令和元年度 11月議会 代表質問 坂井ユカコ議員

令和元年度11月議会 自由民主党 代表質問 坂井ユカコ

1)令和2年度の予算編成について

2)財政白書と基本計画中間改定への考え方について

3)台風19号を受けての災害対策見直しと強化について

4)(仮称)産業観光マスタープラン策定について

5)大学のあるまちづくりについて

6)ポーランドとの文化交流について

7)区立幼稚園について

8)重度障がい者グループホームについて

 

墨田区議会自由民主党の坂井ユカコでございます。

まずは、このたびの台風により、被害に遭われた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。1日も早く、復興がなされますことを、お祈り申し上げます。

私は会派を代表して、大要8点について、区長及び教育長に分割方式で質問いたします。是非とも率直なご意見、前向きなご答弁をお答え願います。

 

  • まず初めに、令和2年度の予算編成について伺います。

本区の財政状況は、良好な企業業績や納税義務者数の増加を背景に、平成30年度決算においても、実質収支は黒字、経常収支比率も2.9%減少するなど、新たな行政需要に対応できる余地が、わずかずつ増え、一見堅調です。一方、歳出面では、社会保障費増加等で、民生費、性質別扶助費は依然として半数以上を占めており、財政の自由度が奪われた状況が続いています。こうした中、先般11月緊急議会で4億円を超える補正予算を要した台風19号対策など、地球環境の変化により、今後こうした災害対応による歳出が発生する可能性も予想されます。基金残高が東京23区で最下位の本区が、持ちこたえることが出来るのか、率直に申して心配です。

課題山積の中、山本区長には引き続き、より堅実な区政運営と強固な財政基盤の確立を求めるものです。

現在、9月5日付の「令和2年度における区政運営の基本指針について」の区長通達、高野副区長の「令和2年度予算の見積もりについて」の依命通達を基に、予算の編成作業が行われています。そこで、これら通達から、いくつか質問します。

両国国技館でボクシング競技が行われる「東京2020オリンピック・パラリンピック」に照準を合わせたことにより、本区は来年春夏で満了する事業が数多くあります。依命通達では、「終了事業においては、予算の比較対象から省くこと」、とありますが、こうした事は予算編成にどのように影響するとお考えでしょうか。

合わせて、有形無形のレガシーを大会後、どのように活用したり、次の世代に残していくのか、伺います。

また、50年に一度の国家的事業に沸くあまり、この間、道路整備について、整備路線ではない一般区道等区民生活に密着する生活インフラ整備は、どこか疎かになっていると感じます。高齢化が進む本区において、こうしたことは、区民の健康寿命延伸等にも影響します。大会終了後は、地に足の着いた整備を堅実に行うべきと考えますが、区長のご所見を伺います。

副区長からの依命通達には、我が会派が再三求めた、「エビデンスに基づいた政策立案」や、「国・都の補助制度が終了した事業への言及」等、が反映されました。この点について評価をするものの、一方で、「消費税引き上げに伴う各種経費の増額分を含めて令和元年度標準予算額を超えない要求」を求めるなど、社会情勢上、不可避な領域への言及は、関係先に負担を強い、区民サービスにも影響が出るのではないかと懸念します。この点について、考え方を伺います。

令和2年度は墨田区基本計画の中間改定年、山本区政の方向性を決定する重要な一年でもあります。厳しい財政運営を迫られる中、山本区長は、どのように「住みたい」「働きたい」といった区民満足度を向上させるお考えなのか、伺います。

 

  • 二点目は財政白書と基本計画中間改定への考え方について伺います。

財政白書、最後のページ、財政推計まとめは、民生費が過去20年、連続で上昇していること、民生費の増加額が、歳入の増加額を超えていること、国の補助事業に加え、区の単独事業を拡充してきたことから、このままの状況が続けば、2025年度までに、合計120億円の歳出超過となり、基金残高は5億円しか残らないという衝撃的な予測で締めくくられています。

まずは、この白書で推計された、墨田区の5年後について、区長として、どのように考えているのか、率直にお答えください。

平成30年度決算で、基金を積み増し、区債の残高も減少するなど、本区の財政基盤は、立て直しが進んでいるように見えるものの、先に述べた民生費の伸びが非常に大きい点は、致命的であり、抜本的な行財政改革は必須です。

