定例会代表質問 坂井ユカコ

墨田区議会自由民主党の坂井ユカコです。会派を代表し、大綱6点について質問いたします。区長、教育長には未来を見据えた、建設的な答弁をお願い申し上げます。

 

■公共施設について

 

本年3月に、すみだ健康ハウスの天井を支える金具が腐食し、崩落する危険が判明したため、休館したままになっています。区及び指定管理者による通常の保守点検は適切に行われていたものと思われますが、温浴施設である特殊性と、今回のような事案が発生した事実を考慮すると、保守点検の周期と内容が適正であったか疑問が残ります。
福祉関連の施設や、スポーツ関連の施設など、特殊性のある施設について、安全に管理されているかを確認する必要があると考えますが、現状はどのようになっているのか、区長に伺います。
また、それ以外の施設についても、今一度、定期点検の周期と内容が適正であるか確認すべきと考えますが、区長の見解を伺います。
社会情勢の変化に伴い、様々な新しい行政ニーズが生まれている昨今、本区では、既存の施設に新たな機能を持たせて対応している状況です。

しかし、老朽化した施設の多い児童館や集会所などでは、階段の位置、部屋の配置、配管といった建物の古さゆえの要因で、十分な場所が確保できない、動線が悪いといった状況も見受けられ、行政ニーズを満たしているとは言い難い上に、既存の機能も低下している、非常に中途半端な状態に陥っているのではないでしょうか。

墨田区公共施設等総合管理計画及び第2次墨田区公共施設マネジメント実行計画によると、公共施設は、長寿命化により、使用目標年数を60年と設定しています。

一方で、建物の劣化状況等により、長寿命化を図る場合と比べて建替えがより効率的であると判断される場合については、目標使用年数によらず建替えを行うことも明記されています。

将来的な維持管理費といった費用面も非常に重要ですが、我々は行政ニーズを満たし、区民福祉を増進させることを第一と考えています。
機能の面をより重視して、新たな行政ニーズにも十分対応していけるように、積極的に建替えを行う施設であるのか、長寿命化を図る施設であるのかの仕分けを改めて行っていただきたいと考えますが、区長の所見を伺います。

公共施設ということでもう一点伺います。第一回定例会において、新保健センター等複合施設整備方針の検討状況が報告され、一定の議論がありました。また、今定例会では、新保健センター等複合施設整備基本計画案の報告があります。
計画案で一定程度は示されると思いますが、現時点で想定している建物の規模、複合施設の各機能やボリューム感等、どのようになるのか、区長に伺います。

我々は、保健所機能の統合と、休日診療所等の保健衛生関連施設、子育て支援総合センターや、新設する障害者基幹相談支援センター、特別支援等就学相談、教育相談、
ステップ学級などである福祉と関連の深い教育委員会所管部分で、複合施設化するという方針については、理解しています。
一方で、すみだ教育研究所や教科書展示、教職員の研修室といった、学習関連についても複合施設化する方針が示されています。しかし、これらの機能を新保健センターと合築するメリットについて、明確になっていない部分があります。この点について教育長の説明を求めます。
特に、研修室について、横川小学校に設置してある現状では、どのような不足が生じているのか教育長に伺います。
また、移転により教職員研修が充実することで、教員の資質や本区の児童・生徒の学力向上にどのように繋がるのか、数値目標などがあればお示しください。

その他、人材確保や特別支援教育との関連など、研修室設置のメリットを明確にしていただきたいと思います。教育長からの説明を求めます、
また、教職員の研修であれば、平日夜間の利用が主になると思われます。
年間使用する時間はどの程度を想定しているのか、研修で使用しない時間はどのように利用すると想定しているのか伺います。
例えば、新保健センターの会議室と共用する、一般へ開放するなどは、考えているのでしょうか。

加えて、研修室の使用は、あくまでも教育委員会が行うものに止まり、教職員のみのグループによる自主的な研修については、研修室を一般開放する場合は、優先利用は行わず、通常の申し込みでしか認めないと理解してよいのか、教育長に伺います。

 

■住宅宿泊事業法について

 

政府は3月7日、旅館業法の一部を改正する法律案を閣議決定し、住宅宿泊事業法、いわゆる「民泊新法」が、今国会で成立、早ければ来年春から施行される見込みとなりました。

