平成29年度予算特別委員会墨田区議会自由民主党の意見開陳

予算特別委員会の審議が終了し、われわれ墨田区議会自由民主党は、議案第2号 平成29年度墨田区一般会計予算、議案第3号 平成29年度墨田区国民健康保険特別会計予算、議案第4号 平成29年度墨田区介護保険特別会計予算及び議案第5号 平成29年度墨田区後期高齢者医療特別会計予算に賛成の立場から意見開陳を松本委員が行いました。

 

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坂下議長 ・ 樋口委員長

 

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前列・・・意見開陳を行った松本委員
二列目左より・・・瀧澤委員、佐藤委員、沖山委員、木内委員
後方支援左より・・・坂井議員、田中議員、福田議員、しもむら議員、加藤議員、中沢委員

 

 

以下、意見開陳全文

 

私は、墨田区議会自由民主党を代表して、議題に供された議案第2号 平成29年度墨田区一般会計予算、議案第3号 平成29年度墨田区国民健康保険特別会計予算、議案第4号 平成29年度墨田区介護保険特別会計予算及び議案第5号 平成29年度墨田区後期高齢者医療特別会計予算について、意見を述べる。

 

 まず、歳入であるが、一般会計予算については、特別区交付金のうち、普通交付金が過去5年間で最大の約7億円の減収幅となった。また、地方消費税交付金など各交付金も大幅な減額となったが、納税義務者の増加や、区民所得の伸びにより特別区民税が約5億4千万円増収となったほか、財政調整基金の繰入れなどでこれを補った結果、歳入は約7億8千万円の増となった。

 

 減収については、本区がいかに脆弱な財政基盤の上に自治体経営を強いられているかを再認識させられた。しかしながら、財政の基幹収入を特別区交付金に頼らざるを得ない以上、更なる行財政改革を推進し、財政基盤の強化を急ぐべきである。

 そのため、事務事業の見直し、効率的な管理運営はもちろん、コストに対する、職員の意識改革を徹底し、危機感を持って区政運営に臨んで頂きたい。

平成29年度予算は、「”すみだの夢”実現に向けた着実な事業推進により、新たなステージを切り拓く予算」と位置付けられた。

また、平成28年度に策定された「墨田区基本計画」に基づき、子ども・子育て支援の徹底整備など、重点課題解決に向けて予算が振り分けられ、計画の着実な実行を目指したことが、特徴といえる。

今予算案で、子どもの貧困対策、通電火災防止啓発事業など、社会的弱者及び災害弱者に対する支援にも配慮されたことについては、評価に値する。

 また、昨年開館した「すみだ北斎美術館」を基軸とした関連事業は、区民が文化・芸術を身近に感じる機会創出に寄与するものとして、さらに推進されるよう望む。

しかし、この中で「山本カラー」を明確に打ち出されたか、については、不十分な内容と言わざるを得ない。

「地域力日本一」を目指すスローガンと、「地域力」の名のもとに策定された事業目的の乖離は大きな課題である。

 ファンドレイジングを活用した、「文化芸術活動・地域力向上事業」に関する質疑の中で、「地域力」の定義が示されたが、これに基づく施策が、この定義に従っていないなど、問題点が指摘された。

 地域の力を育むためには、区民の理解が前提となる。

「地域力」の概念が全区民、全庁的に共有されるよう、条例または、宣言の検討を急ぐべきである。

 奇しくも本日、3月15日は区政施行70周年の記念日にあたる。

質疑でも指摘したが、記念式典の挙行といった、従来型の事業ではなく、区民が自らの意思で参加し、美しい思い出として永く記憶に残るような記念事業となるよう、創意工夫を凝らすことを求める。

 また、予算編成のあり方について、2点指摘しておく。

まず、予算額の算定根拠が曖昧な事業が認められる点である。

予算額を算出するにあたり、事前のニーズ調査は必須であり、根拠のない査定は、不用額を生む原因になりかねない。

予算編成にあたっては、確固たる根拠による政策形成の徹底を強く望む。

 次に、議会との意思疎通の問題についてである。

 今予算案の中で、議会に事前の報告がないまま、いくつかの新規事業が提出されたことは、唐突感が否めない。

 こうしたことは、議会と行政の信頼関係を損なうばかりでなく、十分な議論を尽くす機会喪失にもつながるので、厳に慎まれたい。

 歳出のうち、投資的経費については総合運動場及び新保健センターの整備計画が進捗する中、第二次公共施設マネジメントの着実な実行を求める。

特に、旧学校跡地の維持管理費は黙過できる額ではなく、起債による金利負担と比較しても除却の必要性は明らかである。当該跡地の有効利用の検討を急ぐよう望む。

 