こうした厳しい状況を見据えて、区長は今後、どういう財政運営を行うのか、行財政改革を行うのか、伺います。

あわせて、近日報告される人口推計では、今後も墨田区の人口は増加し、東京一極集中が継続することが予想されていると側聞しています。本区の人口増加に対して、区長は、今後どのように対応していくのか、伺います。

来年は、墨田区基本計画の中間改定です。財政白書で指摘された、緊急を要する本区の財政課題に対し、区長は墨田区基本計画(後期)の中に、どういった施策を反映していくのか、何が大切で、これからどうしていくのか、伺います。

 

  • 三点目は台風19号を受けての災害対策見直しと強化について伺います

開かれた議会を目指し、去る11月16日、墨田区議会自由民主党として初めて、会派所属議員12名による議会報告会を開催しました。区民の関心事をいくつか報告したところ、参加者の皆さまから寄せられた質問は台風19号に端を発した災害対策に集中、その内容のすべては区の対応を疑問視する声でした。

あの時、区民の皆さまが感じた不安や怒りを思うと、二度と同じ思いをさせてはいけない、とあらためて痛感しています。わが会派は、「次こそは過ちを繰り返さない体制を作る」ことが区民の皆さまに対する責務であると、本区の災害対策の見直し・強化について、これからも議論を続けていく所存です。

情報発信体制の不備や、職員数の絶対的不足、避難所開設基準や開設時期など、挙げるときりがありませんが、中でも、本来行政が行うべき、区民の皆さまの不安や心配を取り除き、安心して頂くという行為を怠ったことは、極めて重大です。この点に関しては猛省すべきです。現場で懸命に職責にあたられた職員の皆さんも、本当に悔しかったと思います。

まずは墨田区の首長である山本区長に、このたびの台風19号における不十分な対応に対する、率直なお気持ちと、最大の課題は何であったと捉えているのか、ご所見を伺います。

区では、このたび浮かび上がった課題への改善策について、今すぐ出来ること、来年やること、長期で計画的に検討・改善していくこと等、どのように整理をしているのか。どのくらいを目途に、課題をクリアする事を考えているのか、伺います。

また、1月17日には、職員を対象に訓練を行うと聞いています。

この訓練において、台風19号対策を教訓にした、具体的な対応が行われるのか、どのような形で実施することを考えているのか、伺います。

台風19号直後に、ある防災拠点訓練で実施された「避難所運営ゲーム」では、「避難所はホテルではありません。何もない状態から、そこに居合わせた皆さんで作っていく物です」という区防災課主査の呼びかけがありました。

集合後の総括で、参加者からは、「今日集まった人たちで避難所を開設できるとは限らない、その場にいる誰もが順序立てて準備する事が出来る、初動に特化したマニュアルを作るべき」「学校の作りを理解している教職員さんやPTA等保護者さんにも、避難所運営手順を知る機会を作るべき」、という意見が多くありました。その通りだと思いました。

防災拠点は、学校ごとに、教室等の間取りや、使うことができる部屋も、その広さも違います。各学校専用の避難所開設マニュアルを用意する事により、そこに居合わせた方がどなたでも、避難所開設準備に参加が出来ます。

一部自治体で実施されている「初動に特化した避難所開設マニュアル」に、防災拠点の特徴を付加することで、本区の防災力は向上すると考えますが、区長のご所見を伺います。

ただしこれには、学校の協力が、不可欠となります。先日、墨田区防災士ネットワークのスタディツアーで赴かれた仙台市では、学校長がリーダーとなり、教職員、地域の皆さんと一緒に防災拠点を取りまとめている事例を、勉強されて来られたと伺っています。

各災害拠点における避難所運営マニュアル作り等においては、校内を熟知した学校長および教職員も参画し、進めていくべきと考えますが、区長のご所見を伺います。

教育長には、台風19号を受け、学校はどのように考えているか、どのような参画が可能か、お聞かせ下さい。

 

