【決算特別委員会】平成27年度決算を採択しました。

10月21日から11月9日まで、決算特別委員会が開催されました。

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わが会派からは、中沢えみり(委員長)、坂井ユカコ(副委員長)、沖山仁、田中邦友、福田はるみ、加藤拓、しもむら緑が議論にあたり、平成27年度各会計歳入歳出決算を認定しました。

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以下、墨田区議会自民党の意見開陳(開陳:福田はるみ)

私は、墨田区議会自由民主党を代表し、意見開陳を行います。

財政に関しては、人口増による特別区民税の伸び等により特別区税が前年度と比べて3.1%、特別区交付金については普通交付金の伸びなどにより前年度と比べて2,6%増加、財政指標では、経常収支・実質収支とも黒字決算で、一般会計では過去最大となりました。財政調整基金および、公共施設整備基金の合計が100億円を超え、計画的な財政運営への第一歩となりました。
しかし、経常収支比率は、ゆるやかな改善が見られるものの、依然として83.3%で、23区平均である77.8%と比べて厳しい数字で、義務的経費が一般財源を圧迫する硬直化した区財政が未だ続いていています。


今年度発表された『墨田区総合戦略』を基に、地域経済の縮小を克服し、本区が持続可能な自治体になるために、行財政のスリム化に引き続き取り組むと同時に、より担税力の高い区民の転入促進、定住促進等、戦略的側面からの政策を求めます。
資産については、再評価でインフラ資産が増える一方、資産老朽化指数は64,1%と上昇を続けており、確実に公共施設等の老朽化が進んでいます。

老朽化した公共施設や学校跡地は、狭小な本区においては貴重な空間です。「墨田区公共施設等総合管理計画」に基づき、将来の大規模改修に向け、基金の積み増し等の努力と合わせて、区民生活の向上を第一義とした計画的な整理統合、民間事業者の活用、場合によっては売却等も視野に入れ、柔軟な発想とスピード感をもって、そのあり方を検討することを求めます。

さて平成27年度は、前基本計画の最終年度にあたり、特に三つのリーディングプロジェクトを着実に推進するための施策に、予算の重点配分がなされました。
この決算は、前区長が編成し、現区長が執行したものです。
まずは、『三つのリーディングプロジェクト』について述べてまいります。

まず防災対策について述べます。
住民が活用できる、消火資機材のひとつである「スタンドパイプ」の全町会自治会配備、資機材倉庫等の設置助成制度が開始され、女性に配慮した防災対策の検討も始まりました。
東日本大震災を教訓に、首都直下地震など、大規模災害に対する、地域防災組織による、対応力の充実強化が図られたことは、大きな変化として評価するところです。
しかし、執行率から分かる通り「燃えない・壊れないまちづくり」の、ハード面の整備においては、木密地域不燃化10年プロジェクトの「不燃化特区」では、住民との合意形成が困難で、面的整備がうまく進んでいません。
いずれにしても、北部地域における不燃化率や耐震化率の向上への取り組みが喫緊の課題であり、エリアの拡大、助成額増額等の取り組みを強く求めます。

次に子育てと高齢者施策についてですが、「墨田区子ども・子育て支援事業計画」に基づき、新たな認可保育所開設や、家庭的保育の給食導入など、支援量の拡大と、質の向上が行われました。
取り組みについては、一定の評価をするものの、依然として、待機児童ゼロには至っていません。
潜在的保育ニーズの顕在化や、他区からの子育て世代の転入など、目下の課題への、スピーディな対応はもとより、創意工夫により仕組みの改善をして頂き、保護者、職員双方の、保活ストレスの解消を求めます。
併せて、区立認可保育園の認定こども園への計画的な移行と、定員拡充による待機児童解消施策への最大限の努力、さらには全国的に大きな問題に発展した「保育士不足」には、区独自の施策を行う等、待機児童ゼロに向け、更なる努力を求めます。加えて本委員会で、わが会派から要望した「在宅での子育て支援」については、保育所整備と同様に、特に力を注ぐことを求めます。