かつて区長は、国の制度が明らかになった時点で、区としての対応を速やかに決定していくと答弁されていますが、民泊新法の概要が明らかになり、国の動向が確定した今、区長は、どのような方向性をもって民泊行政を行おうとお考えでしょうか。現状の認識も含めて伺います。

併せてどのような事務分担で監督指導を行うのか、従前の保健所における動きと、新法施行後の動きは、どのように、どれくらい変わるのか、現時点で分かる範囲内でご説明下さい。

本区は、成田・羽田両空港への交通至便、上野、浅草、秋葉原などに近く、訪日観光客の好む環境、民泊事業者にとっても魅力的な立地です。その証拠に、民泊仲介サイトで本区を検索すると、約300室がヒットしますが、それらのほとんどは、無許可の違法民泊であると言われています。

わが会派も、さまざまな場面で違法民泊を取り上げてまいりました。
この事により、情報提供を呼び掛けるチラシの制作や、旅館業法第3条に基づく許可施設一覧の公開等、旅館業法という枠の中で、違法民泊の実態把握へ向け、行政側も一定の努力をされたと認識しております。
それだけに、このたびの新法施行で、民泊事業者の把握が、着実に進むことを、我々も期待しています。

新法概要の中でも、特に・苦情対応・名簿作成・標識掲示については、本区選出の松島みどり衆議院議員が、当事者側として日々地域で起きている生の声を強く訴え、原案段階から大きく係わってこられました。

3年後に迫った東京2020オリンピック・パラリンピックを睨み、遊休資産である空き家・空き部屋を健全に、しかも有効に活用する為の対策が喫緊の課題であります。

このたびの新法施行を、より地域に根差した、実効性のあるものにすべきと考えますが、条例制定も含めた、区長の考えをお聞かせ願います。

 

■大学誘致について

 

本年3月22日に、墨田区は国立大学法人千葉大学と「包括的連携に関する協定」を締結しました。平成33年には日本初の「デザイン・建築スクール」が旧すみだ中小企業センターに開校予定で、本区の悲願であった大学誘致が実現することになります。

開校に向けた協議が始まり、旧すみだ中小企業センター改修基本計画及び大学誘致用地活用構想策定に向けて動くなど、本区としても一定の準備を進めているように見受けられます。
開校までの工程表など、協議状況について、早期に議会でご報告頂きたいと思います。
また、旧曳舟中学校・旧西吾嬬小学校の跡地についても、何らかの方法で活用できるよう、協議を進めていただきたいと考えます。区長の所見を伺います。

開校は平成33年が予定されており、時間に余裕があるわけではありません。早期に旧中小企業センターの改修に着手し、十分に千葉大学が開校準備を行えるように本区も協力する必要があります。
スピード感を持った改修基本計画を策定し、改修をできる限り早期に着手するべきであると考えます。区長の所見を伺います。

また、大学誘致の用地に複数の大学を誘致する「大学の杜」構想が予算特別委員会で明らかになりました。
現在、何校とどのような協議が進んでいるのか、これからも募集するのか、区長に伺います。加えて、「大学の杜」構想について、千葉大学は、どのような意向なのか伺います。

 

■国や都の制度活用について

 

本区の行う「OishiSumida」事業をその一例として紹介しながら、質問を進めてまいります。

「OishiSumida」は、区内50店舗に対し、多言語メニューを制作し、認定ステッカーの掲出、冊子や、専用のWebサイトで紹介するもので、本年度も予算が計上されています。

丁寧な取材や国際交流等、「OishiSumida」事業すべてを否定するものではありませんが、多言語メニューは、「都の12か国語対応多言語メニュー作成支援」が既に用意され、無料で活用が可能であることを、過去予算特別委員会でも指摘いたしました。

店頭掲出ステッカーには、経済産業省の「おもてなし認証」があります。
これは、サービス品質を見える化する取り組みで、すでに都内2800社近くが無料登録しています。「登録マーク」は、国からのお墨付きという意味で、外国人旅行者には、安全・安心の評価基準となりえます。
さらに、「サービス等生産性向上IT導入支援事業」の採択要件であるなど、公的支援に対する優位性も評価できます。

