせて、芝生化を実施しており、現在までに7校で整備している。新しく校庭整備を行う場合、メインのトラック部分については遮熱性や弾力性、浸透性等に優れたゴムチップ舗装を行っており、トラックの外周部分やインフィールドなどの可能な部分に芝生化を行っている。芝生化にあたっては、部活動で頻繁に利用することが少ない小学校で、一定以上の広さの校庭を有し、芝生化を行うスペースがある12の小学校に、東京都の「緑の学び舎づくり実証実験事業補助金」を活用し、順次整備している。区の「緑の基本計画」に基づき、公共施設の緑化の推進の考えのもと、校庭の傷み具合を確認しながら、優先順位をつけ、校舎改修がある場合は実施した後に行っている。現状の認識としては、実際に芝生化した小学校では、気持ちをゆったりして寝転んだり、外遊びをする児童が増えるなど、情操教育の向上や体力向上に一定の役割を果たしてきたと考えている。しかし、校庭改修については、様々な課題の検討も必要であると認識していることから、本年度、校庭の詳細な状態調査を実施する予定である。その中で、天然芝や人工芝、ゴムチップ舗装などのそれぞれのメリット、デメリット等を比較し、検証したうえで、他の自治体の例も参考にしながら、今後の校庭整備の考え方を検討していく。その際には機会をとらえて、議会にもお示しさせていただきたい。
4 「知の拠点」としての図書館について (1)視覚障害者に対する知る権利の保障について
視覚障害者を含めた障害事由別障害者の図書館利用者の実人数については、現在、図書館統計として把握しておらず、今後統計として把握していく。また、利用されていない方の図書館利用の障壁になっている事由や利用しない理由については、区長部局と連携して調査を行い、把握に努めたい。ついては、調査の内容や方法について検討していく。
音訳や点訳に係る時間は、ボランティアを中心に作業を行っており、3か月程度かかっている。時間短縮に向けて、どのような改善を図れるか検討していく。ひきふね図書館では、国立国会図書館の電子書籍について閲覧することができる。電子書籍は、視覚障害者の利用に資することをはじめ、他の方にも有用なサービスであると認識している。しかし、自宅で利用する場合の電子書籍の課題として、利用者が端末を用意し、ネット通信の環境を整備しなくてはならないこと、また電子書籍の発行元によって規格が異なることな、提供コンテンツが少ないなどの課題がある。今後の改良や普及状況などを踏まえながら、導入に向けて引き続き検討を進めていく。
(2)墨田区立図書館条例に基づく対応について
教育に資する図書館の役割は、地域の実情や区民の要望を踏まえて、学校教育を援助し、家庭教育の向上に資するような役割を果たすことにある。図書館の運営についても、教育、教養、文化の発展に寄与するための取組をはじめ、区民福祉や地域産業等の課題解決を支援していく取組を進めていくことが必要であると認識しており、ボランティア等との協
働による様々なイベント・事業を行うことなどにより、多様な分野の取組に努めている。さらに、講演会や特集展示等を通じて、北斎美術館等の文化施設との連携を図るとともに、時事に関する情報等の紹介及び提供を行い、利用者の利便性を高めていきたいと考えている。
(3)図書館司書と学校司書の連携について
現状では、図書館運営協議会で小・中学校の校長が委員であることや、各学校への個別的な支援をしていることから、一定の連携はしているが、小中学校の学校司書要員の合同での連絡会はないため、区立図書館の司書等と学校司書要員とのより密接な情報連絡のスキームの構築を検討していきたいと考えている。教科研究グループとの現状の連携については、小学校では小学校教育研究会の図書館研究部で、また、中学校ではビブリオバトル等図書館関連の連合行事実施に向けた中学校教育研究会の図書館研修部で、図書館担当教諭と学校司書要員との意見交換を行うなど、教科研究の向上に役立てている。
(4)図書館の時間外利用について
現在、ひきふね図書館においては、日曜・祝日を除き、夜間においても主にビジネスマンを対象として講演会や読書会などのイベントを実施しており、今後とも夜間に実施するイベントについては充実させていく。なお、時間外の利用については、区民の利用意向や利用目的の整理、人的配置等の運営体制の確保が課題となることから、他自治体の実例を踏まえて研究していきたいと考えている。