以下、各事業について意見を述べる。

 子育て支援については、昨年以上の待機児童が出ることが予測される。この事態を真摯に受け止め、あらゆる手立てを講じ、待機児童解消に向けた保育所の徹底整備を求める。併せて、在宅での子育て支援の充実を要望する。

 両国リバーセンター事業は、旧家庭センター跡地を子育て等の複合施設とし、周辺環境を勘案しつつ、双方の有効活用を図るべきである。

 また、質疑の中で明らかとなった、すみだこどもサロン運営補助事業も含め、当該地域の子育て環境整備を計画的に進めることを要望する。

 家庭的保育者事業については、拡充に向けた労働環境整備や、公共施設や民間施設の活用など、新たな制度の構築を進めることを望む。

 木造住宅耐震化・不燃化促進は災害対策上、最も重要な事業である。事業拡充の周知を徹底し、各制度の利用促進を図り、「燃えない・壊れないまちづくり」の一刻も早い実現を望む。今定例会で報告される、空き家の実態調査の結果の分析も併せて行うよう、指摘しておく。

通電火災防止啓発事業では、感震ブレーカー交付について「避難行動要支援者名簿」に掲載されない世帯等への配慮を求める。

高齢者福祉に関しては、公益社団法人墨田区シルバー人材センターのあり方が課題となった。仕事の確保、各人の仕事のスキルアップ支援を通じて、高齢者の生きがいの場の確保を図られたい。

障害者については、地域支援協議会の設立をもって、障害者差別解消法の普及・啓発に努めることを望む。

 特に2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて、取組みを加速する必要がある。全庁をあげて、ハード・ソフト両面でのバリアフリー化を推進して頂きたい。

マラソン大会開催検討経費については、当初説明にあったミニマラソンに限らず、あらゆる可能性を検討するべきと考える。規模、時期、コースなど、課題を解決し、東京オリンピック・パラリンピックまでに、開催できるよう検討されたい。

教育施策については、プログラミング教育、及びいわゆるアクティブラーニングの導入など、次期学習指導要領の改訂に向けて、本区の学力、体力向上に不断に取組まれたい。

新たな産業支援体制に関しては、仮称すみだビジネスサポートセンターが機能を果たすよう、全力を挙げて取り組むよう求める。また、重要課題の事業承継支援事業は、これまでの取組み実績を活かし、更に推進されたい。

産業振興会議の議論を踏まえ、新たな施策が提案されることが、今後の産業振興にとって不可欠であると認識して欲しい。

吾妻橋観光案内所の移転については、事業目的の説明の不足は反省すべきである。

両国船着場の一時閉鎖に伴う、吾妻橋船着場の活用を真剣に検討し、これを契機として、水辺の活性化を進められたい。

短期間で移転の結果を検証し、その後の利用について改めて検討するよう、要望する。

 また、観光案内所のあり方については、今後、本区の観光行政の中で体系的に検討し、その結果を議会に報告することを求める。

 すみだ良質な集合住宅認定制度については、新たな制度を設定し、ファミリータイプ住居の供給を誘導する事業は、本区の抱える課題解決を目的としており、評価するものである。

 一方で、予算額については市場調査をされた上で算出されたものでないことが、質疑の中で明らかになった。こうしたことから、終期設定を含む制度設計を構築した上で、次期定例会に改めて報告することを要望する。

 併せて、要件緩和や予算措置を伴わない認定制度の拡充など、現行制度の見直しを求める。

また、改定される次期都市計画マスタープランでの都市計画の検討の中で、国土交通省の近居支援制度と連動した取組みや、空き家を取得した場合に補助を出す政策との連動など、複層的な定住支援策の検討を強く望む。

 以上、主な点について申し述べたが、委員会審査における我が会派の提言、指摘を真摯に受け止め、今後の区政運営に反映されることを期待し、議案第2号、第3号、第4号及び第5号について、賛成する。

 

 なお、日本共産党から提出があった平成29年度一般会計予算の編成替えを求める動議については、賛成することはできない。

 以上、墨田区議会自由民主党の意見開陳とする。

 

 なお、審議中、大瀬委員より二度にわたって不穏当な発言があり、その取扱いを巡って委員会が空転したことは、極めて遺憾である。大瀬委員の発言に対しては、樋口委員長より厳重注意があり、また我が会派の木内委員他より、指摘があった。

 本委員会を含む各会議は、二元代表制の下、議会と区長が区民福祉増進のため、審議する場であり、お互いを尊重しつつ議論を進めることで、よりよい結論を導き出そうとする姿勢を見失ってはならない。

また、同じ議会に属する者として、議会の品位を損なう言動は慎むよう、強く申し上げるものである。

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