この一例に限らず、国や都が用意している制度や支援メニューと、一見して類似した印象を受ける事業を、区独自で行うことに疑問を感じます。
おそらく区民の理解は、得られにくいのではと考えます。区長はどのようにお考えでしょうか。

国や都の用意する支援制度を一部活用する、アレンジするなど、連携によって、施策をより豊かなものにする事はできないのでしょうか。

現在横出し予算で行う支援などの区の創意工夫に加え、例えば、都で良い事業があれば、事務作業を区で引き受け、都交付金として区財政に反映させるであるとか、都がやっていることが、どうしても邪魔になるということであれば、その旨申し入れるであるとか。
国や都への要望活動など、必要な支援メニューを、区側から積極的に発信していくこと。
事業の精査だけでなく、本区財源の有効活用の点からも大変重要と考えます。
この点について、区長の所見を伺います。

本区には国会議員1名、都議会議員3名がいらっしゃいますし、区長ご自身も、元は区議会議員、政治家であるわけですから、政治家たる大きな、戦略的動きを、もっともっと見たい、見せて頂きたいと思っています。
日本でキラリと光るすみだ、東京で光を放つすみだとなるように、任期折り返しを迎えた区長に、あらためて決意をお伺いします。

 

■区制施行70周年記念事業について

 

式典、郷土文化資料館、動画コンテストなど、約2700万円を投じる大事業です。
先の予算特別委員会でわが会派は、60周年を踏襲した一部の区民を招待した式典を挙行するだけではなく、区民の力を引き出し、思いを共有して、皆でわがまちの70周年をお祝いしたのだ!という実感が持てる事業にすることを主張しました。
その実感こそが、地域力を高め、本区の魅力を高める道筋になるはずと考えているからです。

当時区長からは、どうやって区民を巻き込むのか、という具体的なところについて、もう少ししっかり話し合ったうえで、立て直していく、との答弁がありました。

その後、予算特別委員会で示された区制施行70周年記念事業は、どのように区民を巻き込む内容に変化していますか。
具体的にどの事業において、どのような区民参画のための創意工夫がなされ、どういった効果が期待できるか、区民が実感する70周年になるのかを、お示し下さい。
そしてまた、区民の自主的な提案を受け、区が積極的に支援するという仕組みが考えられないでしょうか。
その事により、オールすみだによる、区民と共に祝う意義ある70周年に繋がると思います。区長の見解を求めます。

 

■地域力について

 

 

「地域力を維持する商業施策」について

 

 

昭和50年代まで区内に4000店以上あった商店は、現在区商連加盟店は約1000店舗と、個人商店の数は減少の一途をたどっています。昨年末に示された本区の商業実態調査では、全般的な店舗の利用頻度については、個人商店の利用が減少し、モール、スーパー、コンビニの利用が増えている傾向です。

しかしながら、個人商店の経営者は、実際に町会活動など、地域活動に参加している方が多く、個人商店自体が、子どもや高齢者の見守りや地域の情報交換の場になっているなど、社会インフラの一部となっており、地域力の向上には必要と言えます。

区長はこの現状をどのように考えるのか、まずお聞かせ願います。

商店は、ものを売るだけにあらず。
地域密着の個人商店が果たしてきた役割の重要性は、繰り返し議論されてきました。
現存する個人商店や商店群の面的な広がりが、これ以上縮小してしまうことで、地域コミュニティの活力に影響が出ることを危惧しています。
このことは、将来的に、区長が目指す「地域力日本一」に影を落とすことになりかねません。
区長の見解をお伺いします。

人気の個店を目当てに人が訪れ、地域が賑わうことは決して悪いことではありません。
しかし、キラリと光る個店を支援するだけでは、地域力向上を目的とした場合、地域への貢献度が掬えません。
区長が「地域力日本一」を本気で目指すなら、持続可能なまちづくりを睨んだ動きが肝要です。

長年地域に貢献する商店への支援は勿論、地域活動参加を支援の条件にする等、商業施策と地域力向上を常にリンクさせた施策を行うべきと考えますが、区長の見解を伺います。
本年度スタートの地域コーディネーター活用や、区商連との連携強化、個別地域の特性や課題に合わせた柔軟な商業施策についても合わせて伺います。