  • 四点目は(仮称)産業観光マスタープラン策定についてです

産業と観光の融合を視野に、「(仮称)墨田区産業観光マスタープラン」という名の行政計画が、令和2年度末に策定される方向が示されています。

まず本計画の考え方についてですが、これまでも「商業」「工業」「観光」を融合させた産業施策は、区の基本的な取組姿勢であり、産業と観光の融合は、すでに重要な施策に位置付けられています。これらをなぜ、今になって、ひとつの行政計画にまとめることにしたのでしょうか。

一方で、産業と観光は、不可分な関係ではありますが、各々は独立した産業でもあります。

(仮称)産業観光マスタープランの中で、各々の産業計画がどのように表現され、どこが相互に関わっていくのか、伺います。

また、策定の背景にある、これまでの産業・観光の課題を何と捉え、解決のため、これまでどのような施策展開を行ってきたのか。

そこから分かった事はどのようなもので、今後、(仮称)産業観光マスタープランの中で、どのように解決しようと考えているのか、伺います。

本区は全国に先駆け、中小企業振興基本条例を制定し、区内産業の多様な業種の集積を生かし、新たな発想や技術により、景気の変動に左右されない、「下請け加工型からの脱却」を目指してきました。この事は、山本区長も常々仰ってこられましたし、実際に本区はこれまで意欲ある事業者を支援する産業振興に取り組んできたものと理解しています。

このたび、産業振興マスタープランは、計画年度途中で、観光と一緒になります。

まずは、策定前に、これまで計画した施策の成果を評価する必要がありますが、この点について伺います。

区の標榜する「下請けから脱却ができた事業者」、「自社の最終製品を製造した事業者」は、何社あったのか。販路拡大支援により、実際に販路は拡大されたのか、経営状況がどのように改善されたのか等、実態の調査と検証が必要です。

(仮称)産業観光マスタープラン策定へ向け、調査方法等課題はあるものの、施策効果をより正確に把握するためにも、一定の指標と、それに対する結果について評価をすべきと考えます。また今後、そのための仕組みづくりを行う事を求めますが、この点について区長のご所見を伺います。

産業融合としての産業と観光についても触れておきます。

異なった産業の垣根を無くし、ひとつの業界の成長が他方にも及ぶ補完関係を作るのが産業融合です。

このたびの(仮称)産業観光マスタープランには、本区の産業における課題や弱点を観光によって補完することができ、本区の産業における強みで観光施策を強化できるような、より踏み込んだ、力強い施策が掲げられる事が求められます。

産業融合の観点を含めて、本区のこれからの産業・観光施策に対して、どのような考え方を持って進めていかれるおつもりなのか、区長のご所見を伺います。

この際、本区への企業誘致についても伺います。

旧錦糸土木事務所については、その立地条件等から、企業誘致等、産業に資する活用が効果的であると、私たちは考えます。先の決算特別委員会では、優良企業の区外流出が議論となりました。

区長には、「待てば海路の日和あり」、という姿勢ではなく、ぜひ能動的に、優良企業を誘致して頂きたいと思います。この件について、区長が考える方向性や、考え方などがあれば、お聞かせ下さい。

 

  • 五点目は、大学のあるまちづくりについて、伺います。

先般11月1日の決算特別委員会中に、文部科学省 大学設置・学校法人審議会の答申について情報提供が成されました。

学校法人電子学園・情報経営イノベーション専門職大学が、正式に設置認可され、2020年4月の開学が、決定しました。

校舎の建築など、着々と進む準備に、大学を契機とした、教育・産業・商業等における、地域との連携、活性化に期待もふくらみますが、本区が真に「大学のあるまち」となれるか否かは、今後の施策次第であり、大学誘致を本区の発展に必ず結びつけることが、我々の責務です。そのことを肝に銘じ、質問してまいります。

先の、平成30年度決算特別委員会で、わが会派の福田はるみ議員が、現在改修が進む千葉大学デザイン・建築スクールについて質問した際、「校舎1階2階部分は区民に開かれた場所とする」方向性が示されました。具体的にどのようになると良いと考えているのか、活用方法について伺います。