高齢者施策では、生活支援と介護予防サービスの開始など、介護保険制度の見直しへの対応準備、福祉総合型高齢者支援総合センターの整備の実施設計、旧木下川小学校跡地の、特別養護老人ホームの建設工事開始などを行いました。
重要なのは、団塊の世代が、後期高齢者となる平成37年に向け、高齢者の方々が、地域でいきいきと暮らしていける環境を整えることです。
そのために、高齢者が地域支援事業や、介護予防サービス事業によって、生活支援を受けながら元気に生活し、介護が必要となっても、住み慣れた土地で、尊厳を持って過ごせるよう、切れ目のない支援と施策をあらためて求めます。

また、障害者福祉施策についても、「障害者差別解消法」を十分踏まえた取り組みを要望しておきます。

三つのプロジェクトの最後は国際観光都市すみだの推進です。
平成27年度の外国人来訪の背景には、隣接する台東区浅草、東京スカイツリー、江戸東京博物館や、国技館など、具体的施策の効果というよりも、既存の施設の魅力や、口コミ情報によるところが大きいと感じます。
今後も「すみだ北斎美術館」開館や「東京オリンピックパラリンピック」開催等、本区への訪日外国人旅行者増加は確実なものであり、もはや目標を掲げ、理想を追い求める段階は終わり、早急な受け入れ体制づくりが求められています。
訪日外国人旅行者が快適に本区で過ごせるおもてなしや、都との連携、観光協会や民間事業者の支援を進めながら、増え続ける違法民泊など、環境衛生にとどまらず、区民の安全安心の面からも、区として実態把握と対策の強化を求めます。

また、今決算、観光施策で特筆すべきは「終戦70周年平和祈念事業」です。
関東大震災、東京大空襲と、度重なる悲劇で、焼け野原になった町を、今日の姿に復興させた本区だからこそ、終わることのない平和への願いを発信していく責任があります。
私たちは都と連携し、メモリアルパークである横網町公園と園内施設を率先して活用するなど、本区ならではの平和教育と、観光の融合を、目指すべきです。

その他、本区の重要課題に関して述べます。

いよいよ開館する「すみだ北斎美術館」については、寄付金5億円を達成した原動力のひとつである「ふるさと納税」と併せて、海外からの寄付受付を早急に開始し、葛飾北斎というアイコンを通して、本区の国際的な広がりに繋がる施策を求めます。

また最優先の課題である教育環境の整備については、習熟度別授業実施等による学力向上、いじめ、不登校問題等の課題については、全力で取り組み、目に見える結果を出すことを要望します。

本委員会中、会派から申し上げた指摘及び提案については、私たちを選出いただいた多くの住民の皆様の意思と捉え、真摯に受け止め、迅速かつ積極的に対応されることを求めます。

そして29年度予算編成にあたっては、過年度の施策効果を十分確認したうえで、各事業において、明確な数値目標を立て、具体的な施策で、どのような効果が期待できるかを明らかにしていただくことを求めます。

併せて事務事業に関する「節約」が、事務処理方針で通達されていますが、職員が見聞を広めることなど、人材育成をすることの抑制につながらないようにしていただきたいと思います。
職員がプロフェッショナル、ジェネラリストとしてアンテナを張り、本区の将来のため、今の一歩先、二歩先を見据えて行動できる環境を整えることを切に求めます。

できない理由を考えるのではなく、できる方法を考えよう、というスローガンの下、山本区長による新しい区政の舵取りが始まりました。
改めて確認します。間も無く任期は折り返しとなりますが区長、その信念は揺らいだり、濁ったりしていないでしょうか。

区民が区長に期待するのは、文字通り区民感覚への大転換、行政的思考のパラダイムシフトです。
節目である今決算を終え、いよいよオリジナルの墨田区政が始まります。
区長が、自らに課せられた使命を肝に銘じ、残りの任期、私たちとともに、新しい区政を形作っていかれることを、区民から付託を受けた代表として切に求めます。

以上のことを、平成29年度予算編成に反映し、着実に実行されることを強く要望し、議題に供された報告第1号、報告第2号、報告第3号及び報告第4号の各会計歳入歳出決算について認定いたします。

以上で、意見開陳を終わります。

 

 

 

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