このたび量販店などによる行きすぎた酒の安売りに歯止めをかけるための改正酒税法が6月1日に、施行されました。これまで量販店に合わせてビール類を仕入れ値とほぼ同じ価格で販売していた個人酒店では1日以降、ビールや発泡酒を値上げすることを決め、新たな値札を準備したり、店先に張り紙をするなど準備をしているそうです。

こうした国の動きも鑑み、キラリと光る個店を応援しながらも、活発な活動がままならない事情を抱える個人商店もフォローして頂きたいと思います。
イベント等だけではなく、広域連携や組織強靭化、何より、売上向上と地域力向上に直結した施策を行うべきです。
持続可能なまちづくりのために、区長の所見をお伺いします。

 

 

地域力を高める「場」と「人」の活用について

 

地域力とは、人と人がつながり、地域の課題を積極的に解決していく力、地域のために活動する人の力こそ、すみだの「地域力」の源であり、すみだの宝であります。

すみだの力応援基金を受け、1年を迎える「かあかのおうち」は、自宅開放型の子育てひろばで、月12日、年間150日近く、200円で0歳~3歳までの親子と妊婦さんの居場所や相談の場を提供し、800円で一時預かりを行っているそうです。採択金額は177000円で、費用対効果の非常に高い事業となりました。

また先日、とあるふれあいサロンで、参加されている高齢者から「ここに来るようになって、私の余生は変わりました」という感想を頂きました。平凡な毎日が、活躍の場を得たことにより、豊かに様変わりしたそうです。こうした元気高齢者もまた、地域力の担い手と感じました。

ふたつの話に共通することは、重要なのは、ハコモノではなく、自分たちの思い描いたことが実現できる「場」である、いうことです。

行政ニーズの多様化にも関連してまいりますが、これからの本区は、必ずしも公共施設に拘る必要はありません。
民間の場所を借上げたり、貴重なオープンスペースとして区内に74箇所ある町会自治会館等、地縁団体の集会所の活用も視野に入れて、地域の課題解決へむけた取り組みや、元気高齢者の活動に対する「場」の提供をすべきと考えます。区長の所見をお伺いします。

次は「人」についてです。

地域力を高めるための人材については、本区独自の地域人材育成カリキュラム、「ガナバンスリーダー養成講座全4期」、今期で2期目の「すみだ未来会議」が挙げられます。修了生は累計で69名いらっしゃいます。

「すみだ未来会議」修了生は、フューチャーセッションにおけるファシリテーターのスキルを取得されました。
そして、今年度からはおのおのの地域で、未来会議を開催する心構えであるとも仄聞しています。

そこで、これからは、地縁団体とのタウンミーティング開催等、地域との接点を用意することで、修了生が地域に飛び込んでいくキッカケ作りをしていただきたいと思います。

この方たちを、しっかりと後押しすることは、さらなる地域資源の発掘、新たな地域活動の発見につながります。
これまで長年にわたりユニークな人材育成を行ってきた本区ならではの後押しを期待します。その点について、具体的なお考えを伺います。

また、職員によるシティプロモーションアイディアワークショップでは、本区が抱える問題を、若手職人が議論されたと仄聞しました。
半年間運営に関わられた方は、ワークショップ中、「区長なら大丈夫」という職員さんからの声をよく耳にしたそうです。

山本区長なら、耳の痛いことでも受けとめてくれる、新しいチャレンジができる、そのように希望を持たれている。だからこそ若手職員さんも自ら志願し、今回のワークショップに参加されたのでしょう。山本区長に対する職員の期待の高さを感じました。

こうした志を持った職員さんも、本区の地域力の中で重要な位置づけと考えますが、このたびのワークショップのさらなる進化や、スタッフプライド醸成を図る次の一手は何でしょうか。どのようなお考えであるのか、区長にお伺いします。

 

「地域力日本一」の定義について

 

 

区政運営の中で、「地域力日本一を目指す」という言葉が繰り返し出てきます。
これは区長が就任以来ずっと掲げているスローガンですが、実際に区長の言う「地域力日本一」とは一体何であるのか、どのような状態なのか、議会答弁には出てくるものの、明確な指標として、区民に示されたわけではありません。
区民から「地域力日本一とは」どこに書いてあるのか、と聞かれてもお答えすることができません。
この点はわが会派から、何度も指摘しているところです。