これまで本区は、さまざまな産学官・産学官金等、連携を実施してきましたが、それは「大学の無いまち」の施策です。

来春からは、大学が本区に実在する事を、確実に活かした「大学のあるまち」にしか実現できない、取り組みが始まります。

これまでに無い、大学との関わりを創造していくためには、何が重要と考えるのか。大学を舞台にした区民との連携をどのように進めていくのか、春の開学以降、具体的にどのようなことを考えていて、何が始まるのか伺います。

教育長には、2大学の開学によって、すみだの子供たちにどのような変化が起きると考え、大学のあるまちの子供たちと教育をどのように結び付けて行くのか、方向性と具体的な計画等は進んでいるのか、伺います。

この際、将来活用用地についても触れます。

これまで、わが会派から繰り返し質問していますが、将来活用用地として、まだ空いている一つ分のスペースについてです。

「子育てひろばの工事の終了までがひとつのめど」などと聞いておりますが、この点もスピード感を持って、次の方向性を示して頂きたいと思います。最短でどの程度となるか、また現在の動きを伺います。

この質問の最後に、区長には、就任以降紆余曲折を経ながらも、悲願がいよいよ現実となる思いと、本区のブランド・バリューを高める力となる「大学」を、どのように活かしていこうとお考えなのか。2大学が開学して以降の将来へ向け、どのようなまちづくりを進めていこうと考えているのか、あらためて伺います。

 

  • 六点目は、ポーランドとの文化交流について伺います。

去る11月15日、ポーランド・クラクフにある、日本美術・技術博物館マンガ(通称マンガ館)とすみだ北斎美術館との友好協力協定の調印式が行われました。

パヴェウ・ミレフスキ駐日ポーランド共和国大使は、「今年は令和新時代の始まりと同時に、わが国と日本の文化交流という新世紀の始まりである」と祝辞を述べられました。

ポーランド・マンガ館とすみだ北斎美術館については、平成30年第二回定例会でわが会派、加藤拓議員の質問を契機に、昨年11月11日の独立記念日には、すみだ北斎美術館で「ポーランド独立回復100周年記念コンサート」が開催されるなど、交流を深め、この度の協定調印に至りました。あわせて、地元選出の松島みどり衆議院議員の役割も大変大きかったと理解しています。

フランス・パリ市七区との交流では、7月に文化交流事業の一環として、本区の文化芸術団体が現地に赴いて展示を行い、また区長ご自身も、パリ市七区に表敬訪問を予定されていると伺いました。

どうか世界に名だたる画人、葛飾北斎を通じた国際文化交流を積極的に進めて頂きたいと思います。

このたびの友好協力協定調印を契機に、まずは、ポーランドとの文化交流を区長自ら、積極的に行って頂きたいと考えますが、区長のお考えをお聞かせ下さい。

 

  • 七点目は区立幼稚園について伺います。

近年、区立幼稚園の定員割れが目立っています。私立幼稚園に定員割れは発生していないため、本区政策による保育定員の拡充というよりも、我々は保育ニーズ、幼児教育ニーズの変化が背景にあると分析しています。とはいえ、このまま定員割れが続くようなら、何らかの対策が求められます。教育プログラムの充実や預かり保育の実施や認定こども園への移行など、付加価値を高めるための取り組みを行う用意があるのか、教育長に伺います。あわせて、小学校校舎と合築されている園については、将来的な人口増による小学校生徒の増加も視野に、教室不足解消のため、場合によっては集約や統廃合など、そのあり方を検討することも必要と考えますが、教育長のお考えを伺います。

 

  • 最後に、重度障がい者グループホームについて伺います。

先般、区民福祉委員会 委員と、肢体不自由児者 父母の会の皆様との意見交換が行われ、保護者の皆様から、切実な思いを伺いました。重度障がい者グループホーム建設については、早く建てれば良いというものではなく、当事者が、第二の人生を自分らしく生きるための、終の棲家として、中身をよく吟味することが重要であると、保護者の皆様の思いを伺い、その意を強くしました。

区長におかれては、どうか、利用する当事者の思い、保護者の思いを反映でき、希望に沿う努力をお願いします。区長の力強いご答弁を求めます。

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