地域の力を育むためには、地域力とは何かを、区民がひろく理解していることが大前提となります。

「地域力」の概念が全区民、全庁的に共有されるよう、条例または、宣言等「明文化」することを急ぐべきであると、予算特別委員会の答弁を踏まえ、区長の見解をお示し下さい。

 

(区長答弁)

 

1 公共施設のあり方について

   公共施設管理の現状及び定期点検の周期と内容に関しては、現在、区では、建築基準法第12条に基づき、施設の特殊性等も踏まえ、それぞれの用途に応じた建築物の敷地、構造及び建築設備について、損傷、腐食、その他の劣化状況を点検することで、施設の適正な保全に努めている。更に、点検結果については、随時、庁内で情報共有し、適切な管理につながるよう努めている。併せて、想定以上の劣化が進んでいることが判明した場合についても、迅速に対応するとともに、施設のあり方を踏まえた対策を講じている。なお、定期点検の周期と内容については、国土交通省令や告示に定められた内容に沿って適正に実施しており、今後も、法令に則り、庁内で連携して継続的に安全な施設管理に努めていく。

施設の建替えを行うのか、長寿命化を図るのかの仕分けの考え方に関しては、平成27年度に策定した墨田区公共施設等総合管理計画では、建物性能と施設機能による公共施設評価を実施した。さらに、その評価結果に基づき、第2次墨田区公共施設マネジメント実行計画において、区分1に分類された施設や劣化の進行している施設を中心に取組むべき課題を明示している。今後も、様々なニーズの把握に努め、財源を考慮の上、次期計画の策定にあわせ、総合的に施設のあり方を判断していく。

現時点で想定している新保健センター等複合施設の規模等に関しては、第一回定例会で示した整備方針のとおり、保健所を中心に子育て支援総合センターや(仮称)教育支援センターなどとの機能連携により、区民サービスの向上を目的とした延床面積が約1万㎡、建物整備費約45億円の複合施設を想定している。詳細は、本定例会の企画総務委員会で報告するが、墨田区基本計画における事業費と整備期間を考慮の上、平成33年度中の完成を目指していく。

 

2 住宅宿泊事業法について

法案では、事業者が都道府県知事に届出をした「住宅」で旅館業法の規定にかかわらず年間180日を超えない住宅宿泊事業を営むことができる。また、都道府県知事による立入検査や住宅宿泊事業者への改善・停止命令等の措置も可能となっている。これらの事務は、都知事との協議により23区が実施することも可能となっている。現在、都知事に対して、これら事務を 23 区が主体的に実施できるよう区長会を通じて要望しているところである。

指導監督に関しては、住宅宿泊事業法案とともに、旅館業法の一部が改正され、小規模な宿泊施設についても旅館業の許可が受けやすくなるような規制緩和が図られる一方、無許可営業者に対する報告聴取及び立入検査等の創設及び罰金の上限額の引き上げ等の規制の強化も図られる

一方、住宅宿泊事業法案では無届けに対する罰則は規定されていない。ただし、旅館業法の改正により無届けの住宅宿泊事業も旅館業法の無許可営業として扱うことができるので、改正後は保健所による指導監督を強化していく。

条例制定については、住宅宿泊事業法で生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、政令で定める基準に従い、区域と住宅宿泊事業を実施する期間を制限できるとしている。今後、定められる政省令の内容を注視しながら対応する。

 

3 大学誘致について

千葉大学との協議状況と旧すみだ中小企業センターの改修基本計画に関しては、今年度中に大学からの助言を得ながら、改修基本計画を策定し、円滑に改修工事に着手できるよう進めていく。この計画を策定する過程で「デザイン・建築スクール」開校までの工程表が作られるので、改めて議会に報告する。

大学誘致用地については、千葉大学と協議を進めながら、今年度、活用の構想を策定する。なお、並行して、区と大学による共同プロジェクト等の開始に向けた調査や協議も進めていくが、すでにこの6月から中小企業センターの改修をテーマに、大学の建築学科の授業も先行して行うこととなっている。

他校との協議については、現時点において詳細は報告できないが、千葉大学との協定締結以降、複数の大学から問合せや協議の申し入れを受けているので、千葉大学以外の大学とも誘致の実現に向けた協議を行っていきたいと考えている。

この場所に複数の大学が立地することを想定した「大学の杜」に対する千葉大学の意向について、千葉大学からは、「デザイン・建築スクール」など大学との連携や、国際化など、相乗効果を得られることを期待していると伺っている。

 

4 国・都の制度の活用について

事例のインバウンド対策は、国や都でも様々な制度を設け、商業者が直接利用する事業や区を介した間接的な支援を行っている。区としては、今後増加が見込まれる外国人観光客を顧客として獲得するため、区内の飲食店や物販店の皆さんに、国や都の制度や支援策を積極的に活用していただくよう情報提供に努めている。しかし、実際には支援事業の採択はハードルが高かったり、パソコン操作による外国語メニューが思うように作れない事業者もいる。区の独自事業は、そうした商店の声を受けて取組んでいるものであり、区民の皆さんには理解を得られていると考えている。今後も、国や都の制度を積極的に活用しつつ、区内商店の特徴を活かした外国人観光客の受け入れ態勢の整備と情報発信に努め、事業の相乗効果を生み出していく。

   国や都の用意する支援制度の活用や情報発信に関して、支援制度については、区が助成を受けて事業を実施するもののほか、国や都が直接実施するものがある。区が事業を検討する際には、まず、こうした制度で活用できるものを調べ、財源の確保を図りながら実施することを心掛けている。また、その制度の枠組みの中で国や都と協議しながら区のニーズに合った事業にしていくよう努めている。一方、区民等が直接活用できる制度については、PRを行い、その活用を呼びかけている。今後とも、国や都の制度の活用をはじめ、様々な連携を図りながら、よりわかりやすい情報発信に努める。私としては、どこよりも素敵で魅力的な墨田区をつくっていくために、必要な場面では自らが先頭に立って国や都と交渉にあたっていく。また、その際には、必要に応じて区議会の皆さんや国会議員、都議会議員の皆さんのご協力をいただき、「日本の東京で輝きを放つすみだ」となるよう努める。

 

5 区制施行 70 周年記念事業について

区制施行 70 周年事業については、区主催事業のほか、区が後援・共催する事業で記念事業としてふさわしいものを冠事業とするよう働きかけをし、区民や産業団体、スポーツ団体等に呼びかけているところである。また、区主催事業についても、親子で参加できるものや町会・自治会協力のもと実施するもの、子どもたちの未来につながるものなど、区民が参画できる様々な事業を企画している。さらには、希望する団体等には、70 周年のロゴマークを提供することとしたので、ご活用いただきたい。今年度、様々な事業を通じて、区制施行 70 周年を区民の皆さんとともにオールすみだでお祝いしたいと考えている。

 

6 地域力について

個人商店への客足減少に関しては、物やサービスの提供だけでなく、防災、治安などに係わる地域生活のインフラとしての役割を果たす、地域の個店の減少は、区にとっても重大な課題と捉えている。さらに、地域コミュニティの担い手である商店街の減少は、地域の活力低下につながるものと考えている。商業施策と地域力向上をリンクさせる施策を行うことについては、魅力ある個店と特色ある商店街によって地域の賑わいが生まれ、地域力の向上にもつながるものと考えている。そのため、従来から行っている商店街への支援策に加え、今年度から個店への支援を拡充する。なお、商店会未加入の個店支援に当たっては、加入を条件に補助率にインセンティブを設け、商店会の一員として地域活動への参加を促していく。

地域コーディネーターの活用や墨田区商店街連合会と連携を強化することで、個別地域の特性や課題に合わせた柔軟な商業施策を講じることについては、今年度から「地域力を育む商業空間づくり振興プラン」に基づく事業を始め、さらに今定例会の補正予算においても、商店街ごとに巡回相談員を派遣する事業をお願いしているので、これらも活用するなど、地域特性に応じたきめ細かい施策を展開し、事業効果を高めていきたいと考えている。厳しい事業環境にある個人商店に対するフォローについては、すみだビジネスサポートセンターにおいて様々な相談に応じていく。

地域の課題解決に向けた取組みや元気高齢者の活動に対し、場を提供することは重要と考える。地域プラザやコミュニティ会館、地域集会所等の公共施設については、積極的に利用促進を図り、併せて民間のコミュニティ施設についても、情報提供していく。

すみだ未来会議修了生に対する支援については、区ではこれまでもガバナンスリーダー養成講座の修了生に、私が始めたタウンミーティングの企画運営を担っていただくなど、人材を育成してきた。現在、すみだ未来会議の修了生が、会議から生まれたアイデアを八広地域プラザで実践すべく準備を行っているので、これらの活動も支援していきたいと考えている。今後とも、地域力を支える地域人材と地域資源がつながることで協働を推進して行けるよう、積極的な支援を行っていく。

スタッフプライドの醸成を図る手段としての次の一手については、今年度は、「伝えるということは、自分の価値を再発見すること、伝える力を磨こう」をテーマとして、ワークショップの他、

「伝える力 ミニ講座」を3回実施する。この講座は、クリエイターを講師に招き、チラシやキャッチコピー、スマホ動画の作成、SNSによる情報発信など、具体的な手法を、各課に配置したシティプロモーション担当に身につけさせるものである。これにより、職員のスタッフプライドの醸成をさらに図る。

「地域力日本一」の定義については、これまでも、地域力とは人と人がつながり、地域の課題を積極的に解決していく力であり、地域のために活動する人の力こそ、すみだの地域力の源であると伝えてきた。しかしながら、この言葉は、いささか抽象的な感が否めない。「地域力日本一」を目指すにあたっては、地域力の意味と、これをさらに高めていくために、区民一人ひとりが地域のために果たす役割を考えていただくことが第一歩である。そして、それを一人でも多くの人が実践し、「日本できらりと光るすみだ」と言われるような地域づくりを私は目指していく。そのためには、「条例化」や「宣言」も一つの方策とは思うが、まずは、わかりやすい言葉で「文章化」し、区民、区議会の皆さんと共有化したいと考える。

 

 

(教育長答弁)1 公共施設のあり方について

新保健センターに学習関連についての機能を複合施設化するメリットについては、現在、教育相談機能以外にも、研究・研修機能や資料室機能などが分散されており、その施設の集約化を図ることで、施設間の有機的な連携が強化され、教育施設としての機能が高まるために、教育関連施設の集約はぜひとも必要である。就学相談や教育相談をはじめ、保健所機能など児童・生徒や保護者といった区民と接する事業部所と隣接することにより、その課題解決ノウハウをもっている職員を活用するなど、直接に研究・研修機能へノウハウ等を濃厚に反映させることが可能となるとともに、研究・研修等部門の職員と顔の見える直接的な連携をすることにより、分散施設の場合よりも、相乗的なより大きな効果を生み出すことができると考えている。特に保健所機能とは、がん教育や感染症に関する教育、あるいは発達障害などの特別支援教育などの分野での連携ができると認識しており、それを教育課題の解決や教員の研修内容の向上に結び付けられると認識している。

横川小学校に設置している研修室の現状と今後予想される機能に関しての不足については、現在は研修室の数が1室のため、大人数を対象とした講義型の研修が中心となっている。しかしながら今後は、より深い研修とするために分科会など小集団で主体的に取り組む参加型の研修を充実させていく必要があることから、大規模な会議室のほかに、小規模な会議室を複数備えていくことが必要となってくる。また、教員については大量退職、大量採用があり、研修を必要とする若手教員の数が急増している状況もあるため、研修等の回数も増加させていくことが必要であると考えている。このように教員の資質・能力を向上させるための研修をさらに充実させることで、教員の授業力の向上を図っていくことができ、学力向上新3か年計画の学力に関する数値目標等を達成するべく墨田区の児童・生徒の学力向上に直接につながるものと確信している。さらに、今後は英語教育、道徳教育、特別支援教育などの新たな教育課題にかかわる研修も実施する必要がある。多種多様に研修を充実させていくことは教育活動の充実を促進させると同時に、墨田区の学校で働きたいという動機にもつながり、墨田区の教員を目指す人材の増加にもつながるものと考える。

教職員研修室の年間使用については、昨年度は延べ230回程度の研修、会議等を実施してきたが、今後、研修の充実などを図っていくため回数は増加していくと想定している。また、新施設において教職員研修に利用する会議室は、複合化される各部署と共有で使用するなど、施設全体でより効率的に活用することを考えており、今後その運用については区長部局と検討していく。教員の自主的なグループによる研究・研修活動に対する会議室の貸出しについては、教育委員会で活動を認めたものについて管理規程に基づいた貸出を検討したいと考えている。

 

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